81 / 406
第5章 狼人族
21 貧民交渉2
しおりを挟む
「おい、落ち着け」
俺の目の前でさっきっから忙しなく室内を歩き回っているキールに顔を顰めながらそう言ってやるとキールの奴がうるさそうに手を振る。
「お前こそ何でそうやって落ち着いてられるんだ」
「そんなこと言ったってそうやって歩き回ったって事態は何も変わんねーだろ」
まあ、俺が何を言ってもコイツはこのままイライラと動き回っていないと気が済まないのだろう。放っておくさ。結果は目に見えているんだ。
テリースもいい加減馬鹿らしそうにソファーで眠るパットの様子を見ながらテーブルの上に散らかった資料を片付けていた。
あれから半日が過ぎ去ろうとしている。
門の外の様子には変わりがなく、こちらも同様だ。まあ、時間があった俺は久し振りに厨房に入っていたが。
人の姿で厨房を使うのは初めてだった。ちょうどトーマスがピートルとアリームに手伝わせて昼食の準備を始めていたが、まだ大して作業が進んでいなかったのをいい事に話を持ち掛ける。
ついでに他にも手の空いている兵士を引き込んで作業を分担した。
人手があればこいつは楽に幾らでも作れる。
昨日試作品のテストの後に山の様に貰ってきたジャガイモを使う。買い取り品で浮いてる物の中から玉ねぎも大量に頂いた。差額は後でキールがどの道被るだろう。バターはこの前のがまだ残ってたしミルクは最近厨房用に支給されているらしい。
これだけあれば今日は十分大盤振る舞いになるな。
「ほら手を休めるな」
この手の料理の良いところは下ごしらえさえしておけば必要な時にガンガン出していけるってとこだ。
俺は折角だから前庭に崩れた塀から幾つか岩を運んできて即席の炉を組む。薪をその中に組んで一番でかい寸胴の上まで水を入れて茹で始めた。
「お前やけに手慣れてるな。そんなんだったらいつもその格好であゆみちゃんを助けてやりゃぁ良かったじゃねぇか」
ピートルが不機嫌そうにそう指摘するのを俺は肩をすくませておざなりにやり過ごす。
こいつらにはすぐ俺がネロだってことは分かったらしい。何せ一度夕食時にもこの姿で会っているしな。
ただこれがあゆみの魔法のお陰だってことは知らせていない。あいつのいない時にそう言う話をする気にはなれなかったからだ。お陰で要らない指摘を受けることになる。
俺だってずっと思ってたさ。幾らでも俺が代わりにしてやれたって。これからもしてやりたいって。だが今やっと俺が出来る事が増えた時に限ってあゆみはここには居ない。
また何かを突き刺したように胸が傷んだ。
「おい、答えを持ってきたぞ!」
昼を少し過ぎた頃。
ダーレンが数人の男たちと共に館の扉を叩いた。
彼らを連れて同じテーブルに腰を下ろす。
早速話始めようとするダーレンを押しとどめて俺が先に声を掛けた。
「待て。まずは飯だ。外にいる連中だって昨日から何も食ってないんだろ。こんなんで話し合いなんて始められるか」
俺がそう言うか言わないかの内にピートル達が昼の準備を始めた。
ソースの入ったどでかい鍋と幾つものでかい皿に山と積まれたニョッキ。それをもう一つ出してきたテーブルの上に置いて端から茹で始める。それを見たダーレンたちは声こそ出さなかったが目がそちらに釘付けになった。
「俺達はここで食うがあとの連中はそっちに並べ。一列でな」
俺の言葉に門を警備していた兵士が困った顔になった。
「もう構いません。通してあげてください」
アルディの一言で警備をしていた兵士たちもホッとした顔で門の前からバリケードを外した。代わりに食べ物への列を作るのを手伝ってくれる気らしい。
それを見た外の連中はひそひそと話をしているがまだ誰も立ち上がろうとしない。
まあ、仕方ないか。
俺は取り合えずテーブルに着いた人間の分だけ先に配る。器は軍の炊き出しに使っていた物をアルディが持ってきてくれていた。
「頂きます」
そう言って俺が最初に手を付けた。すぐにキールとテリースも手を付ける。それを見ていたダーレンがもう我慢できないと言った面持ちで自分の皿に手を付けた。
最初に口を開いたのはキールだった。
「おい、ネロ。こんなに麦を使っちまって大丈夫なのか?」
やっぱり言われたか。
「安心しろ、麦は大して入ってない。殆どがあんたらが嫌うジャガイモだ」
「はぁ?! これのどこがジャガイモなんだ?」
「ジャガイモを茹でて潰して粉と混ぜたのさ。あんたらが毛嫌いしてるだけでジャガイモだって旨い食い方はあるんだ」
俺の言葉を信じられない顔で見返してからキールが再度ニョッキをつつき始めた。
時間も金もない俺らのニョッキは殆どジャガイモって程粉は少な目。ジャガイモを先に茹でてから捏ねる事で粉少な目で済ませてしまう。
ソースなんて言ったってバターで良く炒めた玉ねぎをミルクで煮込んで塩を加えただけの物だ。本当ならばにんにくがあれば良かったのだがどうもこの地方、にんにくは出回っていないらしい。これを食べる直前に絡めるだけ。
それでもこれは十分に食べでがある。元が芋だから少量でも腹に溜まるんだ。
キールが文句を付けてる間もダーレンは一人黙々と皿の中身を食っていた。あっという間に終わらしたかと思うとバッと顔を上げる。
「旨かった。すげーうまかった!」
はっきりと大きな声でダーレンがそう叫んだ途端、外に座り込んでいた子供たちがワァッ一斉に立ち上がって列を作った。テーブルについていた残りの面々も勢い込んで自分の皿に食いつく。
それにつられるように外で座り込んでいた残りの大人たちも徐々に列に並び始めた。
その様子を見て今度はダーレンが心配そうに尋ねてくる。
「……お代わりはもらえるのか?」
コイツには皿に山盛り入れてやったはずだ。俺は呆れて答えてやる。
「お前ここに何しに来たんだよ。交渉が終わってまだ残ってたらまたよそってやるよ」
俺の答えにつまらなそうに鼻を鳴らしたダーレンがぼそりと答えた。
「結論から伝える。350だ」
「は?」
それで十分とでも言うかの様に言葉を切ったダーレンに俺とキールが意味が分からないと見返すとダーレンがイライラとしながら答えを続けた。
「農村に行ける人数だよ。貧民街には他にも仕事を休めない者と病等で動けない者が約150程いる。悪いが俺達の食うぶんを少し減らしてもあいつ等にも食い物を回してやって欲しい」
俺とキールは顔を見合わせた。お互い勝手に顔が笑い始めるのを止められない。鏡を見ている様に自分の顔も微笑みに歪んでいくのが分かった。
「ウォホンッ!」
ダーレンの咳払いでキールがハッと気づいて慌ててダーレンに返事を返す。そう、交渉は続いているのだ。
「分かった。何とかしよう」
片目を上げてそれを見て小さく頷いたダーレンが言葉を続けた。
「それから弔いだが……遺体の引取はまだ難しいか?」
これはキールと俺も既に話し合っていた。狼人族との交渉が決裂した以上、門の外は以前にも増して危険だ。キールが少しすまなそうに言葉を返す。
「ああ。場所が場所だ。交渉が終わる迄はゆっくり遺体を持ち帰ってくる余裕は無い。その代わり収穫が済み次第俺達が必ずあの場所でちゃんと弔う事を誓おう」
「分かった。任せよう」
俺たちの答えはどうやらダーレンの予想の範囲内だったようで小さく頷きながら了承した。
そこでダーレンがパンと手を打って立ち上がった。
「よし。じゃあ、今日の昼ごはんと台帳の礼に良い物を引き渡してやる」
そう言ってダーレンがクイっと顎をしゃくると門の外で待っていた数人の男たちが俺達の前に進み出てくる。よく見れば彼らは後ろ手に縛られ顔を袋に覆われた男を引き連れて来た。
ダーレンの横まで連れてこられ、無理やり跪かされた男の頭にかかっていた袋をダーレンがバッと引き剥がす。
「タッカー!」
「何故こいつがこんな所に!」
俺とキールの怒声が重なった。それにニヤリと笑ったダーレンが得意そうな顔で説明を始めた。
「娼館に隠れていやがったのを引っ張り出してきた。ダンカンもいたんだがアイツ流石に腕っ節が立って俺達じゃ取り押さえられなかった。俺達の目の前で東門から外に逃げていきやがった」
「待て東門から外へだと?」
キールが驚いて繰り返す。
「何かおかしいのか?」
俺の質問にキールが不審そうな顔でこちらを振り返る。
「東門には今見張りがいない。あそこは去年の暮れに閉じたはずなんだ」
キールの言葉に、だけどダーレンがフンっと鼻で笑った。
「俺もそう聞いてたんだが行ってみれば門は開いてたし人も通ってた。門兵は誰もいなかったがな」
「そんな馬鹿な。あそこだって歩哨が回ってるだろ」
キールは確認するようにアルディを見る。アルディはちょっと肩をすくめてキールに答えた。
「ええ、確かに歩哨をやってますが、閉じたはずの門をわざわざ確認する兵は少ないでしょう。もしも歩哨が回るときだけ閉めているとしたら見つからない可能性は大です」
キールがそれを聞いて唸り声を上げている。
俺達が話している間もタッカーは無言だった。まるで無関心と言うように無表情で一言も発せずに静かに俺たちの話を聞いていた。そんなタッカーの前に立ち上がったキールが歩み寄り、タッカーを見下ろしながら話し始めた。
「タッカー。もう分かっているだろうがお前の肩書はとっくに失効している。にも関わらず俺たちが全く意図していない偽りの情報で貧民街の人間を扇動した罪は明白だ。無論あゆみやパットをかどわかした件も無論追及する。詳しくは兵舎に戻ってから詮議するがこれだけ証拠があるんだ、間違いなく極刑は免れないだろう」
キールの言葉にも顔色一つ変えずにタッカーはどこか遠くを見つめていた。
「これでもう俺が直接お前と話す機会はないだろう。これだけ俺たちを引きずり回したんだ。最後に何か言いたい事はあるか?」
キーロンがタッカーにそう問いかけるとタッカーが初めて目に微かな意志をたたえてこちらを見つめ返し、そして淡々とした声で独り言のように話し始めた。
「全く。自分の運の悪さに嘆かずにはいられませんよ」
そう言ってまるで友達にでも話しかける様に小さく微笑む。
「時勢と言うものにはかないませんね。何せこんなお子様の集まりの施政一つ覆せなかったのですから。こちらがどんなに計画を練っても全て後一歩の所で上手くいかない。坊ちゃん皇太子の馬鹿な勢いに私の立てた計画は全てふっ飛ばされてしまいました」
タッカーの言葉にアルディが目をむいて飛び掛かろうとするのを止めて俺が言葉を返す。
「タッカー、お前、どうしてお前の計画が全く思い通りにならなかったか全然分かってないだろう」
俺の言葉にタッカーがムッとしてこちらを睨む。
「お前みたいに頭の中だけで人を駒みたいに使おうってやつの所に人は集まらないんだよ」
俺も冷たい目でにらみ返してはっきりと言ってやった。
「お前だって貧民街の出なんだろ?」
俺の問いかけに答えこそしないが否定もしない。だがパットの話でこいつが面接の時にやたら台帳の事を気にしていたのを思い出していた。だからそのまま言葉を続けた。
「本気でお前が貧民の味方に付いてたら俺達にだってきっともっと苦労しただろうさ。なんせお前の言った通り俺たちは貧民街の有志の連中を守ってやれなかったし、彼らの日々の食い物を考えてやる余裕もなかったんだからな」
そう言って俺は今正に列に並んでいる男たちを見やった。
「だがお前はこいつ等を見下して自分の目的に利用する事しか考えてなかっただろう」
その言葉にタッカーの顔が少しだけ歪んだ。それを見た俺はキールを振り返って続けた。
「分かるか? この『キーロン殿下』には自分の立場なんて関係ないんだよ。見りゃわかるだろ、コイツはいつだってこの街の奴らと同じ場所に立って一緒に考えてるんだ。あんたとは根本が違うんだよ」
返す言葉が無かったのかタッカーは暫く無言でキールを見つめていた。
だが、そこでフッと嫌な笑みを口の端にかかげてやけに静かな声で話し始めた。
「本当に残念ですね。そんなキーロン殿下でも片足の無い娘一人救えなかったのですから」
ドクンと心臓が跳ね上がった。
誰の事を指しているのかは明白だった。
俺たちは全員その場で凍り付く。
そんな俺達を満足そうに見回してタッカーが先を続けた。
「実は私にはまだ一匹あの狼人族に潜ませている犬がいるんですよ。その犬の情報ではあの娘、散々な目に合っていた様ですよ。まあ片足が無いのですから慰み者にするにも楽でしょうしね」
後ろでパットがヒッと小さな悲鳴を上げるのが聞こえる。
横からはキールの燃え上がる様な殺気が漂い始めた。
俺は俺で自分の顔が人殺しの様な形相に変わっていくのが自分でも分かる。
そこで思い出した、とでも言うようにタッカーが言葉を続けた。
「ああ、でも食料としては片足分足りなかったと文句言ってましたが」
──── ガタッガクッガシャーン!
響き渡った騒音に周りにいた貧民街の奴らが一斉にこっちを見た。俺は今殴ったばかりの右手を左手でさすりながら地面に転がったタッカーを見下ろす。
アルディとキールが呆れた顔でこちらを見ていたが俺がまた飛び掛かろうとするのを見て二人掛で俺の事を押さえつけた。俺がもがきながらも二人に取り押さえられたのを見たタッカーがまたも片方の唇を引き上げて吐き出すように言った。
「今私を殺さないと後悔しますよ。もうすぐ連邦の皆さまが到着されます。ダンカンが彼らを従えてこちらに向かっている事でしょう。彼らが来ればきっとあなた方は私を殺すわけにはいかなくなるでしょうから」
それを聞いた俺がまたも飛び掛かろうとするのをキールが押さえつけ、タッカーを兵舎にある牢獄へ連れて行くようにアルディに指示を出した。
「何故止めたんだ?」
後先見えなくなっていた俺は半分キールに体当たりする様にしてキールの拘束を引きはがした。
アルディとタッカーが十分離れた事を見て取ったキールはそんな俺から両手を放して距離を開ける。
「今のお前は力加減が出来ないだろう。そんなんで殴り続けたら取れる情報も取れなくなる」
キールの言っていることを理解はしていたがまだ怒りが身体の中を駆け巡っていてどうにもならない。あふれ出る怒りに任せてテーブルを叩こうとした俺の手をすんでの所でキールが掴む。
「お前、人型になった途端またかなり凶暴になったな。そっちが地か?」
キールの少し馬鹿にしたような目にまたカッと頭に血がのぼる。
「うるさい、この手を放せ!」
そんな俺を軽々と片手で押さえながらキールがテリースを呼ぶ。
「おいテリースこいつを落ち着かせろ」
後ろからテリースが俺の肩に手をかけた途端、身体の中の熱がザッと音を立てて冷めていった。
あったはずの確かな怒りの渦が綺麗さっぱり押し流されて虚ろな気分だけが後に残る。それは今まで感じた事のなかった何とも気持ちの悪い経験だった。途端今までの自分の行動が恥ずかしくなってキールの腕を振り払って俯いた。
「まあ、あれは俺も一発入れたかったがな」
そんな俺のすぐ横でキールがぼそりと呟いた。
それを聞いてやっと俺も自分の中に残っていた怒りの残骸を心から締め出す事が出来た。
「すまねぇ。俺時々こうなるんだ。自分でも分かっちゃいるが押さえが効かない」
情けない面を見られない様に少し俯いてそう言った俺を片目だけでみとめたキールがこちらも向かずに答える。
「ま、男なら大概多かれ少なかれそんな事もあるさ。気にするな、俺達にはテリースがいる。こいつがいつでも強制終了してくれるさ」
「……あれは本当に気持ちが悪い。もう二度とされない為にも今後は自分でもう少し怒りをコントロールできるようになりたいもんだ」
やっと落ち着いた俺を解放したキールは気持ちを改める様に一息ついて再度ダーレンを振り返った。
「悪いがダーレン、もう時間がない。明日には農場に向かうが出来るか?」
夏の長い日も既にかなり暮れてきていた。前庭を見回せばそこに残った貧民街の連中からは先ほどまでの悲壮な顔は姿を消して、それぞれ腹が満ちた時の幸せそうな顔でそこら中に好きな様に散らばっていた。
それを見回したダーレンが頷きながら答える。
「大丈夫だ。こいつ等には既にそう伝えてある」
「じゃあ集まる人数を4つの農村へ割り振ってくれ。いつも貧民街で農村へ向かう連中を集めていた広場に先導する者を迎えに行かせる」
「分かった。それじゃあ明日からよろしくな」
そう言ってダーレンはその場に残った連中を片っ端から引き連れて門を抜けて帰っていった。
「……やっと帰ったぞ」
ダーレンの姿が見えなくなった途端、そう一言言ってキールが崩れ落ちる様に椅子に座り込んだ。全く平気な面で今まで交渉を全てこなしていたキールも、内実はかなり緊張していたらしい。俺も同様にその隣に座り込んだ。
「あのな。悪いがまだ終わりじゃないぞ。ネロ、これはお前が言い出したんだからな。この惨状を見ろ」
疲れ切って椅子に倒れ込んでいた俺の後ろからピートルが容赦ない声を掛けて来た。言われるままに見渡せば前庭一面に軍から借り受けた器が点在していた。
「これ、俺たちが片付けるの……か?」
俺は力なくその場に突っ伏した。
俺の目の前でさっきっから忙しなく室内を歩き回っているキールに顔を顰めながらそう言ってやるとキールの奴がうるさそうに手を振る。
「お前こそ何でそうやって落ち着いてられるんだ」
「そんなこと言ったってそうやって歩き回ったって事態は何も変わんねーだろ」
まあ、俺が何を言ってもコイツはこのままイライラと動き回っていないと気が済まないのだろう。放っておくさ。結果は目に見えているんだ。
テリースもいい加減馬鹿らしそうにソファーで眠るパットの様子を見ながらテーブルの上に散らかった資料を片付けていた。
あれから半日が過ぎ去ろうとしている。
門の外の様子には変わりがなく、こちらも同様だ。まあ、時間があった俺は久し振りに厨房に入っていたが。
人の姿で厨房を使うのは初めてだった。ちょうどトーマスがピートルとアリームに手伝わせて昼食の準備を始めていたが、まだ大して作業が進んでいなかったのをいい事に話を持ち掛ける。
ついでに他にも手の空いている兵士を引き込んで作業を分担した。
人手があればこいつは楽に幾らでも作れる。
昨日試作品のテストの後に山の様に貰ってきたジャガイモを使う。買い取り品で浮いてる物の中から玉ねぎも大量に頂いた。差額は後でキールがどの道被るだろう。バターはこの前のがまだ残ってたしミルクは最近厨房用に支給されているらしい。
これだけあれば今日は十分大盤振る舞いになるな。
「ほら手を休めるな」
この手の料理の良いところは下ごしらえさえしておけば必要な時にガンガン出していけるってとこだ。
俺は折角だから前庭に崩れた塀から幾つか岩を運んできて即席の炉を組む。薪をその中に組んで一番でかい寸胴の上まで水を入れて茹で始めた。
「お前やけに手慣れてるな。そんなんだったらいつもその格好であゆみちゃんを助けてやりゃぁ良かったじゃねぇか」
ピートルが不機嫌そうにそう指摘するのを俺は肩をすくませておざなりにやり過ごす。
こいつらにはすぐ俺がネロだってことは分かったらしい。何せ一度夕食時にもこの姿で会っているしな。
ただこれがあゆみの魔法のお陰だってことは知らせていない。あいつのいない時にそう言う話をする気にはなれなかったからだ。お陰で要らない指摘を受けることになる。
俺だってずっと思ってたさ。幾らでも俺が代わりにしてやれたって。これからもしてやりたいって。だが今やっと俺が出来る事が増えた時に限ってあゆみはここには居ない。
また何かを突き刺したように胸が傷んだ。
「おい、答えを持ってきたぞ!」
昼を少し過ぎた頃。
ダーレンが数人の男たちと共に館の扉を叩いた。
彼らを連れて同じテーブルに腰を下ろす。
早速話始めようとするダーレンを押しとどめて俺が先に声を掛けた。
「待て。まずは飯だ。外にいる連中だって昨日から何も食ってないんだろ。こんなんで話し合いなんて始められるか」
俺がそう言うか言わないかの内にピートル達が昼の準備を始めた。
ソースの入ったどでかい鍋と幾つものでかい皿に山と積まれたニョッキ。それをもう一つ出してきたテーブルの上に置いて端から茹で始める。それを見たダーレンたちは声こそ出さなかったが目がそちらに釘付けになった。
「俺達はここで食うがあとの連中はそっちに並べ。一列でな」
俺の言葉に門を警備していた兵士が困った顔になった。
「もう構いません。通してあげてください」
アルディの一言で警備をしていた兵士たちもホッとした顔で門の前からバリケードを外した。代わりに食べ物への列を作るのを手伝ってくれる気らしい。
それを見た外の連中はひそひそと話をしているがまだ誰も立ち上がろうとしない。
まあ、仕方ないか。
俺は取り合えずテーブルに着いた人間の分だけ先に配る。器は軍の炊き出しに使っていた物をアルディが持ってきてくれていた。
「頂きます」
そう言って俺が最初に手を付けた。すぐにキールとテリースも手を付ける。それを見ていたダーレンがもう我慢できないと言った面持ちで自分の皿に手を付けた。
最初に口を開いたのはキールだった。
「おい、ネロ。こんなに麦を使っちまって大丈夫なのか?」
やっぱり言われたか。
「安心しろ、麦は大して入ってない。殆どがあんたらが嫌うジャガイモだ」
「はぁ?! これのどこがジャガイモなんだ?」
「ジャガイモを茹でて潰して粉と混ぜたのさ。あんたらが毛嫌いしてるだけでジャガイモだって旨い食い方はあるんだ」
俺の言葉を信じられない顔で見返してからキールが再度ニョッキをつつき始めた。
時間も金もない俺らのニョッキは殆どジャガイモって程粉は少な目。ジャガイモを先に茹でてから捏ねる事で粉少な目で済ませてしまう。
ソースなんて言ったってバターで良く炒めた玉ねぎをミルクで煮込んで塩を加えただけの物だ。本当ならばにんにくがあれば良かったのだがどうもこの地方、にんにくは出回っていないらしい。これを食べる直前に絡めるだけ。
それでもこれは十分に食べでがある。元が芋だから少量でも腹に溜まるんだ。
キールが文句を付けてる間もダーレンは一人黙々と皿の中身を食っていた。あっという間に終わらしたかと思うとバッと顔を上げる。
「旨かった。すげーうまかった!」
はっきりと大きな声でダーレンがそう叫んだ途端、外に座り込んでいた子供たちがワァッ一斉に立ち上がって列を作った。テーブルについていた残りの面々も勢い込んで自分の皿に食いつく。
それにつられるように外で座り込んでいた残りの大人たちも徐々に列に並び始めた。
その様子を見て今度はダーレンが心配そうに尋ねてくる。
「……お代わりはもらえるのか?」
コイツには皿に山盛り入れてやったはずだ。俺は呆れて答えてやる。
「お前ここに何しに来たんだよ。交渉が終わってまだ残ってたらまたよそってやるよ」
俺の答えにつまらなそうに鼻を鳴らしたダーレンがぼそりと答えた。
「結論から伝える。350だ」
「は?」
それで十分とでも言うかの様に言葉を切ったダーレンに俺とキールが意味が分からないと見返すとダーレンがイライラとしながら答えを続けた。
「農村に行ける人数だよ。貧民街には他にも仕事を休めない者と病等で動けない者が約150程いる。悪いが俺達の食うぶんを少し減らしてもあいつ等にも食い物を回してやって欲しい」
俺とキールは顔を見合わせた。お互い勝手に顔が笑い始めるのを止められない。鏡を見ている様に自分の顔も微笑みに歪んでいくのが分かった。
「ウォホンッ!」
ダーレンの咳払いでキールがハッと気づいて慌ててダーレンに返事を返す。そう、交渉は続いているのだ。
「分かった。何とかしよう」
片目を上げてそれを見て小さく頷いたダーレンが言葉を続けた。
「それから弔いだが……遺体の引取はまだ難しいか?」
これはキールと俺も既に話し合っていた。狼人族との交渉が決裂した以上、門の外は以前にも増して危険だ。キールが少しすまなそうに言葉を返す。
「ああ。場所が場所だ。交渉が終わる迄はゆっくり遺体を持ち帰ってくる余裕は無い。その代わり収穫が済み次第俺達が必ずあの場所でちゃんと弔う事を誓おう」
「分かった。任せよう」
俺たちの答えはどうやらダーレンの予想の範囲内だったようで小さく頷きながら了承した。
そこでダーレンがパンと手を打って立ち上がった。
「よし。じゃあ、今日の昼ごはんと台帳の礼に良い物を引き渡してやる」
そう言ってダーレンがクイっと顎をしゃくると門の外で待っていた数人の男たちが俺達の前に進み出てくる。よく見れば彼らは後ろ手に縛られ顔を袋に覆われた男を引き連れて来た。
ダーレンの横まで連れてこられ、無理やり跪かされた男の頭にかかっていた袋をダーレンがバッと引き剥がす。
「タッカー!」
「何故こいつがこんな所に!」
俺とキールの怒声が重なった。それにニヤリと笑ったダーレンが得意そうな顔で説明を始めた。
「娼館に隠れていやがったのを引っ張り出してきた。ダンカンもいたんだがアイツ流石に腕っ節が立って俺達じゃ取り押さえられなかった。俺達の目の前で東門から外に逃げていきやがった」
「待て東門から外へだと?」
キールが驚いて繰り返す。
「何かおかしいのか?」
俺の質問にキールが不審そうな顔でこちらを振り返る。
「東門には今見張りがいない。あそこは去年の暮れに閉じたはずなんだ」
キールの言葉に、だけどダーレンがフンっと鼻で笑った。
「俺もそう聞いてたんだが行ってみれば門は開いてたし人も通ってた。門兵は誰もいなかったがな」
「そんな馬鹿な。あそこだって歩哨が回ってるだろ」
キールは確認するようにアルディを見る。アルディはちょっと肩をすくめてキールに答えた。
「ええ、確かに歩哨をやってますが、閉じたはずの門をわざわざ確認する兵は少ないでしょう。もしも歩哨が回るときだけ閉めているとしたら見つからない可能性は大です」
キールがそれを聞いて唸り声を上げている。
俺達が話している間もタッカーは無言だった。まるで無関心と言うように無表情で一言も発せずに静かに俺たちの話を聞いていた。そんなタッカーの前に立ち上がったキールが歩み寄り、タッカーを見下ろしながら話し始めた。
「タッカー。もう分かっているだろうがお前の肩書はとっくに失効している。にも関わらず俺たちが全く意図していない偽りの情報で貧民街の人間を扇動した罪は明白だ。無論あゆみやパットをかどわかした件も無論追及する。詳しくは兵舎に戻ってから詮議するがこれだけ証拠があるんだ、間違いなく極刑は免れないだろう」
キールの言葉にも顔色一つ変えずにタッカーはどこか遠くを見つめていた。
「これでもう俺が直接お前と話す機会はないだろう。これだけ俺たちを引きずり回したんだ。最後に何か言いたい事はあるか?」
キーロンがタッカーにそう問いかけるとタッカーが初めて目に微かな意志をたたえてこちらを見つめ返し、そして淡々とした声で独り言のように話し始めた。
「全く。自分の運の悪さに嘆かずにはいられませんよ」
そう言ってまるで友達にでも話しかける様に小さく微笑む。
「時勢と言うものにはかないませんね。何せこんなお子様の集まりの施政一つ覆せなかったのですから。こちらがどんなに計画を練っても全て後一歩の所で上手くいかない。坊ちゃん皇太子の馬鹿な勢いに私の立てた計画は全てふっ飛ばされてしまいました」
タッカーの言葉にアルディが目をむいて飛び掛かろうとするのを止めて俺が言葉を返す。
「タッカー、お前、どうしてお前の計画が全く思い通りにならなかったか全然分かってないだろう」
俺の言葉にタッカーがムッとしてこちらを睨む。
「お前みたいに頭の中だけで人を駒みたいに使おうってやつの所に人は集まらないんだよ」
俺も冷たい目でにらみ返してはっきりと言ってやった。
「お前だって貧民街の出なんだろ?」
俺の問いかけに答えこそしないが否定もしない。だがパットの話でこいつが面接の時にやたら台帳の事を気にしていたのを思い出していた。だからそのまま言葉を続けた。
「本気でお前が貧民の味方に付いてたら俺達にだってきっともっと苦労しただろうさ。なんせお前の言った通り俺たちは貧民街の有志の連中を守ってやれなかったし、彼らの日々の食い物を考えてやる余裕もなかったんだからな」
そう言って俺は今正に列に並んでいる男たちを見やった。
「だがお前はこいつ等を見下して自分の目的に利用する事しか考えてなかっただろう」
その言葉にタッカーの顔が少しだけ歪んだ。それを見た俺はキールを振り返って続けた。
「分かるか? この『キーロン殿下』には自分の立場なんて関係ないんだよ。見りゃわかるだろ、コイツはいつだってこの街の奴らと同じ場所に立って一緒に考えてるんだ。あんたとは根本が違うんだよ」
返す言葉が無かったのかタッカーは暫く無言でキールを見つめていた。
だが、そこでフッと嫌な笑みを口の端にかかげてやけに静かな声で話し始めた。
「本当に残念ですね。そんなキーロン殿下でも片足の無い娘一人救えなかったのですから」
ドクンと心臓が跳ね上がった。
誰の事を指しているのかは明白だった。
俺たちは全員その場で凍り付く。
そんな俺達を満足そうに見回してタッカーが先を続けた。
「実は私にはまだ一匹あの狼人族に潜ませている犬がいるんですよ。その犬の情報ではあの娘、散々な目に合っていた様ですよ。まあ片足が無いのですから慰み者にするにも楽でしょうしね」
後ろでパットがヒッと小さな悲鳴を上げるのが聞こえる。
横からはキールの燃え上がる様な殺気が漂い始めた。
俺は俺で自分の顔が人殺しの様な形相に変わっていくのが自分でも分かる。
そこで思い出した、とでも言うようにタッカーが言葉を続けた。
「ああ、でも食料としては片足分足りなかったと文句言ってましたが」
──── ガタッガクッガシャーン!
響き渡った騒音に周りにいた貧民街の奴らが一斉にこっちを見た。俺は今殴ったばかりの右手を左手でさすりながら地面に転がったタッカーを見下ろす。
アルディとキールが呆れた顔でこちらを見ていたが俺がまた飛び掛かろうとするのを見て二人掛で俺の事を押さえつけた。俺がもがきながらも二人に取り押さえられたのを見たタッカーがまたも片方の唇を引き上げて吐き出すように言った。
「今私を殺さないと後悔しますよ。もうすぐ連邦の皆さまが到着されます。ダンカンが彼らを従えてこちらに向かっている事でしょう。彼らが来ればきっとあなた方は私を殺すわけにはいかなくなるでしょうから」
それを聞いた俺がまたも飛び掛かろうとするのをキールが押さえつけ、タッカーを兵舎にある牢獄へ連れて行くようにアルディに指示を出した。
「何故止めたんだ?」
後先見えなくなっていた俺は半分キールに体当たりする様にしてキールの拘束を引きはがした。
アルディとタッカーが十分離れた事を見て取ったキールはそんな俺から両手を放して距離を開ける。
「今のお前は力加減が出来ないだろう。そんなんで殴り続けたら取れる情報も取れなくなる」
キールの言っていることを理解はしていたがまだ怒りが身体の中を駆け巡っていてどうにもならない。あふれ出る怒りに任せてテーブルを叩こうとした俺の手をすんでの所でキールが掴む。
「お前、人型になった途端またかなり凶暴になったな。そっちが地か?」
キールの少し馬鹿にしたような目にまたカッと頭に血がのぼる。
「うるさい、この手を放せ!」
そんな俺を軽々と片手で押さえながらキールがテリースを呼ぶ。
「おいテリースこいつを落ち着かせろ」
後ろからテリースが俺の肩に手をかけた途端、身体の中の熱がザッと音を立てて冷めていった。
あったはずの確かな怒りの渦が綺麗さっぱり押し流されて虚ろな気分だけが後に残る。それは今まで感じた事のなかった何とも気持ちの悪い経験だった。途端今までの自分の行動が恥ずかしくなってキールの腕を振り払って俯いた。
「まあ、あれは俺も一発入れたかったがな」
そんな俺のすぐ横でキールがぼそりと呟いた。
それを聞いてやっと俺も自分の中に残っていた怒りの残骸を心から締め出す事が出来た。
「すまねぇ。俺時々こうなるんだ。自分でも分かっちゃいるが押さえが効かない」
情けない面を見られない様に少し俯いてそう言った俺を片目だけでみとめたキールがこちらも向かずに答える。
「ま、男なら大概多かれ少なかれそんな事もあるさ。気にするな、俺達にはテリースがいる。こいつがいつでも強制終了してくれるさ」
「……あれは本当に気持ちが悪い。もう二度とされない為にも今後は自分でもう少し怒りをコントロールできるようになりたいもんだ」
やっと落ち着いた俺を解放したキールは気持ちを改める様に一息ついて再度ダーレンを振り返った。
「悪いがダーレン、もう時間がない。明日には農場に向かうが出来るか?」
夏の長い日も既にかなり暮れてきていた。前庭を見回せばそこに残った貧民街の連中からは先ほどまでの悲壮な顔は姿を消して、それぞれ腹が満ちた時の幸せそうな顔でそこら中に好きな様に散らばっていた。
それを見回したダーレンが頷きながら答える。
「大丈夫だ。こいつ等には既にそう伝えてある」
「じゃあ集まる人数を4つの農村へ割り振ってくれ。いつも貧民街で農村へ向かう連中を集めていた広場に先導する者を迎えに行かせる」
「分かった。それじゃあ明日からよろしくな」
そう言ってダーレンはその場に残った連中を片っ端から引き連れて門を抜けて帰っていった。
「……やっと帰ったぞ」
ダーレンの姿が見えなくなった途端、そう一言言ってキールが崩れ落ちる様に椅子に座り込んだ。全く平気な面で今まで交渉を全てこなしていたキールも、内実はかなり緊張していたらしい。俺も同様にその隣に座り込んだ。
「あのな。悪いがまだ終わりじゃないぞ。ネロ、これはお前が言い出したんだからな。この惨状を見ろ」
疲れ切って椅子に倒れ込んでいた俺の後ろからピートルが容赦ない声を掛けて来た。言われるままに見渡せば前庭一面に軍から借り受けた器が点在していた。
「これ、俺たちが片付けるの……か?」
俺は力なくその場に突っ伏した。
0
お気に入りに追加
439
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
伝説の霊獣達が住まう【生存率0%】の無人島に捨てられた少年はサバイバルを経ていかにして最強に至ったか
藤原みけ@雑魚将軍2巻発売中
ファンタジー
小さな村で平凡な日々を過ごしていた少年リオル。11歳の誕生日を迎え、両親に祝われながら幸せに眠りに着いた翌日、目を覚ますと全く知らないジャングルに居た。
そこは人類が滅ぼされ、伝説の霊獣達の住まう地獄のような無人島だった。
次々の襲い来る霊獣達にリオルは絶望しどん底に突き落とされるが、生き残るため戦うことを決意する。だが、現実は最弱のネズミの霊獣にすら敗北して……。
サバイバル生活の中、霊獣によって殺されかけたリオルは理解する。
弱ければ、何も得ることはできないと。
生きるためリオルはやがて力を求め始める。
堅実に努力を重ね少しずつ成長していくなか、やがて仲間(もふもふ?)に出会っていく。
地獄のような島でただの少年はいかにして最強へと至ったのか。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる