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39話 筋肉痛ヤバい
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それにしてもフレデリカの実力は相当高い。昨日も現れたイフリートは話し合いが可能か確認だけすると、それはもうあっさりと瞬殺していった。
問答無用で、手のひらからとんでもない出力の火炎弾で吹き飛ばしていた。
魔法だけでなく、体術にも秀でているようで蹴り飛ばし、掌底、回し蹴りなど、イフリートを全く寄せつけなかった。
そして、暇を持て余したフレデリカは、エビルゲートが再び開くインターバル中はエリーゼと一緒に魔力変換をしながら遊んでいた。
フレデリカの操る魔力の塊は、僕ほど精密なものではなかったが、見た目にも鳥とわかるものだったし、周辺を飛び回ってみせたのだ。練習次第では、僕にもすぐに追いつくだろう。
ドラゴンなのだから、こんな細かな魔力変換に取り組む必要などない。そんなことをしなくても、その圧倒的な魔力でゴリ押しできてしまうのだから。
とはいえ、フレデリカ本人は楽しそうにしていたので良しとしよう。
あれっ、最強のドラゴンを更に強化してしまっているのか……。
いや、危害を加えることもなさそうだしいいのかな。
「エリーゼはフレデリカから体術を習うのがいいんじゃないか?」
「そ、そうですね。ドラゴンさんなのに何であんな綺麗な体術を扱えるのですかね」
「見様見真似ってやつだよ。向こうの世界でイフリート相手に、たまに手合わせをしていたからね」
なるほど、イフリートが力任せなのはフレデリカの影響もあるのかな。魔法を補助的にしか使わない傾向があるからねイフリート。
「フレデリカさえ良ければ教えてもらえないかな?」
「うん、構わないよ。でも、この魔力変換も楽しいから、こちらが一段落してからね」
「ありがとうございますフレデリカ師匠! エリーゼ頑張るです。全力出すのは、お腹の痛みがとれてからですけどね……」
エリーゼは絶賛、丹田の筋肉痛になっている。今、魔法を使おうとすれば、きっととんでもない痛みを伴うことだろう。
というわけで、魔力変換の訓練も死にそうな顔をしながら芋虫を操っている。
せめて、早く孵化させて蝶にでもして飛ばしてもらいたい。
「エリーゼの想像力と魔力変換は相当酷いな。どうやったら鳥が芋虫になるんだよ」
「い、芋虫じゃないですよ。ほ、ほら、背中に翼があるです」
確かに頭の横に小さなぴょこぴょこが付いている。だが、この位置では誰がどう見ても……。
「これは芋虫の触角じゃなかったのか?」
「だから芋虫じゃないですよ! 昨日よりも翼が大きくなってるです。明日には多分、きっと、メイビー、飛べる気がするです」
先はかなり長そうだ。
「エリーゼ、サラマンダーが出てきたぞ」
「ちょっ、……こ、今回は、パスでもいいですか? ほらっ、エリーゼお腹痛いし」
芋虫を消し去るとお腹を擦りながら、苦しそうにしている。
「却下だ。早く行ってこい」
「くっ、ボスの鬼畜ぅー!」
涙目になりながらも、力の秘薬を飲み込むとサラマンダーに向かっていった。
可哀想ではあるが、体を動かして慣らした方が回復も早い。筋肉痛がやわらいだら、すぐにまた丹田を広げる作業を繰り返さなければならない。
エリーゼがどこまで丹田を広げ、魔力を増やせるか次第でその作業は永遠と続いていく。
「こんな魔力の増やし方があったんだね。これは驚きだよ」
「フレデリカも知らなかったのか。朱里姉さんで五倍に増えたし、妹の星那でも三倍以上は増えたかな」
「私ももっと増える?」
「フレデリカは元々の魔力量が多いから、丹田を広げるための魔力が僕でも用意するのは厳しい気がするな」
「そうなのかー。残念」
こんなに魔力量があってもまだ強くなりたいものなのだろうか。
「でも、魔力変換を精密にしていけば、魔力消費を抑えられるようになるから、実質的には魔力量が上がるといってもいいんじゃないかな」
「そうか、そうか。うん、こういった訓練はとても面白くて勉強になるよ。藍之助からもっといろいろなことを吸収したいな」
とても勉強熱心なドラゴンさんだ。僕もフレデリカから体術を学ばせてもらおうかな。
視線の先ではエリーゼがお腹を押さえながらパンチを繰り出している。力を込めても、動いても、踏ん張ってもお腹にはどうしても力が入ってしまうので、苦悶の表情を浮かべながらの戦いだ。
「うぎゃぁぁぁー! は、早く、くたばれですよ」
「面白いドロップアイテムですね」
「力の秘薬ってやつで、身体能力を向上してくれるんだ」
エリーゼが力の秘薬を飲むのも何回目だろう。そろそろドーピング効果があってもいいような気もするが、能力が定着するのを楽しみに待っていようと思う。
問答無用で、手のひらからとんでもない出力の火炎弾で吹き飛ばしていた。
魔法だけでなく、体術にも秀でているようで蹴り飛ばし、掌底、回し蹴りなど、イフリートを全く寄せつけなかった。
そして、暇を持て余したフレデリカは、エビルゲートが再び開くインターバル中はエリーゼと一緒に魔力変換をしながら遊んでいた。
フレデリカの操る魔力の塊は、僕ほど精密なものではなかったが、見た目にも鳥とわかるものだったし、周辺を飛び回ってみせたのだ。練習次第では、僕にもすぐに追いつくだろう。
ドラゴンなのだから、こんな細かな魔力変換に取り組む必要などない。そんなことをしなくても、その圧倒的な魔力でゴリ押しできてしまうのだから。
とはいえ、フレデリカ本人は楽しそうにしていたので良しとしよう。
あれっ、最強のドラゴンを更に強化してしまっているのか……。
いや、危害を加えることもなさそうだしいいのかな。
「エリーゼはフレデリカから体術を習うのがいいんじゃないか?」
「そ、そうですね。ドラゴンさんなのに何であんな綺麗な体術を扱えるのですかね」
「見様見真似ってやつだよ。向こうの世界でイフリート相手に、たまに手合わせをしていたからね」
なるほど、イフリートが力任せなのはフレデリカの影響もあるのかな。魔法を補助的にしか使わない傾向があるからねイフリート。
「フレデリカさえ良ければ教えてもらえないかな?」
「うん、構わないよ。でも、この魔力変換も楽しいから、こちらが一段落してからね」
「ありがとうございますフレデリカ師匠! エリーゼ頑張るです。全力出すのは、お腹の痛みがとれてからですけどね……」
エリーゼは絶賛、丹田の筋肉痛になっている。今、魔法を使おうとすれば、きっととんでもない痛みを伴うことだろう。
というわけで、魔力変換の訓練も死にそうな顔をしながら芋虫を操っている。
せめて、早く孵化させて蝶にでもして飛ばしてもらいたい。
「エリーゼの想像力と魔力変換は相当酷いな。どうやったら鳥が芋虫になるんだよ」
「い、芋虫じゃないですよ。ほ、ほら、背中に翼があるです」
確かに頭の横に小さなぴょこぴょこが付いている。だが、この位置では誰がどう見ても……。
「これは芋虫の触角じゃなかったのか?」
「だから芋虫じゃないですよ! 昨日よりも翼が大きくなってるです。明日には多分、きっと、メイビー、飛べる気がするです」
先はかなり長そうだ。
「エリーゼ、サラマンダーが出てきたぞ」
「ちょっ、……こ、今回は、パスでもいいですか? ほらっ、エリーゼお腹痛いし」
芋虫を消し去るとお腹を擦りながら、苦しそうにしている。
「却下だ。早く行ってこい」
「くっ、ボスの鬼畜ぅー!」
涙目になりながらも、力の秘薬を飲み込むとサラマンダーに向かっていった。
可哀想ではあるが、体を動かして慣らした方が回復も早い。筋肉痛がやわらいだら、すぐにまた丹田を広げる作業を繰り返さなければならない。
エリーゼがどこまで丹田を広げ、魔力を増やせるか次第でその作業は永遠と続いていく。
「こんな魔力の増やし方があったんだね。これは驚きだよ」
「フレデリカも知らなかったのか。朱里姉さんで五倍に増えたし、妹の星那でも三倍以上は増えたかな」
「私ももっと増える?」
「フレデリカは元々の魔力量が多いから、丹田を広げるための魔力が僕でも用意するのは厳しい気がするな」
「そうなのかー。残念」
こんなに魔力量があってもまだ強くなりたいものなのだろうか。
「でも、魔力変換を精密にしていけば、魔力消費を抑えられるようになるから、実質的には魔力量が上がるといってもいいんじゃないかな」
「そうか、そうか。うん、こういった訓練はとても面白くて勉強になるよ。藍之助からもっといろいろなことを吸収したいな」
とても勉強熱心なドラゴンさんだ。僕もフレデリカから体術を学ばせてもらおうかな。
視線の先ではエリーゼがお腹を押さえながらパンチを繰り出している。力を込めても、動いても、踏ん張ってもお腹にはどうしても力が入ってしまうので、苦悶の表情を浮かべながらの戦いだ。
「うぎゃぁぁぁー! は、早く、くたばれですよ」
「面白いドロップアイテムですね」
「力の秘薬ってやつで、身体能力を向上してくれるんだ」
エリーゼが力の秘薬を飲むのも何回目だろう。そろそろドーピング効果があってもいいような気もするが、能力が定着するのを楽しみに待っていようと思う。
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