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第三章 借金漬けにされるとは、情けない!
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しおりを挟む「おお、勇者よ、ギャンブルに敗れて気を失うとは情けない!」
目が覚めると僕は王宮にいた。散々な目にあって失神したのだけど…どうやらハロルド様は僕がギャンブルに負けたのが悔しくて倒れたと勘違いしているようだ。
よく分からないけど、ハロルド様は事の顛末は正確に知らないみたいだ。それは助かるけど、もうギャンブルなんて二度とゴメンだ。
「とはいえ、エルド殿の勝ち負けに対する執念は見事じゃ!やはり勇者はそうでなくてはな!」
「ははっ…」
僕は乾いた笑いでしか返せない。こっちはハロルド様にギャンブルに誘われたせいで酷い目に遭ったんだ。僕がどんな目にあったのかも知らないくせに…
「さて、支度を整えたら、約束通り勇者殿の母上の説得に向かうことにしよう」
ああ、そういえばそんな話をしていたな。ええと、魔王の手先が母さんを狙うかもしれないから、王宮で保護するって話だったな。でも母さんは頑固だから説得できるかなあ…
「では勇者殿、後ほどまた会おう。ゆっくり休むといい」
「はっ!」
僕は最後の挨拶だけはしっかりと返事をして、ハロルド様が退室するのを見送った。
そういえば僕の借金はどうなったんだろう。特に何も言われてないなら、返済したってことなのかな…
いや、今は母さんの保護のためにやるべきことをやらないといけない。気分は最悪だけど、今だけは気持ちを切り替えないと…
※
宮殿の一画にある王の寝室。部屋の中心にある広々としたベッドの上では、ハロルド王が美女2人の肩を抱きかかえている。
「うまくやってくれたようだな」
「うふふ、妾として当然の務めをしたまでですわ♪」
「ハロルド様のお願いなら…私は何だってします♪」
「ふふふ。君たち母娘は実に素晴らしい。褒美をせねばな」
ハロルド王はそう言うと、対照的な美しさを誇る母娘への「ご褒美」を始めた。
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