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本編

エンディング(リース嬢)

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18歳になりました。

学園ではつつがなく、平和に学業と友達作りに専念できました。

たまに留学してきた方々が入っては消え、入っては消えと色々あったようですが、私にはこれと言った関わりも無かったので、よくわからないうちに居なくなっていたという印象です。

殿下は卒業時には20歳になられ、とても立派な青年になっております。

最近、やっと隷属の首輪が外され、恥ずかしながら、お茶会も行うようになりました。殿下の後ろに立つのはリチャード・エイダン侯爵とカハツイ・テンサイ侯爵の二人。

私の後ろには、マリア・エグノイ伯爵令嬢とデート・ヨイツ侯爵子息。隣にはメイツ・リーマン王女殿下。

そう言えば、気付けば、いろんな家が取り潰されていたので、マリアもデートも独立して、爵位を賜るんだそうな。

凄いなぁ。


卒業式は、ロイス殿下がエスコートしてくださった。

来年は、国を挙げて、結婚式を行うんだそうだ。


照れるなぁ。

初めて会った時は、なんだろうこの子供みたいな印象だったロイス殿下。

今は、国の発展に力を注ぎ、カハツイ侯爵と共に魔道具開発も行っていた。


今、この国はデモンス国と言われているが、そのうち、魔道具都市国家とか言われる日が来そうだ。

固有名詞ではなく、代名詞的な名前が国につくのはこの世界の誉れ。


いつの日か、そんな未来があればいいなと思う。


最近、美術館が出来ていた。

そこには様々な美術品が展示されており、なぜだろうか・・・私の顔によく似たものが一杯ある気がした。自意識過剰と思って、首を振った。だって、あの女神像の胸は私より遥かにでかいから。


展示品はほとんど女神がモチーフだった。

女神の絵がついた白磁の大皿は今までこの世界になかったものらしいのだが、私が前世の知識をこぼしたのを聞いた殿下が職人に相談。作りあげたもの。何故だか、すべての皿に大小さまざまな女神が描かれている。

女神の石膏像もコンクリートが無いことを知らなかった私の呟きを王女殿下が拾い、職人に相談。コンクリートより先に女神像が作られていた。

ついでにと言った感じで王女が主導でコンクリートで舗装された道路を公共事業として発注。

今は研究都市につづく立派な大通りが出来ている。


隣国は、魔女裁判が行われたという噂を耳にした後、凄い速さで滅亡した。貴族位を持っていた人は民にほとんど殺されたと聞く。一部の貴族も他国に亡命。すべての統率者が居なくなった民は荒れ、難民化。誰か指導者が現れるかと思ったが、それらは次々に自滅。結局、亡命者と難民達がうちの国と研究都市に流れ込み、最終的にうちと研究都市で自滅国を半分に山間で分けて、領土に設定。


かなり時間を要す必要があるかも知らないが、じわじわと治安が回復傾向にある。

そんなごたごたの中、聖女が国内で生まれた。

通常、教会預かりになるのだが、教会は私が12歳の時に崩壊したらしく、今は、冠婚葬祭技師という儀式専門の職が教会の代わりにあり、そこでは宗教的な交わりがほとんど無く、聖女を取り扱うのは難しいと申告があり、陛下もこれを了承。

治安対策本部、魔法学科と言うところで聖女を取り扱うことになった。

一応、立場は平民の孤児であったが、無理矢理この国に移り住み、侯爵位を得て、数年後に公爵になった元家庭教師のリリス様が彼女を養子に取った。現在、4歳。とても可愛い子供だ。

いつか、私も子供産むんだろうなぁと思っていたら、隣にいた殿下が真っ赤になっていた。つられて、私も真っ赤になる。

それを見ていたリリス様に茶化されたりしながら、お茶会を楽しんだり・・・。


とても平和な毎日である。


****


ロイス殿下と結婚。物凄い豪華な結婚式だった。式自体の場所や飾りつけもこのためだけに造った教会で行ったし、出席者も豪華絢爛。他国の王や王太子はもちろん。有名な賢者や英雄殿も参加され、あちこちの代名詞の付く都市の学園長も直々に出席された。

この世界では代名詞のついた都市は王より偉い。そんな方々が6人も来られた。民たちもパレードでお祝いしてくれ、物凄い歓迎っぷりだった。


20歳になった時、私は女児ローズを出産した。ロイス様によく似たちょっと男っぽい娘。きりりとした眉毛がとても愛らしい。陛下も正妃様もとても喜ばれ、ポラロイドカメラなるもので、いつも彼女の写真を撮りまくっている。

動画ももちろん既に開発されていたが、そっちは他の人がとってるからと言って、陛下は撮っていない。

他の人???


聞こうと思ったが、誰も答えてくれない雰囲気。


ローズに聖女カナタと会ってもらおうと思って、リリス様のところを訪ね、話して気付く。聖女、転生者だった。しかも日本出身。二人っきりで話そうと言うことになって、話してみれば、私が乙女ゲームでの登場人物だったことが判明。

しかも、悪役令嬢役だったらしい。

しかし、彼女から聞くイベントは全く存在しなかった。


第一、自国の学園に王太子自身が学生として入学したことが無いのだ。

ヒロイン役のエルキ男爵令嬢は・・・うっすら聞いたことがあるが、いつの間にか居なくなっていたし、騎士男爵子息役のナメダ子爵子息も同様に居た印象さえ無い。

カハツイ・テンサイ侯爵は、現在宰相で、リリス様から直々に指南を受けて頑張っているが、乙女ゲームでは、ヒロインをさらって、国外逃亡し、研究都市で暮らすエンディングと生首になるエンディングだったらしいのが、全くそんな気配はなかった気がする。敢えていうなら、名前が違う。彼女の言う乙女ゲームでは、彼はミミー侯爵子息だったはずらしい。確かに入学してすぐはミミー侯爵子息だったが、1週間くらいでいつの間にかテンサイ侯爵に名前が変わっていた。その時には子息がつかず、爵位を持った本人になっていたので、よく覚えている。

留学生の魔法都市から来たタナート・テスタート伯爵子息とか、カルキア神国の教皇の子息メルキア・デマンス侯爵子息に至っては、存在さえ知らない。カルキア神国は私が10歳の頃には存在していないし、魔法都市からの留学生は全て殿下に教えを請いに来ているので、別の施設預かりだ。テスタートと言う人自体には会ったことがあるが、私が12歳の時、その人は大人だったので、多分、タナートと呼ばれる人とは別人だろう。だって、同い年って言っていたし。


それを伝えると聖女カナタは凄く残念だーと言っていたが、「よく考えたら、その通りにならなくてよかった。」とも言っていた。もし、乙女ゲーム通りになっていたら、この国は戦争に突入していたらしい。

あら、怖い。


本当に、この世界が乙女ゲームと同じにならなくて、とことん良かったなぁと思う。

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