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142 初日終了
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暗くなって拠点に戻ると、そこでは料理をしているジョーカーさんと地面に横たわるドランクモンキーの死骸がいくつかあった。
「ニール、これの処理を頼めるか」
僕の姿を一通り見てから、またすぐに調理している鍋をかきまぜる。多分、怪我をしていないかとか、疲労具合とかを確認しているのだと思う。
「あっ、はい。任せてください」
処理というのは僕のインベントリのゴミ箱に捨ててくれという意味だろう。残念ながらドランクモンキーに食用として人気の部位はないらしい。食べられないこともないらしいけど、他に何も食べられるものがなければしょうがなく手を付けるぐらいなレベルらしい。
毎日あやしい成分を摂取してる魔物だけに、僕も可能であるならば食べたくはない。
倒れているドランクモンキーの数は十二頭。一つの群れが食料を狙ってやってきたようだ。
「今日倒した数は?」
「二十頭ぐらいですね」
「そうか。飯を食べたら拠点を前に進める」
「了解です」
こういう時に簡易的な拠点をすぐに造れるインベントリスキルは有能すぎると思う。
しかも土の塊で覆ってしまえば、見張りをたてずに寝ることだって可能だ。まあ、ジョーカーさんは夜起きて番をするみたいだけどね。
僕は翌日のドランクモンキー狩りに備えて休ませてもらう。ちなみに、マジカルソードはインベントリの機能で二時間後にはメンテナンスが完了する。
「それで、最大何頭と戦えたんだ?」
「五頭ですね」
「五頭だと!? 本当にDランクなんだよな? ……それだけ倒せるのに、何で二十頭しか討伐できていない?」
普通に考えてDランクの冒険者なら個別撃破中心で、倒しては逃げ倒しては逃げるの繰り返しになるのだろう。そうやって走り回ってようやく二十頭ならばまだ普通。
しかしながら、僕が一度に相手をしたドランクモンキーの数は五頭なわけで、不思議に思われてもおかしくはない。
「実はですね、この玉を見てもらいたいんですけど……」
「何だこれ?」
まあ、何だこれだよね。いきなりマヌルー玉を見せられても意味がわからないだろう。人には特段臭いも感じないものだからね。
実際に使用しているところを見ないと食いつきの異常さや純度百パーセントの威力は伝わらないかもしれない。
「ドランクモンキーが大好きなマヌルグの木の成分を抽出して固めたものです」
「ちゅ、ちゅうしゅつ?」
「マヌルグの木をインベントリに入れたらマヌルーの粉というのが項目分けがされてまして……」
マヌルー玉について説明すると、これがかなりやばい代物だと理解したようで、十個ほどジョーカーさんに渡すことになった。
ジョーカーさんならマヌルー玉なんてなくても群れを倒せるのだろうけど、どのぐらいの効果を発揮するのか自分で確かめてみたいのだろう。さすがはカルメロ商会の支店長である。
「つまり、その玉とマジックポーションを作っていたから二十頭しか倒せなかったわけで、ある程度数を揃えた明日はもっと倒せるというわけだな」
「おそらくは、そうなるかと。でも、マギカ草を探しながら進めていくつもりなので、何とも言えないです」
「わかった。やはりインベントリの機能が優秀すぎるな。もちろん、それを使った戦い方を考えついたニールの手柄と言っていい。そういうセンスはどんどん磨いていったほうがいい」
インベントリ禁止されたらどうしようかと思ったけど、そういうことにはならないようで安心した。自分が使える武器は何でも使うという指導方針らしい。
遊撃ポジションとしては、そういった判断力や予想外の動き、意表をついた考え方などが重要視されていると見ていい。
「スキルと武器の性能も含めて、一般的なDランクよりもかなりCランクに近いな」
Cランクに近づいているというのはおそれおおい気がする。スキルや武器は優秀でも、ステータスが伴っていないから自分がそうだとは到底思えないのだ。
食事の後は、ジョーカーさんとの手合わせをする。前回のような本気の手合わせではなくて、剣の扱いに慣れるための動き方の指導だ。
それは、型を覚えるようなゆっくりとした動作でしっかり身体に覚え込ませる。繰り返し何度も同じ動きをすることで、戦闘中に何も考えずにその動きを自然に出せるようになれば最高とのこと。
マジカルソードを持つ時は盾を持たないので、防御を兼ねた剣の動かし方になる。僕が敵を一体受け持つだけでもパーティに余裕が生まれる。
もちろん、そのまま倒せれば問題ないし、そうして時間を稼いでいれば他のメンバーが助けにやってくることもあるだろう。
「余裕が出てきたら、目の動きやステップで常に敵を揺さぶる動きをとれ」
「はい」
剣の構えも同じではなく、動きの中で変化させていく。これも敵の隙をつくための動きに繫がっているらしい。
何度も同じ動きを繰り返していく。今はジョーカーさんの動きを真似るだけで精一杯だけど、流れの中でこの動きを出せるようにしっかり叩き込もうと思う。
異世界に来てから魔法の練習はしたことがあっても剣の訓練は、はじめて行うので新鮮だ。
魔法とはまた違った緊張感がある。この特訓が終わる頃には、魔力なしのマジカルソードでもある程度立ち回りできるぐらいに成長したいものだ。
「ニール、これの処理を頼めるか」
僕の姿を一通り見てから、またすぐに調理している鍋をかきまぜる。多分、怪我をしていないかとか、疲労具合とかを確認しているのだと思う。
「あっ、はい。任せてください」
処理というのは僕のインベントリのゴミ箱に捨ててくれという意味だろう。残念ながらドランクモンキーに食用として人気の部位はないらしい。食べられないこともないらしいけど、他に何も食べられるものがなければしょうがなく手を付けるぐらいなレベルらしい。
毎日あやしい成分を摂取してる魔物だけに、僕も可能であるならば食べたくはない。
倒れているドランクモンキーの数は十二頭。一つの群れが食料を狙ってやってきたようだ。
「今日倒した数は?」
「二十頭ぐらいですね」
「そうか。飯を食べたら拠点を前に進める」
「了解です」
こういう時に簡易的な拠点をすぐに造れるインベントリスキルは有能すぎると思う。
しかも土の塊で覆ってしまえば、見張りをたてずに寝ることだって可能だ。まあ、ジョーカーさんは夜起きて番をするみたいだけどね。
僕は翌日のドランクモンキー狩りに備えて休ませてもらう。ちなみに、マジカルソードはインベントリの機能で二時間後にはメンテナンスが完了する。
「それで、最大何頭と戦えたんだ?」
「五頭ですね」
「五頭だと!? 本当にDランクなんだよな? ……それだけ倒せるのに、何で二十頭しか討伐できていない?」
普通に考えてDランクの冒険者なら個別撃破中心で、倒しては逃げ倒しては逃げるの繰り返しになるのだろう。そうやって走り回ってようやく二十頭ならばまだ普通。
しかしながら、僕が一度に相手をしたドランクモンキーの数は五頭なわけで、不思議に思われてもおかしくはない。
「実はですね、この玉を見てもらいたいんですけど……」
「何だこれ?」
まあ、何だこれだよね。いきなりマヌルー玉を見せられても意味がわからないだろう。人には特段臭いも感じないものだからね。
実際に使用しているところを見ないと食いつきの異常さや純度百パーセントの威力は伝わらないかもしれない。
「ドランクモンキーが大好きなマヌルグの木の成分を抽出して固めたものです」
「ちゅ、ちゅうしゅつ?」
「マヌルグの木をインベントリに入れたらマヌルーの粉というのが項目分けがされてまして……」
マヌルー玉について説明すると、これがかなりやばい代物だと理解したようで、十個ほどジョーカーさんに渡すことになった。
ジョーカーさんならマヌルー玉なんてなくても群れを倒せるのだろうけど、どのぐらいの効果を発揮するのか自分で確かめてみたいのだろう。さすがはカルメロ商会の支店長である。
「つまり、その玉とマジックポーションを作っていたから二十頭しか倒せなかったわけで、ある程度数を揃えた明日はもっと倒せるというわけだな」
「おそらくは、そうなるかと。でも、マギカ草を探しながら進めていくつもりなので、何とも言えないです」
「わかった。やはりインベントリの機能が優秀すぎるな。もちろん、それを使った戦い方を考えついたニールの手柄と言っていい。そういうセンスはどんどん磨いていったほうがいい」
インベントリ禁止されたらどうしようかと思ったけど、そういうことにはならないようで安心した。自分が使える武器は何でも使うという指導方針らしい。
遊撃ポジションとしては、そういった判断力や予想外の動き、意表をついた考え方などが重要視されていると見ていい。
「スキルと武器の性能も含めて、一般的なDランクよりもかなりCランクに近いな」
Cランクに近づいているというのはおそれおおい気がする。スキルや武器は優秀でも、ステータスが伴っていないから自分がそうだとは到底思えないのだ。
食事の後は、ジョーカーさんとの手合わせをする。前回のような本気の手合わせではなくて、剣の扱いに慣れるための動き方の指導だ。
それは、型を覚えるようなゆっくりとした動作でしっかり身体に覚え込ませる。繰り返し何度も同じ動きをすることで、戦闘中に何も考えずにその動きを自然に出せるようになれば最高とのこと。
マジカルソードを持つ時は盾を持たないので、防御を兼ねた剣の動かし方になる。僕が敵を一体受け持つだけでもパーティに余裕が生まれる。
もちろん、そのまま倒せれば問題ないし、そうして時間を稼いでいれば他のメンバーが助けにやってくることもあるだろう。
「余裕が出てきたら、目の動きやステップで常に敵を揺さぶる動きをとれ」
「はい」
剣の構えも同じではなく、動きの中で変化させていく。これも敵の隙をつくための動きに繫がっているらしい。
何度も同じ動きを繰り返していく。今はジョーカーさんの動きを真似るだけで精一杯だけど、流れの中でこの動きを出せるようにしっかり叩き込もうと思う。
異世界に来てから魔法の練習はしたことがあっても剣の訓練は、はじめて行うので新鮮だ。
魔法とはまた違った緊張感がある。この特訓が終わる頃には、魔力なしのマジカルソードでもある程度立ち回りできるぐらいに成長したいものだ。
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