41 / 49
41話 最終段階
しおりを挟む
今日も今日で丹田を広げる特訓がスタートしている。
一日おきに少しづつ広げていったエリーゼの丹田は、そろそろ限界が近づいてきているようだ。
とはいえ、一応、当初の魔力量の五倍近くになっている。五倍といえば凄そうだけど、元々が低いエリーゼの魔力なので増えたといってもその量は星那にも届かない。
それでも、おそらく月野さんレベルの魔力量まで何とか届きそうな勢いだ。それも最後の一回でどこまで広げられるかにかかっているだろう。
「魔力量も魔力出力も上がってるのに、エリーゼ、何でか魔法がいまいちですよね?」
「エリーゼは魔力変換が下手すぎるからな。せっかく出力を上げても魔法が残念ではどうしようもない」
相変わらずの芋虫ちっくな魔力の塊を思い出す。魔力変換の訓練は長くなりそうだ。
「くっ、辛辣ですよ。ボスがとても冷たいです」
「それでも、身体強化のスキルは手に入れたのだろう。そっちはスキルだから気にせず魔力も出力も使いまくれるんだ。多分、Aランク程度の魔法少女となら十分殴りあえるぞ」
ドーピングの効果により、エリーゼは身体強化のスキルを獲得した。何個ドロップアイテムを飲み込んだのかちゃんとは数えてないけど、百はゆうに超えていたはず。
そして、エリーゼにとって幸運だったのは、これが魔法でなくスキルだったことだろう。
「殴る蹴るだけでは、魔法少女としての華がないのですよ。せっかく魔力がアップしたのに必殺技ですら、少ししか強化されてないのです」
エリーゼの必殺技、スーパープリティレインボーアタックもステッキなしで何とか発動することに成功している。
しかしながら以前と比べて大して強化されていない。これもステッキの弊害なのか、単純にエリーゼの魔力変換の下手さがそうさせているのかはよくわからない。
「魔力変換の訓練は続けていくしかないだろうな。魔力通話は出来るようになったんだろう?」
「距離が離れると聞こえづらいですけど、御剣島内であればバッチりです!」
「とりあえず、明日で丹田を広げるのは最後になる。さすがにかなりの魔力を丹田にこめることになるから、少なくとも午前中はエリーゼがイフリートも倒せよ」
「に、二体までなら大丈夫な気もしますが、それ以上は無理ですよ」
「数が多かったら少しは僕も手伝う。といっても足止め程度しか期待するなよ。午前中いっぱいフレデリカは料理の勉強で来れないらしいしな」
イフリートも二体以上で現れるのは稀なケースなので大丈夫だとは思うが、僕も魔力回復のお茶を飲みながら対処しようとは思っている。
本来であれば朱里姉さんに来てもらいたいところだけど、日中は子供たちに勉強を教えているしな……。
夕方からは魔導飛行機やステッキの研究をお願いしているし、何気に御剣島で一番忙しいのは朱里姉さんかもしれない。まあ、本人の趣味とも一致しているので苦ではなさそうだけど。
ちなみに、星那と母さんはフレデリカの料理勉強会の講師なので午前中は来れない。
「明日の午前中、イフリートがいっぱい出ないように祈ってるです。まだ試してはいないけどフレデリカの結界も今日の夜には完成するですよね?」
「うん、そんなことを言ってたな」
期待をしてはいけないのだろうが、フレデリカの結界がエビルゲートを中心に今夜には完成する予定だ。だからこそのお料理勉強会なのだろう。フレデリカも楽しみにしていたからな。
様子を見てみなければ何とも言えないが、イフリートが結界内から出られずに時間を稼げるようなら、その数が増えても順番に倒していけばいいので安心だ。
結界自体も追加魔力で強度補充が可能らしいので、様子を見ながら週一で魔力を込めておけば大丈夫じゃないかなとか言っていた。
「ボスが真似できない結界魔法とか珍しいですね」
「あれはドラゴンにしかできない結界魔法みたいだからな。でも、仕組みは理解できているから、その内に再現してみようとは思っている」
結界の中央部にドラゴンの鱗が一枚設置されている。この鱗から結界の強度情報だったり、維持するための追加魔力などを補っているらしい。
つまり、鱗で結界の管理を遠隔操作しているということらしいのだが、そのあたりはまだよく分かっていない。ただ、魔力が少なくなったら鱗に魔力を補充することで永遠に効果が続くのだという。
ドラゴンの鱗がとても便利だ。
媒介となる物と管理機能を魔法で補えれば僕にも再現することは出来るのかもしれないけど、その媒介アイテムが思いつかない。
ひょっとしてら炎柱石にその可能性があるかもしれないとは思っている。魔導のエネルギーとして活用しようとしているが、この石には魔力エネルギーが蓄積されているのだ。媒介アイテムとしての可能性は高いかもしれない。
「僕も少しは研究してみるか……」
「ボス、サラマンダーが出てきました! エリーゼが、ぶん殴ってくるです」
「お、おう。頑張れ」
今日はそこまで筋肉痛が酷くないらしく、朝から順調に討伐していっている。あともう少しでエビルゲートの管理もエリーゼに任せられるかもしれない。もちろん、しばらくはフレデリカの力も必須になるだろうけども。
最後の一押しでどこまで強くなれるかわからないが、月野さんを少し超える程度はかたいだろう。あとは、魔力変換でどこまで底上げ出来るかにかかっている。なんとか、一人でも任せられるぐらいにはなってもらいたい。
そうして、翌日は最後の丹田拡大のため、僕のほとんどの魔力をエリーゼにぶち込んでいた。
その魔法少女が来たのはそんな最悪のタイミングだった。
一日おきに少しづつ広げていったエリーゼの丹田は、そろそろ限界が近づいてきているようだ。
とはいえ、一応、当初の魔力量の五倍近くになっている。五倍といえば凄そうだけど、元々が低いエリーゼの魔力なので増えたといってもその量は星那にも届かない。
それでも、おそらく月野さんレベルの魔力量まで何とか届きそうな勢いだ。それも最後の一回でどこまで広げられるかにかかっているだろう。
「魔力量も魔力出力も上がってるのに、エリーゼ、何でか魔法がいまいちですよね?」
「エリーゼは魔力変換が下手すぎるからな。せっかく出力を上げても魔法が残念ではどうしようもない」
相変わらずの芋虫ちっくな魔力の塊を思い出す。魔力変換の訓練は長くなりそうだ。
「くっ、辛辣ですよ。ボスがとても冷たいです」
「それでも、身体強化のスキルは手に入れたのだろう。そっちはスキルだから気にせず魔力も出力も使いまくれるんだ。多分、Aランク程度の魔法少女となら十分殴りあえるぞ」
ドーピングの効果により、エリーゼは身体強化のスキルを獲得した。何個ドロップアイテムを飲み込んだのかちゃんとは数えてないけど、百はゆうに超えていたはず。
そして、エリーゼにとって幸運だったのは、これが魔法でなくスキルだったことだろう。
「殴る蹴るだけでは、魔法少女としての華がないのですよ。せっかく魔力がアップしたのに必殺技ですら、少ししか強化されてないのです」
エリーゼの必殺技、スーパープリティレインボーアタックもステッキなしで何とか発動することに成功している。
しかしながら以前と比べて大して強化されていない。これもステッキの弊害なのか、単純にエリーゼの魔力変換の下手さがそうさせているのかはよくわからない。
「魔力変換の訓練は続けていくしかないだろうな。魔力通話は出来るようになったんだろう?」
「距離が離れると聞こえづらいですけど、御剣島内であればバッチりです!」
「とりあえず、明日で丹田を広げるのは最後になる。さすがにかなりの魔力を丹田にこめることになるから、少なくとも午前中はエリーゼがイフリートも倒せよ」
「に、二体までなら大丈夫な気もしますが、それ以上は無理ですよ」
「数が多かったら少しは僕も手伝う。といっても足止め程度しか期待するなよ。午前中いっぱいフレデリカは料理の勉強で来れないらしいしな」
イフリートも二体以上で現れるのは稀なケースなので大丈夫だとは思うが、僕も魔力回復のお茶を飲みながら対処しようとは思っている。
本来であれば朱里姉さんに来てもらいたいところだけど、日中は子供たちに勉強を教えているしな……。
夕方からは魔導飛行機やステッキの研究をお願いしているし、何気に御剣島で一番忙しいのは朱里姉さんかもしれない。まあ、本人の趣味とも一致しているので苦ではなさそうだけど。
ちなみに、星那と母さんはフレデリカの料理勉強会の講師なので午前中は来れない。
「明日の午前中、イフリートがいっぱい出ないように祈ってるです。まだ試してはいないけどフレデリカの結界も今日の夜には完成するですよね?」
「うん、そんなことを言ってたな」
期待をしてはいけないのだろうが、フレデリカの結界がエビルゲートを中心に今夜には完成する予定だ。だからこそのお料理勉強会なのだろう。フレデリカも楽しみにしていたからな。
様子を見てみなければ何とも言えないが、イフリートが結界内から出られずに時間を稼げるようなら、その数が増えても順番に倒していけばいいので安心だ。
結界自体も追加魔力で強度補充が可能らしいので、様子を見ながら週一で魔力を込めておけば大丈夫じゃないかなとか言っていた。
「ボスが真似できない結界魔法とか珍しいですね」
「あれはドラゴンにしかできない結界魔法みたいだからな。でも、仕組みは理解できているから、その内に再現してみようとは思っている」
結界の中央部にドラゴンの鱗が一枚設置されている。この鱗から結界の強度情報だったり、維持するための追加魔力などを補っているらしい。
つまり、鱗で結界の管理を遠隔操作しているということらしいのだが、そのあたりはまだよく分かっていない。ただ、魔力が少なくなったら鱗に魔力を補充することで永遠に効果が続くのだという。
ドラゴンの鱗がとても便利だ。
媒介となる物と管理機能を魔法で補えれば僕にも再現することは出来るのかもしれないけど、その媒介アイテムが思いつかない。
ひょっとしてら炎柱石にその可能性があるかもしれないとは思っている。魔導のエネルギーとして活用しようとしているが、この石には魔力エネルギーが蓄積されているのだ。媒介アイテムとしての可能性は高いかもしれない。
「僕も少しは研究してみるか……」
「ボス、サラマンダーが出てきました! エリーゼが、ぶん殴ってくるです」
「お、おう。頑張れ」
今日はそこまで筋肉痛が酷くないらしく、朝から順調に討伐していっている。あともう少しでエビルゲートの管理もエリーゼに任せられるかもしれない。もちろん、しばらくはフレデリカの力も必須になるだろうけども。
最後の一押しでどこまで強くなれるかわからないが、月野さんを少し超える程度はかたいだろう。あとは、魔力変換でどこまで底上げ出来るかにかかっている。なんとか、一人でも任せられるぐらいにはなってもらいたい。
そうして、翌日は最後の丹田拡大のため、僕のほとんどの魔力をエリーゼにぶち込んでいた。
その魔法少女が来たのはそんな最悪のタイミングだった。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる