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二十六話目 二人目の四天王
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「こ、こいつは危険だ……。今のうちに殺す。殺さなければならない。そこを退け、レムリア」
「い、いやだ」
「ど、退かぬなら、お前も一緒に殺すぞ。今のこいつからは脅威を感じない。殺すなら、今しかない。ど、退け!」
声が聞こえるけど、なんだかふわふわとした微睡みのような感覚の中にいる。
「何なんだよ、全くよ。全部アイミーのせいだからな。また俺を巻き込みやがって、くそったれ」
僕の意識は朦朧としており、とうやら、レムちゃんが隣で何か話をしていることぐらいしかわからない。
「退かぬというなら、仕方ない。レムリア、お前ごと、その魔王を殺す!」
リュカスから、急激な魔力の高まりを感じる。
「おいっ、レックス、俺の声が聞こえてるか!」
僕は何とか首を縦に振り、レムちゃんの声が聞こえていることを伝えた。
「よ、よしっ、よく聞けよ。今すぐ、カリスマ性のスキルを発動するんだ。と、とにかく急げ! わ、わかったな?……むぐっ」
よくわからないけど、その言葉はハッキリと聞こえて、その後すぐに僕の唇に柔らかいものがあたっていた。
そして僕は、意識が混濁とするなか、カリスマ性のスキルを発動させる。
アイミーに使った時のように、それはイメージするだけで、僕の体はピカピカに輝き始めているはずだ。
その光を目の前にいるレムちゃんに向かって放出する。そう、レムちゃんを二人目の四天王に。
「あ、あぅ、あぅ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
レムちゃんを抱きしめるように、スキルを放出する。
光が収束すると、そこには雰囲気の変わったレムちゃんがゆっくりと立ち上がっていた。
「そ、その、光は……。そ、それは、ユニークスキルなんだぞ。魔王様が無くしたカリスマ性のスキルを、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だぁぁぁ!」
カリスマ性のスキルはユニークスキルだと言っていた。つまり、僕が持っているということは魔王が持っていないことを表している。リュカスの激しい狼狽は、現時点で魔王がこのスキルを持っていないことを明確に漏らしていた。
「そうか、あのクソ野郎は本当にスキルを無くしていたのだな。立場が逆転してしまった気分はどうだ、リュカス。命乞いでもしてみるか?」
さすがは魔法の専門家を自負するだけはある。今までとはあきらかにステージの違う魔力が身体から溢れんばかりに主張している。これが、四天王になったレムちゃんの魔力か……。
「く、くそっ、何が起こっている。一体その少年は何者なのですか!」
「教えるとでも思うか? 今のお前に出来ることは自らの死を憂うことだけだ。せいぜい苦しまんように逝かせてやろう」
もう大丈夫だ……。二人の会話を聞き安心したら、ついに僕の意識は完全に落ちてしまった。さすがにここからの逆転はないだろう。というか、僕の体力はもう限界だったんだ。
「レ、レックス、しっかりしろ!」
しかし、その隙を逃さないのが竜王リュカス。最悪でどうしようもない絶望の中、どうすればこの場をやり過ごせるか、頭をフル回転させていた。
逃げることだけを考えればまだ可能性は残されているはず。まだ獣王の麻痺は続いている。レムリアの目さえ眩ませることが出来れば逃げ切れる。
「イ、インビジブル!」
「し、しまった」
リュカスの使った魔法は自らの姿を消すもの。そして、姿だけでなく音を消し、魔力などのエネルギー反応も感知させなくさせる。
この魔法は、姿を消している間はリュカスも何も出来ない。他の魔法との併用は不可であり、他の生物に触れてしまうと強制的に解除されてしまう。
基本的には、偵察やスパイ活動で使用される魔法であるが、逃走するということにおいてもは絶大な能力を発揮する。他にもいくつかの条件が必要とされる魔法ではあるのだが、リュカスは残りの魔力を全て消費し、何とか発動させることに成功していた。
リュカスは目の前から完全に姿を消してしまっている。おそらく、すでに空を飛んで逃走しているのだろう。こうなってしまってはどうしようもない。
「すまない。アイミー、レックス。みんなが作ったチャンスを俺が潰してしまった」
「気にしないでいいにゃレムちゃん」
「ア、アイミー、もう動けるようになったのか」
「おかげさまで助かったにゃ。主様とレムちゃんがいなかったらアイミーもヤバかったにゃ。でもレムちゃん、主様にチューしてたのは頂けないにゃ。何度も何度もチューしてたにゃ。あれはちょっとズルいにゃ。アイミーだってまだしてないのに……」
「ち、違う、あ、あれはレックスが無理やりだな。そもそもアイミーは、いつもレックスを舐めまわしているだろう!」
「舐めるのは獣人族の挨拶みたいなものにゃ。アイミーが言ってるのは二回目のチューにゃ。あれは必要のないチューだと思うにゃ」
「い、いや、まあ、その雰囲気ってやつだよ。お、俺だって無理やりやられたんだから、お、お互い様だろ」
「ふーん。お互い様にゃ?」
「そ、そうだよ、お互い様だ」
「じゃあ、アイミーも今のうちに主様とチューするにゃ。治癒魔法も一緒に掛けた方がいいと思うにゃ」
「す、好きにしろよ。というか、レックスがどう思うかであって、俺とアイミーが決めることじゃないだろ」
そんな会話がされているとは思わずに気を失っていた僕は、目覚めると顔中がベタベタになっていて、すっかり元通りとなったレムちゃんのお城のベッドにいた。レムちゃんの魔法本当に便利だよね。
そして、何故か両隣にはアイミーとレムちゃんが一緒になって寝ていた。な、なんで二人が僕のベッドにいるのかな!?
「い、いやだ」
「ど、退かぬなら、お前も一緒に殺すぞ。今のこいつからは脅威を感じない。殺すなら、今しかない。ど、退け!」
声が聞こえるけど、なんだかふわふわとした微睡みのような感覚の中にいる。
「何なんだよ、全くよ。全部アイミーのせいだからな。また俺を巻き込みやがって、くそったれ」
僕の意識は朦朧としており、とうやら、レムちゃんが隣で何か話をしていることぐらいしかわからない。
「退かぬというなら、仕方ない。レムリア、お前ごと、その魔王を殺す!」
リュカスから、急激な魔力の高まりを感じる。
「おいっ、レックス、俺の声が聞こえてるか!」
僕は何とか首を縦に振り、レムちゃんの声が聞こえていることを伝えた。
「よ、よしっ、よく聞けよ。今すぐ、カリスマ性のスキルを発動するんだ。と、とにかく急げ! わ、わかったな?……むぐっ」
よくわからないけど、その言葉はハッキリと聞こえて、その後すぐに僕の唇に柔らかいものがあたっていた。
そして僕は、意識が混濁とするなか、カリスマ性のスキルを発動させる。
アイミーに使った時のように、それはイメージするだけで、僕の体はピカピカに輝き始めているはずだ。
その光を目の前にいるレムちゃんに向かって放出する。そう、レムちゃんを二人目の四天王に。
「あ、あぅ、あぅ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
レムちゃんを抱きしめるように、スキルを放出する。
光が収束すると、そこには雰囲気の変わったレムちゃんがゆっくりと立ち上がっていた。
「そ、その、光は……。そ、それは、ユニークスキルなんだぞ。魔王様が無くしたカリスマ性のスキルを、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だぁぁぁ!」
カリスマ性のスキルはユニークスキルだと言っていた。つまり、僕が持っているということは魔王が持っていないことを表している。リュカスの激しい狼狽は、現時点で魔王がこのスキルを持っていないことを明確に漏らしていた。
「そうか、あのクソ野郎は本当にスキルを無くしていたのだな。立場が逆転してしまった気分はどうだ、リュカス。命乞いでもしてみるか?」
さすがは魔法の専門家を自負するだけはある。今までとはあきらかにステージの違う魔力が身体から溢れんばかりに主張している。これが、四天王になったレムちゃんの魔力か……。
「く、くそっ、何が起こっている。一体その少年は何者なのですか!」
「教えるとでも思うか? 今のお前に出来ることは自らの死を憂うことだけだ。せいぜい苦しまんように逝かせてやろう」
もう大丈夫だ……。二人の会話を聞き安心したら、ついに僕の意識は完全に落ちてしまった。さすがにここからの逆転はないだろう。というか、僕の体力はもう限界だったんだ。
「レ、レックス、しっかりしろ!」
しかし、その隙を逃さないのが竜王リュカス。最悪でどうしようもない絶望の中、どうすればこの場をやり過ごせるか、頭をフル回転させていた。
逃げることだけを考えればまだ可能性は残されているはず。まだ獣王の麻痺は続いている。レムリアの目さえ眩ませることが出来れば逃げ切れる。
「イ、インビジブル!」
「し、しまった」
リュカスの使った魔法は自らの姿を消すもの。そして、姿だけでなく音を消し、魔力などのエネルギー反応も感知させなくさせる。
この魔法は、姿を消している間はリュカスも何も出来ない。他の魔法との併用は不可であり、他の生物に触れてしまうと強制的に解除されてしまう。
基本的には、偵察やスパイ活動で使用される魔法であるが、逃走するということにおいてもは絶大な能力を発揮する。他にもいくつかの条件が必要とされる魔法ではあるのだが、リュカスは残りの魔力を全て消費し、何とか発動させることに成功していた。
リュカスは目の前から完全に姿を消してしまっている。おそらく、すでに空を飛んで逃走しているのだろう。こうなってしまってはどうしようもない。
「すまない。アイミー、レックス。みんなが作ったチャンスを俺が潰してしまった」
「気にしないでいいにゃレムちゃん」
「ア、アイミー、もう動けるようになったのか」
「おかげさまで助かったにゃ。主様とレムちゃんがいなかったらアイミーもヤバかったにゃ。でもレムちゃん、主様にチューしてたのは頂けないにゃ。何度も何度もチューしてたにゃ。あれはちょっとズルいにゃ。アイミーだってまだしてないのに……」
「ち、違う、あ、あれはレックスが無理やりだな。そもそもアイミーは、いつもレックスを舐めまわしているだろう!」
「舐めるのは獣人族の挨拶みたいなものにゃ。アイミーが言ってるのは二回目のチューにゃ。あれは必要のないチューだと思うにゃ」
「い、いや、まあ、その雰囲気ってやつだよ。お、俺だって無理やりやられたんだから、お、お互い様だろ」
「ふーん。お互い様にゃ?」
「そ、そうだよ、お互い様だ」
「じゃあ、アイミーも今のうちに主様とチューするにゃ。治癒魔法も一緒に掛けた方がいいと思うにゃ」
「す、好きにしろよ。というか、レックスがどう思うかであって、俺とアイミーが決めることじゃないだろ」
そんな会話がされているとは思わずに気を失っていた僕は、目覚めると顔中がベタベタになっていて、すっかり元通りとなったレムちゃんのお城のベッドにいた。レムちゃんの魔法本当に便利だよね。
そして、何故か両隣にはアイミーとレムちゃんが一緒になって寝ていた。な、なんで二人が僕のベッドにいるのかな!?
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