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45話 やられたらやり返すよね
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「ん……あ、あれっ、こ、ここは……。エ、エリーゼ先輩?」
不思議そうな顔をしながら、周囲を見渡すリリカ。まだ油断は出来ないが、トロンとした目ではなく、おそらくは洗脳が解けているような表情といってもいい。
「目が覚めたか?」
「あ、あの、あなたは? ここはどこですか? 私はいったい……」
あきらかに困惑した表情。目が覚めたら目の前にはお腹血だらけの男が立っていて、知っている顔と思われるエリーゼはぶっ倒れて気絶している。
全部お前がやったことだけどな。
「何か思い出せることはないか? そうだな、ルリカは今どこにいる」
「ル、ルリカ!? ルリカは……ルリカは、もういない。私たちは魔道具研究所で実験のため薬を飲まされていたの。薬に耐性のなかったルリカは、しばらくして死んでしまった」
くやしそうに話すその言葉からは、悲しさと怒りが入り混じっている。
「そうか……。辛いことを聞いてしまったな。リリカは、洗脳されて僕たちとここで戦っていた。おそらくだが、ルリカを助けるにはここでとれるドロップアイテムが必要とか言われていたのだろう」
散々ドロップアイテムを寄越せ言ってたからね。
「そ、そんな……。それじゃあ、エリーゼ先輩やあなたを、私が……」
「リリカ、嫌なら断ってもいいが魔道具研究所の場所を教えてもらえないか?」
「そんなことを知ってどうするつもりですか?」
「売られた喧嘩だ。買わない理由はないだろう。やり返すに決まっている」
少しだけ考える素振りをみせたが、すぐにリリカから返事が帰ってきた。洗脳された時の目ではない。これは覚悟を決めた目だな。
「そう、なら条件がある。私も連れていって。私はルリカの仇をとらなければならない」
「いいだろう。でも闇雲に暴れるなよ。魔道具研究所を潰せばいいという話ではない。裏で糸を引いている人間がいる。それが全てわかってからだ」
「わかった。それから、私には記憶が残っていないけど迷惑を掛けてしまった。ごめんなさい」
「洗脳されていたんだ。俺は気にしてないし、リリカも気にすることはない。でも、そうだな、エリーゼが目を覚ました時には謝るといい。一応気にかけていたようだしな」
「わかった」
さて、魔力が戻っていない現状でどう行動するべきか。日をあらためるか? しかしながら、それでは魔道具研究所に準備する時間を与えてしまうことになる。
「藍之助、私の魔力をあげようか?」
「フレデリカ、そんなことが出来るのか?」
「うん、問題ない。すぐに向かいたいんだろ? エビルゲートは私が見ててあげるから行ってくるといい」
「すまない、フレデリカ」
「じゃあ、魔力を渡すよ」
フレデリカの体から溢れるように出てくる魔力を両手に集めると、僕のお腹のあたりに移動していく。魔力が丹田に集まり蓄積されていくと僕の魔力と馴染んでいった。
「紫の君もおいで。君も魔力が空っぽだろう」
僕とSSランク級のリリカに魔力を与えても、まだ余裕のありそうなフレデリカ。やはりドラゴン、絶対に敵に回してはならない存在だろう。
「星那はエリーゼを家に連れて行ってくれ」
「で、でも……」
「大丈夫だ。すぐに戻ってくる」
「わ、わかりました、お兄さま。ご武運を」
何か言いたそうな星那だが、こうみえて僕もかなりイラついている。誰を敵に回したのかわからせてやろう。二度と歯向かおうと思わないほどにな。
さて、とりあえず朔丸と連絡をとるか。
さすがに月野さんに何も言わずに暴れるわけにもいかないだろう。
魔力通話を朔丸に向けて飛ばしていく。
『朔丸、少し話があるんだが……』
『あっ、実はですね……』
どうやら、朔丸も魔道具研究所に呼び出されているらしい。いや、正確には魔法少女サクラちゃんとしてだけど……。
とりあえず、リリカとルリカの情報を月野さんにも共有してもらい、朔丸とは魔道具研究所で合流することとなった。
「よし、リリカ。魔道具研究所に案内してくれ」
「うん、わかった」
不思議そうな顔をしながら、周囲を見渡すリリカ。まだ油断は出来ないが、トロンとした目ではなく、おそらくは洗脳が解けているような表情といってもいい。
「目が覚めたか?」
「あ、あの、あなたは? ここはどこですか? 私はいったい……」
あきらかに困惑した表情。目が覚めたら目の前にはお腹血だらけの男が立っていて、知っている顔と思われるエリーゼはぶっ倒れて気絶している。
全部お前がやったことだけどな。
「何か思い出せることはないか? そうだな、ルリカは今どこにいる」
「ル、ルリカ!? ルリカは……ルリカは、もういない。私たちは魔道具研究所で実験のため薬を飲まされていたの。薬に耐性のなかったルリカは、しばらくして死んでしまった」
くやしそうに話すその言葉からは、悲しさと怒りが入り混じっている。
「そうか……。辛いことを聞いてしまったな。リリカは、洗脳されて僕たちとここで戦っていた。おそらくだが、ルリカを助けるにはここでとれるドロップアイテムが必要とか言われていたのだろう」
散々ドロップアイテムを寄越せ言ってたからね。
「そ、そんな……。それじゃあ、エリーゼ先輩やあなたを、私が……」
「リリカ、嫌なら断ってもいいが魔道具研究所の場所を教えてもらえないか?」
「そんなことを知ってどうするつもりですか?」
「売られた喧嘩だ。買わない理由はないだろう。やり返すに決まっている」
少しだけ考える素振りをみせたが、すぐにリリカから返事が帰ってきた。洗脳された時の目ではない。これは覚悟を決めた目だな。
「そう、なら条件がある。私も連れていって。私はルリカの仇をとらなければならない」
「いいだろう。でも闇雲に暴れるなよ。魔道具研究所を潰せばいいという話ではない。裏で糸を引いている人間がいる。それが全てわかってからだ」
「わかった。それから、私には記憶が残っていないけど迷惑を掛けてしまった。ごめんなさい」
「洗脳されていたんだ。俺は気にしてないし、リリカも気にすることはない。でも、そうだな、エリーゼが目を覚ました時には謝るといい。一応気にかけていたようだしな」
「わかった」
さて、魔力が戻っていない現状でどう行動するべきか。日をあらためるか? しかしながら、それでは魔道具研究所に準備する時間を与えてしまうことになる。
「藍之助、私の魔力をあげようか?」
「フレデリカ、そんなことが出来るのか?」
「うん、問題ない。すぐに向かいたいんだろ? エビルゲートは私が見ててあげるから行ってくるといい」
「すまない、フレデリカ」
「じゃあ、魔力を渡すよ」
フレデリカの体から溢れるように出てくる魔力を両手に集めると、僕のお腹のあたりに移動していく。魔力が丹田に集まり蓄積されていくと僕の魔力と馴染んでいった。
「紫の君もおいで。君も魔力が空っぽだろう」
僕とSSランク級のリリカに魔力を与えても、まだ余裕のありそうなフレデリカ。やはりドラゴン、絶対に敵に回してはならない存在だろう。
「星那はエリーゼを家に連れて行ってくれ」
「で、でも……」
「大丈夫だ。すぐに戻ってくる」
「わ、わかりました、お兄さま。ご武運を」
何か言いたそうな星那だが、こうみえて僕もかなりイラついている。誰を敵に回したのかわからせてやろう。二度と歯向かおうと思わないほどにな。
さて、とりあえず朔丸と連絡をとるか。
さすがに月野さんに何も言わずに暴れるわけにもいかないだろう。
魔力通話を朔丸に向けて飛ばしていく。
『朔丸、少し話があるんだが……』
『あっ、実はですね……』
どうやら、朔丸も魔道具研究所に呼び出されているらしい。いや、正確には魔法少女サクラちゃんとしてだけど……。
とりあえず、リリカとルリカの情報を月野さんにも共有してもらい、朔丸とは魔道具研究所で合流することとなった。
「よし、リリカ。魔道具研究所に案内してくれ」
「うん、わかった」
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