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第三章 借金漬けにされるとは、情けない!
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しおりを挟む「僕がお二人と勝負するんですか?」
「うむ。そうだ」
「今から、ですか?」
「ははは。そう申したぞ」
いまいち状況を把握できていない僕の様子を見て、ハロルド様は愉快そうに笑っている。
しかし、急に戦えと言われても…僕はドロシーさんとサラさんをチラリと見た。
「私たちが美女なのかは分かりませんが、ギャンブルでは名を馳せていますのよ?」
ドロシーさんが自信満々に言った。ということは、僕と年齢が同じぐらいのサラさんもその世界では有名のようだ。
…いやいや、そんな人たちといきなり対戦したって勝てるわけないじゃないか。僕の考えは間違っていないよね?僕は心の中で思わず自分自身に問いかけていた。
「案ずるなかれ、エルド殿」
「私たち親子が賭け事のイロハを教えますの。勝負をするのは、その後のちょっとした余興…遊びみたいなものですわ」
ハロルド様とドロシーさんが、すぐに僕の不安に答えてくれた。まるで僕の心を読み取っているようだ。
「エルド殿は顔に出やすいのでな」
「そ、そうですか?」
「ははは。なかなか自分では気が付かぬものよ。しかし、自分の癖を知り、相手の仕草を観察する技術は磨いておいて損はない」
「ハロルド様の仰る通りですわ。その技術は戦いでも役立ちますわ」
そうか。ハロルド様とドロシーさんも、洞察力に長けているんだ。だから僕の心をこんな簡単に読み当てるんだ。確かにその洞察力を盗み、戦いで活かすことができたら…僕はもっと強くなれるだろう。
ハロルド様に連れられてきた時は半信半疑だったけど、ここまできたら腹を括ろう。僕はハロルド様を信じて、ギャンブルについて学ぶことにした。
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