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ブレイブウィングス

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魔王軍幹部様を倒し、報酬ウッハウハな私に学園長マリア様が話しかけてくる。

マリア様はいわゆるすげぇつよいひとだ。170センチの高身長に。すらっとした手足。

龍人族であるルカのツノは黒い小さな二本。

それに対して、白い大きな一本のツノ。背中の大きな翼を持つ天馬族。

金髪とそこから覗くオッドアイ。

存在感が異様だ。


「やぁ新人ちゃん。すごいねぇ。」


そんな人がこんな気さくに話しかけてきたらそりゃびびる。

半泣きのティナ。固まるユオン。

一方気にせずパクパク料理に手をつけるサキ。

それをみて呆れてるルカ。

「君らに課題だよ。」

はい?



ぽかんとしてしまう。

「マリア様。こまってるっす。説明しなきゃ。」


付き人の犬人族。ミナトがフォローしてくれる。


マリアの説明によると、今回の討伐で私が上層部に知れたらしいもらったらしい。

その実力をはかり、正式に入学を許可するから、依頼を1つ受けろと言う話らしい。

なんかもうめちゃくちゃな世界である。
これだから異世界は。


なんて事をかんがえながらテレビを見る
そしてこの世界でもテレビが存在するという事を知った。雰囲気中世なのに技術は近代。もしかしたら携帯電話もあるのか?

中世の服を着て天気予報を言ってるおねぇさんをみてなんだか違和感が薄れてきてる自分が少し嫌だ。

「ふふっ。テレビは驚きますよね?」

テレビ前のソファーに腰掛けてる私の隣でなんだか楽しそうに笑う。

「しかし、さっすがマリア様。麒麟の名は伊達じゃないね。」

「麒麟?」

サキ「ヒナタには話してなかったけ。この国には王様から認められた魔道士や騎士に襲名される位…称号みたいなのがあるの。」

神羅五芒星(しんらごぼうせい)

麒麟 
青龍
白虎
朱雀
玄武

黄道十二聖騎士(トゥエルブナンバーズ)

処女宮バルゴ
獅子宮 レオ
双魚宮 ピスケス
双児宮 ジェミニ
宝瓶宮 アクエリアス
人馬宮 サジタリアス
金牛宮 タウロス
白羊宮 アリエス
天秤宮 ライブラ
磨羯宮 カプリコーン
巨蟹宮 キャンサー
天蠍宮 スコーピオン

「マリア様は麒麟様で。ミナトさんは獅子宮のレオ様です。」

「どっちかと言えば。芝犬っぽかったけど。」

「あのねぇ…見た目は関係ないの…」
ルカは少し呆れ気味だ

「ミナトさんのほかにもう一人。アシュさんていう女性がいるんだけどその人も白羊宮のアリエス様よ」

なんだこの学園。女性強すぎんだろ。ヒエラルキーどうした。てか野郎どもがんばれよ…

「それってどうやって決まるの?」


「神羅五芒星は前任者に認められた人。聖天12星は国からの指名だ。なんからの理由で前任者が戦えなくなったり。亡くなったりしたら決められる。」

ふぅん。なんて言ってユオンの説明を聞いて目の前のお菓子に手を伸ばす。なんでそんなすごい人が我々に…なんて思いながら依頼書に目を通す


「幻惑の森の奥の祠にお札を備える  

「…うまいぐあいに乗せられたな」

「ええ!?」

「この依頼の交付日が一年近く前だ。」

つまり未解決厄介事案を押し付けられたと。
 
「ご…ごめん…」

みんなに申し訳なくなり謝る。

「あ。…」

「ま、請け負ったもんしかたないじゃん?」

「ほんじゃいっちょ行くわよー。」

「はーい!がんばりましょう!」

と言うわけで森を探索中。道が細いし、足元も悪い。山に沿って作られた崖に近いような道をとことん歩く。
ユオンはいつにも増して無口になってしまった。

勝手にほいほい引き受けたのを怒っているのだろう。

ティナはビクビクしながら後ろをついてきている。元気よく返事をしていたが強がりだったのか…

偵察に行ったいたサキが帰ってくる。

「祠とかなかったからだいぶ奥なのかもね」

パタパタと体の砂を払いながら言う。

「遅かったじゃん…」

ボソッとルカが呟く

「む。別にあそんでたわけじゃないもん。」

「そんな事いってない!!」

「じゃぁどーゆーいみさぁ!」

「ルカさん!サキさん!け、喧嘩は…」

「け、喧嘩じゃない!」

「…その」

「もう!サキもルカも!」

「ヒナタはだまってて!」

「他人に当たらないでよ!」

「とにかくなんとかしなきゃ魔物呼び寄せちゃいます…」

「先に行くのはこの状況じゃむりだ。引き返そう」


「とにかくまずは落ち着きましょう…」

「もう!みんななんなのさぁ!」

ビクッとしてみんながこっちを見るのが分かる。

「好きかって言って…」

飛び出した言葉は止まらない。

「こんなバラバラならパーティの意味無いし。」

飛び出した言葉(ヤイバ)はおさめられない。

「勝手にすればいいじゃん!!」

思ってもないことを言ってしまう

「こんなパーティ…解散すればいいじゃん!」

そこで顔を上げた私の目に飛び込んできたのは。みんなの傷ついた顔。


ちがうと。ごめんと言わないと。



目の端にユオンが走ってくるのがわかる。

おこっているのか。目を閉じて痛みを覚悟する。

けど。抱きしめられる感覚と鮮血の匂いにハッと目を開ける。

衝突音と共に私と木の間でうめき声をあげているユオンが目に入る。右肩には鮮血。ユオンの睨む先には大きな蜘蛛のような魔物。爪は鋭く。三メートルはあるだろうか。

目の前でティナが防御魔法を張り。ルカとサキが突っ込んでいく。

普段ならありえないくらい簡単に2人が弾き飛ばされ、ティナは苦しそうに顔を歪めている。
連携がくずれている。

蜘蛛の魔物は暴れ回る。

ボロボロな体でユオンが私の前に立つ。
苦しそうな顔でティナが防御魔法を貼り直す。
荒くした息でルカが相手に飛びかかる
虚ろなは瞳でサキは木の上に潜む。
 
 蜘蛛の雄叫びや爪の一振りでみんなは地面に転がる。

「ごめんなさい…」

私のせいだ。

幸か不幸か地面が割れて私達は全員崖下に落ちた。



日も暮れて真っ暗な中。落ちた先の川辺りで私は洞窟入り口でため息を吐く。
みんなを手当てしてとにかく中で寝かせた。


そこで気がついたことがある。

サキはおそらく偵察中に怪我をしていた。なぜなら真新しい雑に巻かれた包帯がわき腹にあったから。

そして、ルカは薄々それに気づいた。そして隠そうとするサキを心配していた。

事態を収集しようとしていたティナ。落ちつき、出直しを申し出たユオン。どちらの判断も間違っていない。

それを…止めたのは。邪魔をしたのは私。

一番勝手なのは…




ぐしぐしと涙を拭い、ステータスとは別の画面を開く。

出発前教えてもらった、ダンジョンや魔物の情報画面。


幻惑の森

魔物の放つ邪気のせいで立ち入る者は不信感や不安感を増幅される。悪夢を見るので日帰りを進める

蜘蛛鬼(クモオニ)

幻惑の森に封じられていた魔物。
再度封印を試みるも沢山のハンターが戦意を喪う。

おそらく。今回のお札がそいつを封じる鍵なんだろう。

ため息をついてなんとかする方法を考える



仲間を見ると確かにうわ言をいっている。

ユオンは「いかないで」
ティナは「見捨てないで」
ルカは「出して」
サキ「来ないで」

みんなの過去に関する事なのか。分からない。

ガサガサと嫌な音がする

あの蜘蛛鬼を引きつけて祠まで走って仕舞えばみんなが襲われる心配はない。

近寄る足音に覚悟を決めて走り出す。

わしゃわしゃ気持ちの悪い音がメキメキと言う音が後ろで聞こえる。

「あっ!」

木の根に引っかかってこけて。振り返ったら蜘蛛鬼…

「…あとちょっとなのに…」

じくじくと痛む足。

這うように祠に向かうが追いつかれてしまう。

「私一人じゃ…」


振りかざされた爪を見て目を閉じるが痛みは無い。


「みんな…」

目の前に4つの影

ユオンが爪を防ぎティナが補助魔法をかける

ルカが背を割き、サキは額を刺す

「ヒナ!」ルカの凛々しい声
「ヒナタさん!」ティナの柔らかい声
「ヒナタぁぁ」サキの必死な声
「ヒナタちゃん!」ユオンのハスキーな声

全員の声にハッとして走り出す。目指すは祠。叩きつけるように封印の札をはる。

ついでに光魔法を叩き込んでやる。



夜明けとともに傷だらけのみんなが森を出る。

誰も喋らない。重い空気の中

街の入口…門の前で

ユオンが口を開く。


「ありがとう。こんな…何考えてるかわからない…不気味で、無愛想で。見た目の怖い。戦う事しか取り柄のない僕を今まで仲間にしてくれて。本当にありがとう。」

ぺこりと騎士らしく頭を下げる

「…うん。あたしも。バカだし空気読めないから、結構イライラさせたし、きをつかわせたよね…迷惑かけてごめんね?でも仲間で入れてよかったよ。ありがと」

優しく微笑む

「うちは喧嘩しかしないし、トラブルしか起こさないし、口も悪い。そんなうちを受け入れてくれてありがとう。あと。ごめん。せっかく…仲間になれたのに。本当ごめん」

申し訳なさそうに目を伏せる

「私。この世界に来てみなさんと探険してる時が一番楽しかったです。こんな私をさそってくれてありがとうございます。ほかのパーティでも私の事忘れないでくださいね?」

我慢しきれなかった涙を拭う


体の力が抜けて。その場に私はへたり込んでしまう。

すぐに駆けつけてくれる四人。本当に優しい子達だ。口々に名前を呼び心配そうにしている。私はそんなみんなに。ひどいことを。

「いやだぁぁぁ。ごめんなさいぃぃぃ。」

わんわん泣く私にユオンがしゃがみこみアワアワとしている。

その腕にしがみつき。いかないでと叫ぶ。


「おもって…ないっ…からぁっ。解散っなんてぇぇ嫌だからぁぁぁ。ごめんっなさいっっ」

伝えたいこといっぱいあるのにまとまらない。

「ヒ、ヒナタさん…」

「お、おちついて?」

ユオンの体が離れかける。

「嫌いに…ならないで…」

そのまま勢いでおしたおしてしまい、ユオンのお腹に乗る形で泣きじゃくってしまう

「ヒナのバカ!嫌いになるわけないじゃんか!」

「あたしもいやだぁぁぁー。」

横からサキが飛び込み、ルカもすわりこんでくる。

「私も本当はいやです!もっともっと冒険したいですっ。ヒナタさんと!皆さんと!」

私の背中にピタリとティナがくっつく。

暖かさをかんじる。

ちょっとしたことで起きた。

おおごとになった喧嘩は幕を下ろした

.

「…まさか…封印の札の光魔法で完全封印してしまうとは」

「アシュの見込んだとおりっすね!」

隣の猫人の女性に話しかける

「…そうね…名前…あげてもいいんじゃない?」

なまえ!と私以外が叫ぶ。
ティナが人前で大声をそもそもユオンが大声を上げるは珍しい。

よほどすごいことなのか。


「ほぉ。アシュがそういうのは珍しいね。ミナトどう?」

水門「異論はないよ。良いチームだ」

ニカっと笑うのを見て少し照れる。


「三人…満場一致か。」

座っていたマリアが立ち上がり、凛々しく告げる

「君たちにパーティ名を授ける。」

名前とはそーゆー事か。

大地を駆けり
天空を舞う
武勇の翼。

「君たちの名前は。」

武勇天翔ブレイブウィングス


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