上 下
84 / 406
第5章 狼人族

24 葬儀

しおりを挟む
「始めろ」

 キールの一言で葬儀が始まった。アルディとキール、そして俺が平原に大きな穴を掘って辺りに散らばっている死体を埋めていく。本来ならばあの日のうちに戻って行うはずだったのだが貧民街の奴らの騒ぎと刈り入れのせいでとうとうここまで伸びてしまっていた。
 この一週間の間に死体は全て腐敗が進んでいた。最初はその臭いの強烈さに俺には耐えられないと思っていたが、テリースが低度の痛覚隔離で知覚をごまかしてくれた。
 ダーレンに頼まれてあの日治療院の前で亡くなったじいさんの遺体もここに埋葬するために持ってきている。
 俺達が埋葬を行っている間にテリースが自作の笛で葬送曲を奏で始めた。この葬送の曲は狼人族の物なのだそうだ。

 刈り入れの間も俺達はこの葬儀に乗じて何とか狼人族に再度決闘のやり直しを挑めないかと画策していた。テリースはこの曲を聞けば少なくとも一人狼人族の者が出てくるだろうと言った。
 平原で死んだのは何も貧民の男たちだけではない。あの日狼人族も一人死んでいるのだ。
 そして無論信じたくも信じるつもりもないが。
 もしタッカーが言っていたことが真実だったならあゆみも既に死んでいるのかもしれない。

 俺は未だにそれを信じるつもりはなかったが、キールはどうやらある程度信じているようで、葬送曲を奏でる事であちらから何らかの反応が返ってくるかもしれない、と言葉を濁した。もしかすると狼人族があゆみの死体だけでも返してくれる事を期待して言っているのかもしれない。もう口論してもかみ合う事のないこの点についてこいつと言い合う気にはなれなかった。

 今振り返って見れば結局あの日の出来事は殆どがこちら側の問題だった。
 狼人族があゆみたちを攫おうとしていたなどと言う事実はなかったし、あそこに貧民街の奴らを連れ出したタッカーも街の者だ。立場だけで言うならば俺達は彼らのあの時の対応に文句をつけられない。
 たとえあゆみが生きていなくても──
 またズクンと胸が痛み、焦りで胃が焼け付く。

 なんで俺はこいつらの様に割り切ってしまえないのだろう。ただ亡くしたことを悲しむ事が出来るならばその方が楽かもしれない。なのに俺は相変わらずあいつが死んだとは思えず、救いにいけない事に焦り続け、ただひたすらどうやって救い出せるかを考え続けていた。
 もしこの葬儀で上手く呼び寄せられなかったら。
 こいつ等には悪いがもう決闘なんて待ってられない。俺はのこのこ出てきた奴を人質に取ってでも森に攻め込んであいつを救い出すまで戦うつもりだ。

 暫く俺がふつふつとそんな事を考えていると、テリースが言っていた通り遠くから一人の狼人族の男が近づいて来るのが見えた。
 近づいてくるにつれ、そいつの腕の中に抱えられている何か小さなものが目に入ってズキンと音を立てて俺の心臓が軋む。
 近づけば近付くほど見たくもない物がしっかり目に入ってしまい俺は自分の胃が引きつるのを感じた。

 俺達から10歩と離れていない所で一旦立ち止まった狼人族の男が腕に抱えていたのはグッタリとして動かないあゆみの身体だった。
 駆けだしたくなるのを無理やり押さえ込んで男がすぐ近くにくるのをそのまま待った。

「葬送の曲が聞こえた」

 狼人族の男はそう言ってテリースを見やる。それはバッカスと呼ばれていたあの時の隻眼の男だった。

「ああ。ここで死んだ者の魂を慰めるために奏でている」

 キールは目に入ったあゆみの姿に一瞬顔を歪ませながらもすぐに感情を押し殺して返事を返した。それに小さく頷いたバッカスが近づきながら続ける。

「ここにも一人葬儀に参加すべき奴がいる」

 そう言ってバッカスは無表情のまま自分の腕に抱えていたあゆみの身体を俺達の目の前の地面にゆっくりと横たえた。
 地面に寝かされ固く目を閉じたあゆみの身体は失われた足のせいなのかやけに小さく見えた。
 その顔はまるでまだ息があるとしか思えない程最後に見た時と変わりなく思えた。
 だが俺達がどんなに待ってもその身体は凍り付いた様に動かない。
 起き出す事のないあゆみの身体を目の辺りにして、まるで時が止まってしまったようにしばらく誰もその場を動けなかった。

「嘘だろ? あゆみ……本当に、本当に死んじまったのか……?」
「…………」

 俺は……限界だった。
 誰も騒がない。誰もが当たり前の様に目の前のあゆみの死を受け入れちまってる、それが許せなかった。
 俺は最初はノロノロと一歩踏み出し、それが崩れるように次の足が出てそのまま駆け寄ってあゆみの身体を抱き上げた。ぐったりとしたあゆみの身体が悪夢を思い出させる。
 体を起こしあげ、その弛緩した身体を揺さぶりながら叫んだ。

「なんでだ? どうして……?」

 勝手にあふれてくる涙が止まらない。
 怒りではなく悲しみが胸を押しつぶし、口を突いて出てくる言葉にはもう意味がなかった。
 嗚咽を上げているのかくぐもった悲鳴を上げているのかも自分でも分からない。
 視界にはキールとテリースがやはり苦しそうな嗚咽を上げているのが見えていたがそこに共感は湧かなかった。
 バッカス達への怒りや憎しみなんかより、腕の中でぐったりと力無く横たわるあゆみへのどうにかしたくてもどうすることも出来ない感情の爆発だけが虚しく繰り返されていた。
 虚無のように意味をなさないこの今の現状の中で、今目の前にあるあゆみの悪夢から抜け出したような冷たい身体だけが俺の心を締め上げていた。

 冷たい体だけが。

 冷たい……

 冷た……

 …………

 ……くないぞ。

「…………」
「…………」

「……おい」

 肩を震わせながら呟いた俺の言葉に、キール達が怪訝そうな顔でこちらを見る。
 よく見ると俺の腕の中のあゆみは顔を赤らめて小刻みに震えてる。
 バッと顔を上げてよくよく見れば目の前のバッカスも俯きながら肩を震わせてる。

 こ、こいつらぁ~~~!!!
 俺は怒りのあまり腕の中のあゆみの体をポイッと地面に投げ出した。

「え!」「あ!」

 突然の俺の行動に一体何をするんだっと焦ったテリースとアルディが駆け寄ろうとして、でも地面に落ちる寸前で体制を整えたあゆみを見てぎょっと驚いて目を見開いた。

「……いい加減にしろよっ!」

 俺は思いっきりドスの効いた超絶不機嫌な声で唸った。

「あ、あれ? ばれた?」

 それを聞いていたあゆみは少し赤い顔でむっくりと起き上がってちょっと失敗ってな軽い調子で答えやがった。
 俺は、俺はまだ目の端に垂れちまってた何かを無理やり乱暴に袖口で拭った。

「くそ、この馬鹿やろう! お前っ! 何考えてんだ、お、俺たちがどんなに心配したと思って……」

 胃痛を通り越して何かマズい感じのすっぱいものが口の中にせり上がってくるのを感じながら、俺は唾を飛ばしてあゆみに怒鳴り散らした。

「えー、何考えてるって言われましても……」

 対して答えるあゆみはしれっとしたものでちょっと目元を顰めて頬をぷっくりと膨らませてこっちを見返す。さっきまでのぐったりしてたのは一体何だったんだ、と叫びたくなる。
 大体この前まで俺の顔を見ただけで怯えてたやつはどこに行った? こんだけ俺に凄まれて怒鳴られても何で何ともないんだ?
 怒りに震える俺の前で頬を膨らませたあゆみがブチブチと言い訳を始めた。

「だって黒猫君もキールさんも誰も来てくれなかったじゃないですか」
「「…………」」

 怒鳴り散らした俺と呆れかえっているキールの顔を交互にみてからしれっとした顔であゆみが言う。

「だからせめて死んだふりでもして少しぐらい心配させてやろうってバッカスに一芝居お願いしたの」

 この一週間で溜まりに溜まっていた苛立ちがここに来てピークを迎えた。
 怒鳴り散らしたいのに余りに高ぶりすぎて気持ちがなかなか言葉にならない。それでも何とか無理やり吐き出そうと口を開いた。

「お、おま、お、俺たちが一体どんな思いで……」
「あ、黒猫君、それずるいからね。私だってこの一週間ずっと一人で頑張ってたんだから。黒猫君たちが何してたのか知らないけどそれはお互い様」

 沸騰しきった俺の気持ちが籠った渾身の文句を、あゆみの奴はそのど真ん中で思いっきり遮りながら覆いかぶせる様に言葉をかけてきた。
 しかも人の話の腰を思いっきり折っておいてここで絶妙な間を取って目を潤ませて呟く。

「でもね、私、これでも一応待ってたんだよ?」

 あゆみの最後の一言に俺は出かけていた100の文句をグッと口の中で噛み殺した。キールも他の二人も同様に言葉に詰まっている。
 ふと見るとバッカスが一人クツクツと後ろで笑ってやがった。
 反応を返せない俺たちを他所にあゆみがさっきよりも本気で拗ねた様に唇を尖らせてダラダラと世間話の様な文句を垂れ流し始めた。

「まあ確かに私は私で狼人族さん達の所でもそれなりになんとか快適に過ごし始めてはいたんだけどね。話してみれば気のいい人ばっかりだし。美味しい物も食べさせてくれるし。あれっと思ったら一週間たっちゃってるし。でもいくら私は大丈夫だって言ったって流石にこのまま連絡もなしにこっちに滞在し続けるのはマズイかなって思ってる所にお葬式の曲がかかってるって言うじゃん。なんかとうとう私の生存も諦められて私このまま死んだ事にされちゃうのかって最初は嘆いたりもしたけどさ、聞いてるうちに段々頭にき始めたんだよね。結局一度も来ないどいて葬式なんだもん。だったらもういっそ救えなかった事を勝手に後悔してろって気分になってたけどね」

 こ、こいつっ。
 あゆみのあまりにも緊張感のない言葉の端端からこいつの一週間の捕虜生活が一体どんなものだったのか薄っすらと見えて来た。そんなんだったらもう一生こいつらの所に居やがれ! と叫び出したくなるのをぐっと我慢して問いかける。

「……じゃあ何で今更出て来たんだ?」
「……だって、黒猫君たちが申込んだ決闘ってまだ終わってないでしょ?」
「はぁ?」

 何でここで決闘が出てくるんだ?

「バッカスに聞いたの。黒猫君たちバッカスたちに決闘を申し込んでおいて大人数で待ち伏せにしたんだって?」
「ま、待てそれは違うぞ!」
「あ、いいの。多分大体予想は付くし」

 焦って反論しようとするキールをあゆみが押しとどめる。

「それでね。バッカス達はバッカス達で決闘一つ堂々と出来ないような連中信じられないとか言うのよね。もうお話し合いでいいじゃんって言ったんだけど聞かないし。でしょうがないからバッカスとも相談したんだけどさ、だったらやっぱりちゃんと決闘やればいいじゃんて事なの」

「「「……はあ???」」」

 多分あゆみの言ってることに付いていけてないのは俺だけじゃない。キールだってテリースだって横で呆けている。どうもバッカスもきちんと理解しているわけではない様だ、ぼーっと周りを見回している。
 そんな俺達を置き去りにあゆみが一人で話を進めていった。

「事情はともかく、黒猫君たちが前回の決闘を台無しにしちゃったんだよね。だから今回は私が全部決めるって事でよろしく」
「あゆみさん、すみませんちょっと待ってください、何か色々理解できないんですが?」
「あゆみ落ち着け、ちょっとこっちの話も聞け」

 どんどん進めてしまうあゆみに焦ってテリース達が止めようとするが俺は今なんか引っかかった。
 取りなそうとするキールとテリースをパっと手を広げて制してあゆみに問いかける。

「待てあゆみ、何でが決めるんだ?」
「ええ? だってそれは……」

 俺の問いかけに横からバッカスがひょいっと割って入ってニヤリと笑って代わりに答えた。

「何故ならこいつが俺たちの『交渉人』ってやつだからだ」
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜

自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成! 理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」 これが翔の望んだ力だった。 スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!? ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

処理中です...