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145 ゴリラ?
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足下にはコロコロとマヌルー玉が転がってくる。それを頑張って極力見ないようにしているドランクモンキー。
「おかしいな。抗えないはずのマヌルー成分を前にして頑張れるのか」
ここで奥から登場したのがゴリラのような魔物一頭。ドランクモンキーを指揮するような感じが見受けられる。まさか、進化個体なのだろうか。
「あれがいるからドランクモンキーはマヌルー玉に手を出さずに従っている?」
急にチームを組むから何事かと驚いていたのだけど、何やら上位種がやって来てドランクモンキーを従わせているっぽい。
見た目は白いゴリラ。ドランクモンキーの倍近くあるので、二メートルを優に超えてくる。なるべくなら近くで戦いたくない相手だ。きっとパワフルに違いない。
「ほーれー」
効果を期待してゴリラの方にもマヌルー玉を投げたけど、転がってきたそれを蹴り飛ばされてしまった。
どうやらこのゴリラにマヌルー成分は効き目がないらしい。うーん、困ったな……。
ドランクモンキーがランクDで、それを従えてるゴリラだからランクCとかになってしまう可能性もゼロではない。
ランクCの魔物相手に僕が勝てるのかというと、それはちょっと難しい気がする。せめてこの場にドランクモンキーが居なければまだ可能性はありそうだけど。
ただ、どう見ても従えたドランクモンキー達と一緒に僕を倒しにきている。
ならば、先にまだ何とかできそうなドランクモンキーからやっつけようか。もう我慢とかしなくていい。全員で気持ちよくなってくれ。
何故、この位置に罠を仕掛けたのか教えてあげよう。この場所は落し穴を作るべく少し開けた立地。そして、開けているからこそ、風がドランクモンキーに向かって流れていくのだ。
「くらえっ、マヌルーの粉!」
マヌルーの粉を風に乗せて飛ばす。それがこの戦いにおける最終手段でもある。避けられないほどのマヌルー成分を浴びてしまえば奴らにまともに動くなんてことは到底無理。
浴びたら最後。にゃんにゃんと身体をよじらせながら純度百パーセントの衝撃にびくんびくんするしかない。
すべてをあきらめて夢の世界へと旅立ってくれたまえ。
粉を浴びて次々と倒れていくドランクモンキー。木の上に隠れていた個体もぼとりと落ちていく。
何が起きたのか、おそらくは理解していると思われる白いゴリラ。明らかに狼狽するように苛立っている。
「さあ、これで一対一の勝負だね」
数の多さで圧倒しようとしていたゴリラだけど、この森にマヌルグの木がある限り、ドランクモンキーに勝ち目はない。
自らを鼓舞するようにゴリラは激しくドラミングをしている。
部下が粉にやられたのがよほど悔しかったのだろう。下に落ちているマヌルで玉を掴んでは僕めがけて全力投球してきた。
コントロールはなかったようで、はるか遠くへと飛んでいったけど。きっと見知らぬドランクモンキーが喜んで拾うことだろう。
怒ったゴリラは僕に向かって突進してくる。
大きな体の割に素軽さがあり、突進スピードも異常に速い。
ウホッウホッホワッ!
僕の仕掛けた落とし穴はすべてお見通しとばかりに避けて走ってくる。
「ダルト!」
僕はあわてず魔法のスクロールで冷気の魔法を放っていく。避ければ落とし穴に落ちる可能性のある攻撃も器用にジャンプで対応してみせるゴリラ。
「ダルト!」
ただ、ジャンプしたところはさすがに避けることはできずに顔面にダルトをくらう。頭がいいのか悪いのか判断が微妙なところ。
攻撃を喰らったものの耐久値は高いようで、ダメージはほとんどなく、僕に対する怒りがただアップしただけに終わっている。
やはりランクC以上は確実っぽいな。
まったく、聞いてませんよジョーカーさん。この辺りにはドランクモンキーしかいないって言ってたのに。
ゴリラはもう数メートル先まで迫っている。さて、そろそろいいだろう。
「マジックリング、解放(リリース)」
白いゴリラはその光を浴びると、力が抜け落ちるかのように倒れていった。
そう、これはルリカラの偉大な聖なるブレスだ。ランクCの可能性がある魔物とまともに戦うわけがないだろう。
「倒したのか?」
「あれっ、ジョーカーさん?」
「あれはランクCのドラムコングだ。Dランクのニールでは到底敵わない魔物なんだが……」
ドラムコング……やはりランクCだったか。
「次にまたあれが現れたら倒せませんからね。もう、ルリカラのブレスはストックされてないので」
「あー、あの指輪を使ったのか。今の解放した魔法がそうか」
「はい。聖獣ホワイトドラゴンの聖なるブレスです」
「あの聖獣のブレスで……こうなるのか」
ドラムコングは力が抜けてしまったかのように倒れている。
どのぐらい高ランクの魔物までこのブレスの影響を受けるのかはまだわからないけど、今のところすべて無力化できている。
まあ、Aランクの冒険者アローヘッドにも効果があったので、ほとんどの魔物に効き目はありそうだ。ケルベロスの召喚石がいっぱい手に入ったら試してみてもいいかな。
「おかしいな。抗えないはずのマヌルー成分を前にして頑張れるのか」
ここで奥から登場したのがゴリラのような魔物一頭。ドランクモンキーを指揮するような感じが見受けられる。まさか、進化個体なのだろうか。
「あれがいるからドランクモンキーはマヌルー玉に手を出さずに従っている?」
急にチームを組むから何事かと驚いていたのだけど、何やら上位種がやって来てドランクモンキーを従わせているっぽい。
見た目は白いゴリラ。ドランクモンキーの倍近くあるので、二メートルを優に超えてくる。なるべくなら近くで戦いたくない相手だ。きっとパワフルに違いない。
「ほーれー」
効果を期待してゴリラの方にもマヌルー玉を投げたけど、転がってきたそれを蹴り飛ばされてしまった。
どうやらこのゴリラにマヌルー成分は効き目がないらしい。うーん、困ったな……。
ドランクモンキーがランクDで、それを従えてるゴリラだからランクCとかになってしまう可能性もゼロではない。
ランクCの魔物相手に僕が勝てるのかというと、それはちょっと難しい気がする。せめてこの場にドランクモンキーが居なければまだ可能性はありそうだけど。
ただ、どう見ても従えたドランクモンキー達と一緒に僕を倒しにきている。
ならば、先にまだ何とかできそうなドランクモンキーからやっつけようか。もう我慢とかしなくていい。全員で気持ちよくなってくれ。
何故、この位置に罠を仕掛けたのか教えてあげよう。この場所は落し穴を作るべく少し開けた立地。そして、開けているからこそ、風がドランクモンキーに向かって流れていくのだ。
「くらえっ、マヌルーの粉!」
マヌルーの粉を風に乗せて飛ばす。それがこの戦いにおける最終手段でもある。避けられないほどのマヌルー成分を浴びてしまえば奴らにまともに動くなんてことは到底無理。
浴びたら最後。にゃんにゃんと身体をよじらせながら純度百パーセントの衝撃にびくんびくんするしかない。
すべてをあきらめて夢の世界へと旅立ってくれたまえ。
粉を浴びて次々と倒れていくドランクモンキー。木の上に隠れていた個体もぼとりと落ちていく。
何が起きたのか、おそらくは理解していると思われる白いゴリラ。明らかに狼狽するように苛立っている。
「さあ、これで一対一の勝負だね」
数の多さで圧倒しようとしていたゴリラだけど、この森にマヌルグの木がある限り、ドランクモンキーに勝ち目はない。
自らを鼓舞するようにゴリラは激しくドラミングをしている。
部下が粉にやられたのがよほど悔しかったのだろう。下に落ちているマヌルで玉を掴んでは僕めがけて全力投球してきた。
コントロールはなかったようで、はるか遠くへと飛んでいったけど。きっと見知らぬドランクモンキーが喜んで拾うことだろう。
怒ったゴリラは僕に向かって突進してくる。
大きな体の割に素軽さがあり、突進スピードも異常に速い。
ウホッウホッホワッ!
僕の仕掛けた落とし穴はすべてお見通しとばかりに避けて走ってくる。
「ダルト!」
僕はあわてず魔法のスクロールで冷気の魔法を放っていく。避ければ落とし穴に落ちる可能性のある攻撃も器用にジャンプで対応してみせるゴリラ。
「ダルト!」
ただ、ジャンプしたところはさすがに避けることはできずに顔面にダルトをくらう。頭がいいのか悪いのか判断が微妙なところ。
攻撃を喰らったものの耐久値は高いようで、ダメージはほとんどなく、僕に対する怒りがただアップしただけに終わっている。
やはりランクC以上は確実っぽいな。
まったく、聞いてませんよジョーカーさん。この辺りにはドランクモンキーしかいないって言ってたのに。
ゴリラはもう数メートル先まで迫っている。さて、そろそろいいだろう。
「マジックリング、解放(リリース)」
白いゴリラはその光を浴びると、力が抜け落ちるかのように倒れていった。
そう、これはルリカラの偉大な聖なるブレスだ。ランクCの可能性がある魔物とまともに戦うわけがないだろう。
「倒したのか?」
「あれっ、ジョーカーさん?」
「あれはランクCのドラムコングだ。Dランクのニールでは到底敵わない魔物なんだが……」
ドラムコング……やはりランクCだったか。
「次にまたあれが現れたら倒せませんからね。もう、ルリカラのブレスはストックされてないので」
「あー、あの指輪を使ったのか。今の解放した魔法がそうか」
「はい。聖獣ホワイトドラゴンの聖なるブレスです」
「あの聖獣のブレスで……こうなるのか」
ドラムコングは力が抜けてしまったかのように倒れている。
どのぐらい高ランクの魔物までこのブレスの影響を受けるのかはまだわからないけど、今のところすべて無力化できている。
まあ、Aランクの冒険者アローヘッドにも効果があったので、ほとんどの魔物に効き目はありそうだ。ケルベロスの召喚石がいっぱい手に入ったら試してみてもいいかな。
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