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89話「死闘が始まる……?」(視点・シンジ→ヒロヤ)
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「ダンジョン主がアズラデリウスだと判明したという事は……そろそろ森の探索任務から外した方が良さそうだな」
「でも、急に言っても納得しないでしょあの子も」
……実に頭が痛い。ヒロヤにはダンジョン制覇を命じてはいたが、コウイチにはそろそろ手を引いてもらいたいところなのだ。
メグミも『コウイチがダンジョン周辺を探索する』事に関して、如何に危険な事かは重々承知している。
「ヴァンがこっちに来るのも、その事絡みなんだよな……あいつもそれを危惧している」
「ヴァンが来たら、帰る時に王都まで送る任務でも与えます?」
メグミがポンと手を打つ。
「なるほど。……徐々にそういった『警護任務』へと移行させていくか」
「まぁ、それで納得しなきゃ……しばらくはわたしが同行しても良いし」
口では『仕方なく』な感じで言ってはいるが、目はキラキラしている。相変わらず嘘がつけない女だ。
「母親が同行する冒険者なんて、コウイチは嫌がるだろうな……」
「あら?ヒロヤのパーティーなんて綺麗どころの女の子ばっかりよ?」
「……それは全然違うだろ……」
「──どう思う?」
こうやって全く主語のない問い掛けをするのがメグミ。
「何がだ?」
「ヒロヤよ。……みんな手だしちゃってるのかな?」
「まさか。カズミくんにベタ惚れだぞアイツは」
まぁ、ドロシーくんは『ヒロヤさんに身も心も捧げます』的な事を以前言ってたが。
「……分かってないわね……ヒロヤにその気はなくても、あの娘達はヒロヤにメロメロよ?だーれに似たんだろうねーモテモテなのは」
……さて、色々と仕事を片付けないとな……
ーーーーーーーーーーーーーーー
「さて、今日中にお引っ越しよ!」
宿の部屋の昼下がり、カズミが仁王立ちしてビシッと指を差す。
「……家が完成した訳じゃないから『この宿の中で別部屋に』だけどね」
だから、そんな張り切る必要ないと思うんだけど。
「引っ越し自体は問題ないのよ。大問題は……部屋割りよ!」
「「「「あ!」」」」
カズミの言葉に、ハンナさんを除く他の女性陣が声を上げる。
「新しく借りた部屋は四人部屋を隣同士で二つ。私達はハンナさんも含めて七人。四人と三人に分かれるのよ」
「さて……勝負だな……」
「……どうやって決めるのですか?」
「れな……負けないよ……」
「あたし、どんな手段を使ってでも負けないから……」
部屋が殺気に満ちてるんだけど……。
◆
「まずはハンナさんも含めて三人ずつに分かれる。その後……ヒロヤをどっちの組が取るか……勝負ね」
「え?俺を巡っての勝負なの?」
「「「「「他に何が?」」」」」
美人五姉妹が一斉に俺を睨みつける。
「弓だ!弓で勝負だ!」
「わたしもそれがいいと思います!」
リズとドロシーが立ち上がる。
「魔術よ!魔術勝負にしましょう!」
「れなも魔術がいい!」
カズミとレナが腕を組んで立ち上がる。
「ヒロヤ兄ちゃんへの想いの強さ勝負!」
マルティナも負けじと声を張り上げる。
「「「「そ……それは……」」」」
リズとドロシー、カズミとレナが顔を赤らめて席につく。
「……マルティナ、それはちょっと恥ずかしいよ……」
カズミがボソリと呟いた。途端にみんな以上に真っ赤になって立ち尽くすマルティナ。
「と、取り敢えず物騒な勝負はやめてさ……ね?そうだ!まずは組分けからすれば!」
こんな時、俺ってほんと無力だわ。宥めるしかできねぇ。
「そうね……まずは組分けね……」
照れていたカズミの表情が、一瞬にして厳しくなる。
「あのぉ……」
一触即発の状況で、おずおずとハンナさんが手を挙げた。
「片方のお部屋をリビングとキッチンとして使って、片方のお部屋を寝室として使えばいいんじゃないでしょう……か……?」
「「「「「「それだ!」」」」」」
俺も含めて、五姉妹がハンナさんをビシッ!と指差した。
◆
「じゃあ、ベッドだけ移動しようか?部屋に四つあるから、一つだけハンナさん用にして別部屋にしなきゃね」
荷物を新しい部屋に移動させた後、カズミが二つある寝室の片方へと向かう。
「一つだけ隣の寝室に運んで引っ付けちまおう」
「三つ並べたら、あたし達六人寝られるよね!」
「いや、狭いと思うよ?」
俺の突っ込みも無視して、ベッドを運ぶリズとマルティナ。……まぁ、ゆっくり寝たい時はリビングにする方の寝室で寝りゃいいか。
とにかく、流血沙汰にならなくて良かったよ。ハンナさんナイス提案でした。
◆
「ドロシーの冒険者登録を忘れてたなんてね……」
「わたしは、一応王都で登録はしてましたから……移籍の手続きですかね」
部屋を引越し後、ハンナさんが夕食の準備している間にギルドへと向かう俺とカズミとレナとドロシーの四人。リズとマルティナはハンナさんの手伝いをするそうだ。
「ついでにコレを換金しとかなきゃね」
ベルトのポーチから大きな魔瘴気の塊を取り出す。
「ほんと大きいわね……淫魔のよりひと回りは大きいんじゃない?」
カズミがしげしげと眺める。
「ヘルハウンドはレベルB相当のモンスターだからね」
レナさん。あなたが居なければ倒せませんでしたよええ。
◆
到着して、ギルドの扉を開けると。
「あ!ヒロくん達が来た!」
「今夜、探索報告に来るんじゃないかってミヨリに聞いてたんだよ」
「待ってて正解だったね」
アルダ、エルダ、メルダのドワーフ三姉妹がカウンターで手を振る。
「こんばんわ!……ってどうしたの?」
カズミとレナが三姉妹に駆け寄る。
「ふっふっふー」
三姉妹が揃って冒険者カードをかざす。
「おー!三人とも──ランクD!私と同じ!」
「どうよ!これでやっと連れて行ってもらえるよね?」
メルダがニッコリ笑う。
「次からはダンジョンだから、ちょっと心配なんだよな……みんなになんかあったら、トルドさんに合わせる顔が無くなっちゃうし……」
俺は正直に言った。何せダンジョンだ。今までの様な『屋外』での探索や戦いとはまるで違う。
「何言ってんの?アルダ達はドワーフだよ?洞窟のような閉鎖空間でこそ真価を発揮するんだよ?」
アルダが怒ったように俺を見据える。
「ヒロヤさん、ドワーフは頼りになります。ましてや鍛冶師としての腕が一級な方々ばかりですし、ダンジョンの探索がかなり捗ると思われますよ?」
隣でミヨリに移籍手続きをしてもらっているドロシーが微笑む。
「「「その通り!」」」
三姉妹が揃って胸を張る。
「……わかった。明後日出発するから、誰が来るか決めといてね」
押し切られた。俺のこういうところは、実は父さん似なのかもしれない。
「オッケー!」
アルダがガッツポーズをとる。
「じゃあ明後日の朝、ダンジョン行く前に迎えに行くよ。多分必要なものは……」
「大丈夫!冒険のノウハウはおじいちゃんから学んでるから!」
エルダがウインクする。
「じゃあ明後日に!」
そう言って、三姉妹はギルドから出て行った。
◆
「ドロシーさん、冒険者ランクCに上がっていますね。おめでとうございます!」
ミヨリが王都で見たあの水晶球で確認していた。
「あ、そうだ。ミヨリさんこれ」
俺はポーチから魔瘴気の塊を取り出してカウンターに置いた。
書き換えられた冒険者カードをドロシーに手渡しながら、カウンターに置かれた魔瘴気の塊を見て……固まるミヨリ。
「ヒロヤ……くん……?なにこのおっきな魔瘴気の塊は……?」
ミヨリ、声が震えてる。そっか、ここじゃこんな大きさのは見る機会ないだろしな。
「ヘルハウンドのだよ」
「へる……っ!ま、マスター!ちょっと!」
カウンターの奥へと駆け出した。
「ヘルハウンド……お前らなんてモンスター相手にしたんだよ……」
奥の部屋から出てきたギルマスが呆れ顔。
「多分、ダンジョン主が召喚したみたい。俺達が見つけたダンジョンの別入り口の警備かな?」
「召喚か……だよな。いくらダンジョンバースト起こしたからって、そんなモンスターが自然発生はしねぇわな」
腕を組むギルマス。
「金貨四枚……いや五枚だな」
「うそ!高位淫魔二体分より高いよ!」
カズミが驚きの声を上げる。
「討伐依頼がでてりゃ十枚は下らねえよ。こんなモンスターがうろついてりゃ、普通ギルドから金貨五枚以上の討伐依頼だすぞ」
「この魔瘴気の塊自体が金貨五枚の価値があるの?」
カズミが不思議そうに塊を眺める。
「魔瘴気の塊は魔術的に浄化する事によって、魔力の塊に出来るのよ。それを研究に使ったり、魔導具を動かす為に使ったりするの」
レナが説明してくれる。
「そうだ。それにこいつは後から『魔力の補充』が出来るから、繰り返して使える。これだけデカけりゃ、その容量もデカいからかなり重宝されるって事だ」
「……充電池みたいなもんね……」
カズミが小声で俺に囁く。
「うん。たしかに便利だね」
「……アダルト魔導具作るなら、小さい魔瘴気の塊を手に入れる必要あるわ……」
カズミさん、本気で考えてたんだアダルトグッズ。
「とにかくご苦労さん。ヒロヤ達のおかげで森自体の脅威は低くなって、ようやく若い連中が仕事できる。感謝してるよ」
そう言ってカウンターに金貨五枚が置かれた。
「はい!次は頑張ってダンジョン攻略しますね!」
カズミが金貨を受け取る。
「……あなた達、ほんと規格外ね」
ミヨリがボソリと呟く。
「でも良かったね。これでガルムもこっちに帰ってくるんでしょ?」
レナがニヤニヤと笑いながらミヨリを見る。
「べべべべつに何とも思ってないわよ?あーまたアイツに絡まれる毎日が始まっちゃうんだ。いやだなー」
赤い顔でソッポ向くミヨリ。うん。バレバレですよ。
「はぁ……ツンが尊いわ……」
ほら、レナに好物与えるだけだし。
「さて、宿に戻りましょうか。ハンナさんの料理が楽しみです」
ドロシーがパンッと手を叩く。
「だね!じゃあギルマスもミヨリもまたね!」
「あぁ。明日一日ゆっくり休んで、明後日からのダンジョン攻略頑張れよ!」
ギルマスが手を振り、ミヨリがお辞儀する。
俺達はハンナさんの夕食を楽しみにしながら、ギルドを後にした
「でも、急に言っても納得しないでしょあの子も」
……実に頭が痛い。ヒロヤにはダンジョン制覇を命じてはいたが、コウイチにはそろそろ手を引いてもらいたいところなのだ。
メグミも『コウイチがダンジョン周辺を探索する』事に関して、如何に危険な事かは重々承知している。
「ヴァンがこっちに来るのも、その事絡みなんだよな……あいつもそれを危惧している」
「ヴァンが来たら、帰る時に王都まで送る任務でも与えます?」
メグミがポンと手を打つ。
「なるほど。……徐々にそういった『警護任務』へと移行させていくか」
「まぁ、それで納得しなきゃ……しばらくはわたしが同行しても良いし」
口では『仕方なく』な感じで言ってはいるが、目はキラキラしている。相変わらず嘘がつけない女だ。
「母親が同行する冒険者なんて、コウイチは嫌がるだろうな……」
「あら?ヒロヤのパーティーなんて綺麗どころの女の子ばっかりよ?」
「……それは全然違うだろ……」
「──どう思う?」
こうやって全く主語のない問い掛けをするのがメグミ。
「何がだ?」
「ヒロヤよ。……みんな手だしちゃってるのかな?」
「まさか。カズミくんにベタ惚れだぞアイツは」
まぁ、ドロシーくんは『ヒロヤさんに身も心も捧げます』的な事を以前言ってたが。
「……分かってないわね……ヒロヤにその気はなくても、あの娘達はヒロヤにメロメロよ?だーれに似たんだろうねーモテモテなのは」
……さて、色々と仕事を片付けないとな……
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「さて、今日中にお引っ越しよ!」
宿の部屋の昼下がり、カズミが仁王立ちしてビシッと指を差す。
「……家が完成した訳じゃないから『この宿の中で別部屋に』だけどね」
だから、そんな張り切る必要ないと思うんだけど。
「引っ越し自体は問題ないのよ。大問題は……部屋割りよ!」
「「「「あ!」」」」
カズミの言葉に、ハンナさんを除く他の女性陣が声を上げる。
「新しく借りた部屋は四人部屋を隣同士で二つ。私達はハンナさんも含めて七人。四人と三人に分かれるのよ」
「さて……勝負だな……」
「……どうやって決めるのですか?」
「れな……負けないよ……」
「あたし、どんな手段を使ってでも負けないから……」
部屋が殺気に満ちてるんだけど……。
◆
「まずはハンナさんも含めて三人ずつに分かれる。その後……ヒロヤをどっちの組が取るか……勝負ね」
「え?俺を巡っての勝負なの?」
「「「「「他に何が?」」」」」
美人五姉妹が一斉に俺を睨みつける。
「弓だ!弓で勝負だ!」
「わたしもそれがいいと思います!」
リズとドロシーが立ち上がる。
「魔術よ!魔術勝負にしましょう!」
「れなも魔術がいい!」
カズミとレナが腕を組んで立ち上がる。
「ヒロヤ兄ちゃんへの想いの強さ勝負!」
マルティナも負けじと声を張り上げる。
「「「「そ……それは……」」」」
リズとドロシー、カズミとレナが顔を赤らめて席につく。
「……マルティナ、それはちょっと恥ずかしいよ……」
カズミがボソリと呟いた。途端にみんな以上に真っ赤になって立ち尽くすマルティナ。
「と、取り敢えず物騒な勝負はやめてさ……ね?そうだ!まずは組分けからすれば!」
こんな時、俺ってほんと無力だわ。宥めるしかできねぇ。
「そうね……まずは組分けね……」
照れていたカズミの表情が、一瞬にして厳しくなる。
「あのぉ……」
一触即発の状況で、おずおずとハンナさんが手を挙げた。
「片方のお部屋をリビングとキッチンとして使って、片方のお部屋を寝室として使えばいいんじゃないでしょう……か……?」
「「「「「「それだ!」」」」」」
俺も含めて、五姉妹がハンナさんをビシッ!と指差した。
◆
「じゃあ、ベッドだけ移動しようか?部屋に四つあるから、一つだけハンナさん用にして別部屋にしなきゃね」
荷物を新しい部屋に移動させた後、カズミが二つある寝室の片方へと向かう。
「一つだけ隣の寝室に運んで引っ付けちまおう」
「三つ並べたら、あたし達六人寝られるよね!」
「いや、狭いと思うよ?」
俺の突っ込みも無視して、ベッドを運ぶリズとマルティナ。……まぁ、ゆっくり寝たい時はリビングにする方の寝室で寝りゃいいか。
とにかく、流血沙汰にならなくて良かったよ。ハンナさんナイス提案でした。
◆
「ドロシーの冒険者登録を忘れてたなんてね……」
「わたしは、一応王都で登録はしてましたから……移籍の手続きですかね」
部屋を引越し後、ハンナさんが夕食の準備している間にギルドへと向かう俺とカズミとレナとドロシーの四人。リズとマルティナはハンナさんの手伝いをするそうだ。
「ついでにコレを換金しとかなきゃね」
ベルトのポーチから大きな魔瘴気の塊を取り出す。
「ほんと大きいわね……淫魔のよりひと回りは大きいんじゃない?」
カズミがしげしげと眺める。
「ヘルハウンドはレベルB相当のモンスターだからね」
レナさん。あなたが居なければ倒せませんでしたよええ。
◆
到着して、ギルドの扉を開けると。
「あ!ヒロくん達が来た!」
「今夜、探索報告に来るんじゃないかってミヨリに聞いてたんだよ」
「待ってて正解だったね」
アルダ、エルダ、メルダのドワーフ三姉妹がカウンターで手を振る。
「こんばんわ!……ってどうしたの?」
カズミとレナが三姉妹に駆け寄る。
「ふっふっふー」
三姉妹が揃って冒険者カードをかざす。
「おー!三人とも──ランクD!私と同じ!」
「どうよ!これでやっと連れて行ってもらえるよね?」
メルダがニッコリ笑う。
「次からはダンジョンだから、ちょっと心配なんだよな……みんなになんかあったら、トルドさんに合わせる顔が無くなっちゃうし……」
俺は正直に言った。何せダンジョンだ。今までの様な『屋外』での探索や戦いとはまるで違う。
「何言ってんの?アルダ達はドワーフだよ?洞窟のような閉鎖空間でこそ真価を発揮するんだよ?」
アルダが怒ったように俺を見据える。
「ヒロヤさん、ドワーフは頼りになります。ましてや鍛冶師としての腕が一級な方々ばかりですし、ダンジョンの探索がかなり捗ると思われますよ?」
隣でミヨリに移籍手続きをしてもらっているドロシーが微笑む。
「「「その通り!」」」
三姉妹が揃って胸を張る。
「……わかった。明後日出発するから、誰が来るか決めといてね」
押し切られた。俺のこういうところは、実は父さん似なのかもしれない。
「オッケー!」
アルダがガッツポーズをとる。
「じゃあ明後日の朝、ダンジョン行く前に迎えに行くよ。多分必要なものは……」
「大丈夫!冒険のノウハウはおじいちゃんから学んでるから!」
エルダがウインクする。
「じゃあ明後日に!」
そう言って、三姉妹はギルドから出て行った。
◆
「ドロシーさん、冒険者ランクCに上がっていますね。おめでとうございます!」
ミヨリが王都で見たあの水晶球で確認していた。
「あ、そうだ。ミヨリさんこれ」
俺はポーチから魔瘴気の塊を取り出してカウンターに置いた。
書き換えられた冒険者カードをドロシーに手渡しながら、カウンターに置かれた魔瘴気の塊を見て……固まるミヨリ。
「ヒロヤ……くん……?なにこのおっきな魔瘴気の塊は……?」
ミヨリ、声が震えてる。そっか、ここじゃこんな大きさのは見る機会ないだろしな。
「ヘルハウンドのだよ」
「へる……っ!ま、マスター!ちょっと!」
カウンターの奥へと駆け出した。
「ヘルハウンド……お前らなんてモンスター相手にしたんだよ……」
奥の部屋から出てきたギルマスが呆れ顔。
「多分、ダンジョン主が召喚したみたい。俺達が見つけたダンジョンの別入り口の警備かな?」
「召喚か……だよな。いくらダンジョンバースト起こしたからって、そんなモンスターが自然発生はしねぇわな」
腕を組むギルマス。
「金貨四枚……いや五枚だな」
「うそ!高位淫魔二体分より高いよ!」
カズミが驚きの声を上げる。
「討伐依頼がでてりゃ十枚は下らねえよ。こんなモンスターがうろついてりゃ、普通ギルドから金貨五枚以上の討伐依頼だすぞ」
「この魔瘴気の塊自体が金貨五枚の価値があるの?」
カズミが不思議そうに塊を眺める。
「魔瘴気の塊は魔術的に浄化する事によって、魔力の塊に出来るのよ。それを研究に使ったり、魔導具を動かす為に使ったりするの」
レナが説明してくれる。
「そうだ。それにこいつは後から『魔力の補充』が出来るから、繰り返して使える。これだけデカけりゃ、その容量もデカいからかなり重宝されるって事だ」
「……充電池みたいなもんね……」
カズミが小声で俺に囁く。
「うん。たしかに便利だね」
「……アダルト魔導具作るなら、小さい魔瘴気の塊を手に入れる必要あるわ……」
カズミさん、本気で考えてたんだアダルトグッズ。
「とにかくご苦労さん。ヒロヤ達のおかげで森自体の脅威は低くなって、ようやく若い連中が仕事できる。感謝してるよ」
そう言ってカウンターに金貨五枚が置かれた。
「はい!次は頑張ってダンジョン攻略しますね!」
カズミが金貨を受け取る。
「……あなた達、ほんと規格外ね」
ミヨリがボソリと呟く。
「でも良かったね。これでガルムもこっちに帰ってくるんでしょ?」
レナがニヤニヤと笑いながらミヨリを見る。
「べべべべつに何とも思ってないわよ?あーまたアイツに絡まれる毎日が始まっちゃうんだ。いやだなー」
赤い顔でソッポ向くミヨリ。うん。バレバレですよ。
「はぁ……ツンが尊いわ……」
ほら、レナに好物与えるだけだし。
「さて、宿に戻りましょうか。ハンナさんの料理が楽しみです」
ドロシーがパンッと手を叩く。
「だね!じゃあギルマスもミヨリもまたね!」
「あぁ。明日一日ゆっくり休んで、明後日からのダンジョン攻略頑張れよ!」
ギルマスが手を振り、ミヨリがお辞儀する。
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