皇國の防戦記

長上郡司

文字の大きさ
上 下
66 / 68
第四章 亡霊少女

62 エリア先生の近接戦闘指南

しおりを挟む
「隊長・・・」




「なに?」




「良い顔をしてるね」




「そうか?」




「うん・・・凄い、悪い笑顔・・・・・・」




グレン達の眼前には、エリア小隊長と、アクレシア・レッドグレイヴ五年兵の近接戦闘訓練が執り行われている。




それを見るグレンが何故、悪い笑顔を晒しているかと言うと・・・













「エリア!!学生兵相手に何を手間取ってんだ!?真面目にやれ!!」




「良い声出すね・・・隊長・・・」




エリアは学生兵のアクレシアを相手にして、明らかに遅れを取っていた。




「やかましい!全力でやってます!!」




「アクレシア~顔狙って顔を」




「何言ってんですか!?アイラ!!」




「はっはっはっ!見ろ!アイラ!!あの無様な対処!!幼年学校からやり直せ馬ァ鹿!!」




「糞野郎!!テメエいつか後頭部ぶち抜いてやるからな!?」 




ズタボロにやられるエリアを、全力で嘲笑うグレン。




普段の状況からは、完全に逆転している。




余りに一方的にやられるエリアに、アクレシアが思わず声を掛ける。




「あの、すみません・・・エリア小隊長、付き合って頂いているのに・・・」




「君は君で、何謝ってんですかアクレシア!?歳上をそんな憐れんだ目で見るんじゃない!!」




「アクレシア~今だよ~ぶっ潰せ~」




「アイラ!!あの時仕留め損なったのを心底後悔してますよ!!今!!!」




「ハアッ!!」




「クッソ!打ち込み強!」




「セヤァ!」




「ああ!もうっ!?」




「あっ」




「バカが」




エリアの背後には壁が迫っていた。




いつの間にか壁際まで追い込まれていたのだ。




もう袋のネズミ




エリアは前に出るしかない。




そう認識した瞬間だった。







「ザリャア!!」







エリアは膝から崩れ落ちた。







「ッシャア!ザマァ!!」




「あ~あ・・・」










“いつか闇討ちしてやる”




薄れ行く意識の中で、強く心に誓うエリアであった。




普段の自分の態度が招いた事態とは、最後まで微塵も考えなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

私は逃げます

恵葉
恋愛
ブラック企業で社畜なんてやっていたら、23歳で血反吐を吐いて、死んじゃった…と思ったら、異世界へ転生してしまったOLです。 そしてこれまたありがちな、貴族令嬢として転生してしまったのですが、運命から…ではなく、文字通り物理的に逃げます。 貴族のあれやこれやなんて、構っていられません! 今度こそ好きなように生きます!

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

処理中です...