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ふっと、目が覚めた。
あれ・・・なんで私、寝てる?
ボーっとする頭で起き上がると、気を使う様な小さなノックがして、そっとドアが開きレイが入ってきた。
そして起きている私を見て、嬉しそうに両手を広げ私を抱きしめた。
まだちょっと寝ぼけていた私は、いつもの様にレイを抱きしめ返す。
・・・そう、いつもの様に。
習慣って、恐ろしい・・・
たった数日であっても、一緒に過ごす時間が長ければ長いほど、それが当たり前になっていく。
その中にレイと一緒に眠る事も入っているのだから、本当に恐ろしい・・・
「エリ、具合悪いところは無いか?」
「うん・・・ねぇ、何で私寝てたの?」
「覚えてないの?」
そう言うとレイは肩眉を上げた。
「なら、エリが気を失う前にしていた事を、俺が再現してあげるよ」
「・・・気を、失う?」
え?私、寝てたんじゃなくて気を失っていたの?
混乱真っただ中の私になどお構いなしに、レイはベッドの上に胡坐をかいて座ると、私を抱き上げた。
そして、柔らかいけれどどこか拘束された錯覚を覚える様な、抱擁。
頬と頬を摺り寄せ、優しく髪を撫で、耳にキスをした。
思わず、ピシッと固まる私。
耳からゆっくりと頬に米神に、鼻先に・・・そして、最後には私の目を見つめながら唇にレイのソレを重ねてきた。
「好きだよ。愛している・・・・」
ひぃぃぃぃっ!!く、唇にキスされたっ!
そっ!そうだわ!私ってばレイに迫られて、恥ずかしくて・・・・気を失ったんだ・・・
向こうの世界で恋人はいたこともあるけど、日本人はレイみたいにあからさまに好意を見せないとこがある。
付き合った人たちも、どちらかと言えばそんな感じの人達だった。
何より私自身も、こってこての日本人。
恥ずかしくて死にそうよ・・・・
そんな私の事なんておかまいなしに、レイはというと・・・
「可愛い可愛い可愛い・・・可愛いすぎてヤバイ・・・」
と、呪文の様に呟いている。
いや、ヤバいのは私・・・もう、好きになっちゃいそうよ・・・
―――ん?好きになっちゃいけないって事ないよね?
あまりにグイグイくるから、腰が引けちゃってたけど・・・もう、子供の容姿じゃないからなんの問題もないのよね。
・・・と、そこまで考えて「いや、問題だらけじゃん」と、思わず心の声が漏れてしまった。
「問題だらけって、何が?」
「その・・・レイと付き合う事よ」
「何が問題?」
「だってあなた、一国の王様でしょ?そういう人の奥さんて、高位貴族とか何とかがなるものじゃないの?」
「奥さん・・・いい響きだな・・・」
何故かうっとりするように呟き「うん」と一つ頷くと、優しく頬を撫でられた。
「アーンバル帝国にも貴族はいるが、結婚に関して身分は問題視していない。俺の母、前皇后は八百屋の看板娘だ」
「え?や、おや?」
一瞬何を言われたのかがわからなくて、オウム返しに答えた。
八百屋ってお野菜売ってるとこよね?貴族が八百屋やってるの?看板娘って事は店頭に立ってたって事よね?レイのお父様が野菜を買いに来てお母様を見初めて障害もなんのそのそのまま結婚してレイが生まれて立派に育てながら皇后として君臨し八百屋も繁盛・・・・
いやいやいやいや・・・何、現実逃避!
「それ、冗談・・・よね?」
やっと出た言葉が、これだった・・・・
あれ・・・なんで私、寝てる?
ボーっとする頭で起き上がると、気を使う様な小さなノックがして、そっとドアが開きレイが入ってきた。
そして起きている私を見て、嬉しそうに両手を広げ私を抱きしめた。
まだちょっと寝ぼけていた私は、いつもの様にレイを抱きしめ返す。
・・・そう、いつもの様に。
習慣って、恐ろしい・・・
たった数日であっても、一緒に過ごす時間が長ければ長いほど、それが当たり前になっていく。
その中にレイと一緒に眠る事も入っているのだから、本当に恐ろしい・・・
「エリ、具合悪いところは無いか?」
「うん・・・ねぇ、何で私寝てたの?」
「覚えてないの?」
そう言うとレイは肩眉を上げた。
「なら、エリが気を失う前にしていた事を、俺が再現してあげるよ」
「・・・気を、失う?」
え?私、寝てたんじゃなくて気を失っていたの?
混乱真っただ中の私になどお構いなしに、レイはベッドの上に胡坐をかいて座ると、私を抱き上げた。
そして、柔らかいけれどどこか拘束された錯覚を覚える様な、抱擁。
頬と頬を摺り寄せ、優しく髪を撫で、耳にキスをした。
思わず、ピシッと固まる私。
耳からゆっくりと頬に米神に、鼻先に・・・そして、最後には私の目を見つめながら唇にレイのソレを重ねてきた。
「好きだよ。愛している・・・・」
ひぃぃぃぃっ!!く、唇にキスされたっ!
そっ!そうだわ!私ってばレイに迫られて、恥ずかしくて・・・・気を失ったんだ・・・
向こうの世界で恋人はいたこともあるけど、日本人はレイみたいにあからさまに好意を見せないとこがある。
付き合った人たちも、どちらかと言えばそんな感じの人達だった。
何より私自身も、こってこての日本人。
恥ずかしくて死にそうよ・・・・
そんな私の事なんておかまいなしに、レイはというと・・・
「可愛い可愛い可愛い・・・可愛いすぎてヤバイ・・・」
と、呪文の様に呟いている。
いや、ヤバいのは私・・・もう、好きになっちゃいそうよ・・・
―――ん?好きになっちゃいけないって事ないよね?
あまりにグイグイくるから、腰が引けちゃってたけど・・・もう、子供の容姿じゃないからなんの問題もないのよね。
・・・と、そこまで考えて「いや、問題だらけじゃん」と、思わず心の声が漏れてしまった。
「問題だらけって、何が?」
「その・・・レイと付き合う事よ」
「何が問題?」
「だってあなた、一国の王様でしょ?そういう人の奥さんて、高位貴族とか何とかがなるものじゃないの?」
「奥さん・・・いい響きだな・・・」
何故かうっとりするように呟き「うん」と一つ頷くと、優しく頬を撫でられた。
「アーンバル帝国にも貴族はいるが、結婚に関して身分は問題視していない。俺の母、前皇后は八百屋の看板娘だ」
「え?や、おや?」
一瞬何を言われたのかがわからなくて、オウム返しに答えた。
八百屋ってお野菜売ってるとこよね?貴族が八百屋やってるの?看板娘って事は店頭に立ってたって事よね?レイのお父様が野菜を買いに来てお母様を見初めて障害もなんのそのそのまま結婚してレイが生まれて立派に育てながら皇后として君臨し八百屋も繁盛・・・・
いやいやいやいや・・・何、現実逃避!
「それ、冗談・・・よね?」
やっと出た言葉が、これだった・・・・
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