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二十五話目 魔王の片鱗
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僕の放ったドレインは何とか、竜王リュカスの左腕に届いた。というか、腕を消滅させるという想定外の出来事に、自分自身が驚いてしまっている。それはレムちゃんも一緒のようでリュカスを見上げながら口をあんぐりと開けていた。
もちろん、ドレインの効果は止まらない。
リュカスの片腕分の魔力が僕の体の中に飛び込んでくる。
その魔力をいつも通りの魔力変換で身体強化魔法に変えると、特訓では感じたことのない魔力の奔流が僕の身体をぐるぐると暴れまわる。
今まで感じたことのないとんでもない力が身体全体に大量に溢れ且つ、とてつもない濃度の魔力で僕の細胞を破壊していく。
扱いきれない魔力に僕の意識は、一瞬ですっ飛び暗転してしまった。
「レックスっ!」
「な、何故、この人族の少年が暗黒魔法を使えるのですか! し、しかも、私の腕を持っていっただと!?」
レムちゃんが、慌ててレックスの元へと駆け寄っていく。凄まじい量と濃度の魔力をドレインしたことで魔力中毒になってしまっている可能性がある。早く、魔力を少しでも抜いてあげないと、このままではレックスが壊れてしまう。
「レックス、レックス! しっかりするのだ。は、早く魔力を、何でもいいから魔力を抜くのだ。そ、そうだ、ウサ吉、少しでもいいからレックスの魔力を引っ張れぬか?」
心配そうにしているウサ吉だが、そんなことは出来ないらしく、余計にあたふたしている。
「……小娘が耳元でぎゃんぎゃん喚くな。そうだな、うるさい口は塞いでやるか」
心配していると、意識を取り戻したレックスが、突然、俺の唇をむさぼるように吸い付いてくる。な、何が起こっている……!?
普段とは違い、力強く、そして強引で、雰囲気の変わってしまったレックスに口の中を蹂躙されていく。
「ふわぁ、むはぅ、むぅ! レ、レックス、な、何をするのだ! ア、アイミーが見ているのだ……ふぅあ……」
強引に、そして舌を絡めとられながら、高濃度の魔力が入ってくる。今のレックスには過剰な魔力を排出しているということなのだろう。な、何故、俺に……。
既に戦闘で使用した魔力は全回復しており、俺の中にも過剰な魔力が無理やり入ってくる。
「むはっ、ま、待て、これ以上は、お、俺も無理だって、や、やめろよ……」
ど、どうしよう。アイミーが顔真っ赤にしながら、目をまん丸にして見ている。お、お前、あっち向いて麻痺してろよ! こ、こっち見るなよ……。
「調整はこれぐらいでいいか。さて、一応この少年の願いぐらいは叶えてやるか。今度いつ出てこれるかもわからんが、今こいつに死なれても困るからな」
雰囲気の変わったレックスをみて、必要以上に慎重に様子を窺うリュカス。
「き、貴様は何者だ。何故、暗黒魔法が使える」
「何故、暗黒魔法が使えるか? お前、暗黒魔法のことを知っているのか。ならば、わかるだろう」
「そ、そんな馬鹿な……。魔王様は、世界に一人のはず。き、貴様も魔王だというのか」
目の前にいたはずのレックスは一瞬で消えると、リュカスの真後ろに立っている。
「お前からも若干のスキルの影響が感じられるな」
「なっ! い、いつの間に!?」
「なるほど、搾りかすのようなものだな。お前、その力は間もなく無くなるぞ」
リュカスの頬から汗が滴り落ちる。図星か……。
「こ、この野郎おぉぉぉぉぉ!」
残された腕を振るい距離をとると、すぐ様、魔法陣を展開する。ま、不味い、あれはアイミーに放ったものと同じ!?
「ドラゴカーズ!」
「遅い。魔法陣を展開するのを、わざわざ敵に見せてどうする。基本がなってないな、竜人族」
「お、俺を、普通の竜人族だとは思わぬことだぁ……ふごぉっ!?」
リュカスの魔法は、レックスのいた場所を確かにとらえているのだが、既にリュカスの横に移動しているレックスの拳が左わき腹を消し飛ばす。
おそらく、リュカスの体力は、もう半分も残っていない。
「た、助けてくれ。お前、あ、貴方様も魔王様ならば、我らは味方。そ、そう、味方ではないですか!」
「お前と話すことはない。そろそろ死ね」
レックスの魔力が右の掌に集中していく。有り余る魔力が全て集まっていくのを感じる。
「や、やり過ぎだ、レックス! ウサ吉、アイミーを連れてすぐにここを離れるぞ」
「カオスドライブ」
俺がアイミーを抱えて城の外に出た時には、城は跡形もなく吹き飛んでいて、瓦礫の山が出来上がっていた。
カオスドライブ、魔王が終盤に覚える雷属性が付与された暗黒魔法だ。あれをまともに正面からくらってリュカスが生きているとは到底思えない。
「ウサ吉、ラビ子、アイミーのことを頼んだ。何かあったら、すぐ逃げるんだ。……お、俺はいい、レックスの様子を見てくる」
レックスは、レックスは何処にいる。リュカスは!?
魔力を慎重に探っていくとレックスの魔力を微かに感じることが出来た。
慌てて、瓦礫を退かしながらレックスを呼ぶ。こいつ、魔力の使い方が無茶苦茶だ!
「お、おいっ、レックス! 何処だ、へ、返事をしろ!」
「……レ、レム……ちゃん?」
瓦礫の下敷きになるようにして、弱りきったレックスが辛うじて声をあげた。どうやら、元のレックスに戻っているようだ。
「て、手を伸ばせ、レックス!」
何とか引きづり出して、回復魔法をかけようとした時、ガタッという音とともに、少し離れた場所から瀕死のリュカスが現れた。
「お、お前、生きてるのかよ……」
もちろん、ドレインの効果は止まらない。
リュカスの片腕分の魔力が僕の体の中に飛び込んでくる。
その魔力をいつも通りの魔力変換で身体強化魔法に変えると、特訓では感じたことのない魔力の奔流が僕の身体をぐるぐると暴れまわる。
今まで感じたことのないとんでもない力が身体全体に大量に溢れ且つ、とてつもない濃度の魔力で僕の細胞を破壊していく。
扱いきれない魔力に僕の意識は、一瞬ですっ飛び暗転してしまった。
「レックスっ!」
「な、何故、この人族の少年が暗黒魔法を使えるのですか! し、しかも、私の腕を持っていっただと!?」
レムちゃんが、慌ててレックスの元へと駆け寄っていく。凄まじい量と濃度の魔力をドレインしたことで魔力中毒になってしまっている可能性がある。早く、魔力を少しでも抜いてあげないと、このままではレックスが壊れてしまう。
「レックス、レックス! しっかりするのだ。は、早く魔力を、何でもいいから魔力を抜くのだ。そ、そうだ、ウサ吉、少しでもいいからレックスの魔力を引っ張れぬか?」
心配そうにしているウサ吉だが、そんなことは出来ないらしく、余計にあたふたしている。
「……小娘が耳元でぎゃんぎゃん喚くな。そうだな、うるさい口は塞いでやるか」
心配していると、意識を取り戻したレックスが、突然、俺の唇をむさぼるように吸い付いてくる。な、何が起こっている……!?
普段とは違い、力強く、そして強引で、雰囲気の変わってしまったレックスに口の中を蹂躙されていく。
「ふわぁ、むはぅ、むぅ! レ、レックス、な、何をするのだ! ア、アイミーが見ているのだ……ふぅあ……」
強引に、そして舌を絡めとられながら、高濃度の魔力が入ってくる。今のレックスには過剰な魔力を排出しているということなのだろう。な、何故、俺に……。
既に戦闘で使用した魔力は全回復しており、俺の中にも過剰な魔力が無理やり入ってくる。
「むはっ、ま、待て、これ以上は、お、俺も無理だって、や、やめろよ……」
ど、どうしよう。アイミーが顔真っ赤にしながら、目をまん丸にして見ている。お、お前、あっち向いて麻痺してろよ! こ、こっち見るなよ……。
「調整はこれぐらいでいいか。さて、一応この少年の願いぐらいは叶えてやるか。今度いつ出てこれるかもわからんが、今こいつに死なれても困るからな」
雰囲気の変わったレックスをみて、必要以上に慎重に様子を窺うリュカス。
「き、貴様は何者だ。何故、暗黒魔法が使える」
「何故、暗黒魔法が使えるか? お前、暗黒魔法のことを知っているのか。ならば、わかるだろう」
「そ、そんな馬鹿な……。魔王様は、世界に一人のはず。き、貴様も魔王だというのか」
目の前にいたはずのレックスは一瞬で消えると、リュカスの真後ろに立っている。
「お前からも若干のスキルの影響が感じられるな」
「なっ! い、いつの間に!?」
「なるほど、搾りかすのようなものだな。お前、その力は間もなく無くなるぞ」
リュカスの頬から汗が滴り落ちる。図星か……。
「こ、この野郎おぉぉぉぉぉ!」
残された腕を振るい距離をとると、すぐ様、魔法陣を展開する。ま、不味い、あれはアイミーに放ったものと同じ!?
「ドラゴカーズ!」
「遅い。魔法陣を展開するのを、わざわざ敵に見せてどうする。基本がなってないな、竜人族」
「お、俺を、普通の竜人族だとは思わぬことだぁ……ふごぉっ!?」
リュカスの魔法は、レックスのいた場所を確かにとらえているのだが、既にリュカスの横に移動しているレックスの拳が左わき腹を消し飛ばす。
おそらく、リュカスの体力は、もう半分も残っていない。
「た、助けてくれ。お前、あ、貴方様も魔王様ならば、我らは味方。そ、そう、味方ではないですか!」
「お前と話すことはない。そろそろ死ね」
レックスの魔力が右の掌に集中していく。有り余る魔力が全て集まっていくのを感じる。
「や、やり過ぎだ、レックス! ウサ吉、アイミーを連れてすぐにここを離れるぞ」
「カオスドライブ」
俺がアイミーを抱えて城の外に出た時には、城は跡形もなく吹き飛んでいて、瓦礫の山が出来上がっていた。
カオスドライブ、魔王が終盤に覚える雷属性が付与された暗黒魔法だ。あれをまともに正面からくらってリュカスが生きているとは到底思えない。
「ウサ吉、ラビ子、アイミーのことを頼んだ。何かあったら、すぐ逃げるんだ。……お、俺はいい、レックスの様子を見てくる」
レックスは、レックスは何処にいる。リュカスは!?
魔力を慎重に探っていくとレックスの魔力を微かに感じることが出来た。
慌てて、瓦礫を退かしながらレックスを呼ぶ。こいつ、魔力の使い方が無茶苦茶だ!
「お、おいっ、レックス! 何処だ、へ、返事をしろ!」
「……レ、レム……ちゃん?」
瓦礫の下敷きになるようにして、弱りきったレックスが辛うじて声をあげた。どうやら、元のレックスに戻っているようだ。
「て、手を伸ばせ、レックス!」
何とか引きづり出して、回復魔法をかけようとした時、ガタッという音とともに、少し離れた場所から瀕死のリュカスが現れた。
「お、お前、生きてるのかよ……」
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