12 / 68
第一章 英雄の憎悪
11 局地的な勝利
しおりを挟む
「あっ!ちょっ!隊長!助けてください!ガランが!ああ・・・」
グレンが一階の酒保に降りると、小隊長のヴィクトルが悲痛な叫びと共にベロベロになったガランが
小隊長のヴォルゲンと共に連れ去っていくのが見えた気がしたが、恐らく気のせいだろう。
ゴリゴリの武将である二人に連れ去られては、彼の命運はここに尽きたことだろう。
それを華麗に無視すると、グレンは自分と年齢が近い層が集まる机に座った。
この隊では、隊長のグレンと同年代が明らかな少数派になるが、年下を見るとさらに少ない。
現在は、ほんの十数人のグループでしかない。
「お疲れ様です隊長!」
平の若年隊員たちが一斉に敬礼するのを尻目に、エリアを始めとした役付きの隊員は自分の目的
を果たす事に夢中だった。
19歳の第八小隊長エリアは、一瞬こちらを見た気もしたが、気にせず目の前の隊員と話している。
“こいつ俺が来たことに気付いてはいるけど、ガン無視してやがるな、凄えわ”
エリアに話しかけられている隊員は、話に相槌を打つものの、後ろにいる自分を怯えた目で
見つめている。
「いい根性しとるなお前」
酒が入ると自制心が効かなくなるのが、彼の大きな欠点だ。
“どうしようもねえなコイツホントに”
18歳の第九小隊長メルヴィンは、酒に飲まれたのか、机に突っ伏し眠りこけていた。
“・・・だめだなこいつ”
グレンはあまりこの女が好きになれないようだ。
同じく18歳で、最年少の第10小隊長アイラは、顔色一つ変えずに酒を飲み続けている。
机には大量の殻になった皿と酒樽が並べられており・・・
「おい待てお前、それ払うの誰だと思ってんだ?」
グレンに呼ばれたアイラはこちらを向いて
「隊長」
「あ?」
「ごちそうさま」
一言グレンに添えた、とても素敵な笑顔で。
「ヌック」
グレンは何も言えなくなった。
そう言うとアイラはグレンを見向きもせずに、食べる食べる、飲む飲む
見ていると気持ちが悪くなってくる
「何であいつあんなに食えるんだよ。どこに入るだかさっぱりわから・・・ん?あれ?あの酒樽が一つ
確か・・・あの肉もかなりした・・・」
嫌な予感がしたグレンは、隊員が飲み食いした量と金額をざっと目測で計算する。
大隊より支給された軍資金は有る物の、足が出れば、出目は当然それぞれの自腹である。
「・・・クソが、俺の分無えじゃねえかよ」
そして、その軍資金は自分が一滴のお茶も、一口の食事も摂る前に尽きることは明らかだった・・・
グレンが一階の酒保に降りると、小隊長のヴィクトルが悲痛な叫びと共にベロベロになったガランが
小隊長のヴォルゲンと共に連れ去っていくのが見えた気がしたが、恐らく気のせいだろう。
ゴリゴリの武将である二人に連れ去られては、彼の命運はここに尽きたことだろう。
それを華麗に無視すると、グレンは自分と年齢が近い層が集まる机に座った。
この隊では、隊長のグレンと同年代が明らかな少数派になるが、年下を見るとさらに少ない。
現在は、ほんの十数人のグループでしかない。
「お疲れ様です隊長!」
平の若年隊員たちが一斉に敬礼するのを尻目に、エリアを始めとした役付きの隊員は自分の目的
を果たす事に夢中だった。
19歳の第八小隊長エリアは、一瞬こちらを見た気もしたが、気にせず目の前の隊員と話している。
“こいつ俺が来たことに気付いてはいるけど、ガン無視してやがるな、凄えわ”
エリアに話しかけられている隊員は、話に相槌を打つものの、後ろにいる自分を怯えた目で
見つめている。
「いい根性しとるなお前」
酒が入ると自制心が効かなくなるのが、彼の大きな欠点だ。
“どうしようもねえなコイツホントに”
18歳の第九小隊長メルヴィンは、酒に飲まれたのか、机に突っ伏し眠りこけていた。
“・・・だめだなこいつ”
グレンはあまりこの女が好きになれないようだ。
同じく18歳で、最年少の第10小隊長アイラは、顔色一つ変えずに酒を飲み続けている。
机には大量の殻になった皿と酒樽が並べられており・・・
「おい待てお前、それ払うの誰だと思ってんだ?」
グレンに呼ばれたアイラはこちらを向いて
「隊長」
「あ?」
「ごちそうさま」
一言グレンに添えた、とても素敵な笑顔で。
「ヌック」
グレンは何も言えなくなった。
そう言うとアイラはグレンを見向きもせずに、食べる食べる、飲む飲む
見ていると気持ちが悪くなってくる
「何であいつあんなに食えるんだよ。どこに入るだかさっぱりわから・・・ん?あれ?あの酒樽が一つ
確か・・・あの肉もかなりした・・・」
嫌な予感がしたグレンは、隊員が飲み食いした量と金額をざっと目測で計算する。
大隊より支給された軍資金は有る物の、足が出れば、出目は当然それぞれの自腹である。
「・・・クソが、俺の分無えじゃねえかよ」
そして、その軍資金は自分が一滴のお茶も、一口の食事も摂る前に尽きることは明らかだった・・・
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説


ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる