あやかしと黒田屋やってます!

黒崎 夢音

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第1章 2人の話

あやかしと黒田屋やってます!1ー2~2人の出会い編~

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 さて、この2人、人間の黒田りゅうとあやかしの古蛇《こじゃ》が一緒に経営しているのは、「黒田屋《くろだや》」という店だ。ペットの散歩や家事全般、子供の子守りにバイトの手伝い、頼まれればなんでもこなす、いわゆるなんでも屋のようなものだ。元々はりゅうの父とりゅうとで経営していた。だが、りゅうの父が病気で亡くなり、りゅうが黒田屋を1人で経営しなくてはならなくなった数日後...。
 いつも通り、店がある商店街にりゅうが向かっている時だった。りゅうがふと電信柱の横に目をやると何か、白い箱が置いてあった。
「なんだ?この箱…。」
りゅうが箱を覗いてみると、
「拾ってあげて下さい。」
と、書かれた紙が入っていた。
「何もいねえじゃねぇか。」
と、思ったりゅうだったが、よく見てみると白い蛇がいた。その蛇を見た瞬間りゅうは、衝動的にこの1匹しかいない白い蛇を飼いたいと思い、飼うことにした。
「お前、1人なんだな…。俺も1人なんだ。俺が小さい時に母さんは事故で死んじまったらしい…。記憶はあんまねぇんだけどな…。父さんは、最近病気で亡くなっちまった…。だから、俺ら1人になっちまった同士で一緒だな~。これから一緒に住もうな~!って、蛇に言ってもわかんねぇよな…。」
「お主、このわしをバカにしおったな?」
「ん?今、しゃべったか?まぁ、蛇が喋るわけねぇわな~!」
「はぁ~。まさにおバカの極みじゃな。よっと!」
「ちょ、おい!あぶねぇだろ!」
りゅうの肩に乗っていた白蛇は地面へ降りた。すると、もくもくとした白い煙が辺り1面を覆った。
「ごほ、ごほ…。なんだ、この煙!?火事か!?火事なのか!?なら、逃げないと!白蛇どこ行った!?動物にも煙は毒なんじゃないのか!?」
りゅうは、火事だと思い、慌てているが、この煙の原因は他にあった。
「本当にお主は、おバカじゃなぁ~。」
「さっきも聞こえた声だ…。」
だんだんと白い煙が消えていき、白蛇がいたであろう場所には白蛇ではなく、人影が見えてきていた…。
「お主が先程わしを拾ってくれたものじゃな?」
「え、まさか…。あんた、さっきの白蛇か!?」
「そうじゃが…。なぜ、そんなに驚いておるのじゃ?」
「いや、驚くだろ!!蛇が人に変わってるし…。」
「あぁ…。そんなことか。わしは、ただの蛇ではなく、あやかしじゃからのぉ~。人間への変化も容易いものじゃ。」
「あやかし!?まぁ、蛇が人間になってるし、そう言われた方が納得はいくか…。てか、普通にカッコよすぎじゃね?」
白蛇が人間へ変化した姿は、高身長で白髪の長い髪を後ろで1つに束ねていて、年齢は20代前半にみえる。
「そんなにわしがカッコいいのか?まぁ、そんなことはどうでもよい。お主の名前を聞いておこう。これから一緒に住むのじゃからな。」
「一緒に住む!?まぁ、俺が拾った蛇だしな。俺は、黒田りゅうってんだ!よろしくな!白蛇さんよ!俺、黒田屋っていう店やってんだ!まぁ、いわゆるなんでも屋みたいな店だ!1人でやってっから、一緒に住むんだし、白蛇さんも手伝ってくれよな!で、白蛇さんは、何て名前なんだ?さすがにこれからも白蛇さんって呼んでると回りの人から変な目で見られちまいそうだからな…。教えてくれ!」
「あぁ、わしの名前か。わしは、古蛇《こじゃ》と申す。古いに蛇と書いてこじゃと読む。よろしく頼むぞ。りゅう。」
「おう!よろしく頼むぜ!古蛇!てか、あやかしってことは、1000才くらいなのか!?」
「なぜ、あやかしじゃからといって、1000歳と決めつけるのじゃ…。あ、そういえば、1ついい忘れておった。これから、お主の店、黒田屋に今までにない変わった依頼が来るかもしれぬが、それも引き受けてくれ。りゅうよ。普段の依頼でも同行はするが、その変わった依頼の時は、必ず同行すると約束しよう。」
「おう!分かったぜ!まぁ、変わった依頼でも家の店の決まりごとでよっぽどの事がない限り、引き受けるのが掟だからな!古蛇が言うならこれから余計に引き受けるぜ!」
「そうか、それなら少し安心した。それでは、これから世話になるぞ。りゅう。」
「おぉ!どんとこい!古蛇!」
これが、この2人の出会ったときの話だ。
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