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134 ジョーカーさんとの手合わせ2
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掛かってこいと言わんばかりにジョーカーさんがショートソードを構えている。
ちなみにだけどマジックリングにはハリト(小炎)が入っている。さすがに聖なるブレスは入っていない。善人に撃っても効果がないというし、万が一効果があってもそれはそれで困る。
ハリトではジョーカーさん相手だと少し驚かせる程度の攻撃にしかならないだろうが、スクロールを出したり、魔力を手に集中させたりという手順を踏まずに秒で発動できるのがポイントだろう。
至近距離ならば当たるかもしれない。いや、当てたい。というか、普通は避けられないよね。剣で打ち合いしている時に秒でハリトだよ。僕なら間違いなく顔面にくらう自信しかない。
剣の打ち合いでは僕に部はないのはわかりきったことだ。僕に遊撃ポジションでの才能があるのかなんてわからないけど、可能性があるとするならば、引き出しの多さになるだろう。
「ぐぐぐっ」
剣を合わせていてもジョーカーさんの力強さに簡単に跳ね返されている。身体の芯はぶれぶれで、打ち合う度に僕の隙は大きくなっていく。
体格は同じぐらいなのに体幹が僕とは全然違う。ちょっと残念な人を見るかのようにジョーカーさんの目が暗くなっていくのを感じる。
これは、あれだ。もう終わりにしようとしている感じがする。しかしながら、まだ全部を見せてはいない。頑張れ、僕。もう一踏ん張りやってやろう。
マジカルソードは魔力に応じて斬れ味、剣の大きさを変えることができる。
この特性を最大限活かすために真正面から突きを打つ。
何度か打ち合ったことで、ジョーカーさんはマジカルソードの長さを把握している。そのサイズが急に伸びたら、そして斬れ味が変わったら。目測を誤る可能性は高い。
そして、もう一つ。この攻撃を絶対に当てるためにここでマジックリングを解放。
「解放(リリース)」
突きのタイミングに併せての魔法攻撃。突きを受けようと足を止めていたところにハリト(小炎)はジョーカーさんの足に見事命中。
それでも痛そうな顔をまったく見せずに僕の突きをそらせようと剣をあわせてくる。ハリト(小炎)とはいえ、普通に爆発してるんだけど……。
ジョーカーさんの視線は僕からまったくずれていない。ちょっとこわい。許してください。
しかしながら本番はここから。
魔力を半分以上こめたマジックソードの斬れ味は抜群。逸らそうと合わせたジョーカーさんの剣を削りながら真っ直ぐに突き進んでいく。
剣を斬っちゃってるよ、マジックソード。
少しだけ驚いた表情をしたジョーカーさんは、それでも剣を回転させながら剣を逸らせようとする。
しかしながら、ここでマジカルソードが突然伸びる。伸びるといっても三十センチ程度。
それでも近距離での三十センチは戦況を覆すには十分な長さになる。少し逸らされたもののマジックソードはジョーカーさんの肩付近に突き刺さった。
普通ならここで勝負ありとなって、手合わせは終わる。いや、普通の手合わせは刃を潰したものや木剣で行うもの。
「土系のスキルにマジックアイテム多数、その剣も特殊アイテムですね」
結構な怪我をしているのをまったく気にした様子のないジョーカーさんは、僕のスキルについての考察をはじめている。
「まだ、何かありますか? あるなら早く出しておいてください」
言葉がこわい。確かに怪我をさせてしまっているので怒っているのかもしれないけど、これは手合わせ。いつもの武器で全力で来いといったのはジョーカーさんですからね。
どうしよう。僕の中の危険信号が唸りを上げるかのように警戒音を発している。
「で、では、とっておきを」
ここは、最終手段を出して魔力切れで倒れた感じで逃げ切ろうかと思う。僕の演技がバレないことを祈るばかり。
「へぇー、やっぱり、まだあるんですね。面白い」
「召喚、ケルベロス!」
一つしかないのでどうしようかと思っていたケルベロスの召喚石。もしもの時にも効果がわからないと使いづらいということで出しどころを悩んでいたものだ。
キャットアイからジョーカーなら死なないから試してみるといいにゃ。と、とんでもない発言をしていたのだけど、追い込まれた僕は本当に使ってしまった。
「ディオス、マポーフィック!」
すぐさま、アドリーシャがジョーカーさんを回復アンド魔法の盾で支援する。
「ひ、ひっ」
ジョーカーさんから余計なことをするなという鋭い視線がアドリーシャに向けられるものの、あれはおそらく指示を出したアルベロに向けてあげてください。
召喚石は投げ入れられると禍々しいオーラとともに黒紫の煙が湧き上がり、三ツ首のケルベロスへと姿を変えていく。
Aランクの魔物であるケルベロスと僕の心はわずかながら通じている。『お腹ペコペコだお』『壊したい、全部ぶっ壊したい』『どれに嚙みつけばいい? あれか』
ケルベロスにはそれぞれ異なる人格が頭の数だけあるらしい。そんなバラバラの考えで、まともに動けるのだろうか。
ただ、召喚主のことは把握しているようで、僕の指示がない限り暴れまわるということはなさそうで安心した。
「君たちの敵は、目の前にいるとあの黒い服の男一人。死なないように無力化してみせて」
『おやつはあれ?』『壊したい、全部ぶっ壊したい』『了解した、主殿』
まともに意思疎通できるのが一頭だけなのが心配だけど、ジョーカーさんに向かって攻撃態勢をとっているのできっと大丈夫……だよね?
ちなみにだけどマジックリングにはハリト(小炎)が入っている。さすがに聖なるブレスは入っていない。善人に撃っても効果がないというし、万が一効果があってもそれはそれで困る。
ハリトではジョーカーさん相手だと少し驚かせる程度の攻撃にしかならないだろうが、スクロールを出したり、魔力を手に集中させたりという手順を踏まずに秒で発動できるのがポイントだろう。
至近距離ならば当たるかもしれない。いや、当てたい。というか、普通は避けられないよね。剣で打ち合いしている時に秒でハリトだよ。僕なら間違いなく顔面にくらう自信しかない。
剣の打ち合いでは僕に部はないのはわかりきったことだ。僕に遊撃ポジションでの才能があるのかなんてわからないけど、可能性があるとするならば、引き出しの多さになるだろう。
「ぐぐぐっ」
剣を合わせていてもジョーカーさんの力強さに簡単に跳ね返されている。身体の芯はぶれぶれで、打ち合う度に僕の隙は大きくなっていく。
体格は同じぐらいなのに体幹が僕とは全然違う。ちょっと残念な人を見るかのようにジョーカーさんの目が暗くなっていくのを感じる。
これは、あれだ。もう終わりにしようとしている感じがする。しかしながら、まだ全部を見せてはいない。頑張れ、僕。もう一踏ん張りやってやろう。
マジカルソードは魔力に応じて斬れ味、剣の大きさを変えることができる。
この特性を最大限活かすために真正面から突きを打つ。
何度か打ち合ったことで、ジョーカーさんはマジカルソードの長さを把握している。そのサイズが急に伸びたら、そして斬れ味が変わったら。目測を誤る可能性は高い。
そして、もう一つ。この攻撃を絶対に当てるためにここでマジックリングを解放。
「解放(リリース)」
突きのタイミングに併せての魔法攻撃。突きを受けようと足を止めていたところにハリト(小炎)はジョーカーさんの足に見事命中。
それでも痛そうな顔をまったく見せずに僕の突きをそらせようと剣をあわせてくる。ハリト(小炎)とはいえ、普通に爆発してるんだけど……。
ジョーカーさんの視線は僕からまったくずれていない。ちょっとこわい。許してください。
しかしながら本番はここから。
魔力を半分以上こめたマジックソードの斬れ味は抜群。逸らそうと合わせたジョーカーさんの剣を削りながら真っ直ぐに突き進んでいく。
剣を斬っちゃってるよ、マジックソード。
少しだけ驚いた表情をしたジョーカーさんは、それでも剣を回転させながら剣を逸らせようとする。
しかしながら、ここでマジカルソードが突然伸びる。伸びるといっても三十センチ程度。
それでも近距離での三十センチは戦況を覆すには十分な長さになる。少し逸らされたもののマジックソードはジョーカーさんの肩付近に突き刺さった。
普通ならここで勝負ありとなって、手合わせは終わる。いや、普通の手合わせは刃を潰したものや木剣で行うもの。
「土系のスキルにマジックアイテム多数、その剣も特殊アイテムですね」
結構な怪我をしているのをまったく気にした様子のないジョーカーさんは、僕のスキルについての考察をはじめている。
「まだ、何かありますか? あるなら早く出しておいてください」
言葉がこわい。確かに怪我をさせてしまっているので怒っているのかもしれないけど、これは手合わせ。いつもの武器で全力で来いといったのはジョーカーさんですからね。
どうしよう。僕の中の危険信号が唸りを上げるかのように警戒音を発している。
「で、では、とっておきを」
ここは、最終手段を出して魔力切れで倒れた感じで逃げ切ろうかと思う。僕の演技がバレないことを祈るばかり。
「へぇー、やっぱり、まだあるんですね。面白い」
「召喚、ケルベロス!」
一つしかないのでどうしようかと思っていたケルベロスの召喚石。もしもの時にも効果がわからないと使いづらいということで出しどころを悩んでいたものだ。
キャットアイからジョーカーなら死なないから試してみるといいにゃ。と、とんでもない発言をしていたのだけど、追い込まれた僕は本当に使ってしまった。
「ディオス、マポーフィック!」
すぐさま、アドリーシャがジョーカーさんを回復アンド魔法の盾で支援する。
「ひ、ひっ」
ジョーカーさんから余計なことをするなという鋭い視線がアドリーシャに向けられるものの、あれはおそらく指示を出したアルベロに向けてあげてください。
召喚石は投げ入れられると禍々しいオーラとともに黒紫の煙が湧き上がり、三ツ首のケルベロスへと姿を変えていく。
Aランクの魔物であるケルベロスと僕の心はわずかながら通じている。『お腹ペコペコだお』『壊したい、全部ぶっ壊したい』『どれに嚙みつけばいい? あれか』
ケルベロスにはそれぞれ異なる人格が頭の数だけあるらしい。そんなバラバラの考えで、まともに動けるのだろうか。
ただ、召喚主のことは把握しているようで、僕の指示がない限り暴れまわるということはなさそうで安心した。
「君たちの敵は、目の前にいるとあの黒い服の男一人。死なないように無力化してみせて」
『おやつはあれ?』『壊したい、全部ぶっ壊したい』『了解した、主殿』
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