皇國の防戦記

長上郡司

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第四章 亡霊少女

外伝 エリアとアイラのまちさんぽ 

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「隊長、いくらくれた?」



「ん~?ん~・・・・・・ぼちぼちです」



グレンが投げ渡した銭袋の中を改めるエリア。



「じゃあ、とりあえずあそこ行こ」



アイラは、一番近場の店を指差す。



「・・・あそこ高いんですよ、録に食べれず味も・・・」 



エリアは渋い顔で伝える。



「あっちは?高くなさそう」



アイラは次の店を指す。



「値段相応の味です、お勧めは出来ません」



エリアは、やはり苦い顔を見せる。



「詳しいね、エリア」



「・・・以前、少しだけ滞在していたので」



「ふ~ん?」











「美味しい」



「高いですがね、この甘味」



「隊長、ありがとう」



「素晴らしい上司を持ったものです」









「はっくしょん!」



「風邪ですか若様」



「なんか、誰かに心にもない事言われた気が・・・」









「ぼちぼち帰りますかね」



「あ~薄暗くなってきた」



「今日は、夕焼けがずいぶんと・・・」



「紅いね、綺麗・・・」



二人か見つめる夕陽は、紅い光を艶やかに発していた。



「アイラ、ご存じですか?」



「紅い夕陽は死者が蘇る前触れ?だっけ?」



「どこで聞いたんですかそれ・・・」



「あれ?違う?」



「違いますよ、僕が言いたかったのは・・・」



ふっと鼻で笑うエリアが語り出す。









皇國の伝承の中には死者の復活伝説が残る。







“紅い夕陽に照らされし大地に亡霊戦士は降り立つ。



紅い戦士は幾千万の無念を糧に、故郷を侵す者を討ち滅ぼす”







「っと言った伝説が在るのですが」



「当ってるじゃん、謝ってよ」



「何でそんな攻撃的何ですか?続きがあるんですよ」







“紅い戦士は、黄泉の國に帰る事無く現世に留まり続けた。



紅い戦士は夥しい怨念を身に纏い、黒き鎧兜を身に帯びた。



黒き悪魔は紅き炎龍を従え、我が故郷を怨念の怨嗟と共に



焼き滅ぼした。”







「あれ?どっちも死んだの?」



「ええ、いつの間にか戦士から悪魔になって、討ち滅ぼしたらしいですよ。」



「何でだろ」



「“怨念の怨嗟を身に帯びた”と在りますから、殺しに殺され過ぎて精神が崩壊したっていうのが通説です。」



「通説?・・・実話なの?この話」



「さあ・・・まあ伝承という物は、何かしら真実が含まれているものですから」



「ふ~ん・・・」



「近しい者が現れるのは、その先触れだそうです。」



「詳しいね、エリア」



「昔話、結構好きなんですよ」



「それで休みの度に図書館行ってるんだ」



「はははっ・・・まあ、そんな感じです」







グレンの屋敷の前に差し掛かっても、二人の会話は続く。
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