上 下
175 / 287

174話「新ダンジョン探索(その1)」

しおりを挟む
 シモーネ達『薔薇の果実ローズヒップ』と別れ、俺達は新ダンジョン入り口を目指す。
 
 しばらく進むと、十数人の兵士が材木等の資材を運ぶ姿が見えてきた。
 
「あそこだね」
 
 リズを先頭にそちらへ向かう。
 
「……君たちは?」
 
 兵士長らしき人物がリズの傍まで走ってきた。
 
「アタイはリズ。ランクB冒険者だ。後ろのみんなはクラン『輝く絆ファ・ミーリエ』のメンバーで、このダンジョンの探索にきたんだよ」
 
 そう言って、馬上から冒険者カードを提示するリズ。
 
「……確かに。馬と馬車はあちらに」
 
 簡易的なものではあるが、馬房や兵舎の様な建物が造られてある。
 
 馬車を停め、馬たちを厩へと連れて行く。そんな作業をしているうちに、ミリアさんが兵舎の中から現れた。
 
「お疲れ様。とうとうここに潜るのね……なんか羨ましいなぁ」
「冒険者復帰なんてどうですか?」
「あーん、無理無理。仕事が多過ぎるからね。今も付近一帯に魔物よけを設置してる最中だし」
 
 ミリア校長が『もううんざり』と付け加えて天を仰ぐ。
 
「半月後ぐらいにムンドから入れ替わりで守備隊が帰ってくるんだけど、彼らを総動員してここを砦にするんだって。シンジの熱意にヴァンが折れた格好ね。──まぁ、ヴァン自身がシンジに借りがあるみたいだし断れないよねぇ……」
 
 俺から視線を外したその先には……カリナ姉さん?
 
「ひょっとして……知ってるんですか?」
「んーなんの事かな? まぁ、シンジの女性遍歴はほぼ把握してるけど……隠し子は絶対居ないって断言できるからね」
 
 俺の耳元で小声で囁く。
 
「おおよそは察しがつくわ。確かに王都の偉いさん達にも知られちゃ不味い案件だからね」
 
 ミリア校長が渋い顔をする。
 
「カリナさんは、俺の姉さんです。ミリア校長の中でもそういう事にしておいてください」
「うんうん。わかってるわ。……しかし、シンジもエラい泥を被ったものね。ま、そういう所も好きなんだけど」
 
 そう言って俺にウインクする校長。
 
「えっと……そのうち義母上ははうえと呼ぶことになるんでしょうか?」
「さーどうだろうね? ──じゃあ君たちのリーダーと話ししてくるね」
 
 ひらひらと手を振り、ミリア校長はリズのもとへと歩いて行った。
 
 ◆
 
 ミリア校長との話が終わったリズが、俺達を前に話し出した。
 
「わかってると思うけど、アタイらの第一目標は『無事に帰る事』だからね。とにかく無理は禁物だよ」
 
 みんな力強く頷く。
 
「ダンジョン内でのフォーメーションは昨夜説明したとおり。敵と遭遇した時もね。──じゃあ……出発しよう!」
「気をつけてね。いってらっしゃい!」
 
 手を振るミリア校長。
 
 俺達はダンジョン入り口である巨木のうろへ向かってと足を踏み出した。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...