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22話 新生エリーゼちゃん2
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魔力の回復したエリーゼは、サラマンダーに先制攻撃を与える。自分の成長をみんなに見せたかったのだろう。攻撃は覚えたばかりの火属性魔法の連弾からだった。
「これが成長したエリーゼちゃんの力ですよぉ! くらえ、火炎弾 ファイアボール!」
二発、三発とサラマンダーに攻撃を与えていくエリーゼ。そういえば、サラマンダー相手に魔力たいして必要なかったんだっけ。力の秘薬による力任せのパンチで倒していた気がする。
そもそも、火属性魔法はサラマンダーには大して効果はないのだ。
「エ、エリーゼが、火属性魔法ですって!?」
驚いたのは、月野さん以下、信号機トリオだった。火属性魔法は攻撃力も高く、魔法少女としても花形の属性である。少なくとも新人Fランク魔法少女であるエリーゼに使える属性ではなかったはずなのだ。
「どういうこと? 新人ちゃんが強くなってるよ!」
「ふぇー、ふぇー!」
「な、なんで火属性魔法使えるのよ!?」
しかしながら、その後の攻撃は一転して泥くさくなる。なぜなら、エリーゼがサラマンダーを倒すには、力の秘薬を使ったドーピングラッシュしか手段がないからだ。
いや、スーパープリティレインボーアタック十回でもなんとか倒せるのか。
しかしながら、こちらの場合は魔力が空っぽになってしまう。すでに先制攻撃にファイアボールを使ってしまったエリーゼでは倒せない。
「あ、あの子、サラマンダーの尻尾を掴んでない?」
「い、いや、それより、直接殴ってるんだけど……」
「ふ、ふぇー、あ、熱くないのかなー。新人ちゃんって、とっても我慢強いのね……」
少し力をみせようとやらせてみたが、逆効果だったのか。みんなのエリーゼを見る目がちょっと引いている気がしないでもない。
一応サラマンダー相手に、そこそこ時間はかかっているものの、一方的に戦いを進めている。これぐらいの戦闘をみせられれば、安心してもらえるかと思ったのだが、何かミスったかもしれない。とはいえ、何とか一人で倒してみせたので良しとしよう。
「ボス、やってやりましたですよ! 最初の頃と比べたら時間も半分くらいで倒せてるです」
ドロップアイテムを片手に決めポーズをしていたエリーゼが満足そうに戻ってきた。
「おお、頑張ったな。ところで、エリーゼのお仲間さん達が、とてもびっくりしているようなんだが、何か心あたりはあるか?」
「魔法少女が新しい属性魔法を覚えるのは例がないですからね。光属性だけだったエリーゼちゃんが攻撃魔法の花形、火属性魔法を覚えていることにみんな驚いてるですよ」
そういうことか……。ドロップアイテムのことはまだ秘密にしておきたいし、適当に誤魔化しておかないと不味いな。
「さすがエリーゼだな! 御剣流火炎術をもうマスターしてしまうなんて、末恐ろしい魔法少女だ」
「ほえっ? 御剣流火炎?」
「い、いいから、適当に話を合わせておけ」
「い、いぇす、ボス!」
「御剣流火炎術ですって……。あ、藍之助くん、これはいったい?」
「御剣家に伝わる秘術です」
「その秘術は誰でも覚えることができるのかしら?」
「どうでしょうね。エリーゼ以外の魔法少女に試したことがないので何とも言えませんが」
「他の魔法少女にも教えてもらうことは?」
「申し訳ありませんが」
「エリーゼちゃん、秘術のこと私には教えてくれるわよね?」
「エリーゼ、話したら命はないものと思え」
「ほ、ほえっ!? こ、殺されるです」
「あらっ、随分と野蛮なことを言うのね。私は御剣家と仲良くしたいのだけどな」
「少なくとも、この異界の門に関しては協力するが、その他のことに関しては今後の関係構築次第でしょう」
エリーゼが話したらアイテムの効果をタダでバラされてしまう。エリーゼに話したのは少し迂闊だったか。
「月野様、エリーゼは、御剣家でとても良くしてもらってるです。そして、短期間ですごく強くしてもらいました。きっと、ここで門の管理を続けていればもっと強くなるです。わ、私は、魔法少女としては三流でしたが、ここで頑張れば一流になれるかもしれないです。だ、だから……」
「だから?」
「エリーゼは御剣家の味方をするです。そもそも最初に迷惑を掛けたのは政府です。もしも、エリーゼを魔法少女から追放するというなら、それでも構わないです。エリーゼは御剣島に亡命するです!」
いつの間にやらエリーゼの御剣島に対する好感度は爆上げされていたらしい。
星那と仲良くしていたのは知っていたが、国を捨ててまでとは思っていなかった。あっ、いや、国は一緒だったな一応。だから、亡命とは言わないか。
「ちょっ、待ちなさいエリーゼ。あなた、変な薬飲まされてないわよね?」
「や、や、や、やってないです! エリーゼ、薬ヤッテナイデスヨ」
「まあ、いいわ。何故か御剣家でもエリーゼの評価は高かったし、他にまわせる人材がいないのも事実よ。魔法少女の強化にはとても興味があるけど、ただで聞こうなんて図々しいわね。だから、エリーゼ、あなたは魔法少女として政府と御剣家の仲介役になりなさい」
「仲介役ですか……。わ、わかったです。そういうことなら、エリーゼ頑張るですよ」
「お兄さま、また、門が開きます」
見ると、そこには二体のイフリートが出てこようとしていた。月野さんなら一体ぐらいなら倒せそうか。
「月野さん、一体は任せてもいいか?」
「もちろんよ。あれがイフリートね」
「これが成長したエリーゼちゃんの力ですよぉ! くらえ、火炎弾 ファイアボール!」
二発、三発とサラマンダーに攻撃を与えていくエリーゼ。そういえば、サラマンダー相手に魔力たいして必要なかったんだっけ。力の秘薬による力任せのパンチで倒していた気がする。
そもそも、火属性魔法はサラマンダーには大して効果はないのだ。
「エ、エリーゼが、火属性魔法ですって!?」
驚いたのは、月野さん以下、信号機トリオだった。火属性魔法は攻撃力も高く、魔法少女としても花形の属性である。少なくとも新人Fランク魔法少女であるエリーゼに使える属性ではなかったはずなのだ。
「どういうこと? 新人ちゃんが強くなってるよ!」
「ふぇー、ふぇー!」
「な、なんで火属性魔法使えるのよ!?」
しかしながら、その後の攻撃は一転して泥くさくなる。なぜなら、エリーゼがサラマンダーを倒すには、力の秘薬を使ったドーピングラッシュしか手段がないからだ。
いや、スーパープリティレインボーアタック十回でもなんとか倒せるのか。
しかしながら、こちらの場合は魔力が空っぽになってしまう。すでに先制攻撃にファイアボールを使ってしまったエリーゼでは倒せない。
「あ、あの子、サラマンダーの尻尾を掴んでない?」
「い、いや、それより、直接殴ってるんだけど……」
「ふ、ふぇー、あ、熱くないのかなー。新人ちゃんって、とっても我慢強いのね……」
少し力をみせようとやらせてみたが、逆効果だったのか。みんなのエリーゼを見る目がちょっと引いている気がしないでもない。
一応サラマンダー相手に、そこそこ時間はかかっているものの、一方的に戦いを進めている。これぐらいの戦闘をみせられれば、安心してもらえるかと思ったのだが、何かミスったかもしれない。とはいえ、何とか一人で倒してみせたので良しとしよう。
「ボス、やってやりましたですよ! 最初の頃と比べたら時間も半分くらいで倒せてるです」
ドロップアイテムを片手に決めポーズをしていたエリーゼが満足そうに戻ってきた。
「おお、頑張ったな。ところで、エリーゼのお仲間さん達が、とてもびっくりしているようなんだが、何か心あたりはあるか?」
「魔法少女が新しい属性魔法を覚えるのは例がないですからね。光属性だけだったエリーゼちゃんが攻撃魔法の花形、火属性魔法を覚えていることにみんな驚いてるですよ」
そういうことか……。ドロップアイテムのことはまだ秘密にしておきたいし、適当に誤魔化しておかないと不味いな。
「さすがエリーゼだな! 御剣流火炎術をもうマスターしてしまうなんて、末恐ろしい魔法少女だ」
「ほえっ? 御剣流火炎?」
「い、いいから、適当に話を合わせておけ」
「い、いぇす、ボス!」
「御剣流火炎術ですって……。あ、藍之助くん、これはいったい?」
「御剣家に伝わる秘術です」
「その秘術は誰でも覚えることができるのかしら?」
「どうでしょうね。エリーゼ以外の魔法少女に試したことがないので何とも言えませんが」
「他の魔法少女にも教えてもらうことは?」
「申し訳ありませんが」
「エリーゼちゃん、秘術のこと私には教えてくれるわよね?」
「エリーゼ、話したら命はないものと思え」
「ほ、ほえっ!? こ、殺されるです」
「あらっ、随分と野蛮なことを言うのね。私は御剣家と仲良くしたいのだけどな」
「少なくとも、この異界の門に関しては協力するが、その他のことに関しては今後の関係構築次第でしょう」
エリーゼが話したらアイテムの効果をタダでバラされてしまう。エリーゼに話したのは少し迂闊だったか。
「月野様、エリーゼは、御剣家でとても良くしてもらってるです。そして、短期間ですごく強くしてもらいました。きっと、ここで門の管理を続けていればもっと強くなるです。わ、私は、魔法少女としては三流でしたが、ここで頑張れば一流になれるかもしれないです。だ、だから……」
「だから?」
「エリーゼは御剣家の味方をするです。そもそも最初に迷惑を掛けたのは政府です。もしも、エリーゼを魔法少女から追放するというなら、それでも構わないです。エリーゼは御剣島に亡命するです!」
いつの間にやらエリーゼの御剣島に対する好感度は爆上げされていたらしい。
星那と仲良くしていたのは知っていたが、国を捨ててまでとは思っていなかった。あっ、いや、国は一緒だったな一応。だから、亡命とは言わないか。
「ちょっ、待ちなさいエリーゼ。あなた、変な薬飲まされてないわよね?」
「や、や、や、やってないです! エリーゼ、薬ヤッテナイデスヨ」
「まあ、いいわ。何故か御剣家でもエリーゼの評価は高かったし、他にまわせる人材がいないのも事実よ。魔法少女の強化にはとても興味があるけど、ただで聞こうなんて図々しいわね。だから、エリーゼ、あなたは魔法少女として政府と御剣家の仲介役になりなさい」
「仲介役ですか……。わ、わかったです。そういうことなら、エリーゼ頑張るですよ」
「お兄さま、また、門が開きます」
見ると、そこには二体のイフリートが出てこようとしていた。月野さんなら一体ぐらいなら倒せそうか。
「月野さん、一体は任せてもいいか?」
「もちろんよ。あれがイフリートね」
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