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78話「ガールズトーク?」(視点・カズミ)

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「さて、ヒロヤも居なくなった事だし……」

 私がお茶を淹れ、みんなにククサ風カップを手渡すと、リズがニヤリと笑った。

「色々と聞きたい事があるんだよカズミ」
「何?転生の件もちゃんと話したし……隠してる事なんて無いよ?」
「ヒロヤの事でな」
「わたしもヒロヤさんの事、色々聞きたいです」

 ニヒヒと笑うリズに、みんなのとお揃いで買い足したククサでお茶を飲むドロシーも混ざる。

「れなが知ってる事なら教えるけど」

 私達の居る『木の足場』周辺に、魔術で防護壁を作り終えたレナもトークに参加する。周囲が快適な暖かさになったのもレナの魔術か。

「いや、レナに聞く事じゃ無いんだよな──主に『えっち』についての事だから」

 リズの答えに頬を真っ赤に染めるレナ。

「ほ、ほら、マルティナはロアナの事が心配だろうし、そんな話してる時じゃ……」
「あたしは何も心配してないよ?ロアナはヒロヤ兄ちゃんが絶対助けてくれるもん」

 はぐらかそうとする私にあっさりそう言い放つマルティナ。……ほんとこの娘はどこまでヒロヤ信者なんだろうか。

「はぁ……で、何が聞きたいの?」
「……アタイもさ……ヒロヤに抱いてもらったんだけどね……」
「うん。みんな知ってるよ。抜け駆け長女(仮)さん」
「そう言うなよ……アタイも切羽詰ってたんだ」
「そんな事言ったら、ドロシーはもっと切羽詰ってるよ?早く想い人に抱かれないと、どんなおかしな男に性奴隷にされちゃうかわからないんだから。マルティナもずっと待ってるし、レナも……」
「あ、あたしはヒロヤ兄ちゃんの傍に居られるだけで……」
「れれれれれなは別にヒロヤくんにだ……抱かれたいとかおおお思ってないし」

 よし。取り敢えず『場の主導権イニシアティブ』は獲った。

「はいはいそういう事で。続けてリズ」
「こっちがからかうつもりだったのに、なんか調子狂うな。やっぱカズミは前世も含めた人生経験が……まぁいいや。で、その抱かれた時にさ……」

 魅力的なブロンドのミディアムボブを掻き上げながらリズが続ける。

「射精……しなかったんだよヒロヤ。確かに精通はまだだって言ってたけど、カズミの時は……その……膣内なか出ししたんだよな?」

 リズの開けっぴろげな質問に、全員赤面して場が凍りつく。

「ち、ちょっと恥ずかしいとは思うけどさ。その……なんでかなぁって……カズミとアタイのセックスが何か違ったのかなぁって」

 小麦色の肌をこれ以上ないくらいに真っ赤に染めて頬を掻くリズ。可愛い。

「あ、ヒロヤには聞いたんだよ?どうして射精しなかったんだ?って……そしたらカズミとのセックスの時は『尾武浩哉』が出ちゃった。って」
「そうなの。ちょうど初めて『あの力』使った夜だったから。私と前世の『三浦和美』がシテる最中にダブっちゃったみたい。それで射精できたみたいなの。……リズ、して欲しいの?」
「ちょ!な、なんていうか……アタイの身体の中に『ヒロヤの女って証』が欲しかったっていうか……多分、アタイの子宮オンナが納得しなかったんだと思う……」

 照れ臭そうに下腹部を撫でるリズ。

「でもさ……大変だよ?『尾武浩哉』が出ちゃうと」
「大変って?」
「アレが……多分一回りは大きくなった……私の膣内で」
「一回りっ!?……大きくなるってのも聞いてたけどさ……ヒロヤのアレって、歳の割には規格外に大きいと思うぞ?初めてとはいえ……大人のアタイが満足できたんだから……」

 私とリズの会話が『ヒロヤのアレ』に及んだ事で、場の他の女の子たちが生唾を飲み込む音をたてる。

「もっと大きくなったのよ。びっくりしたし、私も初めて挿入されてるのに、その最中に大きくなったもんだから……裂けちゃうかと思うほど痛かったもん……」
「裂け──」
「だから、何度か抱かれてあそこが馴染んでからのほうが良いと思うよ?」
「そうか……わかった。とにかく射精するもしないもヒロヤ次第って事か……恥ずかしい話なのに……その、悪かったな……」

 リズが真っ赤な顔のまま私に頭を下げる。いつも冒険の指揮を執る姿が凛々しいだけに、こんなリズが凄く可愛い。



「そもそも──」

 私の呟きにみんなが注目する。

「今の身体に収まりきらないぐらいに大きくなる『尾武浩哉の魂』ってなんなんだろうね。私にはそんな事起こらないし、転生して今の身体を司る魂なんでしょ?それが大きくなって溢れるなんて事があるの?」

 私はずっと考えてた疑問をレナにぶつけてみる。

「……それについては、れなも色々考えてみた。で、ヒロヤくんの前世を『あらゆる手段』を使って調べ尽くしてみたのよ」

 レナの言う『あらゆる手段』ってのは多分女神様としての力。

「尾武浩哉。享年23歳。日本の中世期から続く名門武家の生まれ。その為、幼い頃から様々な習い事や英才教育を受ける。特筆すべきは、その『学習能力』で、教えこまれた知識や技術は完璧にマスターできる」

 レナの説明にみんな聴き入っている。ヒロヤの前世に興味津々なんだろう。

「あ、それわかる。アイツはほんとなんでもこなすんだよ」

 リズが納得したように頷く。

「多分、その『家督を継ぐための教育』のせいでかなり鬱積したものはあったんだろうね。それで尾武家に代々伝わる剣術『古式居合道・尾武夢想流』に没頭したのかも」
「ヒロヤさんの剣術ですね。前世からあれだけの使い手だったのですか」

 ドロシーの質問にレナが頷く。

「彼が前世生きた時代は平和そのものだったけど、時代が時代なら、『剣豪』『剣聖』と呼ばれて、歴史に名を残す程にね」

 ドロシー、リズ、マルティナが深く頷いた。



「ここからはれなの憶測なんだけど──」

 レナが少し難しい顔をする。

「跡継ぎとして、完璧を求められた『尾武浩哉』の鬱積した負の感情が、魂の一角を占めてるんじゃないか?って。普段は隠れてる一部分が、何かの拍子に表に出てくるの」
「それは『二重人格』みたいなものなの?」

 私は、ふと思いついた事を聞いてみる。

「うーん。厳密には違うと思うんだ。だって『尾武浩哉』の魂が溢れてもヒロヤくんの意識自体が無くなる訳じゃないし。その負の感情の部分は普段は隠れてるから、あの身体に最適化されてないんじゃないかな」
「なるほど。だから表に出てきた時は身体から溢れてしまう……って訳か」

 リズが納得した表情で呟く。

「そう。そして身体に最適化されてないから、元の『尾武浩哉』の身体のつもりで力を行使しちゃうんだよ」
「……それであの強さが発揮できるのね。その後の身体へのダメージもそれで説明つくわ」

 色々と腑に落ちるレナの憶測だ。

「言葉遣いも少し荒っぽくはなってるかも。あのヒロヤ兄ちゃんが『殺す』って平気で言っちゃってるもんね」

 マルティナも納得顔で頷く。

「怒りの感情がきっかけで発現してるみたいだしな」
「……ここぞってところで使う分には頼れる力だけど……ヒロヤさん自身が発現をコントロール出来るようになれれば」

 リズとドロシーもレナの憶測に概ね正解の判断みたいだ。

「……そんな荒っぽいヒロヤに……その……めちゃくちゃに抱かれたいな……」

 リズがポツリと漏らした言葉に、みんな何を妄想したのか、真っ赤な顔をして俯いた。もちろん私も。



「射精と言えば……」
「え?そこまで戻るの?」

 話し出したドロシーに思わず突っ込んじゃった私。

「わたしの……その……淫紋の事なんですけど……」

 少し恥ずかしそうに話し出すドロシー。

「わたしがひ、ヒロヤさんに抱かれたとして……射精を伴わなかったら……淫紋は完成しないんでしょうか?」
「「「「あー」」」」

 四人でハモる。

「れなの知る限りでは……多分完成しないわね」
「やっぱりそうですか……」
膣内なかに精液を放出される事によって、淫紋は完成するはずよ。確か、目立たない箇所に淫紋を刻む者も居て、舌とかだと……あの……ふ……フェラチオとかでの口内射精で淫紋を完成させるから」

 超絶美少女が真っ赤な顔でえっちな単語を発するのは、女の私が聞いても少し興奮する。

「……という事は、ドロシーは初体験でヒロヤの一回り大きいアレを経験しなきゃなんだな……」

 リズが慰めるようにポンポンとドロシーの肩を叩く。

「覚悟は……出来てます……」
「ヒロヤ兄ちゃんのアレ……」

 マルティナの蕩ける顔、えっちすぎるよ。



「ヒロヤ起こす時間までまだあるよな」
「どうしたの?」

 なんか嬉しそうなリズ。

「カズミにまだ聞きたい事があるんだ……前世でのヒロヤとの馴れ初めとか、どんな感じで好きになったとか……前世のヒロヤの事とか……色々とな」
「あ、れなもそれ聞きたい」
「あたしも興味ある!」
「わたしもです」

 おっと!これは恋話の流れね。

「……うん。恥ずかしいけど話しちゃうか」

 みんなの食い付きが凄い。前のめりで話を聞き出した。

「私とヒロヤが初めて会ったのはね……」

 少し懐かしくもある私の大切な思い出話を、大好きなみんなに聞かせてあげよう。
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