上 下
129 / 151

128 盗賊制圧ガチャ3

しおりを挟む
 あれから何度もなく挑戦してみたものの、選択を誤り、なかなかクリアをすることが難しかった。

 ゆるい感じのゲームにみせておいて、クリア難易度は非常に高い。その理由はわかっている。

 誰が出るのかわかっていればボス戦までスムーズにいけると思うんだけど、どうしてもこちらの狙い通りにキャラは現れてくれないのだ。

 わかったことといえば、アルベロの範囲攻撃とルリカラのブレスが最強であること。攻撃が通ればほぼ全滅させることができる。

 そして、予想通り僕かアルベロがいる場合に限りアドリーシャが普通に機能する。逆に後衛組がいない場合、高確率で前線に出てしまう厄介キャラになっていた。

 キャラ選択でのハズレは僕とアドリーシャだろう。僕の場合もう少しインベントリとか活用するのかと期待していたのだけど、マジカルソードと大盾の防御だけだった。

 ルイーズも悪くはないけど単体攻撃のため、次の攻撃で倒れてしまうことが多い。僕と違う点はそのスピードで攻撃をたまに躱すことができる点ぐらいか。僕は大盾があるのに一回の攻撃でほぼ倒されてしまうのは何だかくやしい。

「また、ニールが出たにゃ」

 そういう言い方は本人が傷つくので、思っていたとしても心の中で言ってほしい。絶対に声に出しちゃダメだからね。僕だってわかってるんだから。

「まあ、でも、これでアドリーシャを出してもいいわね」

「そ、そういうことは、本人のいる前で言うのはよくないと思うのです!」

「よしっ、魔法防御だ!」

「ニール樣っ!」

 ある程度メンバーが増えてきたところでのマポーフィックはボス戦にいきやすくなる。

 しかしながらボスが異常に強い。強い範囲攻撃で防御を高くしていても二回でだいたい倒される。

「ずるいにゃ。バルドルはそんなに強くなかったにゃ」

「バルドルではないかもしれないよ」

 そもそもバルドルだったらこんなに苦戦することはない。元ランクC程度ならもっと簡単に制圧できる。

「でも、これよくできているわよね」

 アルベロが言っているのはキャラ設定のことだろう。アドリーシャがわかりやすかったけど、他のみんなについても何となくわかりやすい行動をするのだ。

 普段ならしないだろうけど、やりかねない行動と言えばいいだろうか。

 例えば猫さんは序盤に出ると舐めプして攻撃をしなかったりするし、ルイーズは最初から全力で後半戦に生き延びたとしても息切れして攻撃ミスを連発してしまう。

 ルリカラは言わずもがな、ブレス以外の攻撃手段がない。盗賊もそれがわかっているかのようにルリカラを攻撃せずに他を攻撃してくる。

 そして、唯一弱点のないアルベロは出現率が低い。何ならほとんど出てこない。ガチャに認められているアルベロがどこかうらやましい。

 一方で出現率の高いのが僕とアドリーシャ。まもるを選択するとほぼ必ずと言っていいほどに大盾と魔法が選べる。選べない時が無いほどにいつでも選択可能。

 序盤でアドリーシャを出すと自爆するし、僕ては戦力に繋がらないし、攻撃一回で倒れてしまう。

「僕はもう少し守りを固めた方がいいのかな」

「守りを固めるとニールの動きは悪くなるにゃ」

「そうね。ニールが目指す方向はキャットアイのような遊撃ポジションじゃないかしら」

「うん。私もそう思うよー。ニールって相手からしたら何をするかわからないし。いろいろできるからねー」

 意外にも僕の評価というのはみんな同じように思っていてくれていたらしい。意外性のニールということだろうか。

「でも、今のままでは器用貧乏で終わってしまうにゃ。攻撃に力を入れるなら防御を捨てる選択肢もありにゃ」

 これは回復役と防御魔法のアドリーシャがパーティに所属しているからこその提案と思える。

「そうだね。もう少しマジカルソードでの戦いを意識して立ち回りを考えてみるよ」

 とは言っても、現状の力から考えると攻撃の割合が三割、インベントリや魔法のスクロールによる支援が七割といったところだろう。

 これをせめて、攻撃で五割ぐらいまで持っていけるようにしたい。

 ということで、楽しかったガチャは小銀貨二十枚分回したところで終了となった。なかなか面白いガチャだったけど、回数制限かあり、二十回で終了だったのだ。

 というか、僕たちのキャラが全部出たところで終了だった可能性が高い。キャラというのはガチャで出た僕たちのフィギュアだ。

 ●マハリトのスクロール×一本
 ●清浄のスクロール×三本
 ●光玉のスクロール×三本
 ●混乱するアドリーシャフィギュア×一体
 ●舐めプキャットアイフィギュア×一体
 ●弓無双アルベロフィギュア×一体
 ●シュタタタッルイーズフィギュア×一体
 ●ヘロヘロなルリカラフィギュア×一体
 ●普通の男ニールフィギュア×一体
 ●盗賊フィギュア×七体

 フィギュアの出来栄えはなかなか精巧に造られていて、みんな自分のフィギュアを手に持ち感慨深げに眺めていた。

 正直いってアルベロとルイーズだけがとてもかっこよい。

 まあ、でも僕的には昼寝しているキャットアイも混乱するアドリーシャも味があってよかったと思う。

 ちなみにフィギュアを一番喜んでいたのは、ルイーズだ。これは飾るようだからどこかにしまっておきたいとか言っていた。旅をする僕たちにどこへ飾れというのか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

どうも、賢者の後継者です~チートな魔導書×5で自由気ままな異世界生活~

ヒツキノドカ
ファンタジー
「異世界に転生してくれぇえええええええええ!」  事故で命を落としたアラサー社畜の俺は、真っ白な空間で謎の老人に土下座されていた。何でも老人は異世界の賢者で、自分の後継者になれそうな人間を死後千年も待ち続けていたらしい。  賢者の使命を代理で果たせばその後の人生は自由にしていいと言われ、人生に未練があった俺は、賢者の望み通り転生することに。  読めば賢者の力をそのまま使える魔導書を五冊もらい、俺は異世界へと降り立った。そしてすぐに気付く。この魔導書、一冊だけでも読めば人外クラスの強さを得られてしまう代物だったのだ。  賢者の友人だというもふもふフェニックスを案内役に、五冊のチート魔導書を携えて俺は異世界生活を始める。 ーーーーーー ーーー ※基本的に毎日正午ごろに一話更新の予定ですが、気まぐれで更新量が増えることがあります。その際はタイトルでお知らせします……忘れてなければ。 ※2023.9.30追記:HOTランキングに掲載されました! 読んでくださった皆様、ありがとうございます! ※2023.10.8追記:皆様のおかげでHOTランキング一位になりました! ご愛読感謝!

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

見よう見まねで生産チート

立風人(りふと)
ファンタジー
(※サムネの武器が登場します) ある日、死神のミスにより死んでしまった青年。 神からのお詫びと救済を兼ねて剣と魔法の世界へ行けることに。 もの作りが好きな彼は生産チートをもらい異世界へ 楽しくも忙しく過ごす冒険者 兼 職人 兼 〇〇な主人公とその愉快な仲間たちのお話。 ※基本的に主人公視点で進んでいきます。 ※趣味作品ですので不定期投稿となります。 コメント、評価、誤字報告の方をよろしくお願いします。

異世界で魔法使いとなった俺はネットでお買い物して世界を救う

馬宿
ファンタジー
30歳働き盛り、独身、そろそろ身を固めたいものだが相手もいない そんな俺が電車の中で疲れすぎて死んじゃった!? そしてらとある世界の守護者になる為に第2の人生を歩まなくてはいけなくなった!? 農家育ちの素人童貞の俺が世界を守る為に選ばれた!? 10個も願いがかなえられるらしい! だったら異世界でもネットサーフィンして、お買い物して、農業やって、のんびり暮らしたいものだ 異世界なら何でもありでしょ? ならのんびり生きたいな 小説家になろう!にも掲載しています 何分、書きなれていないので、ご指摘あれば是非ご意見お願いいたします

孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる

シア07
ファンタジー
主人公、ファクトは親の顔も知らない孤児だった。 そんな彼は孤児院で育って10年が経った頃、突如として能力が目覚める。 なんでも見通せるという万物を見通す目だった。 目で見れば材料や相手の能力がわかるというものだった。 これは、この――能力は一体……なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!? その能力に振り回されながらも孤児院が魔獣の到来によってなくなり、同じ孤児院育ちで幼馴染であるミクと共に旅に出ることにした。 魔法、スキルなんでもあるこの世界で今、孤児院で育った彼が個性豊かな仲間と共に最強へと成りあがる物語が今、幕を開ける。 ※他サイトでも連載しています。  大体21:30分ごろに更新してます。

もう遅いざまぁ極めたパーティ追放、外れスキルガチャ開拓スローライフ/不遇職極めた俺だけスキル獲得チートな件

RichardRoe(リチャード ロウ)
ファンタジー
迷宮攻略トップランクのパーティに所属していた付与術士ミロクは、自分の居場所がなくなったことを悟り、とうとう訪れたパーティ追放処分を甘んじて受け入れる。 「もう遅い、ざまぁねえよ。俺は才能がなくなっちまったんだ」 無理矢理に酷使してきた付与魔術の代償は――自らの才能値(スキルポイント)。 殆ど全ての才能が枯渇したミロクは、しかしある日、付与魔術の隠された使い道に気が付く。 それは、自分の成長しすぎた魂(レベル)を他人に付与できるという外法。 「もしかして俺、低レベルから何度でもやり直せる?」 ・・・ 低レベルから何度でもやりなおして、たくさんのスキルポイントを稼ぐミロク。 外れスキルばかり手に入るガチャの祭壇に祈りを捧げて、たくさんのスキルを集めているうちに、いつの間にか【英雄十傑】へと返り咲くことになる。 悪徳令嬢と蔑まれて貴族社会から追放されてしまった不死者の娘クロエと一緒に、ミロクはやがて、歴史に残る一つの冒険を成し遂げるのだった。 かつて仲間たちに託した夢の、その続きにある冒険の物語。 ※タイトルを変更しました。  旧タイトル:【もう遅いざまぁ極めたパーティ追放、外れスキルガチャ開拓スローライフ】 〜役立たず付与術士ミロクと婚約破棄令嬢クロエの裏ダンジョン冒険記〜

処理中です...