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一章
14 ジャイアントスパイダー
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■■■ジャイアントスパイダー視点
森の異変に気づいた時にはもう遅かった。いつの間にやら強い個体が縄張りを広げていったのだろう。強いものが現れれば弱いものは逃げるか戦って骸となるしかない。
ここ数日、餌となるモンスターが罠に一切掛からなくなっていた。こんなことは初めてのこと。長くこのエリアを縄張りとして生きてきたのだけど、どうやらここにも外敵の脅威が近づいているらしい。
種族的に罠を使い、基本的に待ちの姿勢であることから縄張りに対する意識というのは生まれながらにして高い。攻撃力は悲しいほどに無く、罠に掛かってなんとか眠らせた獲物を拘束し、ようやく安心してエネルギーを吸収することが出来る。
「様子を見に行くべきだろうか」
このままではどちらにしろじり貧なことは確か。飢えて死ぬぐらいなら多少の危険には目を瞑ってでも行動すべきだろう。モンスターである以上、強い者の糧となるのもまた一興。
生まれてから縄張りを離れて行動するということはなかったのだけど、何かの導きでもあるかのように人里のある方角へと歩き出してしまった。
すると、予想が当たったらしく目の前には何故か縄で縛られて動きを封じられているホーンラビットがいる。
この時の私は数日ぶりに見るご馳走を前にしてテンションマックス、浮かれていたのでしょう。よくよく考えてみれば人の手で取り押さえられたモンスター。私が食事を楽しんでいる頃には囲まれて討伐されかねないというのに。頭が追いついていませんでした。
それでもお腹が減ってもう疲れ果てていた私は気づいたらホーンラビットを糸で捕えてぐるぐるに縛り上げていました。巣に持ち帰ろうか、いや戻ってもあの周辺にはモンスターは残っていない。
「ならいっそのこと、ここを新しい巣にしてしまえばいいのではないでしょうか」
ご馳走を食べるための安全な巣を作る。それからは無心で糸を出しては罠を広げていき簡易的ではあるものの、人が何人か来たところでどうにも出来ないであろう規模の拠点を作り上げてしまった。
というか、ハイテンションな私は罠を確認しに来た人も美味しく頂いてしまおうとか、身の程知らずにもそう思っていたのです。
あの方が来るその時までは……。
「さあ、あの大木に私が用意したホーンラビットが……いませんね」
巣が完成してすぐに現れたのは男女二人組。どうやら女性の方が罠を仕掛けていたらしい。
女性の方は私の罠に既に掛かりかけている。あともう少しで眠らせることも出来そう。
しかしながら問題はそこではない。男の方だ。どうやっても糸が絡みつこうとしない。絡んでは解けていく。とても信じられないことだけどこの方は人でありながら私と同じ属性を持っていることになる。
人が暗黒属性を持つなんてことがあるのだろうか。見たところ至って普通の人。服装は魔法使いでもなければ戦士でもない。というか、あの格好は村人しかも農家ではないだろうか。
魔力量は少ない。しかしながら、包有する魔力は恐ろしいほどに濃密に感じる。これは同じ暗黒属性持ちだからこそわかることです。この方は絶対に敵に回してはならない。
そう判断した私はすぐに逃げようと行動に移しますが少しばかり遅かった。
「暗黒魔法、獄炎。周辺に絡みつく糸を全て燃やし尽くせ」
森の木々に繋がっていた糸は炎が燃え移ると溶けるように簡単に消え去ってしまう。
やっぱり暗黒魔法だ……。
その魔法の緻密さと美しさに見惚れていると思わず捕獲していたホーンラビットを落としてしまった。
し、しまった! こ、殺される。
「本体はそこにいたのか」
そのお方は、私の姿を確認すると攻撃するでもなく、どこか申し訳なさそうな顔までしている。
に、逃げなければ。
漆黒の炎が体に回ってくる前には全ての糸を切り離し、とにかくこの場所から離脱することを優先した。
逃げ足には多少は自信があった。ここは勝手知ったる森の中。しかも夜の闇に紛れることの出来る時間帯。木から木へと糸を飛ばしながら飛び移りを繰り返し、もう大丈夫かと後ろを確認したところ複数の暗黒魔法の濃密な気配が距離を置かず私を追っていた。
「そ、そんな。こんな数の追手が来ていたのに気づきもしなかったなんて……」
私はすぐに諦めて追手を迎えることにした。もう逃げても勝てないと理解している。私の姿が見つかった時点で、あの方の手のひらの上で踊らされていたのだ。
やってきたのは黒いスライムが五匹。もちろんただのスライムではない。凶悪で濃密な暗黒属性のスライムなんて未だかつて見たことがない。
「森の異変はあの方が勢力を拡大しているからだったのですね。そうと知らず森を荒らした私は命を捧げましょう」
八つある目を瞑り脚を前で組み、まるで神にでも祈るかのようにその時を待っていました。
ところが、黒いスライムはこう言うのです。
「主が謝ってたよー。お詫びにトマクの実をあげるね。これ魔力が含まれててとっても美味しいんだ」
えっ?
「いっぱいあるからまた持ってくるねー。あとね、村にはあんまり近づかない方がいいかも。特に今は村に変態がいるからね」
え、えっ?
殺されるのかと思っていたら何故か謝られ、しかも食料まで分けてくれるという。
あっ、美味しい。いや、めっちゃ美味しい。何これ。すっごく美味しい!
少し酸味のあるもののぷっくらと瑞々しく水分たっぷりの野菜。一口食べる事に体に力が入ってくる。この野菜にはかなり上質な魔力が含まれているのだろう。久しぶりのエネルギーに細胞が震えるほど喜んでいる。体に栄養がこれでもかとしみわたる感覚。
この野菜がまたもらえるというの……。
「じゃあねー。また来るよー」
仕事は終わったとばかりに凄まじいスピードで黒いスライムは私の前から去ってしまった。
「あ、あっ、ちょっと待って……」
あの黒いスライムたちはあの方の使い魔、いやモンスターなのだからテイムされているとみるべきか。あの方なら使役されてもいい。いや、是非とも使役されたい。
私は生かしてもらった。まずはあの方へのお礼を考えなければならない。何を贈れば喜んでもらえるだろうか。
そういえば、ホーンラビットを罠にしてモンスターを狩ろうとしていた。森に生息する魔物やモンスターを探していたのかもしれない。
それならば私はモンスターを探して献上しよう。きっとあの方に喜んでもらえるし、あの野菜もすぐもらえる。
あと、あれだ。私もテイムされよう。
森の異変に気づいた時にはもう遅かった。いつの間にやら強い個体が縄張りを広げていったのだろう。強いものが現れれば弱いものは逃げるか戦って骸となるしかない。
ここ数日、餌となるモンスターが罠に一切掛からなくなっていた。こんなことは初めてのこと。長くこのエリアを縄張りとして生きてきたのだけど、どうやらここにも外敵の脅威が近づいているらしい。
種族的に罠を使い、基本的に待ちの姿勢であることから縄張りに対する意識というのは生まれながらにして高い。攻撃力は悲しいほどに無く、罠に掛かってなんとか眠らせた獲物を拘束し、ようやく安心してエネルギーを吸収することが出来る。
「様子を見に行くべきだろうか」
このままではどちらにしろじり貧なことは確か。飢えて死ぬぐらいなら多少の危険には目を瞑ってでも行動すべきだろう。モンスターである以上、強い者の糧となるのもまた一興。
生まれてから縄張りを離れて行動するということはなかったのだけど、何かの導きでもあるかのように人里のある方角へと歩き出してしまった。
すると、予想が当たったらしく目の前には何故か縄で縛られて動きを封じられているホーンラビットがいる。
この時の私は数日ぶりに見るご馳走を前にしてテンションマックス、浮かれていたのでしょう。よくよく考えてみれば人の手で取り押さえられたモンスター。私が食事を楽しんでいる頃には囲まれて討伐されかねないというのに。頭が追いついていませんでした。
それでもお腹が減ってもう疲れ果てていた私は気づいたらホーンラビットを糸で捕えてぐるぐるに縛り上げていました。巣に持ち帰ろうか、いや戻ってもあの周辺にはモンスターは残っていない。
「ならいっそのこと、ここを新しい巣にしてしまえばいいのではないでしょうか」
ご馳走を食べるための安全な巣を作る。それからは無心で糸を出しては罠を広げていき簡易的ではあるものの、人が何人か来たところでどうにも出来ないであろう規模の拠点を作り上げてしまった。
というか、ハイテンションな私は罠を確認しに来た人も美味しく頂いてしまおうとか、身の程知らずにもそう思っていたのです。
あの方が来るその時までは……。
「さあ、あの大木に私が用意したホーンラビットが……いませんね」
巣が完成してすぐに現れたのは男女二人組。どうやら女性の方が罠を仕掛けていたらしい。
女性の方は私の罠に既に掛かりかけている。あともう少しで眠らせることも出来そう。
しかしながら問題はそこではない。男の方だ。どうやっても糸が絡みつこうとしない。絡んでは解けていく。とても信じられないことだけどこの方は人でありながら私と同じ属性を持っていることになる。
人が暗黒属性を持つなんてことがあるのだろうか。見たところ至って普通の人。服装は魔法使いでもなければ戦士でもない。というか、あの格好は村人しかも農家ではないだろうか。
魔力量は少ない。しかしながら、包有する魔力は恐ろしいほどに濃密に感じる。これは同じ暗黒属性持ちだからこそわかることです。この方は絶対に敵に回してはならない。
そう判断した私はすぐに逃げようと行動に移しますが少しばかり遅かった。
「暗黒魔法、獄炎。周辺に絡みつく糸を全て燃やし尽くせ」
森の木々に繋がっていた糸は炎が燃え移ると溶けるように簡単に消え去ってしまう。
やっぱり暗黒魔法だ……。
その魔法の緻密さと美しさに見惚れていると思わず捕獲していたホーンラビットを落としてしまった。
し、しまった! こ、殺される。
「本体はそこにいたのか」
そのお方は、私の姿を確認すると攻撃するでもなく、どこか申し訳なさそうな顔までしている。
に、逃げなければ。
漆黒の炎が体に回ってくる前には全ての糸を切り離し、とにかくこの場所から離脱することを優先した。
逃げ足には多少は自信があった。ここは勝手知ったる森の中。しかも夜の闇に紛れることの出来る時間帯。木から木へと糸を飛ばしながら飛び移りを繰り返し、もう大丈夫かと後ろを確認したところ複数の暗黒魔法の濃密な気配が距離を置かず私を追っていた。
「そ、そんな。こんな数の追手が来ていたのに気づきもしなかったなんて……」
私はすぐに諦めて追手を迎えることにした。もう逃げても勝てないと理解している。私の姿が見つかった時点で、あの方の手のひらの上で踊らされていたのだ。
やってきたのは黒いスライムが五匹。もちろんただのスライムではない。凶悪で濃密な暗黒属性のスライムなんて未だかつて見たことがない。
「森の異変はあの方が勢力を拡大しているからだったのですね。そうと知らず森を荒らした私は命を捧げましょう」
八つある目を瞑り脚を前で組み、まるで神にでも祈るかのようにその時を待っていました。
ところが、黒いスライムはこう言うのです。
「主が謝ってたよー。お詫びにトマクの実をあげるね。これ魔力が含まれててとっても美味しいんだ」
えっ?
「いっぱいあるからまた持ってくるねー。あとね、村にはあんまり近づかない方がいいかも。特に今は村に変態がいるからね」
え、えっ?
殺されるのかと思っていたら何故か謝られ、しかも食料まで分けてくれるという。
あっ、美味しい。いや、めっちゃ美味しい。何これ。すっごく美味しい!
少し酸味のあるもののぷっくらと瑞々しく水分たっぷりの野菜。一口食べる事に体に力が入ってくる。この野菜にはかなり上質な魔力が含まれているのだろう。久しぶりのエネルギーに細胞が震えるほど喜んでいる。体に栄養がこれでもかとしみわたる感覚。
この野菜がまたもらえるというの……。
「じゃあねー。また来るよー」
仕事は終わったとばかりに凄まじいスピードで黒いスライムは私の前から去ってしまった。
「あ、あっ、ちょっと待って……」
あの黒いスライムたちはあの方の使い魔、いやモンスターなのだからテイムされているとみるべきか。あの方なら使役されてもいい。いや、是非とも使役されたい。
私は生かしてもらった。まずはあの方へのお礼を考えなければならない。何を贈れば喜んでもらえるだろうか。
そういえば、ホーンラビットを罠にしてモンスターを狩ろうとしていた。森に生息する魔物やモンスターを探していたのかもしれない。
それならば私はモンスターを探して献上しよう。きっとあの方に喜んでもらえるし、あの野菜もすぐもらえる。
あと、あれだ。私もテイムされよう。
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