皇國の防戦記

長上郡司

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第四章 亡霊少女

57 孫娘の二人に会う前に

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「お爺ちゃんただいま」




「ただいま~」




居間から元気な子供の声が聞こえた。




「ああ、お帰り。若様がお出でた、二人とも後でしっかりと挨拶なさい」




「誰の声?」




グレンのベッドに寝転がるアイラが疑問を呈する。




「ハイザーの孫だ、名はエイミーとメルル」




「幼年学校に通ってるんでしたっけ」




「幾つなの?」




「確か・・・10歳と13歳だったか」




「全寮制じゃないんですか、此処らの学校は」




「今日は休日だろ・・・」




「エリア、呆けてるの?」




「年中訳の分からんスケジュール押し付けられてたら、おかしくもなりますよ」




「隊長、行かなくていいの?」




「これ終わったら行くわ」




グレンは手元の書類を見せる。




「何?それ」




「テメエがやらねえ書類仕事だよ、アイラさん」




「私の仕事じゃ無い」




「仕方ないですよ隊長、アイラは読み書き出来ませんから」




「エリア馬鹿にしすぎ、私も字ぐらい読める」




「ほお~」




エリアはアイラの抗議を鼻で笑う。




それエリアを尻目に、アイラはそこらにある本を手に取る。




「まずこれは、『スープまで飲み干せる豚肉ポトフ』次に『スタミナ抜群!ニンニク牛肉炒め』これが『漬けて焼くだけ!?鶏もも肉の照り焼き』そして私のオススメ『若い雄鹿のペ』」




「飯関係ばっかしじゃねえか!!ざっけんじゃねえぞ!!!なんだこの本?!『男の胃袋を掴め!淑女の乙女料理百選!!』誰だ!?こんなもん俺の部屋に持ち込んだのは!!そして最後に何口走ろうとしてんだバカ!!!」




「あっ僕です、その本」




「お前!何考えてこんなもん買ったんだ!?」




「いや、エレナさんに頼まれたんで」




「テメエはまずゲテモノ舌改善しろエレナァ!!この本も乙女要素ゼロの料理ぶちかましてんじゃねえ!!!!」




あまりに余りな状況で、グレンは本を床に叩きつけた。




ついでに書類は宙を舞った。
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