異世界に召喚されたので元日本人集めて冒険する

私は今怒っているのだ

パラパラとページをめくり分かったこと。


① 岩肌波を打つ音がする。
飛沫が窓に映るさまはなんとも美しい
=崖の上に家がある

②王国の兵士が尋ねてきた。片道5時間も掛けて無駄足を恐れ入る
=兵士の駐屯地。王城から5時間の距離
 
③森の木々が…以下略(多数あり)
 =大きめのもりがある所

手記から分かるのはこのくらい


「……家の写真……レンガじゃないですね」
     
「本当……何？コンクリ？」

「この世界にコンクリは無いから…」

「みて！なんか家なら草や花はえてるよ！」

「…土の家？？」

「……ルカさんのお母さんも炎属性の持ち主なら、自信で土を重ね作ることも可能ですよね」

「…土ならどれでも燃やせばいいってもんじゃない…ってことは粘土質の地質の所か…」

「なんでぇ？運んできたら一緒じゃない？」

「この屋敷結構でかいでしょ？これだけの土を運ぶって大変だと思う…」

「だから近くという訳だね」

馬が5時間走り続けるって…休み休み行ったとして…時速何キロになるんだ？


時速5kmの徒歩としたら25キロ？


わからん…

「馬の時速ですか？」

「ティナ知ってるの？」

「はい。生活してた限り、この世界も同じ馬の走らせ方をするも思います。いくつか種類はありますが…」


そう言って教えてくれたことをまとめる



常歩なみあし  時速6kmで２時間歩いて３０分休みを繰り返す。１日５０～６０ｋｍ

速歩はやあし  時速15km連続１時間。１日２回が限度。1日３０ｋｍ

駈歩かけあし  時速２０～３０ｋｍ２０～３０分。１日２回 限度。1日３０ｋｍ

襲歩しゅうほ  時速 ６０ｋｍ５分しか走れない

「おそらく現実的なのは常歩ですね」

「とすれば…25から30kmの範囲か…」

「どゆこと？」

きょとんとするサキにユオンは説明する。

「よし……分かったぞ」

さて。乗り込みますか

.
.
.

ここは…家が…確か…母親が迎えに来て…それで…

「ルカ様！ルカ様！大丈夫ですか」

優しい声が響く。懐かしい。

「……ライラか？」

メイドのライラ。
小さい時から母の代わりにうちの面倒を見てくれた。姉のような存在

段々意識がハッキリしてくる。

天井から伸びた鎖が両手を捉え、足枷まで付けられている

「……っ！ライラ！どうしたその怪我！」

ロープで縛られたライラの肩には血が滲んでいる

「少しヘマをしまして」

「くそっ。こんな鎖！」

「やめなさぁい」

不気味な笑みを浮かべて母が歩み寄る。いつの間に……

「奥様！どうか！どうか！ルカ様を解放してください！儀式の贄には私がなりますから！」

ライラは両膝を着き懇願するように母に迫る

儀式？贄？なんの話しだ

「黙りなさいっ！」

バシッと音がしてライラが跳ね除けられる

「ライラ！……てめぇ！！」

「ルカ。いつの間にそんな口を？」

「うるせぇ！お前なんか……」

「躾が……必要かしら？」

「ルカ様！ルカ様ぁぁ！」

.
.
.

「…ここか。」

「どーやって入んの？」

「……僕ら全員顔見られてるからな……」

ルカ様！ルカ様ぁぁぁ

甲高い女の人声がする。


「っ！突撃しよう！」

私の言葉に反応するようにユオンが扉を蹴り飛ばす

「ルカ！ル…」

家と言うより、部屋と言うより。儀式の祭壇のような場所。

中央に鎖で吊るされたルカ

虚ろな目でこちらを見ている

全身傷だらけで母親の手には鞭。

「ルカっ」

ユオンとサキがルカに駆け寄る


「どうしてここが…邪魔をするな！」

「娘になんでこんな酷いこと出来るんですか！」

「娘？あぁ。その器……」

器？

ルカのこと？

「ルカはね。私の実の子じゃないの。スラム街で拾ってきたのよ。炎属性の龍人族女子が欲しくてねぇ」

自慢げにペラペラ語るババアの舌を切り刻んでやりたい

「私の研究……見たんでしょ？大方…そこの純人族さんは予想ついてるんじゃない？」

だまれ。

「ルカに…器に……私の死んだ娘の記憶を転写して甦らす……」

「だまれ」

「……やっぱり……貴女頭良さそうだものね」

「口を開くなって言ってんだ……」



「ヒナタ…さん？」


「…何が器だ人格だ転写だ……ルカはどうなるんだ」

「私の娘として本当の娘として生まれ変わるのよ」


「ふざけるな……ルカは……あんたの道具でも器でもない！そんな人の命を冒涜した行為許される訳が無い」

「でもこの技術を欲しがる奴らはごまんといるわ」


だからどうした。私は今怒っているのだ