皇國の防戦記

長上郡司

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第三章 山岳城塞奪還戦

42 裏切りの因果

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全力で殺し合う皇将グレンと、帝将ボルゾフ。










徐々に終わりが見えて来たようだ。










現状は、明らかにグレン優勢である。










肩で息をしているボルゾフに対し、グレンはまるで呼吸が乱れていない。










お互いに大きな傷などは負っていないが・・・










“ここまでとは・・・”










衰えは、確かに感じていた。










かつて“ガルディア騎士団”在籍時と比べ、前線には全くと断言出来るほど出ていなかった。










“強いな・・・本当に・・・”










目の前にいる武将は、恐らく自分の子供よりさらに若いのだろう。










それをここまで、手も足も出ないとは正にこの事だ。










“私が死ねば・・・この城の者は・・・”










彼が死ねば、部下がどのような末路を辿るかは明らかだ。










“ボルド、私は裏切り者だ。家族を殺されたお前知りながら・・・家族を部下を人質に取られた私は・・・そのまま敵に降ったのだ・・・” 










ボルゾフの脳裏に過去の悪夢と後悔が過る。










“今では帝国将軍という立場で、皇國大将軍にまで上り詰めたお前と戦うことになろうとは・・・自らの因果とは逃れられないのだな・・・”










目の前に迫るのは、大将軍ボルドが必殺の死神として寄越した“戦闘龍”グレン。










“だが・・・素直に殺られてやる訳にはいかんな・・・”










弱気になりかけていたボルゾフは、グレンを強い眼差しで見据える。










“裏切り者には裏切り者成りの矜持がある”










「グレン・バルザードォ!」










ボルゾフは全身全霊を込めて、グレンに突進を仕掛けた。
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