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9話 ドロップアイテム
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「その三人が異界の門を開いた魔法少女か。寛人、すまないがこの三人を頼めるか?」
「かしこまりました冬獅郎様」
寛人叔父さんの家には魔力が使用できない結界部屋がある。しかも外側からしか鍵を開けられないので、罪人魔法少女には持ってこいの部屋だ。
「へ、変なことしたらプリズムパンチじゃすまないんだから」
「そ、そうよ! こ、この泥棒!」
「や、やめなよー」
何だよ、プリズムパンチって。みんながお前の必殺技知ってると思うなよ。って、さっきの遅いパンチか……。
エリーゼが「ひぇー」とか言ってるから、それなりに有名なのかもしれないけど。あの程度のパンチなら星那でも楽々避けられそうだ。
泥棒と言われているのは身体検査をした際に、こいつらが持っていたアイテムを回収させてもらったからだろう。捕虜のくせに生意気な奴らだ。
結界部屋は僕が小さい頃によく使っていた場所でもある。まだ魔力をしっかり制御出来なかった頃によくお世話になったものだ。魔力が暴走しそうになると、母さんに連れてこられては子守唄を歌ってもらっていた。
魔力を制御できない悔しさで、泣きじゃくっている僕を優しく撫でながら、眠りにつくまで、ずっと一緒にいてくれた。ちょっと恥ずかしくて、懐かしい思い出だ。
「エリーゼちゃん、あの頃の藍之助ったら泣き虫でね。それがまた母性本能をキュンキュンさせるほど可愛かったのよ」
「あ、藍之助が、泣き虫ですか。うわー、ちょーかわいいかもです」
「ちょ、母上、エリーゼに何を話してるんですか!?」
結構深刻な事態だと思うんだけど、それを全く感じさせないのが母さんの良いところでもある。御剣家においても、肝が据わってるというか動じない性格というか。家族を信頼している部分もあるんだろうけど、これはこれでみんなを落ち着かせる効果があるような気がしないでもない。
「藍之助、異界の門の状況は?」
「周辺に簡易的な結界魔法を張り、門はパワーバインドで開かないようにはしておきました」
「それなら異界の門はしばらくは大丈夫か。それで、ドロップアイテムについて鑑定は終わっているのか?」
「いいのですか?」
エリーゼの方を見てから父さんに確認をする。
「エリーゼさん、このことは他言無用で頼めるかな?」
「も、もちろんです」
「このアイテムの名前は炎の欠片と言うようです。集めることで火属性魔法の書に進化するようです。また、このアイテム単体でも武器と合わせることで火属性耐性が上昇します。直接身体に摂取することでも耐性は上がるようですね」
「ほう、直接摂取出来るというのは、ありがたい効果だな」
本土の魔法少女達が欲しがるドロップアイテムであることは間違いないだろう。火属性は攻撃魔法として高い威力を誇る花形属性だ。モンスターを相手に戦っている以上、喉から手が出るほど欲するアイテムのはずだ。
現在、もう一つの門から手に入るドロップアイテムといえば、魔法の種と力の秘薬、回復ポーション、あと精力剤だ。魔法の種については研究が進み、魔法適性を調べる接種薬、魔法少女の武器などにも流用されているとエリーゼが言っていた。専門の研究所とやらがあるらしい。また、種単体を摂取することで魔力が上がるというようなことはないらしい。
「それで、これが力の秘薬と回復ポーションか」
目の前には魔法少女達が持っていたアイテムを回収させてもらった。小さな瓶に入っていて、飲み薬として使用するらしい。また、直接体にかけても大丈夫らしいが、その効果は薄まるそうだ。
「精力剤は無いんだな」
「な、何で、任務に向かうのに精力剤が必要なのかな」
「それもそうか」
精力剤は、その名前の通り精力増強させるアイテムで、お年寄りに大人気のアイテムらしい。これは、討伐対象のオークの影響が色濃く出ているアイテムなのだろう。
このように、オークだけでも数種類のドロップアイテムがあるので、サラマンダーに関しても今後調べていく必要がありそうだ。
「藍之助、どうだ。気になる点はありそうか?」
「魔法の種ですね。どうやらこのアイテムは、乾燥させて粉にすることでその効果が変わるようです。煎じて飲むと魔力の回復に使えるようです」
「ほ、本当なのですか!?」
「エリーゼさん、藍之助は鑑定魔法が使えるんだよ」
「鑑定魔法を……信じられないです。ち、ちなみに、この情報は魔法省に伝えてもいいのかな?」
「政府との交渉が終わるまでは待ってもらおう。それが終われば構わない。魔法少女が本土に出現するモンスターを討伐しているのは知っている。少しでも役に立つなら不幸な出来事が減ることになるだろうしね」
「て、敵じゃなかったの?」
「敵ではないよ。ただ、政府と考え方が一致していないだけで、こちらの安寧を奪うような動きをするからには、それなりに痛い目にはあってもらおうかなと思うぐらいかな」
「やる気満々じゃないかな!?」
「当たり前だろ。もしも御剣家で抑えられないようなモンスターが出現してたら、真っ先にこの島の民から殺りくされる可能性があったんだ」
「エリーゼさん、異界の門が出現した以上は門の管理もしなければならない。月野女史はその為に君を派遣したんじゃなかったのか。場所が場所だけにね」
本土との領海にまたがる以上、協力が必要なことは理解したが、政府とまともに会話するつもりもない。ということで、月野派閥の人間と今後の管理について話をしていくつもりだ。人質の信号機トリオもいるし、政府が何か言ってきたとしても無視する。
「それでだね、エリーゼさん。このドロップアイテム、炎の欠片を飲んでみないかい?」
「かしこまりました冬獅郎様」
寛人叔父さんの家には魔力が使用できない結界部屋がある。しかも外側からしか鍵を開けられないので、罪人魔法少女には持ってこいの部屋だ。
「へ、変なことしたらプリズムパンチじゃすまないんだから」
「そ、そうよ! こ、この泥棒!」
「や、やめなよー」
何だよ、プリズムパンチって。みんながお前の必殺技知ってると思うなよ。って、さっきの遅いパンチか……。
エリーゼが「ひぇー」とか言ってるから、それなりに有名なのかもしれないけど。あの程度のパンチなら星那でも楽々避けられそうだ。
泥棒と言われているのは身体検査をした際に、こいつらが持っていたアイテムを回収させてもらったからだろう。捕虜のくせに生意気な奴らだ。
結界部屋は僕が小さい頃によく使っていた場所でもある。まだ魔力をしっかり制御出来なかった頃によくお世話になったものだ。魔力が暴走しそうになると、母さんに連れてこられては子守唄を歌ってもらっていた。
魔力を制御できない悔しさで、泣きじゃくっている僕を優しく撫でながら、眠りにつくまで、ずっと一緒にいてくれた。ちょっと恥ずかしくて、懐かしい思い出だ。
「エリーゼちゃん、あの頃の藍之助ったら泣き虫でね。それがまた母性本能をキュンキュンさせるほど可愛かったのよ」
「あ、藍之助が、泣き虫ですか。うわー、ちょーかわいいかもです」
「ちょ、母上、エリーゼに何を話してるんですか!?」
結構深刻な事態だと思うんだけど、それを全く感じさせないのが母さんの良いところでもある。御剣家においても、肝が据わってるというか動じない性格というか。家族を信頼している部分もあるんだろうけど、これはこれでみんなを落ち着かせる効果があるような気がしないでもない。
「藍之助、異界の門の状況は?」
「周辺に簡易的な結界魔法を張り、門はパワーバインドで開かないようにはしておきました」
「それなら異界の門はしばらくは大丈夫か。それで、ドロップアイテムについて鑑定は終わっているのか?」
「いいのですか?」
エリーゼの方を見てから父さんに確認をする。
「エリーゼさん、このことは他言無用で頼めるかな?」
「も、もちろんです」
「このアイテムの名前は炎の欠片と言うようです。集めることで火属性魔法の書に進化するようです。また、このアイテム単体でも武器と合わせることで火属性耐性が上昇します。直接身体に摂取することでも耐性は上がるようですね」
「ほう、直接摂取出来るというのは、ありがたい効果だな」
本土の魔法少女達が欲しがるドロップアイテムであることは間違いないだろう。火属性は攻撃魔法として高い威力を誇る花形属性だ。モンスターを相手に戦っている以上、喉から手が出るほど欲するアイテムのはずだ。
現在、もう一つの門から手に入るドロップアイテムといえば、魔法の種と力の秘薬、回復ポーション、あと精力剤だ。魔法の種については研究が進み、魔法適性を調べる接種薬、魔法少女の武器などにも流用されているとエリーゼが言っていた。専門の研究所とやらがあるらしい。また、種単体を摂取することで魔力が上がるというようなことはないらしい。
「それで、これが力の秘薬と回復ポーションか」
目の前には魔法少女達が持っていたアイテムを回収させてもらった。小さな瓶に入っていて、飲み薬として使用するらしい。また、直接体にかけても大丈夫らしいが、その効果は薄まるそうだ。
「精力剤は無いんだな」
「な、何で、任務に向かうのに精力剤が必要なのかな」
「それもそうか」
精力剤は、その名前の通り精力増強させるアイテムで、お年寄りに大人気のアイテムらしい。これは、討伐対象のオークの影響が色濃く出ているアイテムなのだろう。
このように、オークだけでも数種類のドロップアイテムがあるので、サラマンダーに関しても今後調べていく必要がありそうだ。
「藍之助、どうだ。気になる点はありそうか?」
「魔法の種ですね。どうやらこのアイテムは、乾燥させて粉にすることでその効果が変わるようです。煎じて飲むと魔力の回復に使えるようです」
「ほ、本当なのですか!?」
「エリーゼさん、藍之助は鑑定魔法が使えるんだよ」
「鑑定魔法を……信じられないです。ち、ちなみに、この情報は魔法省に伝えてもいいのかな?」
「政府との交渉が終わるまでは待ってもらおう。それが終われば構わない。魔法少女が本土に出現するモンスターを討伐しているのは知っている。少しでも役に立つなら不幸な出来事が減ることになるだろうしね」
「て、敵じゃなかったの?」
「敵ではないよ。ただ、政府と考え方が一致していないだけで、こちらの安寧を奪うような動きをするからには、それなりに痛い目にはあってもらおうかなと思うぐらいかな」
「やる気満々じゃないかな!?」
「当たり前だろ。もしも御剣家で抑えられないようなモンスターが出現してたら、真っ先にこの島の民から殺りくされる可能性があったんだ」
「エリーゼさん、異界の門が出現した以上は門の管理もしなければならない。月野女史はその為に君を派遣したんじゃなかったのか。場所が場所だけにね」
本土との領海にまたがる以上、協力が必要なことは理解したが、政府とまともに会話するつもりもない。ということで、月野派閥の人間と今後の管理について話をしていくつもりだ。人質の信号機トリオもいるし、政府が何か言ってきたとしても無視する。
「それでだね、エリーゼさん。このドロップアイテム、炎の欠片を飲んでみないかい?」
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