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第二章 私がキスをするまで
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「護身術、ですか?」
「ええ、そうですわ」
フロラヴィ婦人の予想もしていないお願いに私は少し戸惑う。リザは幼少期おてんばで、婦人によく注意されていたらしい。
「武芸とは殿方が嗜むものであり、女性がするべきことではありません」
リザはこの台詞を何度も何度も聞かされて育ってきたと言っていた。そんな保守的な価値観を持つ婦人が、護身術を教えてほしいとは…
私はいまいち話を飲み込めていなかった。
「ふふふ。キョトンとした顔をしていらっしゃいますわね」
「い、いえ!そんなことは…」
「次、暴漢にいつ襲われるかは分かりませんわ。ザール様が守って下さるとは限らない…でしたら、最低限の護身術は習っておくべきかと思いまして」
私は婦人の言葉の重みを感じていた。あんな悲劇に直面したのだ。長年連れ添った夫が目の前で…心の傷は癒えるわけがない。それでも婦人は前を向こうとしているのだ。その思いを汲めなくて、何が勇者だ。何がアンジュー家当主だ。
「分かりました。私などでよろしければ、これからご指導致します」
「あら、こんなに早く即断して下さるとは思いませんでしたわ」
「あ、いえっ…」
「ふふふ。日時はまた今度決めましょう。ありがとう、ザール様」
婦人は優雅にお辞儀をすると、上品に微笑んだ。その瞬間、場の雰囲気が婦人の濃密なフェロモンに包まれた。渇いた私の身体は再び反応してしまう。
「では私はこれで」
「あ、はいっ…」
そのままフロラヴィ婦人は私に一礼して去っていった。こうして、私は婦人に護身術を教えることになった。
…後に残されたのは、苦しいほどに勃起をした私の身体であった。
※
その夜、私は自慰に耽った。まだ見ぬリザの身体のことを考えて、何度もした。リザのことを必死で考えて、婦人に対して抱いてしまった劣情をかき消そうとした。
しかし、婦人に対する劣情をかき消そうとするほど、婦人のことが頭にチラついてしまう。
アーモンド型の力強く凛とした目、彫刻のようにすらっとした鼻、真っ赤なルージュが引かれた肉厚な唇、キリッとした顔つきを緩和するかのようなウェーブのかかった金髪、透明感のある白い肌、リザとは対照的なグラマラスな肢体、重量感がありながらも高い位置で保たれたバストとヒップ…
何度も自慰に耽る中、ついに私は、婦人のことを考えながら精を放ってしまった。それはとてもインモラルで、強烈な快楽であった。
精を放ち終わった後に訪れるのは、何とも形容し難い重たい罪悪感だった。
「ええ、そうですわ」
フロラヴィ婦人の予想もしていないお願いに私は少し戸惑う。リザは幼少期おてんばで、婦人によく注意されていたらしい。
「武芸とは殿方が嗜むものであり、女性がするべきことではありません」
リザはこの台詞を何度も何度も聞かされて育ってきたと言っていた。そんな保守的な価値観を持つ婦人が、護身術を教えてほしいとは…
私はいまいち話を飲み込めていなかった。
「ふふふ。キョトンとした顔をしていらっしゃいますわね」
「い、いえ!そんなことは…」
「次、暴漢にいつ襲われるかは分かりませんわ。ザール様が守って下さるとは限らない…でしたら、最低限の護身術は習っておくべきかと思いまして」
私は婦人の言葉の重みを感じていた。あんな悲劇に直面したのだ。長年連れ添った夫が目の前で…心の傷は癒えるわけがない。それでも婦人は前を向こうとしているのだ。その思いを汲めなくて、何が勇者だ。何がアンジュー家当主だ。
「分かりました。私などでよろしければ、これからご指導致します」
「あら、こんなに早く即断して下さるとは思いませんでしたわ」
「あ、いえっ…」
「ふふふ。日時はまた今度決めましょう。ありがとう、ザール様」
婦人は優雅にお辞儀をすると、上品に微笑んだ。その瞬間、場の雰囲気が婦人の濃密なフェロモンに包まれた。渇いた私の身体は再び反応してしまう。
「では私はこれで」
「あ、はいっ…」
そのままフロラヴィ婦人は私に一礼して去っていった。こうして、私は婦人に護身術を教えることになった。
…後に残されたのは、苦しいほどに勃起をした私の身体であった。
※
その夜、私は自慰に耽った。まだ見ぬリザの身体のことを考えて、何度もした。リザのことを必死で考えて、婦人に対して抱いてしまった劣情をかき消そうとした。
しかし、婦人に対する劣情をかき消そうとするほど、婦人のことが頭にチラついてしまう。
アーモンド型の力強く凛とした目、彫刻のようにすらっとした鼻、真っ赤なルージュが引かれた肉厚な唇、キリッとした顔つきを緩和するかのようなウェーブのかかった金髪、透明感のある白い肌、リザとは対照的なグラマラスな肢体、重量感がありながらも高い位置で保たれたバストとヒップ…
何度も自慰に耽る中、ついに私は、婦人のことを考えながら精を放ってしまった。それはとてもインモラルで、強烈な快楽であった。
精を放ち終わった後に訪れるのは、何とも形容し難い重たい罪悪感だった。
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