上 下
14 / 22
第二章 私がキスをするまで

14

しおりを挟む


 いつもならば私がフロラヴィ婦人に護身術を教えている時間。しかし、その日は少し勝手が違っていた。リザが外出してすぐに、私は護身術を教えるのはやめにしたいと婦人に打ち明けた。
 私はリザを愛している。だから、これ以上婦人に心をかき乱されたくない。リザに後ろめたいことはしたくない。

「あら、残念ですわね。これでも私、結構練習していましたのよ?」

 私からの話に、婦人は少し残念そうな顔をしている。しかし、大して取り乱す様子もない。いつも通りの婦人だ。

「理由をお聞かせ願いますか?」
「それは…」

 当然、聞かれることは想定していた質問だ。それなのに、私は言い淀んでしまう。婦人に情欲を掻き立てられていることなど、とてもじゃないが言えやしない。

「何が事情があるのは分かりましたわ」
「は、はい…」

 そんな私の様子を見て何かを察してくれたようだ。何を察したのか分からないが、心配そうに私を見ている。
 これで、リザへの後ろめたさが消える。私は思わず安堵する。しかし、婦人はそんな私を嘲笑うかのように話を続けた。

「ただ、今日だけはご指導いただけませんか」
「そ、それは…」
「先ほども申しましたが、時間を見つけてはザール様に習った技を練習しましたの。その成果だけでも確認していただけませんか?」

 確かに当日になって終わりにしたいと告げるのはあまりにも一方的で礼に欠けている。もし婦人が本気で練習をしてきたのなら、その努力を踏みにじることになる。いや、しかし婦人の時折見せる目は…
 私は思わず婦人の目を見る。力強く真っ直ぐな目をしている。その場の雰囲気をムンとさせるような色気はどこにも感じられない。私は、覚悟を決めることにした。

「…分かりました。では、今日を最後ということにしましょう」
「うふふ。ワガママにお付き合いいただきありがとうございます」

 私は婦人を信じる。昂ぶろうとする身体と心を抑えつける。大丈夫、これが最後の指導なのだから…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

男友達を家に入れたら催眠術とおもちゃで責められ調教されちゃう話

mian
恋愛
気づいたら両手両足を固定されている。 クリトリスにはローター、膣には20センチ弱はある薄ピンクの鉤型が入っている。 友達だと思ってたのに、催眠術をかけられ体が敏感になって容赦なく何度もイかされる。気づけば彼なしではイけない体に作り変えられる。SM調教物語。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

お屋敷メイドと7人の兄弟

とよ
恋愛
【露骨な性的表現を含みます】 【貞操観念はありません】 メイドさん達が昼でも夜でも7人兄弟のお世話をするお話です。

処理中です...