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まだ夜も明けきらぬ時間に、私はルリに起こされた。
これからアーンバル帝国へ発つのだという言うではないか。
そして初めて起きている黒龍と対面する。
ルリ達が言っていた通り、美しい琥珀色の瞳をしていて、思わず見惚れてしまったわ。
黒龍は、まずは助けてもらったことに礼を言い、迷惑をかけてしまった事、ルリにアーンバル帝国へと使いを頼んでしまう事を謝罪した。
「ルリが行くと判断したのであれば、それは尊重します。ただ、詳しい事はちゃんと説明してもらいますからね」
『承知した』
ルリ達が兎の姿で人の言葉を話しているのを何度か見ているけど、正直あまり慣れていない。超可愛いけどね!
黒龍が人の言葉を話しているのも、当然の事だけれど慣れない。
嫌悪感はないのよ。どちらかと言えば不思議な感じかな。
あぁ、今はそんな事考えている場合ではなかったわ。
時間がないから、ルリにいくつかのアイテムを渡した。
ウエストポーチと腕輪と指輪だ。
「ウエストポーチは無限収納になってるわ。食料から医療品など必要なものはみんな入れていって。あと腕輪は防御魔法を付与してる。不意打ちだろうが何だろうが全て相手に跳ね返しちゃうから。それと指輪は転移場所の目印をつけるフラグよ。アーンバル帝国にすぐにでも転移できるよう適当なところにフラグを立ててきてね。その指輪で帰りはルリもここまで転移で帰ってこれるわよ。ネックレス同様、これらのアイテムが誰かに奪われたり紛失しても、自動的に手元に戻ってくるようにしてあるから」
次々と出してくるアイテムに、ルリとスイは開いた口が塞がらない。
「エ・・エリ様・・・いつの間にそのような物を・・・」
「あぁ、暇な時にちょっとね。ほら、私の居たトコは、そういう想像力が豊かな人たちが沢山いてね、それを実際に作れないか試してたのよ」
姉妹は私がいた世界の話を興味津々で聞いていてくれてた。
ココとは違って魔法などはないけれど、科学と言いうものが発展している事。
また魔法がない分、それに関連した物の想像力が豊かな事などね。
あらましの事はすべて話してる。でも、ここまでとは思ってなかったみたい。目が零れ落ちそうなほど見開いているわ。可愛い!!
「まさか、ここまでとは・・・」
「これは、はっきり言って国宝に指定されてもおかしくない代物だわ・・・」
それを渡されたルリは恐れおののき、スイは一歩後ずさる。
「あら、そんなに大したものじゃないわよ。それにこれを使うのは、あなた達二人位なんだから、世には出さないわよ」
そう言いながら、簡単に作ったサンドイッチや果物など食料をカバンに入れていく。
「アーンバル帝国にはどのくらいで着くの?」
「はい。今日の夕方には着くかと思います」
「え?そんなに早く?」
思わずこの世界の地図を頭の中で広げる。
「・・・結構な距離よね・・・?」
「誰に鍛えられたと思っています?」
確かに・・・・神様達かなりのスパルタだったものね・・・
ルリは準備が整うとすぐに出発し、あっという間に暗闇の中に溶けていった。
しばらく闇を見つめていたけど、気持ちを切り替え黒龍へと振り返る。
「さてと、詳しく聞かせてもらうわよ」
既に眼が冴えてしまった私は黒龍の前に座り、綺麗な琥珀の瞳を正面から見据えた。
これからアーンバル帝国へ発つのだという言うではないか。
そして初めて起きている黒龍と対面する。
ルリ達が言っていた通り、美しい琥珀色の瞳をしていて、思わず見惚れてしまったわ。
黒龍は、まずは助けてもらったことに礼を言い、迷惑をかけてしまった事、ルリにアーンバル帝国へと使いを頼んでしまう事を謝罪した。
「ルリが行くと判断したのであれば、それは尊重します。ただ、詳しい事はちゃんと説明してもらいますからね」
『承知した』
ルリ達が兎の姿で人の言葉を話しているのを何度か見ているけど、正直あまり慣れていない。超可愛いけどね!
黒龍が人の言葉を話しているのも、当然の事だけれど慣れない。
嫌悪感はないのよ。どちらかと言えば不思議な感じかな。
あぁ、今はそんな事考えている場合ではなかったわ。
時間がないから、ルリにいくつかのアイテムを渡した。
ウエストポーチと腕輪と指輪だ。
「ウエストポーチは無限収納になってるわ。食料から医療品など必要なものはみんな入れていって。あと腕輪は防御魔法を付与してる。不意打ちだろうが何だろうが全て相手に跳ね返しちゃうから。それと指輪は転移場所の目印をつけるフラグよ。アーンバル帝国にすぐにでも転移できるよう適当なところにフラグを立ててきてね。その指輪で帰りはルリもここまで転移で帰ってこれるわよ。ネックレス同様、これらのアイテムが誰かに奪われたり紛失しても、自動的に手元に戻ってくるようにしてあるから」
次々と出してくるアイテムに、ルリとスイは開いた口が塞がらない。
「エ・・エリ様・・・いつの間にそのような物を・・・」
「あぁ、暇な時にちょっとね。ほら、私の居たトコは、そういう想像力が豊かな人たちが沢山いてね、それを実際に作れないか試してたのよ」
姉妹は私がいた世界の話を興味津々で聞いていてくれてた。
ココとは違って魔法などはないけれど、科学と言いうものが発展している事。
また魔法がない分、それに関連した物の想像力が豊かな事などね。
あらましの事はすべて話してる。でも、ここまでとは思ってなかったみたい。目が零れ落ちそうなほど見開いているわ。可愛い!!
「まさか、ここまでとは・・・」
「これは、はっきり言って国宝に指定されてもおかしくない代物だわ・・・」
それを渡されたルリは恐れおののき、スイは一歩後ずさる。
「あら、そんなに大したものじゃないわよ。それにこれを使うのは、あなた達二人位なんだから、世には出さないわよ」
そう言いながら、簡単に作ったサンドイッチや果物など食料をカバンに入れていく。
「アーンバル帝国にはどのくらいで着くの?」
「はい。今日の夕方には着くかと思います」
「え?そんなに早く?」
思わずこの世界の地図を頭の中で広げる。
「・・・結構な距離よね・・・?」
「誰に鍛えられたと思っています?」
確かに・・・・神様達かなりのスパルタだったものね・・・
ルリは準備が整うとすぐに出発し、あっという間に暗闇の中に溶けていった。
しばらく闇を見つめていたけど、気持ちを切り替え黒龍へと振り返る。
「さてと、詳しく聞かせてもらうわよ」
既に眼が冴えてしまった私は黒龍の前に座り、綺麗な琥珀の瞳を正面から見据えた。
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