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174話「新ダンジョン探索(その1)」
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シモーネ達『薔薇の果実』と別れ、俺達は新ダンジョン入り口を目指す。
しばらく進むと、十数人の兵士が材木等の資材を運ぶ姿が見えてきた。
「あそこだね」
リズを先頭にそちらへ向かう。
「……君たちは?」
兵士長らしき人物がリズの傍まで走ってきた。
「アタイはリズ。ランクB冒険者だ。後ろのみんなはクラン『輝く絆』のメンバーで、このダンジョンの探索にきたんだよ」
そう言って、馬上から冒険者カードを提示するリズ。
「……確かに。馬と馬車はあちらに」
簡易的なものではあるが、馬房や兵舎の様な建物が造られてある。
馬車を停め、馬たちを厩へと連れて行く。そんな作業をしているうちに、ミリアさんが兵舎の中から現れた。
「お疲れ様。とうとうここに潜るのね……なんか羨ましいなぁ」
「冒険者復帰なんてどうですか?」
「あーん、無理無理。仕事が多過ぎるからね。今も付近一帯に魔物よけを設置してる最中だし」
ミリア校長が『もううんざり』と付け加えて天を仰ぐ。
「半月後ぐらいにムンドから入れ替わりで守備隊が帰ってくるんだけど、彼らを総動員してここを砦にするんだって。シンジの熱意にヴァンが折れた格好ね。──まぁ、ヴァン自身がシンジに借りがあるみたいだし断れないよねぇ……」
俺から視線を外したその先には……カリナ姉さん?
「ひょっとして……知ってるんですか?」
「んーなんの事かな? まぁ、シンジの女性遍歴はほぼ把握してるけど……隠し子は絶対居ないって断言できるからね」
俺の耳元で小声で囁く。
「おおよそは察しがつくわ。確かに王都の偉いさん達にも知られちゃ不味い案件だからね」
ミリア校長が渋い顔をする。
「カリナさんは、俺の姉さんです。ミリア校長の中でもそういう事にしておいてください」
「うんうん。わかってるわ。……しかし、シンジもエラい泥を被ったものね。ま、そういう所も好きなんだけど」
そう言って俺にウインクする校長。
「えっと……そのうち義母上と呼ぶことになるんでしょうか?」
「さーどうだろうね? ──じゃあ君たちのリーダーと話ししてくるね」
ひらひらと手を振り、ミリア校長はリズのもとへと歩いて行った。
◆
ミリア校長との話が終わったリズが、俺達を前に話し出した。
「わかってると思うけど、アタイらの第一目標は『無事に帰る事』だからね。とにかく無理は禁物だよ」
みんな力強く頷く。
「ダンジョン内でのフォーメーションは昨夜説明したとおり。敵と遭遇した時もね。──じゃあ……出発しよう!」
「気をつけてね。いってらっしゃい!」
手を振るミリア校長。
俺達はダンジョン入り口である巨木の洞へ向かってと足を踏み出した。
しばらく進むと、十数人の兵士が材木等の資材を運ぶ姿が見えてきた。
「あそこだね」
リズを先頭にそちらへ向かう。
「……君たちは?」
兵士長らしき人物がリズの傍まで走ってきた。
「アタイはリズ。ランクB冒険者だ。後ろのみんなはクラン『輝く絆』のメンバーで、このダンジョンの探索にきたんだよ」
そう言って、馬上から冒険者カードを提示するリズ。
「……確かに。馬と馬車はあちらに」
簡易的なものではあるが、馬房や兵舎の様な建物が造られてある。
馬車を停め、馬たちを厩へと連れて行く。そんな作業をしているうちに、ミリアさんが兵舎の中から現れた。
「お疲れ様。とうとうここに潜るのね……なんか羨ましいなぁ」
「冒険者復帰なんてどうですか?」
「あーん、無理無理。仕事が多過ぎるからね。今も付近一帯に魔物よけを設置してる最中だし」
ミリア校長が『もううんざり』と付け加えて天を仰ぐ。
「半月後ぐらいにムンドから入れ替わりで守備隊が帰ってくるんだけど、彼らを総動員してここを砦にするんだって。シンジの熱意にヴァンが折れた格好ね。──まぁ、ヴァン自身がシンジに借りがあるみたいだし断れないよねぇ……」
俺から視線を外したその先には……カリナ姉さん?
「ひょっとして……知ってるんですか?」
「んーなんの事かな? まぁ、シンジの女性遍歴はほぼ把握してるけど……隠し子は絶対居ないって断言できるからね」
俺の耳元で小声で囁く。
「おおよそは察しがつくわ。確かに王都の偉いさん達にも知られちゃ不味い案件だからね」
ミリア校長が渋い顔をする。
「カリナさんは、俺の姉さんです。ミリア校長の中でもそういう事にしておいてください」
「うんうん。わかってるわ。……しかし、シンジもエラい泥を被ったものね。ま、そういう所も好きなんだけど」
そう言って俺にウインクする校長。
「えっと……そのうち義母上と呼ぶことになるんでしょうか?」
「さーどうだろうね? ──じゃあ君たちのリーダーと話ししてくるね」
ひらひらと手を振り、ミリア校長はリズのもとへと歩いて行った。
◆
ミリア校長との話が終わったリズが、俺達を前に話し出した。
「わかってると思うけど、アタイらの第一目標は『無事に帰る事』だからね。とにかく無理は禁物だよ」
みんな力強く頷く。
「ダンジョン内でのフォーメーションは昨夜説明したとおり。敵と遭遇した時もね。──じゃあ……出発しよう!」
「気をつけてね。いってらっしゃい!」
手を振るミリア校長。
俺達はダンジョン入り口である巨木の洞へ向かってと足を踏み出した。
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