妖精名:解説っ子

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第四話 城の妖精

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一旦、ウィンディーネに挨拶をした。
元々、このデビュッタントで男爵家とはお別れの予定だったけど、きちんと挨拶はしようと思って。

「そう、じゃあ、当分会えないかもしれないわね。」
と寂しそうに言ってくれた。
「会いたくなったら、どうにかしてまた会いに来るよ!」
と言って、抱き合って、お別れした。

そして、私は急いで戻って、第二王子の侍従についた。
ちなみに侍従さんは茶髪で七三分けの少年なんだけど、目が死んでる。
その妖精さんも目が死んでる。

しばらくしたら、城内の広間に到着。
豪奢な空間に豪奢な服の『人』。見るからに王様。
横についている妖精は、既に1mを越した大妖精。
「始めまして、こんにちは!解説っ子と申します!」
と挨拶してみた。それから、貴族の真似っこしてカーテシーもしてみた。

そしたら、色々違っていたらしく、指導してもらえた。
それを見て、王様が苦笑してた。

本当、ここの『人』と『妖精』の距離が非常に近い。

指導が終わって、気付けば、第二王子が居なくなってた。侍従も消えてた。
アワアワして、適当な人を探してたら、王様と王様の妖精がしばらくここに居て良いって言うんで、王様についてみた。

ここの妖精は格がかなり上だし、自分も封印をしない方が楽だから、事情を説明して、解放していいか聞いてみたら、
「王様は格が高いし、容量デカいから大丈夫よ。」
と言われたので、サクッと封印解除。

そしたら、私も1m大の妖精になった。
まわりの『人』も『妖精』もびっくりしてたけど、まいっかって感じで流された。

王様の妖精はアリアドネって言う名前らしくって、植物の育成が得意なんだそう。
そこで気付く。

あれ?私ってなんの妖精?

アリアドネに聞いてみた。
「…あら、言われて気付いたけど、本当、貴方、何の妖精なの?」
と。

そしたら、宰相って役職の人の妖精が教えてくれた。
「雰囲気は図書の妖精ですけど、それより高位なので、知識の妖精でしょうね。」
と。
ちなみに教えてくれた妖精さんは、エミエルと言うそうな。
この城の偉い人の妖精さんはみんな名前があるんだね。

そして、また、勉強大会。
途中、王様が仕事に向かったので、私たちも移動。

エミエルが日が沈むと同時に
「後は此奴に聞いてくれ。もうちょっとお前と一緒に居たいけど、『人』には『人』の交流があるし、主人と一緒に居たいのだ。」
と言われて、図書室の妖精を紹介された。
それを発言したエミエルは耳が赤い。
そして、それを聞いた主人の宰相って人も耳が赤い。口がぴくぴくしてる。
笑うのを必死にこらえているみたい。

相思相愛で何よりです。

王様の妖精アリアドネにも
「私も主人のことだーい好き。貴方ともうちょっと遊びたいけど、王様の夜の仕事には貴方を連れて行けないわ。」
と言われた。
王様は無表情のまま鼻がぴくぴくしてる。

耳元に
「照れてるのよ。」
とアリアドネが教えてくれた。

「あ、じゃあ、一旦、封印する。」
と言って、一度、封印をして小さく戻り、図書室の司書さんにつく。
「じゃ、また明日!」
そう言って、二人と別れた。

そして、

図書室に行くとそこは図書室では無かった。
図書城だった。

広い玄関並ぶ本棚。魔道具がそこかしこに配置され、明るいんだけど、異質な明るさ。
聞けば、ここは本の時が止まる空間らしい。
ここの中でなら本は一切劣化しない。
図書城の中央に石像があり、そこに3m程はあるだろうでっかい妖精が居た。
むしろ、本当に妖精だろうか?

聞けば、その昔、この地に舞い降りた天使としか思えない『人間』がここを作り上げたんだそう。
既にその『人間』は死んでしまったけど、今もまだ讃えられ、結果、この国の歴史の数だけこの妖精の格が上がったんだそう。

図書城の主である妖精の名前はラフェル。
司書さんは、ここの3階で今からお休み。
その間は、ラフェルに一杯知識を教えてもらおうと思う。

・・・結果、夜が明けた。
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