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29 名物バブルクラブ料理
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バブルラグーンは市場が有名で、昼過ぎだというのにまだ多くの人と屋台が建ち並んでいる。
王都も人は多いけど、こちらは活気があるというか、漁港ならではの元気な感じといった方がわかりやすいだろうか。
きっと王都からの観光客も多いのだろう。屋台を周る多くの人と、呼び込みをしている店主の声からも活気を感じさせる。
屋台では名物料理のバブルクラブのカニ肉を売っている屋台が多い。網焼きにしたものや、茹でてソースで食べるもの。アルベロおすすめのステーキもある。
ルイーズがうずうずしてるけど、宿を確保をしなければならないので、屋台を周るのは後まわしだ。
「アルベロ、宿は決めてるところがあるの?」
「そうね。以前にお世話になったとこがあるの。部屋が空いていたらいいのだけど」
「ねぇ、ねぇ、私、冒険者ギルドに挨拶してくる。別に全員じゃなくてもいいんだよね?」
「そうね」
「じゃあ、終わったらこの場所に集合ね!」
ルイーズが指さしたのは、大きなカニのオブジェのある屋台だった。きっと早めに挨拶をすませてカニ料理を食べたいに違いない。
「ニールはこっちよ。部屋は二つとるんだから」
「うん」
おそらく部屋を選んだり、鍵を受け取ったりもあるのだろう。男部屋は僕一人なので、僕が行かないわけにはいかない。
あと、こっちが本音というか理由なんだろうけど、二人の荷物がインベントリに入っているので部屋に出しておく必要がある。インベントリのスペースを空けておかないとクエストには出れないからね。
そうそう、ゴブリンガチャは現れなかったものの、翌日に特殊なガチャが現れたのでみんなのいる前で披露することになった。何が特殊かというと、『格上討伐ガチャ』というネーミングで必要なお金は銀貨一枚。そう、期待できる銀貨ガチャの到来なのだ。
どのぐらいの格上から出現するガチャなのかわからないけど、あの進化個体の強さを思い浮かべると、自ら進んでまた倒したいとは思えない。だからこそのご褒美ガチャなのだろう。裏を返せばそれだけ危険な状況だったということだ。
あまり宿屋で騒ぐのもよくないとのことで、浜辺でガチャを回すことになっている。といっても、このガチャは僕以外には見えないので二人も一緒に盛り上がるかと言われるとわからない。何が出るのかとても楽しみだ。
さて、アルベロおすすめの宿屋は部屋が空いててスムーズに確保ができた。荷物を部屋に出して、すぐに市場の方へ向かうとルイーズがすでに甲羅の上に乗った蒸したカニを食べているところだった。
「遅いよー」
ルイーズがクエストの紙をひらひらとみせながらカニを満喫している。
一応、冒険者ギルドへの挨拶と、クエストの受注を受けたのだろう。
クエスト(常時)
浜辺エリアのバブルクラブD
討伐報酬小銀貨四枚+追加報酬(食材)五枚~
弱点は頭部で横移動しか出来ないこと。防御力と攻撃力は高いため、複数を相手にする場合は気をつけるように。
「常時依頼のクエストも紙をもらえるんだね」
「外部から来た冒険者用のクエスト資料ね」
どうやら全員に配られるものではなく、外部からやってきた冒険者が初回限定でもらえるものらしい。
「はい、これニールの分だよ」
「ありがとう」
手渡されたのはクエスト資料ではなく、茹でたカニの脚。目の前の屋台で買ったものだろう。そのサイズはかなり大きくて、僕の知っているカニの脚と比べても三倍から五倍は太い。
「エビ派だった私も驚きの美味しさだったよー」
おおぶりになって、味が淡白になるかと思いきや、濃く甘い肉は僕の知っている蟹と同じというか、ほぼそのままの美味しさだった。
「うわぁー、美味しいね」
「でしょー。カニ脚三つで小銀貨三枚なの」
一つ千円か。屋台料理と考えると安いのか高いのか微妙なラインだ。でも一応名物料理だし、王都で食べるよりも安いことは間違いない。
「あとでいくらでも食べれるんだから、早く浜辺に行くわよ」
既に食べ終わったらしいアルベロは殻を屋台のおやっさんに渡して海へと向かおうとしている。
「えー、あと一つだけ、おかわりしない?」
「しません!」
「じゃあさ、あの美味しそうな飲み物は?」
「あ、と、で!」
「ちぇー」
ルイーズが言っているのはココナッツのような実にナイフで穴を開けて直接飲まれているやつのことだ。きっと甘くて美味しいに違いない。戻ってきたらみんなで頂こう。
宿屋では食事の提供がないようだったので、しばらくはカニ尽くしになることはわかっている。きっと、三日もすればルイーズも宵の月亭のメニューが恋しくなることだろう。
ココナッツがあるということで、周辺に植樹されている木は椰子の木っぽい。上の方には実がなっているので間違いない。異世界なのでわからないけど、同じような樹木なのだろう。
そのまま浜辺へと向かう道の先に石を積んだ大きな門が見えており、その先が浜辺へ続く道となっている。
この門が海から上がってくるマーマンやバブルクラブを抑える防衛ラインになっているのだろう。
さて、バブルクラブ、どんなカニなのだろうか。ランクDはゴブリンやジャイアントトードと同じランクの魔物。
と、その前にガチャをするんだったね。
格上討伐ガチャ。期待をしているよ。
王都も人は多いけど、こちらは活気があるというか、漁港ならではの元気な感じといった方がわかりやすいだろうか。
きっと王都からの観光客も多いのだろう。屋台を周る多くの人と、呼び込みをしている店主の声からも活気を感じさせる。
屋台では名物料理のバブルクラブのカニ肉を売っている屋台が多い。網焼きにしたものや、茹でてソースで食べるもの。アルベロおすすめのステーキもある。
ルイーズがうずうずしてるけど、宿を確保をしなければならないので、屋台を周るのは後まわしだ。
「アルベロ、宿は決めてるところがあるの?」
「そうね。以前にお世話になったとこがあるの。部屋が空いていたらいいのだけど」
「ねぇ、ねぇ、私、冒険者ギルドに挨拶してくる。別に全員じゃなくてもいいんだよね?」
「そうね」
「じゃあ、終わったらこの場所に集合ね!」
ルイーズが指さしたのは、大きなカニのオブジェのある屋台だった。きっと早めに挨拶をすませてカニ料理を食べたいに違いない。
「ニールはこっちよ。部屋は二つとるんだから」
「うん」
おそらく部屋を選んだり、鍵を受け取ったりもあるのだろう。男部屋は僕一人なので、僕が行かないわけにはいかない。
あと、こっちが本音というか理由なんだろうけど、二人の荷物がインベントリに入っているので部屋に出しておく必要がある。インベントリのスペースを空けておかないとクエストには出れないからね。
そうそう、ゴブリンガチャは現れなかったものの、翌日に特殊なガチャが現れたのでみんなのいる前で披露することになった。何が特殊かというと、『格上討伐ガチャ』というネーミングで必要なお金は銀貨一枚。そう、期待できる銀貨ガチャの到来なのだ。
どのぐらいの格上から出現するガチャなのかわからないけど、あの進化個体の強さを思い浮かべると、自ら進んでまた倒したいとは思えない。だからこそのご褒美ガチャなのだろう。裏を返せばそれだけ危険な状況だったということだ。
あまり宿屋で騒ぐのもよくないとのことで、浜辺でガチャを回すことになっている。といっても、このガチャは僕以外には見えないので二人も一緒に盛り上がるかと言われるとわからない。何が出るのかとても楽しみだ。
さて、アルベロおすすめの宿屋は部屋が空いててスムーズに確保ができた。荷物を部屋に出して、すぐに市場の方へ向かうとルイーズがすでに甲羅の上に乗った蒸したカニを食べているところだった。
「遅いよー」
ルイーズがクエストの紙をひらひらとみせながらカニを満喫している。
一応、冒険者ギルドへの挨拶と、クエストの受注を受けたのだろう。
クエスト(常時)
浜辺エリアのバブルクラブD
討伐報酬小銀貨四枚+追加報酬(食材)五枚~
弱点は頭部で横移動しか出来ないこと。防御力と攻撃力は高いため、複数を相手にする場合は気をつけるように。
「常時依頼のクエストも紙をもらえるんだね」
「外部から来た冒険者用のクエスト資料ね」
どうやら全員に配られるものではなく、外部からやってきた冒険者が初回限定でもらえるものらしい。
「はい、これニールの分だよ」
「ありがとう」
手渡されたのはクエスト資料ではなく、茹でたカニの脚。目の前の屋台で買ったものだろう。そのサイズはかなり大きくて、僕の知っているカニの脚と比べても三倍から五倍は太い。
「エビ派だった私も驚きの美味しさだったよー」
おおぶりになって、味が淡白になるかと思いきや、濃く甘い肉は僕の知っている蟹と同じというか、ほぼそのままの美味しさだった。
「うわぁー、美味しいね」
「でしょー。カニ脚三つで小銀貨三枚なの」
一つ千円か。屋台料理と考えると安いのか高いのか微妙なラインだ。でも一応名物料理だし、王都で食べるよりも安いことは間違いない。
「あとでいくらでも食べれるんだから、早く浜辺に行くわよ」
既に食べ終わったらしいアルベロは殻を屋台のおやっさんに渡して海へと向かおうとしている。
「えー、あと一つだけ、おかわりしない?」
「しません!」
「じゃあさ、あの美味しそうな飲み物は?」
「あ、と、で!」
「ちぇー」
ルイーズが言っているのはココナッツのような実にナイフで穴を開けて直接飲まれているやつのことだ。きっと甘くて美味しいに違いない。戻ってきたらみんなで頂こう。
宿屋では食事の提供がないようだったので、しばらくはカニ尽くしになることはわかっている。きっと、三日もすればルイーズも宵の月亭のメニューが恋しくなることだろう。
ココナッツがあるということで、周辺に植樹されている木は椰子の木っぽい。上の方には実がなっているので間違いない。異世界なのでわからないけど、同じような樹木なのだろう。
そのまま浜辺へと向かう道の先に石を積んだ大きな門が見えており、その先が浜辺へ続く道となっている。
この門が海から上がってくるマーマンやバブルクラブを抑える防衛ラインになっているのだろう。
さて、バブルクラブ、どんなカニなのだろうか。ランクDはゴブリンやジャイアントトードと同じランクの魔物。
と、その前にガチャをするんだったね。
格上討伐ガチャ。期待をしているよ。
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