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「待って!じゃあ、サクラは俺じゃない男と結婚して家庭を築くってこと!?」
・・・・なんか一気に飛躍してるけど・・・・
「まぁ、将来的にはそうなる可能性もあるのかな?」
私がそう答えると、王子は正にこの世の終わりの様な顔をし、非常に残念な表情へと変化していった・・・・どのように変わっていったかは・・・本人の人権を尊重し控えさせて頂きます・・・
そんな王子の様子を見かね助け舟を出したのはリズだった。
「サーラ様、恐らくその未来予想図は叶わないものと思われます」
「え?何で!?」
「先ほども言いましたでしょう?貴女の重要性を」
「・・・・・・はっ!そうだった!私、狙われてるんだった!」
私にとっては、忘れてしまいたい現実を突きつけられてしまう。
名前云々で騒いでたら、ついついうっかり忘れてたわ・・・・
そんな私を、こいつ馬鹿じゃないの?ってな目で見るリズ。えぇえぇ、危機感なくてすみませんね!
「サーラ様は顔だけではなく、そのオツムも真っ平らで機能していないのですね」
厭味ったらしい溜息と一緒に呟かれた一言に、悔しいけどぐうの音も出ない。
思わず地団駄を踏み、リズを睨み付けた。
「兎に角、町で働くことはできません。貴女がどうしても早死にしたいというのであれば、止めはしませんが」
「うぐっ・・・・」
痛いとこを突かれ口を噤む私とは反対に、アリオスはいつにもましてキラキラを倍増させながらリズに尊敬のまなざしを向けていた。
次第に遠のいていく自立への道。
項垂れる私にリズは「別に自立への道は一つではないでしょう」と、呆れ顔を前面に出しながらも、相変わらず馬鹿な子を見るような眼で私を見る。
その視線が本当に、色んな意味で悲しい・・・リズの言う事が正論であればあるほどにね。
確かに道は一つではない。この城内での下働きとか、色々仕事はあるはずだ。だから・・・・ほかの道が結婚とか、言わないよね?
「取り敢えず、働くのは城内にしていただきます。王子の世話係という事で。で、個人的にはお友達から始めてください」
「え?世話係!?下働きじゃなくて?」
「お友達?恋人じゃなくて!?」
私と王子がそれぞれの反応を返す中、リズは本当に面倒くさそうに私らを睥睨するように、見た。
背後にはブリザードが見えた気がしたのは・・・多分、幻ではないと思う。
だって、確実に室内の温度が下がったものっ!
「私にしてみれば二人の関係なんてどーでもいいんですよ。面倒くさい。ただ、私を含め国民が戦争に巻き込まれ大変な思いをするのが嫌なのです。わかりました!?」
リズさん、いつも以上に怖いんですけど・・・
そんな思いを飲み込み、有無を言わせぬ言葉の強さと冷たい眼差しに、私たちはただただ頷くしかない。
「だったらいつまでもグダグダ我侭言わない。王子は国の為に働きなさい。サーラ様も働きたいのであれば、ただの穀潰しになり果てる前に己の存在価値を示しなさい!」
「「はいっ!!」」
私たち二人は背筋を伸ばし、勢いよく返事を返した。
誰が偉い人なのか・・・わからないくらい混沌としてきた・・・
だけれど私の本能が告げる・・・リズには逆らっちゃいけないよ・・・と。
そんなこんなで、全てリズが仕切り収めてしまった。
あれだけ悩んでいた私は一体、何だったのか・・・と思ってしまうけど・・・
でも、彼が私の力を目的に求婚してきたのではない事が分かっただけでも、私は嬉しかった。
この関係がこれからどう進むのかはわからないけれど、取り敢えずお友達から始める事にした私とアリオス。
私の望まない方向へと進まない事を祈りつつ、今までの延長線上とはいえ、自分の居場所を確保できた事にほっと胸を撫で下ろした。
そして、それから数日後だった。
実は、リズはリゾレットという名のアリオスの腹違いの妹で、この国の最強の一人と謳われるほどの魔法使いであるという事を知ったのは・・・
・・・・なんか一気に飛躍してるけど・・・・
「まぁ、将来的にはそうなる可能性もあるのかな?」
私がそう答えると、王子は正にこの世の終わりの様な顔をし、非常に残念な表情へと変化していった・・・・どのように変わっていったかは・・・本人の人権を尊重し控えさせて頂きます・・・
そんな王子の様子を見かね助け舟を出したのはリズだった。
「サーラ様、恐らくその未来予想図は叶わないものと思われます」
「え?何で!?」
「先ほども言いましたでしょう?貴女の重要性を」
「・・・・・・はっ!そうだった!私、狙われてるんだった!」
私にとっては、忘れてしまいたい現実を突きつけられてしまう。
名前云々で騒いでたら、ついついうっかり忘れてたわ・・・・
そんな私を、こいつ馬鹿じゃないの?ってな目で見るリズ。えぇえぇ、危機感なくてすみませんね!
「サーラ様は顔だけではなく、そのオツムも真っ平らで機能していないのですね」
厭味ったらしい溜息と一緒に呟かれた一言に、悔しいけどぐうの音も出ない。
思わず地団駄を踏み、リズを睨み付けた。
「兎に角、町で働くことはできません。貴女がどうしても早死にしたいというのであれば、止めはしませんが」
「うぐっ・・・・」
痛いとこを突かれ口を噤む私とは反対に、アリオスはいつにもましてキラキラを倍増させながらリズに尊敬のまなざしを向けていた。
次第に遠のいていく自立への道。
項垂れる私にリズは「別に自立への道は一つではないでしょう」と、呆れ顔を前面に出しながらも、相変わらず馬鹿な子を見るような眼で私を見る。
その視線が本当に、色んな意味で悲しい・・・リズの言う事が正論であればあるほどにね。
確かに道は一つではない。この城内での下働きとか、色々仕事はあるはずだ。だから・・・・ほかの道が結婚とか、言わないよね?
「取り敢えず、働くのは城内にしていただきます。王子の世話係という事で。で、個人的にはお友達から始めてください」
「え?世話係!?下働きじゃなくて?」
「お友達?恋人じゃなくて!?」
私と王子がそれぞれの反応を返す中、リズは本当に面倒くさそうに私らを睥睨するように、見た。
背後にはブリザードが見えた気がしたのは・・・多分、幻ではないと思う。
だって、確実に室内の温度が下がったものっ!
「私にしてみれば二人の関係なんてどーでもいいんですよ。面倒くさい。ただ、私を含め国民が戦争に巻き込まれ大変な思いをするのが嫌なのです。わかりました!?」
リズさん、いつも以上に怖いんですけど・・・
そんな思いを飲み込み、有無を言わせぬ言葉の強さと冷たい眼差しに、私たちはただただ頷くしかない。
「だったらいつまでもグダグダ我侭言わない。王子は国の為に働きなさい。サーラ様も働きたいのであれば、ただの穀潰しになり果てる前に己の存在価値を示しなさい!」
「「はいっ!!」」
私たち二人は背筋を伸ばし、勢いよく返事を返した。
誰が偉い人なのか・・・わからないくらい混沌としてきた・・・
だけれど私の本能が告げる・・・リズには逆らっちゃいけないよ・・・と。
そんなこんなで、全てリズが仕切り収めてしまった。
あれだけ悩んでいた私は一体、何だったのか・・・と思ってしまうけど・・・
でも、彼が私の力を目的に求婚してきたのではない事が分かっただけでも、私は嬉しかった。
この関係がこれからどう進むのかはわからないけれど、取り敢えずお友達から始める事にした私とアリオス。
私の望まない方向へと進まない事を祈りつつ、今までの延長線上とはいえ、自分の居場所を確保できた事にほっと胸を撫で下ろした。
そして、それから数日後だった。
実は、リズはリゾレットという名のアリオスの腹違いの妹で、この国の最強の一人と謳われるほどの魔法使いであるという事を知ったのは・・・
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