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37話「リズの戦い」★(視点・リズ→ヒロヤ)

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「そろそろ寝たいのに、まだ帰ってこないのかな……」
「ホント……ヒロヤくん遅いわね……マルティナ見つからないのかな」

 カズミとレナが馬車の外を眺める。確かに、もう半刻にはなる。

「アタイがちょっと見てくるから、アンタたちはここで待ってて」

 アタイは『複合弓コンポジットボウ』と矢筒を手に、ボックスシートの扉を開けた。ふわりと甘い花の香りが部屋の中に入ってくる。

「?」

 商人達の姿が無い。もう帰ってきて寝ているかと思ったのだが。
 取り敢えず馬車を降り、貨物用馬車へと向かう。そちらに御者達が居るはずだから。



「居ない……?」

 貨物馬車に設けられた仮眠場所はもぬけの殻だ。寝る支度をした形跡も見られない。
 次は、先程食事をした場所へと向かう。
 もちろん既に火は消されており、そこにも人の気配は無い。

(森へ行ってみるか……)

 おそらくはマルティナが用を足しに行ったであろう場所へ向かうことにする。



「リズ!」

 暗闇の向こうから声がした。

「ヒロヤ!マルティナも!」

 暗闇から姿を現したのはヒロヤとマルティナ。二人並んでこちらに歩いてくる。

(ん?)

 その姿に、何か違和感を感じる。

(マルティナとヒロヤが『並んで歩く』?)

「そこで止まれ!」

 矢をつがえて二人を制止する。

「ヒロヤ……あんた腰の『ショートソード』はどうしたの?」

 アタイの質問に、ヒロヤは腰に手を当てて、あっ!といった表情をする。

「あ、あるよここに。手に持ってるんだよ。腰に差すと走りづらかったから」

 そう言った後ろから『ショートソード』を差し出した。

「ふーん。そうだったんだ……さぁ、早く馬車に帰ろうか。みんな心配してたよ」

 アタイは弓を降ろし、ヒロヤとマルティナに駆け寄る。
 そして、素早い動きでヒロヤの手を取って背中側に捻り上げる。と同時に短剣を喉元に突きつけた。

「アンタ……何者だい……」
「リズ……なにすんの。ヒロヤだよ」
「バカなの?ヒロヤの得物は『刀』なんだよ」

「……さかしいですね……」

 急になよっとした話し方になるヒロヤ。声も低くなる。

「マルティナ!アンタも何者だい?『ヒロヤに引っ付いていない』アンタも違和感だらけだよ」
「……ばれたんなら仕方ないね……」

 マルティナが姿を変える。手足が伸び、その姿が黒く異形へと変貌してゆく。
 アタイはヒロヤに化けたものの首を短剣で切り裂き、そこから飛び退いて異形のものに矢を射かけた。

──キンッ!

 二本同時に発射した矢を、その長い鉤爪で弾き飛ばす異形のもの。

「……妖魔……」

 これは厄介な相手だ。そもそも通常武器では傷すらつける事ができない。再生能力持ちだ。

「まさか……コイツも……」

 首を掻き切った筈のヒロヤも、やがてフラリと立ち上がり、その姿を異形のものへと変貌させた。

「この女は『アイツ』の獲物だったけど……もう僕らでいただいちゃおうよ」

 マルティナだったものが下卑た笑いを浮かべる。

「そうしよう……わたしもこの女の身体に組み付かれてから、ムラムラが抑えられないよ……そろそろアレも効いてくる頃だしね」

 二本の矢をつがえて弓を構えていたアタイは、下半身に急な熱さを覚えてその場にへたり込む。

(なにこれ……アソコが急に疼いて……)

「お、効いてきたみたいだね」
「な……何をした……」
「あんた達は、とっくに淫欲に溺れる罠に掛かってたんですよ。そろそろ馬車に残った幼女二人も……」

(催淫術……いや、馬車にいる時にガスでも吸わされたか……)

 あの馬車の甘い花の香り……

「貴様ら……淫魔インキュバスだな……」

 秘部がしっとりと濡れだすのを感じながら、必死に自我を保とうとした。

「ご名答。安心しろ……直ぐに良くなる……」

 長い手を伸ばし、片方の淫魔がアタイの両足首を掴んで引き倒し、ゆっくりと脚を開かされていく。

(いやだ……こんな妖魔に……)

 なんとか反撃の手段を考えようとするも、熱く疼く下半身が思考力を奪っていく。
 淫魔がゆっくりと腰の防具を外す。
 もう一人の淫魔がアタイの頭側に回り込み、顔を抑え込まれる。

(アタイが使える魔術……これしかない……)

「もう少し肉欲に落としてあげるよ。そら、唇を差し出して」

 淫魔が顔を近づけてきて、長い舌がアタイの顔に迫る。

(今だ!)
魔力付与エンチャント

 アタイは手にした矢を淫魔の目に突き立ててやった。思いっきり。脳に到達する程に。

「グルルルルルルルァァァァァァァ!」
「どう……だい……?魔力味の……矢を……脳で直接……味わう……感覚……は」

 短い間隔で下半身の奥から襲い掛かる快感に耐える。
 アタイの顔に、炭化したかの様な淫魔の崩れた頭部が落ちてきた。

(一体は……やったか……)

「貴様、淫欲に耐えながら我らの仲間を滅すとはな……気に入ったよ……すぐ挿れてあげる……」

 下着を剥がれ、鉤爪が濡れそぼった秘芽クリトリスを軽く突く。

「ヒィッ!」

 全身を貫くような快感が脳まで達する。

(ダメだ……イキたく……イカされたくない……)

「ほら……一気に奥までいくぞ」

 濡れた花弁に何かが当たる。

「いやだ!イヤッ!」

 グッと押し込まれるような力が腰にかかるかと思われた瞬間、アタイを組み敷いていた淫魔の姿が縦に真っ二つに裂ける。……その向こうに大脇差を鞘に収めるヒロヤの姿が。

「リズ!大丈夫──ってご!ごめん!」

 アタイの淫らな姿のせいか、慌てて背中を向ける少年。

「……ヒロヤ……マ……マルティナは……」
「マルティナは急いで馬車に向かったよ。レナとカズミが心配だって」

 背中を向けたまま、ヒロヤは答える。

「そう……か……すまんがヒロヤ……頼みを聞いてくれないか」
「わかった。なに?」

 アタイは半身を起こして、ヒロヤを見つめた。おそらく酷い顔をしている事だろう。

「身体が熱い……治まらん……」

 そういってヒロヤの手を取って、淫魔に散らされる寸前だった秘裂へと導いた。

「スマン……ヒロヤ……暫く手を……貸してくれ……」

 絶頂(イ)かないと治まらない。アタイはヒロヤの手に腰を擦りつけた。

「ぁ……いい……ヒロヤ、ゴメン……ほんとにゴメン……」
「リズ……わかったよ……助けるからね」

 ヒロヤの指が秘芽クリトリスを撫で上げた。
「ッんいいぃぃぃぃぃぃ!」

 少年の優しい愛撫を受けて、アタイは徐々に登りつめていく……



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 淫魔を斬った時、まさにリズは『挿入れられる寸前』だったようだ。
 目の前のリズは下半身が露わにされ、熱い吐息をもらし、もの凄く扇情的な姿と表情で横たわっている。

「治まらない」

 リズの願いに、俺は覚悟を決めた。

 俺の小さな手で、リズの濡れそぼった秘裂を撫で続ける。

「ヒロヤ……ゴメン……くる……何か……くる……よぉ!」

 リズが俺の頭を抱え、唇を重ねてくる。

(キ、キスはマズいよリズ!)

 即舌が侵入する激しいキスに。

ほへんよごめんよ……ほんほにほんとに……ほへんごめん…………ひふいく……ひふいく……いっ……いっ……いっちゃ……う……いっ……イッ……イックぅぅぅぅぅぅ!」

 達する瞬間に唇を離し、リズの身体は弧を描く様に仰け反った。



「ほんとにスマン……淫魔の『催淫術』に囚われて……どうにも……抑えられなかった……」

 赤い顔をし、肩で息をするリズ。

「いや……そういう事情なら仕方……ないよ……」

 なんとか何事も無かったように装わなきゃ。リズもバツが悪いだろうし。

「その……ヒロヤ……」
「なに?」
「アレス……には……内緒……で」
「もちろんだよ。俺も他の娘に……特にカズミに知られるとヤバい」
「……そうだな……秘密だな」

 リズが笑顔で返した。



 ショーツを履き、腰の防具をつけ直したリズと馬車へと急ぐ。

「ヒロヤ兄ちゃん!馬車は立入禁止です!」

 マルティナが俺達の前に立ちはだかる。

「なんで?」
「……淫魔の魔術のせいで……その……二人は取り込み中……なの……」

 え?百合プレイですか!

「……もうじき落ち着くと……思う……」
「二人で……その……してるの?」
「違う!自慰オナニー中なの!」

 マルティナは真っ赤になった顔を両手で覆い、その場にへたり込んだ。
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