【SS】ファンタジー編

秋霧ゆう

文字の大きさ
上 下
5 / 7

⑤アルバイト

しおりを挟む
※俺語り。苦手な人は苦手です。



 20XX年4月、俺はニートになっていた。
 3月に会社を辞めた。転職活動は上手くいってなかった。バイト先も見つからなかった。

 ある日、とあるサイトを見た。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 サバイバルゲーム好きな人集まれ!
 アルバイト募集!!

 時給:1万円~
 
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 こう記されていた。

 誰がどう見ても怪しいサイト。
 だが、妙に惹かれた俺は応募した。

 アルバイトの面接日。
 簡単な面接をした。そして最後に契約書を渡された。

「何が起きても自己負担でお願いします」
「1度参加したら当分の間抜けられません」

 こう記されていた。
 俺は日付と名前を書き、バイト先が決定した。

 …が、俺は後悔することとなる。

 俺は勝手に“ゲーム”だと思っていた。

 バイト1日目。

「おはようございます」

 扉を開けると既に張りついた空気が流れていた。周りの人々は完全装備。
 面接を担当してくれた人が俺に装備・武器について教えてくれる。
 メンバーはガタイの良い人が多かった。
 とりあえず、近くの人に声をかけた。

「よろしくお願いします」
「チッ」

 舌打ちをして居なくなってしまった。
 
(俺、気に触ることしたか?)

 担当者に再び声をかけられた。

「あの人、昨日お友達を亡くしたんですよ」
「…そうなんですか」

 タイミング悪く声をかけてしまった。そう思った。

「それじゃあ、皆さん、行きますよ。屋上のヘリに乗ってください」

 ヘリ?

 ぞろぞろとヘリの中へ乗り込んで行く。

「それでは皆さん、ご武運を」

(あの担当者は行かないのか)

 ヘリに乗り込んでから一層空気が張り付いた。居心地は最悪だった。
 窓は黒い布か何かで外は見えないようになっていた。

(バイト選び、失敗したかな)

 そして、着陸した。
 順番に人が降りていく。

 そこは爆薬の臭いで充満していた。

「なん、だ…これ」

 だった。

 目の前に流れ弾が飛んできた。
 だが、初めての戦場に動けるはずなどなかった。すると、

「屈め」

 先程の昨日、友人を亡くしたと言われる人が俺の頭を地面に叩きつけた。

「さっさと屈んで陣地へ行け」
「は、はい」

 陣地に入るとすぐ目に入ったのは血塗れになった片腕の人。ほとんどの人が人体の一部を損傷していた。
 
「初めてか?」

 受け答えが出来ず、頷いた。

「さっきも言った通りここは戦場だ。簡単には帰れねぇ。腕や足が無くなろうと死にそうになろうとも帰れない。帰れるの死ぬ時だけだ」
「でも、あなたは…」
「俺は一度戦闘不能勧告を受け日常へ帰った。だが、少しでも治ったらまた戦場だ」
「そん…な」
「ついでに言うと、今一緒に来たメンバー、ほとんどがここに来るのは二度目のやつだ」

ドォン。

「チッ。誰か地雷を踏みやがった。いいか。ここはゲームじゃねぇ。本物の戦場だ。分かったら早く支度しろ」

(なんだよ。なんなんだよ、これ。こんなことが許されていいのかよ)

 そして、俺は絶望的な日常へと足を踏み入れた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

我慢できないっ

滴石雫
大衆娯楽
我慢できないショートなお話

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

【R18】幼馴染の男3人にノリで乳首当てゲームされて思わず感じてしまい、次々と告白されて予想外の展開に…【短縮版】

うすい
恋愛
【ストーリー】 幼馴染の男3人と久しぶりに飲みに集まったななか。自分だけ異性であることを意識しないくらい仲がよく、久しぶりに4人で集まれたことを嬉しく思っていた。 そんな中、幼馴染のうちの1人が乳首当てゲームにハマっていると言い出し、ななか以外の3人が実際にゲームをして盛り上がる。 3人のやり取りを微笑ましく眺めるななかだったが、自分も参加させられ、思わず感じてしまい―――。 さらにその後、幼馴染たちから次々と衝撃の事実を伝えられ、事態は思わぬ方向に発展していく。 【登場人物】 ・ななか 広告マーケターとして働く新社会人。純粋で素直だが流されやすい。大学時代に一度だけ彼氏がいたが、身体の相性が微妙で別れた。 ・かつや 不動産の営業マンとして働く新社会人。社交的な性格で男女問わず友達が多い。ななかと同じ大学出身。 ・よしひこ 飲食店経営者。クールで口数が少ない。頭も顔も要領もいいため学生時代はモテた。短期留学経験者。 ・しんじ 工場勤務の社会人。控えめな性格だがしっかり者。みんなよりも社会人歴が長い。最近同棲中の彼女と別れた。 【注意】 ※一度全作品を削除されてしまったため、本番シーンはカットしての投稿となります。 そのため読みにくい点や把握しにくい点が多いかと思いますがご了承ください。 フルバージョンはpixivやFantiaで配信させていただいております。 ※男数人で女を取り合うなど、くっさい乙女ゲーム感満載です。 ※フィクションとしてお楽しみいただきますようお願い申し上げます。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

処理中です...