22 / 44
22
しおりを挟む
あれは、告白?告白だったの?
「好き」と言われたわけではない。
「勘違いじゃない」と言われ、ほっぺにキスされただけ。
その「勘違い」ってなんなの?
私の言っていた「勘違い」は、レイが私を好きなのでは・・・という、恥ずかしい自惚れ。
レイの言っている「勘違い」は私と同じなのだろうか・・・
その事を確認しようとしたら、帝国からお仕事が送られてきて有耶無耶に・・・
そして、私は悶々と考え込み、レイは前帝から送られてきた大量の書類を捌いている。
私はレイを弟の様に見てきた。でも彼は自分は年上だからそれは成り立たないという。
確かにね。でも、見た目が子供だったから、可愛がっちゃうのは仕方がないと思うのよ。ホント!鼻息荒くなるほど可愛かったし!
だから、彼が日に日に変わっていく事に戸惑いしかなかった。なんで大きくなるの!?とさえ、思ったわよ。
小さかった数日は、まさに甘やかしの押し売りをしていた自覚もある。
自分は年上だから・・・って言ってたけど、やっぱりレイも私の事姉の様に思ってたんじゃないかな?
だから私がナニをしても、受け入れてくれてたのではないのかな?
でも、弟にはなりえないって・・・・
という事は、レイが兄?・・・・いやいや、無理があるよね。あの容姿じゃ。
・・・・・あぁぁぁぁ!!ループじゃ!無限ループじゃあ!!
これはレイに直接聞くしかない!
勘違いだったら、早い方が恥ずかしいだけで済むし。
その時の私は気付いていなかった。
レイの事を弟位にしか思っていないなら、ここまで気にすることは無い。聞き流せばいいのだから。
無意識とはいえ、レイが仕事をしているダイニングへと向かってまで真実を知りたいと思っていた。
その意味さえも深く考える事無く。
レイの臨時執務室はダイニングキッチン。
いつの間にか山積みになっている書類が置かれているのは、見るからに豪華で重厚感溢れるマホガニー材の机・・・ではない。
紫檀という高級木材ではあるが、ただのダイニングテーブル。
それが、レイが仕事をしているだけで、本来持っていたであろう高級感が滲み出る机に見えるのだから・・・現金な物よね。
私の視線など気付かないレイは、とてつもない速さで書類を捌いている。
思わず不思議な生き物を見る様に凝視していた私だったけど、取り敢えずお茶を入れてあげることにした。
因みにルリとスイは今、結界外の森をパトロール中。銀狼族がまだうろついていないか、超警戒中なのよ。
レイはコーヒーがお気に入り。
この世界には紅茶はあるけれど、コーヒーはない。でも、私の家にはあるのよね。
インスタントもあるし豆もある。勿論、コーヒーメーカーもあるわよ。私はコーヒー飲まないけど。
コーヒーよりお茶の方が好きだから、専ら淹れる方専門。
じゃあ、何であるのかと言えば、神様・・・もとい、両親が好きなのよ。
母神様は私の世界の神様で、この世界より色々と発展していて豊。
父神様は母神様と仲良くなってそれを知ったらしく、今ではコーヒーショップでも始められそうなくらい詳しい。
神様なのにコーヒーが好きだなんて、人間臭いなって思ったわ。
一緒に住んでいた時は、私はコーヒーを飲まない事に残念がっていたけど淹れ方だけは教わって、両親に出していたの。
実はルリとスイもコーヒーの虜になっちゃってて(彼女らは砂糖とミルクたっぷりだけどね)、レイにも飲ませちゃったのよ。
そしたらことのほか気に入ったみたいで、朝や仕事の合間に飲んでいる。今みたいな時は特にね。
私がそっとテーブルにコーヒーを置けば、レイは顔を上げ私だと気づけば嬉しそうに笑った。
くっそー!眩しい笑顔だわ・・・・
「ありがとう、エリ」
「いいえ。ねぇ、レイ」
「ん?」
「ちょっと聞きたい事があって・・・お仕事が終わってからでいいんだけど、時間貰えるかな?」
「かまわないよ。あとこの一枚で終わりだから・・・・」
早いな・・・と、驚く私を尻目に、ささっとサインをすると書類を揃え脇に寄せる。
そして立ち上がると、淹れたてのコーヒーと私の手を取ってソファーへと移動し始めた。
ここでもいいのに・・・という言葉は飲み込み、大人しく後について行くと、コーヒーをテーブルに置くや否や私の腰に手をまわし、あっという間に膝の上へと座らせたのだ。
「へ?」
あまりの早業に、何が起きたかわからなくて間抜けな声を上げた私に、レイは変わらず・・・いや、先程と同じ蕩ける様な笑みを浮かべ抱きしめてくる。
そして当然の様に、先程と同じように頬にキスをしてきた。
いや、ちょっと待て・・・何が起きているんだ?
勘違いって、やっぱり、えっと・・・そうなの!?
頭の中は真っ白になって、抵抗さえもできない私はただただ、ぎゅうぎゅうと抱きしめられるのを受け入れるしかできないでいた。
「好き」と言われたわけではない。
「勘違いじゃない」と言われ、ほっぺにキスされただけ。
その「勘違い」ってなんなの?
私の言っていた「勘違い」は、レイが私を好きなのでは・・・という、恥ずかしい自惚れ。
レイの言っている「勘違い」は私と同じなのだろうか・・・
その事を確認しようとしたら、帝国からお仕事が送られてきて有耶無耶に・・・
そして、私は悶々と考え込み、レイは前帝から送られてきた大量の書類を捌いている。
私はレイを弟の様に見てきた。でも彼は自分は年上だからそれは成り立たないという。
確かにね。でも、見た目が子供だったから、可愛がっちゃうのは仕方がないと思うのよ。ホント!鼻息荒くなるほど可愛かったし!
だから、彼が日に日に変わっていく事に戸惑いしかなかった。なんで大きくなるの!?とさえ、思ったわよ。
小さかった数日は、まさに甘やかしの押し売りをしていた自覚もある。
自分は年上だから・・・って言ってたけど、やっぱりレイも私の事姉の様に思ってたんじゃないかな?
だから私がナニをしても、受け入れてくれてたのではないのかな?
でも、弟にはなりえないって・・・・
という事は、レイが兄?・・・・いやいや、無理があるよね。あの容姿じゃ。
・・・・・あぁぁぁぁ!!ループじゃ!無限ループじゃあ!!
これはレイに直接聞くしかない!
勘違いだったら、早い方が恥ずかしいだけで済むし。
その時の私は気付いていなかった。
レイの事を弟位にしか思っていないなら、ここまで気にすることは無い。聞き流せばいいのだから。
無意識とはいえ、レイが仕事をしているダイニングへと向かってまで真実を知りたいと思っていた。
その意味さえも深く考える事無く。
レイの臨時執務室はダイニングキッチン。
いつの間にか山積みになっている書類が置かれているのは、見るからに豪華で重厚感溢れるマホガニー材の机・・・ではない。
紫檀という高級木材ではあるが、ただのダイニングテーブル。
それが、レイが仕事をしているだけで、本来持っていたであろう高級感が滲み出る机に見えるのだから・・・現金な物よね。
私の視線など気付かないレイは、とてつもない速さで書類を捌いている。
思わず不思議な生き物を見る様に凝視していた私だったけど、取り敢えずお茶を入れてあげることにした。
因みにルリとスイは今、結界外の森をパトロール中。銀狼族がまだうろついていないか、超警戒中なのよ。
レイはコーヒーがお気に入り。
この世界には紅茶はあるけれど、コーヒーはない。でも、私の家にはあるのよね。
インスタントもあるし豆もある。勿論、コーヒーメーカーもあるわよ。私はコーヒー飲まないけど。
コーヒーよりお茶の方が好きだから、専ら淹れる方専門。
じゃあ、何であるのかと言えば、神様・・・もとい、両親が好きなのよ。
母神様は私の世界の神様で、この世界より色々と発展していて豊。
父神様は母神様と仲良くなってそれを知ったらしく、今ではコーヒーショップでも始められそうなくらい詳しい。
神様なのにコーヒーが好きだなんて、人間臭いなって思ったわ。
一緒に住んでいた時は、私はコーヒーを飲まない事に残念がっていたけど淹れ方だけは教わって、両親に出していたの。
実はルリとスイもコーヒーの虜になっちゃってて(彼女らは砂糖とミルクたっぷりだけどね)、レイにも飲ませちゃったのよ。
そしたらことのほか気に入ったみたいで、朝や仕事の合間に飲んでいる。今みたいな時は特にね。
私がそっとテーブルにコーヒーを置けば、レイは顔を上げ私だと気づけば嬉しそうに笑った。
くっそー!眩しい笑顔だわ・・・・
「ありがとう、エリ」
「いいえ。ねぇ、レイ」
「ん?」
「ちょっと聞きたい事があって・・・お仕事が終わってからでいいんだけど、時間貰えるかな?」
「かまわないよ。あとこの一枚で終わりだから・・・・」
早いな・・・と、驚く私を尻目に、ささっとサインをすると書類を揃え脇に寄せる。
そして立ち上がると、淹れたてのコーヒーと私の手を取ってソファーへと移動し始めた。
ここでもいいのに・・・という言葉は飲み込み、大人しく後について行くと、コーヒーをテーブルに置くや否や私の腰に手をまわし、あっという間に膝の上へと座らせたのだ。
「へ?」
あまりの早業に、何が起きたかわからなくて間抜けな声を上げた私に、レイは変わらず・・・いや、先程と同じ蕩ける様な笑みを浮かべ抱きしめてくる。
そして当然の様に、先程と同じように頬にキスをしてきた。
いや、ちょっと待て・・・何が起きているんだ?
勘違いって、やっぱり、えっと・・・そうなの!?
頭の中は真っ白になって、抵抗さえもできない私はただただ、ぎゅうぎゅうと抱きしめられるのを受け入れるしかできないでいた。
27
お気に入りに追加
346
あなたにおすすめの小説
王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~
石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。
食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。
そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。
しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。
何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。
扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。
女嫌いな辺境伯と歴史狂いの子爵令嬢の、どうしようもなくマイペースな婚姻
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「友好と借金の形に、辺境伯家に嫁いでくれ」
行き遅れの私・マリーリーフに、突然婚約話が持ち上がった。
相手は女嫌いに社交嫌いな若き辺境伯。子爵令嬢の私にはまたとない好条件ではあるけど、相手の人柄が心配……と普通は思うでしょう。
でも私はそんな事より、嫁げば他に時間を取られて大好きな歴史研究に没頭できない事の方が問題!
それでも互いの領地の友好と借金の形として仕方がなく嫁いだ先で、「家の事には何も手出し・口出しするな」と言われて……。
え、「何もしなくていい」?!
じゃあ私、今まで通り、歴史研究してていいの?!
こうして始まる結婚(ただの同居)生活が、普通なわけはなく……?
どうやらプライベートな時間はずっと剣を振っていたい旦那様と、ずっと歴史に浸っていたい私。
二人が歩み寄る日は、来るのか。
得意分野が文と武でかけ離れている二人だけど、マイペース過ぎるところは、どこか似ている?
意外とお似合いなのかもしれません。笑
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。
櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。
夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。
ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。
あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ?
子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。
「わたくしが代表して修道院へ参ります!」
野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。
この娘、誰!?
王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。
主人公は猫を被っているだけでお転婆です。
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。
「あなたのことはもう忘れることにします。 探さないでください」〜 お飾りの妻だなんてまっぴらごめんです!
友坂 悠
恋愛
あなたのことはもう忘れることにします。
探さないでください。
そう置き手紙を残して妻セリーヌは姿を消した。
政略結婚で結ばれた公爵令嬢セリーヌと、公爵であるパトリック。
しかし婚姻の初夜で語られたのは「私は君を愛することができない」という夫パトリックの言葉。
それでも、いつかは穏やかな夫婦になれるとそう信じてきたのに。
よりにもよって妹マリアンネとの浮気現場を目撃してしまったセリーヌは。
泣き崩れ寝て転生前の記憶を夢に見た拍子に自分が生前日本人であったという意識が蘇り。
もう何もかも捨てて家出をする決意をするのです。
全てを捨てて家を出て、まったり自由に生きようと頑張るセリーヌ。
そんな彼女が新しい恋を見つけて幸せになるまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる