48 / 71
四十七話目 四人目の四天王
しおりを挟む
僕たちは、ゴブリンのいた森を後にして、騎士団に見つからないように川沿いを進み王都に戻っていた。
「よかったのか? レックス」
ちょっとソワソワしていたシュナちゃんが気にしていたのか声を掛けてきた。
「最初からそのつもりだったからね。僕の目的は英雄になることではないし、誰かに認められることでもない」
つい先程まで自分の腕の中にいたエリオは、ゴブリンのいた森に置いてきた。後は、マックスに扮したレイスのプリサイファが上手く演じてくれるはずだ。手柄はなるべくエリオに渡して、魔王討伐に突き進んでもらいたい。最終的には、それが僕がブンボッパ村に戻れることに繋がる。
「それにしても、レムちゃんのアイデアには驚いたよ。プリサイファを助けて味方につければ魔王討伐も早くなるってね」
「ふ、ふんっ、レックスのカリスマ性スキルを使えば、プリサイファは絶対に裏切れない。魔王を簡単に出し抜ける可能性がある。しかも、人族の貴族階級とイシス教にも伝手があるブリューナク男爵家を押さえているのは大きい」
ブリューナク男爵家には申し訳ないけど、魔王を倒すまでの間、僕たちの勢力下におかせてもらうことにした。一応、取り憑いた状態が長く続いても本体に影響はないということはプリサイファから聞いている。
「でも、あいつステータスが爆上がりしてるにゃ。魔王やリュカスにバレないかにゃ?」
「一応、イシス教に探りを入れるという名目で拠点を王都に置くことは部下を通じて伝えさせたんだ。なるべく魔王とは、直接合わないようにしようということにしている」
「魔王も勇者の情報を適度に入れれば、そう疑うこともないだろう。王都にいることを強みに感じさせればいい。そして、上手く情報を操作しながら、オークキングやリュカスを呼び出せばいいのだろう」
シュナちゃんの言う通り、次の標的はオークキング、オズワルドピグマン。魔王軍四天王の一人だ。ゴブリンキングより相当強いとプリサイファから情報をもらっている。あと、オズワルドピグマンの弱点も。
「丸焼きにしてやるにゃ!」
「あいつら、ブヒブヒうるせぇーんだよな」
「うむ、視線がエロいから気持ち悪いのだ」
かなり女性受けの悪いモンスターだということはわかった。ゴブリンしかり、オークも他種族でもお構いなく子孫を残すことが可能で、特に女性は捕まってしまうと短期間で何度も出産を行われるらしく、精神的にも体力的にも相当ダメージを受ける。というか、一ヶ月も持たずに体力が持たず死んでしまうだろう……。プリサイファ情報では、勇者が女ということでブヒブヒ言っていたらしい。うん、早めに殺さないとね。
今後の流れとしては、冒険者活動をしながら勇者パーティを追い掛け、四天王を撃破するお手伝いをさせてもらおうと思っている。
そう、冒険者だけど、難しい身分証の確認など必要でないことがわかったのだ。
アイミーとシュナちゃんは既にFランク冒険者のカードを持っている。僕とレムちゃんもこの後、登録するつもりでいる。やっぱり、ちゃんと門から街へ入りたいからね。これから他の街へ行くにも必要不可欠と思われるし、街に入れる冒険者カード素敵です。
「助かるよウサ吉。この薬草をギルドへ持っていけばお金になるのだよ」
ウサ吉達が、集めてきた薬草をシュナちゃんに渡していた。全員分あって、布製の袋には大量に詰め込まれている。
「薬草採取は常時依頼クエストって話だったよね。僕たちも登録がてらクエスト完了といこうか」
ちょっとずるではあるけど、Fランクにできるクエストは、採取系以外はお手伝い的なものが多いので、街の人とあまり関わりたくない僕らにとっては採取一択となる。
ブリューナク男爵家がバックにいるので、そうお金に困ることはないと思うけど、ある程度はギルドのランクは上げておきたい。低ランクのままだと馬鹿にされたり、変にちょっかいを掛けられることが多いらしい。
「じゃあ、さっさと登録を済ませて戻ろうか」
「バーカウンターにいる髭の奴らは臭いから気をつけた方がいいにゃ。無視しても絡んでくる面倒くさい奴らにゃ」
「冒険者というのは、誰にでもなれる。最初は一獲千金を夢見ていた者も、徐々に現実を知ることになる」
「それだけに、いつまでも低ランクの者は酒に溺れ、新人の足を引っばろうとするらしいにゃ」
「なるほど、そういうこともあるんだね」
古めかしく大きな扉を開くと、中から多くの視線を感じた。女の子三人と少年一人のパーティは目立つのかもしれない。冒険者になる女性って、とても少ないらしいからね。
「この間のお嬢ちゃんじゃねぇか……ひひっ。何だよ、すげー量しゃねぇか。薬草と雑草を間違えてないか、俺が調べてやるぜ、ひひっ」
「チェック代、百イシス払えよ」
「臭いから近寄るにゃ!」
「アイミー、会話するだけ無駄であろう。さあ、レックス殿、あちらが登録カウンターになる」
「おいおいおい、そっちの子供も新人かよ。よしっ、お前らの新人教育係は俺がやってやる。一日五百イシスでいいぜ」
こういう人達の取り締まりみたいなのって、冒険者ギルドでは見て見ぬふりなのだろうか。視線の先にいる受付のお姉さんはそっと目を逸らした……。いや、お姉さんに何とか出来るとは思ってないんだけどね。
「よかったのか? レックス」
ちょっとソワソワしていたシュナちゃんが気にしていたのか声を掛けてきた。
「最初からそのつもりだったからね。僕の目的は英雄になることではないし、誰かに認められることでもない」
つい先程まで自分の腕の中にいたエリオは、ゴブリンのいた森に置いてきた。後は、マックスに扮したレイスのプリサイファが上手く演じてくれるはずだ。手柄はなるべくエリオに渡して、魔王討伐に突き進んでもらいたい。最終的には、それが僕がブンボッパ村に戻れることに繋がる。
「それにしても、レムちゃんのアイデアには驚いたよ。プリサイファを助けて味方につければ魔王討伐も早くなるってね」
「ふ、ふんっ、レックスのカリスマ性スキルを使えば、プリサイファは絶対に裏切れない。魔王を簡単に出し抜ける可能性がある。しかも、人族の貴族階級とイシス教にも伝手があるブリューナク男爵家を押さえているのは大きい」
ブリューナク男爵家には申し訳ないけど、魔王を倒すまでの間、僕たちの勢力下におかせてもらうことにした。一応、取り憑いた状態が長く続いても本体に影響はないということはプリサイファから聞いている。
「でも、あいつステータスが爆上がりしてるにゃ。魔王やリュカスにバレないかにゃ?」
「一応、イシス教に探りを入れるという名目で拠点を王都に置くことは部下を通じて伝えさせたんだ。なるべく魔王とは、直接合わないようにしようということにしている」
「魔王も勇者の情報を適度に入れれば、そう疑うこともないだろう。王都にいることを強みに感じさせればいい。そして、上手く情報を操作しながら、オークキングやリュカスを呼び出せばいいのだろう」
シュナちゃんの言う通り、次の標的はオークキング、オズワルドピグマン。魔王軍四天王の一人だ。ゴブリンキングより相当強いとプリサイファから情報をもらっている。あと、オズワルドピグマンの弱点も。
「丸焼きにしてやるにゃ!」
「あいつら、ブヒブヒうるせぇーんだよな」
「うむ、視線がエロいから気持ち悪いのだ」
かなり女性受けの悪いモンスターだということはわかった。ゴブリンしかり、オークも他種族でもお構いなく子孫を残すことが可能で、特に女性は捕まってしまうと短期間で何度も出産を行われるらしく、精神的にも体力的にも相当ダメージを受ける。というか、一ヶ月も持たずに体力が持たず死んでしまうだろう……。プリサイファ情報では、勇者が女ということでブヒブヒ言っていたらしい。うん、早めに殺さないとね。
今後の流れとしては、冒険者活動をしながら勇者パーティを追い掛け、四天王を撃破するお手伝いをさせてもらおうと思っている。
そう、冒険者だけど、難しい身分証の確認など必要でないことがわかったのだ。
アイミーとシュナちゃんは既にFランク冒険者のカードを持っている。僕とレムちゃんもこの後、登録するつもりでいる。やっぱり、ちゃんと門から街へ入りたいからね。これから他の街へ行くにも必要不可欠と思われるし、街に入れる冒険者カード素敵です。
「助かるよウサ吉。この薬草をギルドへ持っていけばお金になるのだよ」
ウサ吉達が、集めてきた薬草をシュナちゃんに渡していた。全員分あって、布製の袋には大量に詰め込まれている。
「薬草採取は常時依頼クエストって話だったよね。僕たちも登録がてらクエスト完了といこうか」
ちょっとずるではあるけど、Fランクにできるクエストは、採取系以外はお手伝い的なものが多いので、街の人とあまり関わりたくない僕らにとっては採取一択となる。
ブリューナク男爵家がバックにいるので、そうお金に困ることはないと思うけど、ある程度はギルドのランクは上げておきたい。低ランクのままだと馬鹿にされたり、変にちょっかいを掛けられることが多いらしい。
「じゃあ、さっさと登録を済ませて戻ろうか」
「バーカウンターにいる髭の奴らは臭いから気をつけた方がいいにゃ。無視しても絡んでくる面倒くさい奴らにゃ」
「冒険者というのは、誰にでもなれる。最初は一獲千金を夢見ていた者も、徐々に現実を知ることになる」
「それだけに、いつまでも低ランクの者は酒に溺れ、新人の足を引っばろうとするらしいにゃ」
「なるほど、そういうこともあるんだね」
古めかしく大きな扉を開くと、中から多くの視線を感じた。女の子三人と少年一人のパーティは目立つのかもしれない。冒険者になる女性って、とても少ないらしいからね。
「この間のお嬢ちゃんじゃねぇか……ひひっ。何だよ、すげー量しゃねぇか。薬草と雑草を間違えてないか、俺が調べてやるぜ、ひひっ」
「チェック代、百イシス払えよ」
「臭いから近寄るにゃ!」
「アイミー、会話するだけ無駄であろう。さあ、レックス殿、あちらが登録カウンターになる」
「おいおいおい、そっちの子供も新人かよ。よしっ、お前らの新人教育係は俺がやってやる。一日五百イシスでいいぜ」
こういう人達の取り締まりみたいなのって、冒険者ギルドでは見て見ぬふりなのだろうか。視線の先にいる受付のお姉さんはそっと目を逸らした……。いや、お姉さんに何とか出来るとは思ってないんだけどね。
0
お気に入りに追加
371
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。
次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。
時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く――
――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。
※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。
※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。

成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~
m-kawa
ファンタジー
第5回集英社Web小説大賞、奨励賞受賞。書籍化します。
書籍化に伴い、この作品はアルファポリスから削除予定となりますので、あしからずご承知おきください。
【第七部開始】
召喚魔法陣から逃げようとした主人公は、逃げ遅れたせいで召喚に遅刻してしまう。だが他のクラスメイトと違って任意のスキルを選べるようになっていた。しかし選んだ成長率マシマシスキルは自分の得意なものが現れないスキルだったのか、召喚先の国で無職判定をされて追い出されてしまう。
一方で微妙な職業が出てしまい、肩身の狭い思いをしていたヒロインも追い出される主人公の後を追って飛び出してしまった。
だがしかし、追い出された先は平民が住まう街などではなく、危険な魔物が住まう森の中だった!
突如始まったサバイバルに、成長率マシマシスキルは果たして役に立つのか!
魔物に襲われた主人公の運命やいかに!
※小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しています。
※カクヨムにて先行公開中
鬼神転生記~勇者として異世界転移したのに、呆気なく死にました。~
月見酒
ファンタジー
高校に入ってから距離を置いていた幼馴染4人と3年ぶりに下校することになった主人公、朝霧和也たち5人は、突然異世界へと転移してしまった。
目が覚め、目の前に立つ王女が泣きながら頼み込んできた。
「どうか、この世界を救ってください、勇者様!」
突然のことに混乱するなか、正義感の強い和也の幼馴染4人は勇者として魔王を倒すことに。
和也も言い返せないまま、勇者として頑張ることに。
訓練でゴブリン討伐していた勇者たちだったがアクシデントが起き幼馴染をかばった和也は命を落としてしまう。
「俺の人生も……これで終わり……か。せめて……エルフとダークエルフに会ってみたかったな……」
だが気がつけば、和也は転生していた。元いた世界で大人気だったゲームのアバターの姿で!?
================================================
一巻発売中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる