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今日は待ちに待った、アイザックと私の結婚式。
彼がこの国に来てから・・・・長かったわ。・・・・私だけが鈍感だったから、損した気分。
彼はこの国に来て直ぐにお父様に、私との結婚を願い出ていたらしい。
家族大好きお父様は、私がアイザックを異性として好きになったら考えると言っていたらしいわ。お父様らしい。
でも、外国人の彼を諜報部の統括に任命した時点で、この結婚はある意味決まっていた様なもの。
だって、他国の人間に国内の諜報部を任せる?危険よね。
でも、彼が私の王配となるなら話は別。これ以上ない程の私の強い味方になってくれるのだから。
私は共同国王を提案しているんだけれど、表立ってしまうと動きづらいとかで、あくまで王配として私を支えるスタイルを貫くのだそうだ。
まぁ、私としてはアイザックが側に居てくれるだけで嬉しいんだけどね。
私達の結婚式は、代々の王族が式を挙げてきた大聖堂で厳かに、そして盛大に執り行われた。
二大帝国は勿論の事、各国のお偉いさんがこぞって参列してくれたわ。
まぁ、当然よね。我が国は小国だけど、二大帝国と血縁という形で完璧に繋がっちゃったんだから。
私が結婚する少し前に、ミラも結婚したの。お相手はアイザックの右腕とも呼ばれている人で、昔からミラにべた惚れしていたのは有名な話だ。
ミラが何故このタイミングで結婚したのかと言うと、私の子の乳母になる為、らしい。・・・・どこまでも私に付いてきてくれる・・・何だか申し訳なく感じるわ。
私の事じゃなくて、ミラ自身の幸せの為の結婚をして欲しかったから。
それを彼女に伝えたら、
「トリス様のお傍に居る事が私の幸せなのです。ですから私は今、とても幸せなのです」
と、目をキラキラさせながら言われると、もう何も言えなくて、感謝の言葉しか出てこなかった。
そして数か月前、コーン伯爵家のミネルバ嬢が平民に嫁いだ。
アイザックとの熱い夜を過ごしたと豪語していたのだが、そのお相手と言うのが平民だったのだ。
確かにアイザックに似た群青色っぽい髪に青い瞳ではあったけど、容姿が全く違っていたのよね。
彼は花屋を営んでいて、たまたまミネルバ嬢に目を付けられたらしい。
アイザックに似た色を持っている彼。彼との間にできた子をアイザックの子とし、結婚を迫る予定だったのだろうけど・・・・ものすごい、捨て身の作戦よね・・・
一回だけの情交では子供は授からなかったらしく、何度か会っていたらしい。そうすれば当然、相手の男も本気になるでしょう。
いくら、貴族と平民のお金だけの関係でもね。
その事実をコーン伯爵に、世間話でもするかのように軽く暴露。そしてタイミングを計ったかのように、彼女の妊娠。
コーン伯爵家でどのような話し合いが持たれたかはわからないけれど、怒りを買った事は間違いないでしょうね。
当然のように、平民の彼の元へと嫁がされたのよ。
ミネルバ嬢以外のしつこい令嬢達三人も、裏で色々企んでいたらしくそれを公にされ、修道院に飛ばされたり平民に落されたり、いわく付きの貴族の後妻として嫁がされたりと・・・まぁ、本当に自業自得としか言いようがない。引き際って大事だと思うわ。
当然、彼女等の家にも何らかの罰は下されたわ。だって、元々は家ぐるみのアイザック争奪戦だったのだから。
色々な所でお掃除が済んで、すっきりとした気分での結婚式。
アイザックとミラには感謝してもしきれないくらいよ。
国民へのお披露目としてバルコニーから手を振れば、大地が揺れるほどの歓声が響き渡った。
国民にも歓迎された、この結婚。
感激のあまり涙が止まらない私を、困った様にそして幸せそうに抱きしめ、涙を拭いそっと口付けてくれるアイザック。
その瞬間、今度は黄色い悲鳴や歓声と共に『お幸せに!』と言う声が幾つも届く。
「あぁ・・・アイク、私、あなたと結婚出来て本当に幸せだわ」
「俺もだ。俺達は夫婦になったのだと、改めて実感が湧いてきたよ。愛しているよ、ベアトリス」
「ふふふ・・私もよ。アイザック」
お互いに愛を囁き合い、もう一つ口付けを交わし国民に手を振りバルコニーを後にした。
二人手を取り合い控室へと向かい、儀式用の衣装を脱ぎ疲れたようにソファーへと沈む。
「・・・・感動したけど・・・疲れたわ・・・」
「あぁ・・・同じく。幸せだけど、疲れた・・・」
そう、現実問題・・・私達は超疲れていた。
お日様が昇る前にたたき起こされ、磨かれ揉まれた。お陰で全身ツルピカだ。
そしてこの結婚式、一日では終わらない。なんせ世界各国からの要人を招いているのだから。
今日の夜は晩餐会を。明日は日中は主にお父様とお母様が要人をもてなし、夕方から舞踏会が開かれる。
三日目には、私達が彼等に感謝を伝える為のお茶会を主宰し、一応は終了・・・となるのだが、時間に余裕がある要人たちは、ここぞとばかりに他国との親交を深めようとあちこちで会談が行われるのだ。
「結婚式は嬉しいんだけど・・・いつ終わるのかな・・・」
「う~ん・・・今回は二大帝国の皇帝夫妻が直々に参列されてるからなぁ・・・あの方たちの滞在中は、終わらないだろうなぁ」
「おじい様とおばあ様も来られてるから・・・・」
まぁ、お忙しい皇帝陛下達だから、そんな長居はしないとは、思う・・・多分・・・
「はぁ・・・・・」
二人の溜息が重なり、顔を見合わせるとお互い噴出した。
「あ~あ、結婚式の夜は一応、初夜だろ?今夜は寝かせないぜ!的な事を言いたかったんだけどなぁ」
「ぶふっ!何言ってるの!・・・・その言葉は、結婚宣誓書にサインしたあの晩にも言ってたくせに」
「何回言っても良いんだよ。俺にとっては、ビーとこうして抱きしめ合える事が奇跡の様なものなんだから」
「・・・・どうせ私は鈍感よ・・・」
「今となってはそれも可愛いから、いいの。言葉の意味に気付いた時のあのビーの表情は、可愛い以外にないから」
「ぬぐぐぐ・・・アイクの意地悪」
そんな軽口を叩きながら寄り添っていると、無情にもミラが「お二人とも、お時間です。お支度を」と呼びに来た。
先にアイザックが立ち上がり、私へと手を伸ばす。
「さぁ、我が愛しい妻よ。もうひと頑張りしようか」
「ふふふ・・・そうね。愛しい旦那様、ずっと側に居てね」
お互いを励ます様に軽く口付け、それぞれの支度部屋へと向かったのだった。
アイザックの愛情はどんなに年を重ねても留まる事を知らない。
三男二女という五人もの子宝に恵まれたのはとても幸いな事だったが、王女達が二大帝国の皇太子に見初められたり、ふらりと旅に出た王太子がどこぞで嫁を見つけてきたり、王子二人が其々、他国へ武者修行に行くと言って出ていったっきり其処へ住み着いてしまったりと・・・平穏とはほど遠い未来が訪れる事を、当然の事だけれど私達は知らない。
今は想像もできない未来だけれど、でもきっとその先には幸せが待っているのだと私は確信しているから、楽しみながら大切な人達と歩いて行くの。
隣に愛するアイザックが居てくれれば、全てが輝いて見えるのだから。
完
*********
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!
彼がこの国に来てから・・・・長かったわ。・・・・私だけが鈍感だったから、損した気分。
彼はこの国に来て直ぐにお父様に、私との結婚を願い出ていたらしい。
家族大好きお父様は、私がアイザックを異性として好きになったら考えると言っていたらしいわ。お父様らしい。
でも、外国人の彼を諜報部の統括に任命した時点で、この結婚はある意味決まっていた様なもの。
だって、他国の人間に国内の諜報部を任せる?危険よね。
でも、彼が私の王配となるなら話は別。これ以上ない程の私の強い味方になってくれるのだから。
私は共同国王を提案しているんだけれど、表立ってしまうと動きづらいとかで、あくまで王配として私を支えるスタイルを貫くのだそうだ。
まぁ、私としてはアイザックが側に居てくれるだけで嬉しいんだけどね。
私達の結婚式は、代々の王族が式を挙げてきた大聖堂で厳かに、そして盛大に執り行われた。
二大帝国は勿論の事、各国のお偉いさんがこぞって参列してくれたわ。
まぁ、当然よね。我が国は小国だけど、二大帝国と血縁という形で完璧に繋がっちゃったんだから。
私が結婚する少し前に、ミラも結婚したの。お相手はアイザックの右腕とも呼ばれている人で、昔からミラにべた惚れしていたのは有名な話だ。
ミラが何故このタイミングで結婚したのかと言うと、私の子の乳母になる為、らしい。・・・・どこまでも私に付いてきてくれる・・・何だか申し訳なく感じるわ。
私の事じゃなくて、ミラ自身の幸せの為の結婚をして欲しかったから。
それを彼女に伝えたら、
「トリス様のお傍に居る事が私の幸せなのです。ですから私は今、とても幸せなのです」
と、目をキラキラさせながら言われると、もう何も言えなくて、感謝の言葉しか出てこなかった。
そして数か月前、コーン伯爵家のミネルバ嬢が平民に嫁いだ。
アイザックとの熱い夜を過ごしたと豪語していたのだが、そのお相手と言うのが平民だったのだ。
確かにアイザックに似た群青色っぽい髪に青い瞳ではあったけど、容姿が全く違っていたのよね。
彼は花屋を営んでいて、たまたまミネルバ嬢に目を付けられたらしい。
アイザックに似た色を持っている彼。彼との間にできた子をアイザックの子とし、結婚を迫る予定だったのだろうけど・・・・ものすごい、捨て身の作戦よね・・・
一回だけの情交では子供は授からなかったらしく、何度か会っていたらしい。そうすれば当然、相手の男も本気になるでしょう。
いくら、貴族と平民のお金だけの関係でもね。
その事実をコーン伯爵に、世間話でもするかのように軽く暴露。そしてタイミングを計ったかのように、彼女の妊娠。
コーン伯爵家でどのような話し合いが持たれたかはわからないけれど、怒りを買った事は間違いないでしょうね。
当然のように、平民の彼の元へと嫁がされたのよ。
ミネルバ嬢以外のしつこい令嬢達三人も、裏で色々企んでいたらしくそれを公にされ、修道院に飛ばされたり平民に落されたり、いわく付きの貴族の後妻として嫁がされたりと・・・まぁ、本当に自業自得としか言いようがない。引き際って大事だと思うわ。
当然、彼女等の家にも何らかの罰は下されたわ。だって、元々は家ぐるみのアイザック争奪戦だったのだから。
色々な所でお掃除が済んで、すっきりとした気分での結婚式。
アイザックとミラには感謝してもしきれないくらいよ。
国民へのお披露目としてバルコニーから手を振れば、大地が揺れるほどの歓声が響き渡った。
国民にも歓迎された、この結婚。
感激のあまり涙が止まらない私を、困った様にそして幸せそうに抱きしめ、涙を拭いそっと口付けてくれるアイザック。
その瞬間、今度は黄色い悲鳴や歓声と共に『お幸せに!』と言う声が幾つも届く。
「あぁ・・・アイク、私、あなたと結婚出来て本当に幸せだわ」
「俺もだ。俺達は夫婦になったのだと、改めて実感が湧いてきたよ。愛しているよ、ベアトリス」
「ふふふ・・私もよ。アイザック」
お互いに愛を囁き合い、もう一つ口付けを交わし国民に手を振りバルコニーを後にした。
二人手を取り合い控室へと向かい、儀式用の衣装を脱ぎ疲れたようにソファーへと沈む。
「・・・・感動したけど・・・疲れたわ・・・」
「あぁ・・・同じく。幸せだけど、疲れた・・・」
そう、現実問題・・・私達は超疲れていた。
お日様が昇る前にたたき起こされ、磨かれ揉まれた。お陰で全身ツルピカだ。
そしてこの結婚式、一日では終わらない。なんせ世界各国からの要人を招いているのだから。
今日の夜は晩餐会を。明日は日中は主にお父様とお母様が要人をもてなし、夕方から舞踏会が開かれる。
三日目には、私達が彼等に感謝を伝える為のお茶会を主宰し、一応は終了・・・となるのだが、時間に余裕がある要人たちは、ここぞとばかりに他国との親交を深めようとあちこちで会談が行われるのだ。
「結婚式は嬉しいんだけど・・・いつ終わるのかな・・・」
「う~ん・・・今回は二大帝国の皇帝夫妻が直々に参列されてるからなぁ・・・あの方たちの滞在中は、終わらないだろうなぁ」
「おじい様とおばあ様も来られてるから・・・・」
まぁ、お忙しい皇帝陛下達だから、そんな長居はしないとは、思う・・・多分・・・
「はぁ・・・・・」
二人の溜息が重なり、顔を見合わせるとお互い噴出した。
「あ~あ、結婚式の夜は一応、初夜だろ?今夜は寝かせないぜ!的な事を言いたかったんだけどなぁ」
「ぶふっ!何言ってるの!・・・・その言葉は、結婚宣誓書にサインしたあの晩にも言ってたくせに」
「何回言っても良いんだよ。俺にとっては、ビーとこうして抱きしめ合える事が奇跡の様なものなんだから」
「・・・・どうせ私は鈍感よ・・・」
「今となってはそれも可愛いから、いいの。言葉の意味に気付いた時のあのビーの表情は、可愛い以外にないから」
「ぬぐぐぐ・・・アイクの意地悪」
そんな軽口を叩きながら寄り添っていると、無情にもミラが「お二人とも、お時間です。お支度を」と呼びに来た。
先にアイザックが立ち上がり、私へと手を伸ばす。
「さぁ、我が愛しい妻よ。もうひと頑張りしようか」
「ふふふ・・・そうね。愛しい旦那様、ずっと側に居てね」
お互いを励ます様に軽く口付け、それぞれの支度部屋へと向かったのだった。
アイザックの愛情はどんなに年を重ねても留まる事を知らない。
三男二女という五人もの子宝に恵まれたのはとても幸いな事だったが、王女達が二大帝国の皇太子に見初められたり、ふらりと旅に出た王太子がどこぞで嫁を見つけてきたり、王子二人が其々、他国へ武者修行に行くと言って出ていったっきり其処へ住み着いてしまったりと・・・平穏とはほど遠い未来が訪れる事を、当然の事だけれど私達は知らない。
今は想像もできない未来だけれど、でもきっとその先には幸せが待っているのだと私は確信しているから、楽しみながら大切な人達と歩いて行くの。
隣に愛するアイザックが居てくれれば、全てが輝いて見えるのだから。
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