113 / 151
112 格上討伐ガチャ再び
しおりを挟む
目で見えないものを説明するのは難しい。そういうものだと理解してもらうためには、やはり実際にガチャを回してみるのが話が早い。
「ガチャ、起動」
その言葉に反応したのはルリカラと猫さん。
何事もなかったかのように昼寝から立ち上がり、僕のそばにしれっとやってくる。ルリカラはいつものようにガチャガチャの機械の前を自分の場所だと言わんばかりにキープしている。
「ちょっと待ってー。ガチャを回すなら休憩するよー」
どうやらルイーズとアルベロも参加することとなった。みんなガチャ好きだよね。
ということで、馬車を停めてみんなの前で討伐ガチャにチャレンジさせてもらう。
今回のガチャも前回同様にボディが銀色にコーティングされている未来感溢れる洗練されたガチャガチャだ。
討伐ガチャというのは同じ仕様なのかもしれない。つまりは、同じように期待できるガチャということ。
今回は銀貨を入れる前から数字の二の文字が浮かび上がっている。
僕の装備が二つ出るか、そるともアドリーシャと各一個出るのか。
さて、アドリーシャに説明しながら回さないとね。
「みんなには見えないけど、ルリカラの目の前にはガチャガチャと呼ばれる機械があるんだ」
「お金を入れて回すと、アイテムが出てくるんでこざいますね」
「そう。そして、今回は特別な討伐ガチャで二回だけ回せる。前回はアルベロの弓とルイーズのレイピアが出たんだ」
「あの武器が……。それは素晴らしいですね」
「今回は二回だから、僕とアドリーシャの分が出る可能性がある」
「オークジェネラルとエビルプリーストを倒した時に、私も近くにいたからということでしょうか」
「回してみないとわからないんだけど、戦闘に参加していたのは間違いないし、ガチャの回数的にもそうなのかなと思ってる」
「たいした働きをしていないのに私の装備が出ると言われても受け取っていいのか……」
「ここで出るのは専用の装備が多いから気にしなくていいよ。本人以外にはメリットのないものだったりするしね」
「では、楽しみに待ちたいと思います」
「と、ここまで話をしてアドリーシャの装備が出なかった申し訳ないんだけどね」
「それはそれで、気になさらずとも結構でございます」
そろそろ我慢できなくなってきたのか、ルリカラがガチャを叩きはじめている。回す前に壊さないでよね。
「じゃあ、一回目のガチャを回してみるね」
お金を投入すると、銀貨ガチャならではのアップテンポの音楽が流れ、まるでミラーボールのようにくるくるとまわり演出を高めていく。
この近未来的なガチャをはじめて見るルリカラも体を揺らしながら音楽に身を任せている。
自分が産まれた討伐ガチャに何かしら感じるものがあるのだろうか。
「ルリカラちゃん、お尻ふりふりだねー」
みんなにはガチャは見えていない。しかしながらルリカラの動きを通して見えていないガチャを想像している。
そして、ガタゴトンと落ちてきたのは銀色に輝くカプセルだ。スモークの演出もあって中身を期待させる。
ゆっくりとカプセルを開けると、マジカルメイスという文言が頭に入ってくる。
これは聖職者専用の武器。つまり、アドリーシャ専用武器ということだ。魔法媒体として魔力アップ、殴打用としてもダメージアップその分魔力消費は増えるとのこと。
せっかく前に出ないように矯正しているのに、この武器の特長を伝えたらアドリーシャが前に出ちゃうじゃないか……。
いや、前回のように、前に出なくても後衛が襲われることもある。そうした時に近接戦闘が可能な武器を持っていることは大きいだろう。
「予想通り、これはアドリーシャ専用の武器だよ。マジカルメイスといって、魔力をこめることで出力のアップ、殴打するときにもダメージがアップするそうだよ」
「殴打する時にダメージアップ」
アドリーシャは噛みしめるようにそう僕の言葉を繰り返した。いや、繰り返すなら出力アップのところに反応してもらいたいんだけどね。
まあ、いい。旅の途中で討伐に参加してもらって武器の性能を確認してもらおう。打撃が想像以上に使えるのなら配置も検討し直す必要もあるかもしれないのだ。
ガチャを回す前はそこまで興味もなかったアドリーシャだけどマジカルメイスを大事に抱えてとても嬉しそうにしている。すごくうらやましい。
それにしても、この討伐ガチャは本人の専用というか、希望に近い武器が現れる。僕の期待にもしっかり応えてもらいたいものだ。
さて、ガチャガチャは数字の一に切り替わっている。文字通り、残り一回ということだ。
間違いなく、僕用のアイテムが出てくる。とはいえ、前回はルリカラが現れたので油断はできない。ルリカラ用のマントとか首輪とか帽子とか出てこられても困る。
ここは何とか、僕専用の武器をどうかお願いします。
「で、では、最後の一回を回します」
ミラーボールとダンスミュージックを楽しむようにゆっくりとゆっくりとハンドルを回していく。
ガタゴトンと銀色の艶のあるカプセルが落ちてくる。
頼むよ。頼むよ、僕の武器!
「ガチャ、起動」
その言葉に反応したのはルリカラと猫さん。
何事もなかったかのように昼寝から立ち上がり、僕のそばにしれっとやってくる。ルリカラはいつものようにガチャガチャの機械の前を自分の場所だと言わんばかりにキープしている。
「ちょっと待ってー。ガチャを回すなら休憩するよー」
どうやらルイーズとアルベロも参加することとなった。みんなガチャ好きだよね。
ということで、馬車を停めてみんなの前で討伐ガチャにチャレンジさせてもらう。
今回のガチャも前回同様にボディが銀色にコーティングされている未来感溢れる洗練されたガチャガチャだ。
討伐ガチャというのは同じ仕様なのかもしれない。つまりは、同じように期待できるガチャということ。
今回は銀貨を入れる前から数字の二の文字が浮かび上がっている。
僕の装備が二つ出るか、そるともアドリーシャと各一個出るのか。
さて、アドリーシャに説明しながら回さないとね。
「みんなには見えないけど、ルリカラの目の前にはガチャガチャと呼ばれる機械があるんだ」
「お金を入れて回すと、アイテムが出てくるんでこざいますね」
「そう。そして、今回は特別な討伐ガチャで二回だけ回せる。前回はアルベロの弓とルイーズのレイピアが出たんだ」
「あの武器が……。それは素晴らしいですね」
「今回は二回だから、僕とアドリーシャの分が出る可能性がある」
「オークジェネラルとエビルプリーストを倒した時に、私も近くにいたからということでしょうか」
「回してみないとわからないんだけど、戦闘に参加していたのは間違いないし、ガチャの回数的にもそうなのかなと思ってる」
「たいした働きをしていないのに私の装備が出ると言われても受け取っていいのか……」
「ここで出るのは専用の装備が多いから気にしなくていいよ。本人以外にはメリットのないものだったりするしね」
「では、楽しみに待ちたいと思います」
「と、ここまで話をしてアドリーシャの装備が出なかった申し訳ないんだけどね」
「それはそれで、気になさらずとも結構でございます」
そろそろ我慢できなくなってきたのか、ルリカラがガチャを叩きはじめている。回す前に壊さないでよね。
「じゃあ、一回目のガチャを回してみるね」
お金を投入すると、銀貨ガチャならではのアップテンポの音楽が流れ、まるでミラーボールのようにくるくるとまわり演出を高めていく。
この近未来的なガチャをはじめて見るルリカラも体を揺らしながら音楽に身を任せている。
自分が産まれた討伐ガチャに何かしら感じるものがあるのだろうか。
「ルリカラちゃん、お尻ふりふりだねー」
みんなにはガチャは見えていない。しかしながらルリカラの動きを通して見えていないガチャを想像している。
そして、ガタゴトンと落ちてきたのは銀色に輝くカプセルだ。スモークの演出もあって中身を期待させる。
ゆっくりとカプセルを開けると、マジカルメイスという文言が頭に入ってくる。
これは聖職者専用の武器。つまり、アドリーシャ専用武器ということだ。魔法媒体として魔力アップ、殴打用としてもダメージアップその分魔力消費は増えるとのこと。
せっかく前に出ないように矯正しているのに、この武器の特長を伝えたらアドリーシャが前に出ちゃうじゃないか……。
いや、前回のように、前に出なくても後衛が襲われることもある。そうした時に近接戦闘が可能な武器を持っていることは大きいだろう。
「予想通り、これはアドリーシャ専用の武器だよ。マジカルメイスといって、魔力をこめることで出力のアップ、殴打するときにもダメージがアップするそうだよ」
「殴打する時にダメージアップ」
アドリーシャは噛みしめるようにそう僕の言葉を繰り返した。いや、繰り返すなら出力アップのところに反応してもらいたいんだけどね。
まあ、いい。旅の途中で討伐に参加してもらって武器の性能を確認してもらおう。打撃が想像以上に使えるのなら配置も検討し直す必要もあるかもしれないのだ。
ガチャを回す前はそこまで興味もなかったアドリーシャだけどマジカルメイスを大事に抱えてとても嬉しそうにしている。すごくうらやましい。
それにしても、この討伐ガチャは本人の専用というか、希望に近い武器が現れる。僕の期待にもしっかり応えてもらいたいものだ。
さて、ガチャガチャは数字の一に切り替わっている。文字通り、残り一回ということだ。
間違いなく、僕用のアイテムが出てくる。とはいえ、前回はルリカラが現れたので油断はできない。ルリカラ用のマントとか首輪とか帽子とか出てこられても困る。
ここは何とか、僕専用の武器をどうかお願いします。
「で、では、最後の一回を回します」
ミラーボールとダンスミュージックを楽しむようにゆっくりとゆっくりとハンドルを回していく。
ガタゴトンと銀色の艶のあるカプセルが落ちてくる。
頼むよ。頼むよ、僕の武器!
5
お気に入りに追加
1,786
あなたにおすすめの小説
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
外れスキル「トレース」が、修行をしたら壊れ性能になった~あれもこれもコピーし俺を閉じ込め高見の見物をしている奴を殴り飛ばす~
うみ
ファンタジー
港で荷物の上げ下ろしをしたり冒険者稼業をして暮らしていたウィレムは、女冒険者の前でいい顔をできなかった仲間の男に嫉妬され突き飛ばされる。
落とし穴に落ちたかと思ったら、彼は見たことのない小屋に転移していた。
そこはとんでもない場所で、強力なモンスターがひしめく魔窟の真っただ中だったのだ。
幸い修行をする時間があったウィレムはそこで出会った火の玉と共に厳しい修行をする。
その結果たった一つの動作をコピーするだけだった外れスキル「トレース」が、とんでもないスキルに変貌したのだった。
どんな動作でも記憶し、実行できるように進化したトレーススキルは、他のスキルの必殺技でさえ記憶し実行することができてしまう。
彼はあれもこれもコピーし、迫りくるモンスターを全て打ち倒していく。
自分をここに送った首謀者を殴り飛ばすと心の中に秘めながら。
脱出して街に戻り、待っている妹と郊外に一軒家を買う。
ささやかな夢を目標にウィレムは進む。
※以前書いた作品のスキル設定を使った作品となります。内容は全くの別物となっております。
異世界サバイバルセットでダンジョン無双。精霊樹復活に貢献します。
karashima_s
ファンタジー
地球にダンジョンが出来て10年。
その当時は、世界中が混乱したけれど、今ではすでに日常となっていたりする。
ダンジョンに巣くう魔物は、ダンジョン外にでる事はなく、浅い階層であれば、魔物を倒すと、魔石を手に入れる事が出来、その魔石は再生可能エネルギーとして利用できる事が解ると、各国は、こぞってダンジョン探索を行うようになった。
ダンジョンでは魔石だけでなく、傷や病気を癒す貴重なアイテム等をドロップしたり、また、稀に宝箱と呼ばれる箱から、後発的に付与できる様々な魔法やスキルを覚える事が出来る魔法書やスキルオーブと呼ばれる物等も手に入ったりする。
当時は、危険だとして制限されていたダンジョン探索も、今では門戸も広がり、適正があると判断された者は、ある程度の教習を受けた後、試験に合格すると認定を与えられ、探索者(シーカー)として認められるようになっていた。
運転免許のように、学校や教習所ができ、人気の職業の一つになっていたりするのだ。
新田 蓮(あらた れん)もその一人である。
高校を出て、別にやりたい事もなく、他人との関わりが嫌いだった事で会社勤めもきつそうだと判断、高校在学中からシーカー免許教習所に通い、卒業と同時にシーカーデビューをする。そして、浅い階層で、低級モンスターを狩って、安全第一で日々の糧を細々得ては、その収入で気楽に生きる生活を送っていた。
そんなある日、ダンジョン内でスキルオーブをゲットする。手に入れたオーブは『XXXサバイバルセット』。
ほんの0.00001パーセントの確実でユニークスキルがドロップする事がある。今回、それだったら、数億の価値だ。それを売り払えば、悠々自適に生きて行けるんじゃねぇー?と大喜びした蓮だったが、なんと難儀な連中に見られて絡まれてしまった。
必死で逃げる算段を考えていた時、爆音と共に、大きな揺れが襲ってきて、足元が崩れて。
落ちた。
落ちる!と思ったとたん、思わず、持っていたオーブを強く握ってしまったのだ。
落ちながら、蓮の頭の中に声が響く。
「XXXサバイバルセットが使用されました…。」
そして落ちた所が…。
異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます
ユーリ
ファンタジー
仕事帰り。毎日のように続く多忙ぶりにフラフラしていたら突然訪れる衝撃。
何が起こったのか分からないうちに意識を失くし、聞き覚えのない声に起こされた。
生命を司るという女神に、自分が死んだことを聞かされ、別の世界での過ごし方を聞かれ、それに答える
そして気がつけば、広大な牧場を経営していた
※不定期更新。1話ずつ完成したら更新して行きます。
7/5誤字脱字確認中。気づいた箇所あればお知らせください。
5/11 お気に入り登録100人!ありがとうございます!
8/1 お気に入り登録200人!ありがとうございます!
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
ハズれギフトの追放冒険者、ワケありハーレムと荷物を運んで国を取る! #ハズワケ!
寝る犬
ファンタジー
【第3回HJ小説大賞後期「ノベルアップ+」部門 最終選考作品】
「ハズワケ!」あらすじ。
ギフト名【運び屋】。
ハズレギフトの烙印を押された主人公は、最高位のパーティをクビになった。
その上悪い噂を流されて、ギルド全員から村八分にされてしまう。
しかし彼のギフトには、使い方次第で無限の可能性があった。
けが人を運んだり、モンスターをリュックに詰めたり、一夜で城を建てたりとやりたい放題。
仲間になったロリっ子、ねこみみ何でもありの可愛い女の子たちと一緒に、ギフトを活かして、デリバリーからモンスター討伐、はては他国との戦争、世界を救う冒険まで、様々な荷物を運ぶ旅が今始まる。
※ハーレムの女の子が合流するまで、マジメで自己肯定感の低い主人公の一人称はちょい暗めです。
※明るい女の子たちが重い空気を吹き飛ばしてゆく様をお楽しみください(笑)
※タイトルの画像は「東雲いづる」先生に描いていただきました。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる