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第二章 再出発の日にも母親を寝取られるとは、情けない!
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「エルド!良かった!ケガは大丈夫なの?」
家に着くやいなや、母さんが心配そうな顔で駆け寄ってきた。僕が倒されたのを知って、ずっと心配していたようだ。
そのまま母さんは僕にぎゅっと抱きついた。しっとりしていて、落ち着いた花の香りが僕の鼻をかすめる。そして…母さんの大きくて柔らかい胸がむぎゅうっと押し当たっている。
「か、母さん!抱きつくのはやめなって!」
僕は慌てて母さんを引き離す。何というか、こういうのは反応に困ってしまう。いや、そんなことはどうでもいいんだ。今は僕が勇者としてやっていけるかが問題なんだ。
「母さん、あんなに格好つけて旅立ったのに、すぐ帰ってくるなんて、格好悪いね…」
「エルド…」
「ハロルド様にもキツく叱られてさ。僕は父さんみたいな勇者にはなれないかも…」
その瞬間、母さんが僕を軽く小突いた。
「エルド!一回の敗北が何だというの!?貴方のお父さんだって、何度も立ち上がって強くなったのよ!」
「母さん…」
「それが一回敗北したからと言って、こんな泣き言を言うなんて!」
母さんの言葉は、いつになく厳しい。でも、その言葉からは愛情と優しさを感じた。
「その通りだね。僕はまだまだ覚悟が足りていなかったみたいだよ」
「エルド…」
「だから、僕はすぐに旅立って、強くなるよ!」
「その意気込みよ!…っ!?」
僕の身体に再び勇気が湧いてきた。まだまだ僕は強くなってやる。そんなことを考えていると、母さんの顔が驚いた表情に変わっていた。視線は僕の後ろだ。僕は慌てて振り返る。
「良い心構えだ!勇者エルドよ!」
そこには、先ほどまで謁見していたハロルド様が立っていた。
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