16 / 22
16.マチルダへのご褒美②
しおりを挟む
ちゅう、レロォ、ぶちゅうぅ、チロ、ずじゅるるるうぅぅ…
俺の目の前では、苦楽を共にした最高の仲間の一人が、最大の敵と口づけを交わしていた。その口づけは、お互いを貪りあうような激しさと情熱を秘めていた。
俺の仲間マチルダ…その姿を見ただけで魔物は逃げ惑うとすら評される女戦士だ。単純な力や武術の腕前だけなら、勇者である俺に優っている。恵まれた身体を身体を駆使した野生味溢れる豪快な戦い方で俺を何度も救ってくれた。
そんなかけがえのない戦友マチルダが、あろうことか魔王と口づけを交わしている。
「んうぅっ…んむぅ…魔王さまっ、愛してるっ…」
そこに、俺の知っているマチルダの姿はなかった。ミネルヴァもマチルダも…まるで姿形は同じままの別世界にいるようだ。
「せっかくだ。マチルダの身に何があったか、私が説明してやろう」
再び、ミネルヴァが俺の背後から、俺を煽るように囁いてきた。
「魔王と『取引』の話を済ませた私は、すぐにお前とマチルダの元へ戻り、マチルダをお前から救い出した。ここまではお前も覚えているな」
そして、ミネルヴァはマチルダの身に何があったか嬉々として語り始めた。
「最初はマチルダもずいぶんと抵抗したさ。すると魔王はマチルダの実力と気概を気に入ってな。力で屈服させると決めたんだ。マチルダが自ら負けを認めるまで洗脳術は使わないと決めたのだ」
その間にも、俺の目の前では、マチルダは魔王を喜んで受け入れている。
「マチルダも必死に戦ったよ。魔王相手に一人であそこまで善戦するなんて流石としか言いようがない。だが、それでも実力差は圧倒的だ。魔王は何度もマチルダを制圧しては解放して、制圧しては解放して…それを繰り返していくうちに、マチルダの戦士としての誇りはへし折られた。そしてとうとう、自らの口で負けを認めたんだ」
信じられない。あのマチルダが自ら敗北を認めるなんて。それくらい男勝りで負けず嫌いなやつなんだ。
「あとはもう、言わずもがなだ。マチルダは魔王の寵愛を受け、私と同じように『駒』になった。魔王の前では、マチルダも単なるメスに過ぎなかったということだ」
もう何度目かもわからない。視界がぐにゃりと曲がって、呼吸が荒くなる。
「見ろ。マチルダはずいぶんと悦んでいるぞ。良かったじゃないか。マチルダの『女』の顔が見れて。お前一人じゃ決して見れない代物だろう?」
いつの間にかマチルダは一糸まとわぬ姿になっていた。
ああ、マチルダもミネルヴァも早く助け出さないと…しかし、俺はどうすればいいんだ。焦り、喪失感、絶望…負の感情が入り混じる中で、俺は必死に打開策を考えようとした。
俺の目の前では、苦楽を共にした最高の仲間の一人が、最大の敵と口づけを交わしていた。その口づけは、お互いを貪りあうような激しさと情熱を秘めていた。
俺の仲間マチルダ…その姿を見ただけで魔物は逃げ惑うとすら評される女戦士だ。単純な力や武術の腕前だけなら、勇者である俺に優っている。恵まれた身体を身体を駆使した野生味溢れる豪快な戦い方で俺を何度も救ってくれた。
そんなかけがえのない戦友マチルダが、あろうことか魔王と口づけを交わしている。
「んうぅっ…んむぅ…魔王さまっ、愛してるっ…」
そこに、俺の知っているマチルダの姿はなかった。ミネルヴァもマチルダも…まるで姿形は同じままの別世界にいるようだ。
「せっかくだ。マチルダの身に何があったか、私が説明してやろう」
再び、ミネルヴァが俺の背後から、俺を煽るように囁いてきた。
「魔王と『取引』の話を済ませた私は、すぐにお前とマチルダの元へ戻り、マチルダをお前から救い出した。ここまではお前も覚えているな」
そして、ミネルヴァはマチルダの身に何があったか嬉々として語り始めた。
「最初はマチルダもずいぶんと抵抗したさ。すると魔王はマチルダの実力と気概を気に入ってな。力で屈服させると決めたんだ。マチルダが自ら負けを認めるまで洗脳術は使わないと決めたのだ」
その間にも、俺の目の前では、マチルダは魔王を喜んで受け入れている。
「マチルダも必死に戦ったよ。魔王相手に一人であそこまで善戦するなんて流石としか言いようがない。だが、それでも実力差は圧倒的だ。魔王は何度もマチルダを制圧しては解放して、制圧しては解放して…それを繰り返していくうちに、マチルダの戦士としての誇りはへし折られた。そしてとうとう、自らの口で負けを認めたんだ」
信じられない。あのマチルダが自ら敗北を認めるなんて。それくらい男勝りで負けず嫌いなやつなんだ。
「あとはもう、言わずもがなだ。マチルダは魔王の寵愛を受け、私と同じように『駒』になった。魔王の前では、マチルダも単なるメスに過ぎなかったということだ」
もう何度目かもわからない。視界がぐにゃりと曲がって、呼吸が荒くなる。
「見ろ。マチルダはずいぶんと悦んでいるぞ。良かったじゃないか。マチルダの『女』の顔が見れて。お前一人じゃ決して見れない代物だろう?」
いつの間にかマチルダは一糸まとわぬ姿になっていた。
ああ、マチルダもミネルヴァも早く助け出さないと…しかし、俺はどうすればいいんだ。焦り、喪失感、絶望…負の感情が入り混じる中で、俺は必死に打開策を考えようとした。
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?


今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。


ブラック企業を退職したら、極上マッサージに蕩ける日々が待ってました。
イセヤ レキ
恋愛
ブラック企業に勤める赤羽(あかばね)陽葵(ひまり)は、ある夜、退職を決意する。
きっかけは、雑居ビルのとあるマッサージ店。
そのマッサージ店の恰幅が良く朗らかな女性オーナーに新たな職場を紹介されるが、そこには無口で無表情な男の店長がいて……?
※ストーリー構成上、導入部だけシリアスです。
※他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる