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第一章 英雄の憎悪
05 謎
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グレンの部下が呼びに来た。
「グレン隊長、大隊長が到着されました。」
「そうか」
直属の上官が到着したと言う知らせに対し、彼は酷くそっけなく答えた。
「天幕でお呼びです、各中隊長は至急集まるようにと」
「ド派手に遅れてきた挙句に、ひたすら待機に疲れ切ったに部下を即呼び出すとは相変わらず良いご身分だな、あやかりたいもんだよ」
ここまで二週間以上も待たされた不満を思わず部下に漏らす。
「私に言わないで、直接ご本人に伝えて下さい」
「俺に死ねってか」
先ほどグレンたちの会話に出た、ヴェルムと呼ばれる男が到着した。
グレンの直属の上官である大隊長だ。
グレン自身もかなり若年の将校だが、この男はグレンより年こそ三つ上の23歳ではあるが、階級の上では
4つの五千将と呼ばれる立場にある。
五千将とは、グレン達千人将を五人束ね、戦場において決定的な役割を果たせる戦術部隊の長である。
戦時昇進が常の戦時下において、グレン自身が相当なスピード出世を重ね、若干二十歳にして千人将という立場にいるが、このヴェルムこと、ヴェルヘルム五千将に関しては、最早異様と言う他無い。
皇國軍の歴史を振り返っても類を見ないほどの、まともな説明が付かない程の速さで、この立場に就いたのだ。
この男の上には、最早“将官”と呼ばれる階級を残すのみである。
グレンは従軍して以降、初陣を含めたわずかな期間を除き、一貫してこの男の配下として動いていた。
この当時のグレンと言えば、皇國軍内にも数多くいる士族出身の、地方軍所属の一軍人に過ぎなかった。
対してのヴェルヘルムと言えば、遡れば皇帝の一族とも繋がると言われる皇國きっての名門中の名門と言われる公爵家の出身である。
なぜ、この大きく身分も立場も隔てたこの二人が親しくしてたのかは、現在に置いても歴史の大きな謎として、有識者の推論の域を出てはいない。
恐らく、“軍学校在籍時に知り合う切っ掛けが在ったのでは?”と言った説が一番有力な説として扱われている。
しかし二人の出身校はかなり場所を隔てており、年齢も離れている。
この説にもまた、大きく疑問が残るのだった・・・
「グレン隊長、大隊長が到着されました。」
「そうか」
直属の上官が到着したと言う知らせに対し、彼は酷くそっけなく答えた。
「天幕でお呼びです、各中隊長は至急集まるようにと」
「ド派手に遅れてきた挙句に、ひたすら待機に疲れ切ったに部下を即呼び出すとは相変わらず良いご身分だな、あやかりたいもんだよ」
ここまで二週間以上も待たされた不満を思わず部下に漏らす。
「私に言わないで、直接ご本人に伝えて下さい」
「俺に死ねってか」
先ほどグレンたちの会話に出た、ヴェルムと呼ばれる男が到着した。
グレンの直属の上官である大隊長だ。
グレン自身もかなり若年の将校だが、この男はグレンより年こそ三つ上の23歳ではあるが、階級の上では
4つの五千将と呼ばれる立場にある。
五千将とは、グレン達千人将を五人束ね、戦場において決定的な役割を果たせる戦術部隊の長である。
戦時昇進が常の戦時下において、グレン自身が相当なスピード出世を重ね、若干二十歳にして千人将という立場にいるが、このヴェルムこと、ヴェルヘルム五千将に関しては、最早異様と言う他無い。
皇國軍の歴史を振り返っても類を見ないほどの、まともな説明が付かない程の速さで、この立場に就いたのだ。
この男の上には、最早“将官”と呼ばれる階級を残すのみである。
グレンは従軍して以降、初陣を含めたわずかな期間を除き、一貫してこの男の配下として動いていた。
この当時のグレンと言えば、皇國軍内にも数多くいる士族出身の、地方軍所属の一軍人に過ぎなかった。
対してのヴェルヘルムと言えば、遡れば皇帝の一族とも繋がると言われる皇國きっての名門中の名門と言われる公爵家の出身である。
なぜ、この大きく身分も立場も隔てたこの二人が親しくしてたのかは、現在に置いても歴史の大きな謎として、有識者の推論の域を出てはいない。
恐らく、“軍学校在籍時に知り合う切っ掛けが在ったのでは?”と言った説が一番有力な説として扱われている。
しかし二人の出身校はかなり場所を隔てており、年齢も離れている。
この説にもまた、大きく疑問が残るのだった・・・
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