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第三章 私が受け入れるまで

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「本当に二度と私を脅さないと…?」
「ええ、約束しますわ。だって私、お慕いしている殿方を脅して手に入れても、ちっとも嬉しくないですわ」

 私が顔を背けて会話を続けていると、婦人は身を乗り出し、私の耳に甘い吐息を吹きかけてきた。たったそれだけのことで、私の身体が甘く痺れ、力が抜けていってしまう。

「んっ…」
「ふふふ、ザール様ったら、人の目を見て話せないうえに、煮えきらない態度をとって…そんなお姿も可愛いらしいから、ついつい悪戯したくなりますわ」

 そのまま婦人は私の耳元で囁き続ける。

「それに抱きしめることくらい、大したことではありませんわ。もっと凄いことなんて、山ほどありますのに。たとえば、ほら…」

 すると婦人は「何か」をしようと身をさらに乗り出した。私はこれ以上、婦人の妖艶で危険な雰囲気に呑まれまいと力づくで婦人を引き離した。

「きゃっ!」
「婦人、やめてください…!私は…!」
「うふふ、相変わらず凄い力。でも、私はザール様を脅しているんですわよ?」

 しかし、婦人はそれでも主導権を渡すことはなかった。

「さあ、早く選んでくださいませ。リザを失うのか、それともひとときの間、私のために時間を割いてくれるのか…」
「そんなっ…!」
「ほら、時間がありませんわ。今すぐ決めてくださいませ。それができないなら、私、大声出しても良いのですよ?ザール様に凄い力で、突き飛ばされて…凄いことされそうになったって」

 婦人はもはや説得には応じない様子だ。即断を迫り、私を追い詰めた。
 どちらの選択もリザを裏切ることになる。このまま婦人の思う通りになっては…しかし、それではリザが…

「わ、わかりました…」

 私はリザへの罪悪感で、きゅううっと胸を締めつけられるような感覚に陥りながら、婦人の要求を呑んだ。
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