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14話 ポリスマン2
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ポリスマンは驚いていた。
おいおいおい。なんなんだよこの破壊力は……。久し振りに拳銃を撃ったわけなのではあるが、威力があきらかにおかしい。
これは五連発の回転式リボルバーだったはず。的に穴を開けるぐらいならまだしも、的を吹っ飛ばすのは予想外だった。
「やはり、鉄砲も弾も強化されてるね。サバチャイの菜切り包丁と同じよ」
「サバチャイさん、これは一体どういうことなんだよ。何か知ってるのか?」
「どうやら召喚された時に持っていた物は強化されるっぽいね。サバチャイの包丁もデカい熊を真っ二つにしたよ」
「いやいやいや、何を言ってるのかよくわかんねーんだけど」
「召喚獣の特権ね。多分その警棒も、どえらい強度になってるはずね」
ポリスマンは警棒を取り出し、下向きに振り下ろすと棒が倍近くに伸びた。武器の質が異常に高い。シャーロット様もジゼル様もポリスマンの一挙手一投足から目を離すことができない。というか、僕も含めてもうめっちゃ釘付けになっている。
「本当に強度上がってんのか? なぁ、そこの姉ちゃん、的をもう一つ用意してもらえるか?」
「は、はい。かしこまりました」
普通にシャーロット様をあごで使うポリスマン。僕の友達か、お手伝いさんとでも勘違いしてる可能性がある。何も知らないとはいえ、冷や冷やさせてくれる。
「はいっ、ドッカーンっと」
軽く振るわれた黒い棒状の武器は、ポリスマンの言葉通りに的を吹き飛ばしていった。
「これはなかなか頼りになりそうね。遠距離も近距離もバッチリよ」
サバチャイさんも納得のご様子。凄まじい戦闘力だ。ただ、ステータス面では下級召喚獣レベルというのが唯一残念なところか。
「マジかよ……。どうなったらあんなに吹き飛ぶんだよ」
「破壊力がマシマシね。これが召喚パワーよ」
サバチャイさんが、物知り顔でポリスマンに説明をしている。きっと包丁の切れ味にかなり驚いていたのだろう。どうやら共感が欲しかったと思える。
「よし、じゃあまた戻してくれ。これで弾が失くなっていたら、一気にブルーになるわー。マジヤベーんだから。こればっかりは祈るしかねぇーな」
「チチンポイポイ、バングラディッシュ! &バングラディッシュ!」
短くした召喚魔法すら省略を始めたようだ。サバチャイさんの異世界慣れが加速している。
「わかっちゃいたけど、速攻で呼び戻しやがったな。まあいい、サバチャイさん朗報だ。戻ってすぐに弾を確認したが、使用した分も元通りだ」
「ということは? どういうことねっ!」
「いや、あんたのはじめた実験だろーが! とにかくだ、弾は五発まで使い放題ってことだ」
あの、目に見えない程の爆発攻撃が五回も。僕がファイアベアーだったら間違いなく絶望していることだろう。何もさせてもらえないのだから。あんな攻撃、一方的な蹂躙にしかならない。サバチャイさんといい、ポリスマンといい規格外すぎる。
「お前バカか? 五発撃ち終わったら、また再召喚するよ。実質、これで弾切れはないね。撃ちまくりよ」
「マジかー。サバチャイさん、あんた見た目と違って、随分と頭がキレるじゃねーか」
「ちょっと待ってくれるかしら。弾切れがないって、さっきの攻撃が撃ち放題ってことなの!?」
珍しくシャーロット様も狼狽されている。魔力切れのようなものは存在しないというのだから驚きだ。
「言っただろう。魔法とは違う世界をみせてやるってよ。威力については、俺もビビッちまったけどな」
「こ、こんなの、想定を超えた凄まじさだわ……」
「こ、これが超上級召喚獣なのね……」
シャーロット様とジゼル様が、驚きすぎて呆然と立ち尽くしている。正直、僕もその結果に驚きを隠せない。
「ルークさん、とりあえず弾は大丈夫だったから今回はいいけどよ。次呼んだときは何かグレートなお土産を期待してるぜ」
「お、お土産ですか……。そ、そうですね、何かあったかなー、ちょっと考えておきます」
「じゃあまたな。サバチャイさん、送っちゃってくれよ」
「了解、バングラディッシュ!」
もはや、出身地を叫んでるだけのはずなのに召喚魔法が動き出す不思議。もう気にしない方向でいこう。
「サバチャイさん、確かもう一つスキルがありましたよね」
「おー、ルーク覚えてたか。もう一つのスキルは分身よ。サバチャイ全力パワーで分身してみるから見ててほしいね」
レベルアップに続いて戦闘力の大幅増強に気を良くしたのか、サバチャイさんもノリノリなようだ。
「分身っ!」
その叫び声とともにサバチャイさんがヌルっと二つに分かれた。それは、びっくりするぐらい気持ち悪い分身というよりも見た目に分裂だった。
「どっちもサバチャイさんなんですか?」
「見ればわかるね! どっちもサバチャイよ。それにしても、ルークどうしよう。サバチャイ凄い実験思いついちゃった……」
あまり感情の機微が少ない、サバチャイさんにしては思いの外興奮している。次は何の実験をするつもりなのか。
「実験ですか……」
「サバチャイのポケットの中には銀貨があるね。これを地面に置いて……」
どちらも本体というのは本当みたいで、持ち物も一緒に分身もとい分裂している。サバチャイさんのやろうとしていることは僕にも理解ができた。つまりお金を増やそうとしているのだ。
「分身解除ね!」
再び気持ち悪くヌルっと合体していくとサバチャイさんは一人に戻る。そして地面に置いてある銀貨は倍に増えたまま消えない。
おいおいおい。なんなんだよこの破壊力は……。久し振りに拳銃を撃ったわけなのではあるが、威力があきらかにおかしい。
これは五連発の回転式リボルバーだったはず。的に穴を開けるぐらいならまだしも、的を吹っ飛ばすのは予想外だった。
「やはり、鉄砲も弾も強化されてるね。サバチャイの菜切り包丁と同じよ」
「サバチャイさん、これは一体どういうことなんだよ。何か知ってるのか?」
「どうやら召喚された時に持っていた物は強化されるっぽいね。サバチャイの包丁もデカい熊を真っ二つにしたよ」
「いやいやいや、何を言ってるのかよくわかんねーんだけど」
「召喚獣の特権ね。多分その警棒も、どえらい強度になってるはずね」
ポリスマンは警棒を取り出し、下向きに振り下ろすと棒が倍近くに伸びた。武器の質が異常に高い。シャーロット様もジゼル様もポリスマンの一挙手一投足から目を離すことができない。というか、僕も含めてもうめっちゃ釘付けになっている。
「本当に強度上がってんのか? なぁ、そこの姉ちゃん、的をもう一つ用意してもらえるか?」
「は、はい。かしこまりました」
普通にシャーロット様をあごで使うポリスマン。僕の友達か、お手伝いさんとでも勘違いしてる可能性がある。何も知らないとはいえ、冷や冷やさせてくれる。
「はいっ、ドッカーンっと」
軽く振るわれた黒い棒状の武器は、ポリスマンの言葉通りに的を吹き飛ばしていった。
「これはなかなか頼りになりそうね。遠距離も近距離もバッチリよ」
サバチャイさんも納得のご様子。凄まじい戦闘力だ。ただ、ステータス面では下級召喚獣レベルというのが唯一残念なところか。
「マジかよ……。どうなったらあんなに吹き飛ぶんだよ」
「破壊力がマシマシね。これが召喚パワーよ」
サバチャイさんが、物知り顔でポリスマンに説明をしている。きっと包丁の切れ味にかなり驚いていたのだろう。どうやら共感が欲しかったと思える。
「よし、じゃあまた戻してくれ。これで弾が失くなっていたら、一気にブルーになるわー。マジヤベーんだから。こればっかりは祈るしかねぇーな」
「チチンポイポイ、バングラディッシュ! &バングラディッシュ!」
短くした召喚魔法すら省略を始めたようだ。サバチャイさんの異世界慣れが加速している。
「わかっちゃいたけど、速攻で呼び戻しやがったな。まあいい、サバチャイさん朗報だ。戻ってすぐに弾を確認したが、使用した分も元通りだ」
「ということは? どういうことねっ!」
「いや、あんたのはじめた実験だろーが! とにかくだ、弾は五発まで使い放題ってことだ」
あの、目に見えない程の爆発攻撃が五回も。僕がファイアベアーだったら間違いなく絶望していることだろう。何もさせてもらえないのだから。あんな攻撃、一方的な蹂躙にしかならない。サバチャイさんといい、ポリスマンといい規格外すぎる。
「お前バカか? 五発撃ち終わったら、また再召喚するよ。実質、これで弾切れはないね。撃ちまくりよ」
「マジかー。サバチャイさん、あんた見た目と違って、随分と頭がキレるじゃねーか」
「ちょっと待ってくれるかしら。弾切れがないって、さっきの攻撃が撃ち放題ってことなの!?」
珍しくシャーロット様も狼狽されている。魔力切れのようなものは存在しないというのだから驚きだ。
「言っただろう。魔法とは違う世界をみせてやるってよ。威力については、俺もビビッちまったけどな」
「こ、こんなの、想定を超えた凄まじさだわ……」
「こ、これが超上級召喚獣なのね……」
シャーロット様とジゼル様が、驚きすぎて呆然と立ち尽くしている。正直、僕もその結果に驚きを隠せない。
「ルークさん、とりあえず弾は大丈夫だったから今回はいいけどよ。次呼んだときは何かグレートなお土産を期待してるぜ」
「お、お土産ですか……。そ、そうですね、何かあったかなー、ちょっと考えておきます」
「じゃあまたな。サバチャイさん、送っちゃってくれよ」
「了解、バングラディッシュ!」
もはや、出身地を叫んでるだけのはずなのに召喚魔法が動き出す不思議。もう気にしない方向でいこう。
「サバチャイさん、確かもう一つスキルがありましたよね」
「おー、ルーク覚えてたか。もう一つのスキルは分身よ。サバチャイ全力パワーで分身してみるから見ててほしいね」
レベルアップに続いて戦闘力の大幅増強に気を良くしたのか、サバチャイさんもノリノリなようだ。
「分身っ!」
その叫び声とともにサバチャイさんがヌルっと二つに分かれた。それは、びっくりするぐらい気持ち悪い分身というよりも見た目に分裂だった。
「どっちもサバチャイさんなんですか?」
「見ればわかるね! どっちもサバチャイよ。それにしても、ルークどうしよう。サバチャイ凄い実験思いついちゃった……」
あまり感情の機微が少ない、サバチャイさんにしては思いの外興奮している。次は何の実験をするつもりなのか。
「実験ですか……」
「サバチャイのポケットの中には銀貨があるね。これを地面に置いて……」
どちらも本体というのは本当みたいで、持ち物も一緒に分身もとい分裂している。サバチャイさんのやろうとしていることは僕にも理解ができた。つまりお金を増やそうとしているのだ。
「分身解除ね!」
再び気持ち悪くヌルっと合体していくとサバチャイさんは一人に戻る。そして地面に置いてある銀貨は倍に増えたまま消えない。
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