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第三章 借金漬けにされるとは、情けない!
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しおりを挟む「さて、最後に3つ目の話だな」
「は、はい」
ここまでの流れからして、最後は最も大事な話をするのだろう。僕は思わず身構える。そんな僕の様子を見て、ハロルド様は愉快そうに笑った。
「ははは。最後の話はちょっとした余興だ」
「余興ですか?」
「そうだ。思うに、エルド殿は危ない橋は渡らない慎重な性格をしているな?」
ハロルド様は急に僕の性格の話をしてきた。確かに僕は慎重な性格をしているとは思うけど。ハロルド様は何を考えていらっしゃるのだろう。僕には予想がつかない。
「おや、図星のようだな。うむ。大いに結構。準備をしっかりするというのは素晴らしいことだ」
「ど、どうも…ありがとうございます」
何が何やら分からないまま、僕はとりあえずお礼を言っておく。
「しかしだ。裏返せばそういうタイプは、準備のできない急な戦いには脆いのだ」
「そ、それも図星です…」
そうなのだ。僕は急な戦闘には弱い自覚があった。咄嗟の機転がきかないというか、勝負勘がないというか。そういえば子どもの頃にやったチャンバラごっこもそんな感じだったなあ。
思わず僕は暗い顔つきになっていたのだらうか。僕の顔を見てハロルド様は、愉快そうに笑った。
「ははは!実は私も昔はそうであってな。しかし安心なされよ。勝負勘は努力で磨けるものだ」
「は、本当ですか!?」
「うむ」
「一体どんな方法で克服なさったのですか!?」
僕は興奮気味に質問していた。こういう時は僕が成長できるチャンスだ。逃すものか。
「エルド殿に合うかは分からぬが…カジノだ」
「え?」
「恥ずかしながら、若い時は結構な遊び人でな。ギャンブルで勝負勘を磨いていたものだ」
「はは…」
王様がギャンブルにハマるって…僕は思わず乾いた笑い声をあげる。そういえばハロルド様が若い頃はヤンチャだったというのは有名な話だったな。
しかしギャンブルで強くなるなんて、冗談だろう。ハロルド様は話を盛り上ようも、面白おかしくしていないか?
「む!その顔は疑っておるな!」
「ははは…」
「さてはエルド殿は賭場に行ったことはないと見える」
「そうですけど…」
「ふむ。そういうことなら、今から私が連れて行ってやろう」
「え!」
「心配しなくても良い。地下通路の魔物を対峙した労いだ。あくまで余興の範囲で済ませるつもりだ!」
…ハロルド様は自分が賭場に行きたいだけじゃないのか。少し呆れてしまったけど、人生経験としては悪くないかもしれないな。
ひとまず僕はハロルド様に連れられて、カジノに向かうことになった。
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