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第四章 借金の肩代わりに母親を奪われるとは、情けない!

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「嫌よ!母さんは絶対に王宮には行きません!」
「だ・か・ら!これは母さんのためなんだって!」
「エルドがなんと言おうと、私はここを離れるつもりはないわ!」

 事情を説明するや否や、母さんはこの調子だ。口調を荒げて聞く耳を持たない。
 あれから僕はハロルド様とともに自宅に行き、母さんの説得に向かった。ひとまずは僕一人で家に戻って説得をすることにした。ハロルド様には外で待ってもらっている。
 その結果、母さんはこの調子だ。やっぱり母さんを説得するのは難しい。とはいえ、ここまで拒否反応を示さなくたっていいとは思うけど。

「魔王の手先が母さんを狙うかもしれないんだよ?」
「それでも私は王宮にだけは行きません!」

 たしかにこの家はかけがえのない場所だ。たけど、母さんはどうしてこんなに王宮を嫌っているんだろう。
 ああもう。母さんの考えが全く分からないよ。そんなことを思いながら、僕は頭を掻きむしる。その時、戸口の方からハロルド様が姿を表した。

「勇者殿、説得はうまくいっていないようだな」
「っ!?」

 ハロルド様の姿を見た瞬間、母さんの顔に動揺が走った。流石の母さんも、王様が直々に説得に来るとは思ってもいなかったのだろう。

「アンナ殿、昨日ぶりですな」
「っ…!は、はい…」

 それにしても、母さんは意外と人見知りなのかな。ハロルド様が相手になると、ろくに目も合わさない。いつも人の目を見て話しなさいと言うくせに…
 僕がくだらないことを考えていると、いつの間にかハロルド様は僕の方を見て、話を始めた。

「エルド殿、ここは一つ私に任せてもらえないだろうか」
「え?」
「貴殿の母上を匿う計画を考えたのは他ならぬこの私だ。それならば私が説得をするというのが筋というものだろう」

 ハロルド様は責任感が強いな。とはいえ、母さんの態度を見る限り、説得は通用しないと思うけどなあ。とはいえ、ここは一度ハロルド様に任せることにしよう。

「分かりました。後はお任せします」
「うむ。悪いがエルド殿は席を外してくれないか」
「っ!!」
「分かりました。外で待っていますから話が終わったらお声がけしてください」

 まあ、息子の僕がいない方が説得をしやすいのだろう。僕は家の外をぶらぶらとして、ハロルド様の説得が終わるのを待つことにした。
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