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1章 思い出は幻の中に
12 修練は明日への一歩 ― 3―
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掃除は結構好きだ。
特に、ここみたいにしっかり汚れとホコリが溜まっていると自分の掃除した結果がハッキリ目に見えて達成感が凄くて気持ちいい。
アーロンが今後も頻繁に使いそうなので執務室のテーブル周りをサッと片付けた後私は今日一番の大物、台所の掃除に取り掛かった。
水回りは定期的に手を入れてくれていたらしく、汲み置きの水も濁らず排水も問題ない。
二つ並んだ釜は暫く使われていなかったせいでホコリをかぶってはいるが、作りはしっかりしたものだ。
まずは箒を掲げて天井全体のホコリとススを軽く落としていく。
部屋の角に幾つも蜘蛛の巣が垂れ下がっているのも一緒に片付ける。
慎重に、慎重に。
天敵の気配がする。
間違いなくいる。
チリチリと感じる気配を意識的に無視して、作り付けのキャビネットの扉を開いては中を手持ちの小さな箒で清めていく。
私の身長だと一番上の棚は椅子に登っても奥までよく見えない。
仕方がないので椅子の上で伸び上がって、手探りでホコリを掻き出す。
っと!
真っ黒なモジャモジャがホコリとともに私の顔に向かって落ちてきた!
「ぎゃああああああああ! でたぁあああああ!」
私は椅子の上で飛び上がり、手をブンブンと顔の周りに振ってどこだか知らないが確実に私にくっついている筈の天敵を振り落とそうと足掻く。
無論、椅子の上でそんなことしていればバランスを崩して落ちるのは当然の結果だ。
「ひゃあああ!? あれ?」
やった!
っと襲ってくるはずの打ち身の痛みに身構えているのにいつまでたっても硬い地面にぶつかる衝撃がやってこない。
それどころか、見回せば私の体は空中で停止していてどこも地面に付いていない!
私がパクパクと口を開いたり閉めたりしてる間に私の体はまるでリモコンで操られてるかのようにスッと直立の姿勢に起こされたかと思うと、トンっと音を立てて地面に降ろされる。
「何やってんだよ」
小馬鹿にした声に振り返るとアーロンが台所の入り口に寄りかかり、あきれ顔でこっちを見ている。
「別に、ああああ、あれが、あれが居たんです、あれが!」
「あれ?」
「ほらあれ、あの黒くて足がいっぱいある、アレです!」
「あー? もしかして、これか?」
ヒョイっと私の肩から何か掴み上げてスッと私の目の前に付き出す。
「ひぎゃああああああ!!! く、苦、ク、クモー!!」
「クモ、ねぇ。 え? まさかお前、クモ苦手なの? 魔道士志望なのに? それ絶望的じゃねーか」
う、う、う、一番の弱点をこんなに簡単にさらけ出してしまった。
そんな焦りよりも目の前の黒いヤツへの恐怖で私の頭はいっぱいいっぱいだ。
恐怖のあまり目を逸らす事も出来ず、体はシッカリとアーロンに向き合ったまま、少しでも離れようとジリジリ後ろに後ずさる。
なのに、意地悪なアーロンは私が下がった分だけヤツを真っすぐ掲げ持ったまま私ににじり寄る。
私はそのままジリジリと後退し続けたが、とうとう背中がキッチン・カウンターにぶつかり、そのままカウンターの角まで追い詰められた。
「ほら、どうした? お前、コイツを持てないようじゃ調合の授業どうしててんだよ?」
「そ、それは、いつも乾燥粉末ものを前もって購入して……」
「はぁ? ばかじゃねーの? こんなどこでも手にれられる原価タダのお手軽資源を金出して調達するなんて」
アーロンは心底呆れ返った顔でひと通り私をこき下ろしバカにした後、フッと意地悪な笑みに顔を歪ませた。
誰だよ、「その氷の様に研ぎ澄まされた顔に笑みを見たものは居ない」とか噂してたやつは!
コイツ、昨日からいやらしい笑いやら意地悪な笑いやらいっぱい浮かべてるぞ!
ほんと、せめて笑わなきゃ見た目だけはかっこいいのに。
あ、だから「誰にも見せた事が無い」=「誰も見た事無い」のか!
現実逃避で余計な事に思考を飛ばしている私をよそに、アーロンはスッと空いているもう一方の手をこちらに掲げて口の中でゴニョゴニョと呪文を唱えた。
学校でも習ったのだが、高次の魔術は間違って資格の無い者や、術師以外の者が真似をすると大変危険な事態に発展する事もあるので修得者は他の者が真似出来ない様に決してハッキリと発音しないらしい。
だから、私にはアーロンが次に何をしようとしているのか全く予想できなかった。
「!?」
パァっとアーロンの指先で光が弾けたかと思うと、その弾けた光の細かい粒子が私の両手首とそれぞれの足首に纏わりからみ付く。
驚いて見つめている私の目の前で、集まった光の粒子がアッと言う間に実体を持った金色の輪っかに変化した。
続けてアーロンがゴニョゴニョとつぶやくと私の両手首にはまった金色の輪っかがまるで磁石が惹かれ合うようにスッと引っ付き、そのままクイッと上に引き上げられる。
無論、その輪っかがハマっている私の両手首と共に。
同時に足首の輪っかが引きづるように私の左右の足を肩幅ほどまで引き離したかと思うと、ズッシリと重くなって私の両足をその場所に縫い付けた。
結果、私は地面と空中の間で吊るし上げられたかの様な格好になっている。
「な、何するんですか!?」
「ん?」
私が突然の事に驚いて声を上げるとアーロンはニヤニヤと笑いながら答えた。
「何って、絶望的な弟子のために、今から特別特訓をしてやろうってだけじゃないか」
そう言いながらアーロンは一歩下がって私の全身を見た。
「まずは恐怖心に慣れるところから始めるとしよう」
こんな格好にされて文句の一つも言ってやりたいのだが、その間もアーロンが今も手にしているはずのヤツの事ばかりが気になって気が気じゃない。
「さて、こんなモノは慣れだ。怖い怖いと近づかなければいつまでたっても触れない。まずはクモの動きに慣れろ」
そう言うとア-ロンの影が低くなりしゃがみこんだのだろうと思ったとたん、革靴からすぐ上の靴下ひとつ履いていない私の足首に「ヤツ」をぴとっとくっつけた!
「ギャアアアアアアアア!!!! イヤだぁあああ、とってええええええ!!」
足首に確かに感じるヤツの複数の脚の触感に全身にブワッと鳥肌が立つ。
あまりの恐怖に足首がわななき、私は気が狂ったように全身を揺すろうと頑張るが手足を縫い付けられた状態からは一番振り払いたい場所が振り払えない。
それでも少しでも逃げ出そうとして自然私は勢い良く腰を振っていた。
「コラ、あんまり俺を挑発するな」
私の必死の反応がアーロンからはとんでもない痴態にみえるのが分かって羞恥に顔が真っ赤になるがこっちは今それどころじゃない。
悲鳴はただ漏れ、体は震え、髪を振り乱して逃げ出そうと頑張るが動けない。
それどころか事態は刻一刻とより最悪の方に向かっている。
これだけ腰を振って居るのにも関わらずヤツは足首からふくらはぎを上に向かってスルスルと登り上がってくる。
そのままヤツはスカートの裾が揺れる膝まで登ってきたところで一旦動きを止め、恐怖に私が動きを止めた途端方向を変え、私の膝丈のスカートの中を更に這い上がろうとしてる!
「うわわわわ、もうダメ! もうダメ! 取ってください、取ってください、おおおお願い、取ってぇぇぇ!!!」
「そこまで言うなら仕方ない」
そう言ってアーロンは私のスカートの中に入り込む直前でヤツを掴み取った。
私は一気に全身の力が抜けてガックリとうなだれた。
背中に当たるキッチンカウンターに体重を預けて息を整える。
燃え尽きてもう何も考えられない私の上から更にひどい言葉がかけられる。
「さて次はどこにするかな」
「!!!」
抗議の声を上げるより先にアーロンの手が私の手首に近づいてくる。
それを視線の端に捉えて慌てて声を返す。
「まままって、もうやめて、もういや、もういや!」
必死で訴えるが、アーロンは全く聞く耳を持たない。
見上げると、アーロンは私の袖を肘辺りまで捲し上げて、素肌をさらけ出し、左手の手首、輪っかのすぐ下あたりにヤツをピタッと貼り付けた。
「や、や、や、とって、とって」
見上げながら私は情けないほど震える小声で訴えた。
今度はヤツが私の頭上に上げた腕につけられた為、下手に動いたらヤツが頭の上に落ちてきそうで怖くて身動きできない。
ヤツが張り付いている手首から二の腕にかけては茹でた鳥の皮の様に鳥肌がくっきりと立ち上がっている。
新しく移された場所で暫く動かなかったヤツは、暫くして様子を見るようにチョロチョロと右、左と動き回る。それが鳥肌の立った私の体毛に触って余計恐怖をあおる。
「ふぇ、ふぇ、も、もうやだ、お願い、しぬ、しぬ、師匠、死んじゃう」
「死ぬわけなかろう、この種類のクモには毒もない。人畜無害で、かみつきも刺しもしない。安心しろ」
「そ、そんな、こと、いま、聞いてない、そんなこと、どうでもいいから、助けて!」
また慎重になって動きを止めたクモをじっと睨みながら何とかしてほしくて叫ぶ。
するとアーロンは動かなくなったクモが気に入らないらしく、顔が私の肩にかかる程近づいてきて何とクモを指で突っついた!
「ぎいゃぁぁあ! 何すんですか!」
「ああ、少し刺激して動かそうと思ってな」
「いらんことしないでください! や、やめ、やめ!」
刺激で逆に縮こまっってしまったクモを続けてつんつんつ突いて追い詰める。
数回やったところで、クモ、糸を垂らして降りてきた!
「ひぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
上を仰ぎ見ていた私の顔に、顔に、顔に!
ヤツが落ちる、っと思った瞬間、アーロンの手がヤツを掬い取った。
「ひぇぇぇぇぇええええーん、ひやーーん、」
私は既に声を出して泣いていた。
「今のはやばかったな」
そんな私の顔を横からのぞき込んだアーロンの顔は「悪戯が行き過ぎたテヘ」って程度に笑っている。
私が顔をくちゃくちゃにして泣いているのに、何笑ってんだ!
「師匠のばかぁぁぁぁぁ! ひえーーーーーん!」
そんな私をしり目にアーロンは私の横に移って、私が見えるようにクモをカウンターに乗せ、どこから取り出したのかグラスをかぶせて憎きクモを閉じ込めた。
「あー、コホン。さて、慣れる練習はこれくらいにして、今度は対処方法を説明する」
そういって何かをごまかす様にアーロンはパチンっと指を鳴らす。
すると、私を縫いとめていた金色の輪っかがパっと破裂するように輝いて消え去った。
途端、突然自由になった両腕が重力のままにダランっと落ちた。
慌てて力を入れてそのままカウンターに打ち付ける前に引っ込ませる。
しかし、吊るされっぱなしだった両腕はだるく、自由になったばかりの両足も長い仕打ちのあとで筋肉が痙攣している。
「師匠、もう立っていられないです」
泣き言をもらす私を見下ろしてアーロンは仕方なさそうに作業用の椅子を私の後ろに置いてくれた。崩れるようにその椅子に座り込み、ハーァっと一息つく。
「そのままでいい、続けるぞ」
アーロンは一歩前に出て続けた。
「まず、対象のクモに一番集中しやすい指、まあ、普通、利き腕の人差し指だな、を向けて、空間魔法で物体を固定し、最小規模の火魔法と風魔法を発火させずに暫く放射。
これで対象は完全に風化する。
続けて固定は続けたまま、最小規模の電撃魔法を物体の中心に10回程連続発射、すると振動で対象は粉末と化す」
アーロンは歌うように滑らかに説明をしながら、私の目の前でグラスに閉じ込められたクモを相手に実践して見せてくれる。
さっきまで私をあんなに苦しめたヤツが一瞬で干からびたかと思うと次の瞬間、パッと細かい小さじ一杯ほどの粉末になった。
「さあ、次はお前の番だ」
そういって、アーロンはスッと伸びあがると、いつの間に見つけたのかキャビネットのドアに張り付いていたクモをつかみ取り、素早くグラスの中に閉じ込めた。
さっきまでの恐怖の体験が一瞬脳裏をかすめたが、それよりも、いやそれだからこそ、今教えられた作業がまるで「魔法」のように私を勇気づけ、私はスッと右の人差し指をクモに向けてそれぞれの詠唱を始めた。
私の詠唱が始まると、グラスの中でうろうろしていたクモは、さっきアーロンが実証して見せてくれた時と同様に、ピタッとその動きを止め、スーッと干からび、ズサっと一塊の粉末にその姿を変えた。
「師匠、できました!」
「……そうだな」
私は嬉しくて飛び上がるようにアーロンを見やったが、教えた当の本人は驚いたような、納得のいかないような顔でクモの粉末を見ていた。
「これでもう怖いものはありません。頑張って掃除終わらせますね」
思っていた以上に実は『師匠』は『師匠』なのだな、とおかしなことを考えながら私は作業に戻ろうとアーロンに部屋から出て行ってくれるように頼んだ。
しぶしぶ部屋を去る間際、アーロンが口の中でつぶやいた。
「お前、やればできるんだな」
私はそれをほめ言葉だと思ったのだが、アーロンの顔はあまり褒めているようなものには見えなかった。
もうヤツの対処法は分かったとはいえ、アーロンが居なくなってからもさっきまでの痴態が思い出されるので、私は身支度だけ整えてとっととキッチンを後にする。
今日はもうキッチンに入りたくなかったのでキッチンの掃除は諦め、アーロンの寝室でも整えようと二階に上がった。
アーロンはどうやら執務室に戻ったらしい。
泣く子は起こすまいと、忍び足でその前を通り過ぎ、少し奥にある主寝室に向かった。
主寝室には天蓋付きのベッドが入っていたが、残念ながらこれも何年も使われていなかったようでカーテンは全体に埃がかかりカバーの掛けられたベッドも埃っぽい。
ベッドに少し体重を乗せて押してみるとそのまま沈み込んで戻ってこない。
やっぱり駄目だね。
これではベッドを整えてもアーロンは寝られないだろう。
仕方ないので取りあえず窓を一旦開けて空気を入れ替え、天蓋の上や天井から埃を落としにかかる。
どうせベッドはカバーがかかっているし、入れ替えの必要があるだろうから最後でいいや。
後は室内に据え付けられた本棚、キャビネット、ワードローブ、鏡台、そして小さいソファーセットなどから順次埃をたたき出していく。
一通り埃を落とし終わったので次はワードローブ等家具の中を片付けるべきなのだが、さっきまでのヤツとの攻防が頭に浮き上がってしり込みしてしまう。
うん、いっぱい働いたよ、今日はここまでかな。
自分に逃げ道を与えて、部屋を出る。
廊下に出ると、やはり執務室を出てきたアーロンと鉢合わせになった。
「っち」
小さく口の中で立てた音に耳ざとく気付いたアーロンがこちらを睨む。
「何だ今のっちってのは?」
「……なんでもありません」
暫く私を睨んでいたが、ぷいっと顔を逸らせて言い放つ。
「まあいい。それより下に来い」
そう言って私を先導するように先に立って歩き、おなじみの応接室に入った。
部屋に入ったとたん、プーンっとお腹の空く美味しい匂いが私の鼻に飛び込んできた。
よだれが垂れそうになりながらテーブルを見ると、一人分の食事がセットされている。
あれ?っとアーロンの顔を見やると、
「俺はちょっと向こうに戻る。悪いが勝手に食べて先に寝ていろ。戻るのは明日になるかもしれん」
そう言い置いてそのまま応接室を出ていこうとしたが、振り返って付け足した。
「くれぐれも注意しておくが、どんなに頑張っても門からも敷地からも出られない。大人しく寝ていろ」
そう言捨てて今度こそ扉を出た途端、溶けるようにアーロンの姿が消えた。
姿が消えて、戻ってくる様子が無いことを確かめた後、私は扉を後ろ手に閉めてにソファーに向かった。
「やった! 鬼の居ぬ間にこの短い一人の時間を満喫するぞ!」
そうだ。
ここまで来たら、少しでもポジティブに行ける所は頑張ってポジティブにしていかないと。
どうやら当分ここにいることになりそうだし。
ソファーに座り、ナプキンを広げて喜んで夕食を口にする。
一口、二口。何を食べてもすこぶるおいしい。
美味しいのだが。
ちょっと物足りない。
何のかんのでこの数日、アーロンは食事だけは一緒に楽しませてくれた。
ただ食べさせてくれるだけではなく、本当に私を楽しませようと気を使ってくれていた。
なんで時々あんなに優しいのに、なんであんなにヒドイ事を出来るんだろう。
フォークで次々とつつきまわし、口に運びながら考える。
この数日のうちにアーロンから受けた色々な仕打ちを思い出しながら考えるのだが、確かにヒドイ事をされているのに、思い返しても思ったほど怒りがわいてこない。
怖い本人はいないのだから、いっそ文句でも叫んで気を晴らしたいくらいなのに、なぜかうまく文句さえ出てこない。
おっかしいな。
ぶちぶちと考えながら、一人で今一つ味気ない食事を終えた。
無論アーロンの様に魔法で食器を送り返すわけにもいかず、取りあえずキッチンにもっていって洗う。
再び応接室に戻るが、その間中屋敷はシーンと静まり返り廊下には自分の立てる足音だけが響いた。
今日アーロン帰ってこないのか。
何か割り切れないものを感じながら、なんとなく昨日アーロンが寝ていたソファーに一旦座り、なんでそんなことしたんだろうっと自分で自分を叱りつけて昨日と同じソファーに戻ってまた昨日と同じ臭い毛布にくるまって横になった。
ふつふつとした考えは、しかし、10分もしないうちに微睡に消えていった。
特に、ここみたいにしっかり汚れとホコリが溜まっていると自分の掃除した結果がハッキリ目に見えて達成感が凄くて気持ちいい。
アーロンが今後も頻繁に使いそうなので執務室のテーブル周りをサッと片付けた後私は今日一番の大物、台所の掃除に取り掛かった。
水回りは定期的に手を入れてくれていたらしく、汲み置きの水も濁らず排水も問題ない。
二つ並んだ釜は暫く使われていなかったせいでホコリをかぶってはいるが、作りはしっかりしたものだ。
まずは箒を掲げて天井全体のホコリとススを軽く落としていく。
部屋の角に幾つも蜘蛛の巣が垂れ下がっているのも一緒に片付ける。
慎重に、慎重に。
天敵の気配がする。
間違いなくいる。
チリチリと感じる気配を意識的に無視して、作り付けのキャビネットの扉を開いては中を手持ちの小さな箒で清めていく。
私の身長だと一番上の棚は椅子に登っても奥までよく見えない。
仕方がないので椅子の上で伸び上がって、手探りでホコリを掻き出す。
っと!
真っ黒なモジャモジャがホコリとともに私の顔に向かって落ちてきた!
「ぎゃああああああああ! でたぁあああああ!」
私は椅子の上で飛び上がり、手をブンブンと顔の周りに振ってどこだか知らないが確実に私にくっついている筈の天敵を振り落とそうと足掻く。
無論、椅子の上でそんなことしていればバランスを崩して落ちるのは当然の結果だ。
「ひゃあああ!? あれ?」
やった!
っと襲ってくるはずの打ち身の痛みに身構えているのにいつまでたっても硬い地面にぶつかる衝撃がやってこない。
それどころか、見回せば私の体は空中で停止していてどこも地面に付いていない!
私がパクパクと口を開いたり閉めたりしてる間に私の体はまるでリモコンで操られてるかのようにスッと直立の姿勢に起こされたかと思うと、トンっと音を立てて地面に降ろされる。
「何やってんだよ」
小馬鹿にした声に振り返るとアーロンが台所の入り口に寄りかかり、あきれ顔でこっちを見ている。
「別に、ああああ、あれが、あれが居たんです、あれが!」
「あれ?」
「ほらあれ、あの黒くて足がいっぱいある、アレです!」
「あー? もしかして、これか?」
ヒョイっと私の肩から何か掴み上げてスッと私の目の前に付き出す。
「ひぎゃああああああ!!! く、苦、ク、クモー!!」
「クモ、ねぇ。 え? まさかお前、クモ苦手なの? 魔道士志望なのに? それ絶望的じゃねーか」
う、う、う、一番の弱点をこんなに簡単にさらけ出してしまった。
そんな焦りよりも目の前の黒いヤツへの恐怖で私の頭はいっぱいいっぱいだ。
恐怖のあまり目を逸らす事も出来ず、体はシッカリとアーロンに向き合ったまま、少しでも離れようとジリジリ後ろに後ずさる。
なのに、意地悪なアーロンは私が下がった分だけヤツを真っすぐ掲げ持ったまま私ににじり寄る。
私はそのままジリジリと後退し続けたが、とうとう背中がキッチン・カウンターにぶつかり、そのままカウンターの角まで追い詰められた。
「ほら、どうした? お前、コイツを持てないようじゃ調合の授業どうしててんだよ?」
「そ、それは、いつも乾燥粉末ものを前もって購入して……」
「はぁ? ばかじゃねーの? こんなどこでも手にれられる原価タダのお手軽資源を金出して調達するなんて」
アーロンは心底呆れ返った顔でひと通り私をこき下ろしバカにした後、フッと意地悪な笑みに顔を歪ませた。
誰だよ、「その氷の様に研ぎ澄まされた顔に笑みを見たものは居ない」とか噂してたやつは!
コイツ、昨日からいやらしい笑いやら意地悪な笑いやらいっぱい浮かべてるぞ!
ほんと、せめて笑わなきゃ見た目だけはかっこいいのに。
あ、だから「誰にも見せた事が無い」=「誰も見た事無い」のか!
現実逃避で余計な事に思考を飛ばしている私をよそに、アーロンはスッと空いているもう一方の手をこちらに掲げて口の中でゴニョゴニョと呪文を唱えた。
学校でも習ったのだが、高次の魔術は間違って資格の無い者や、術師以外の者が真似をすると大変危険な事態に発展する事もあるので修得者は他の者が真似出来ない様に決してハッキリと発音しないらしい。
だから、私にはアーロンが次に何をしようとしているのか全く予想できなかった。
「!?」
パァっとアーロンの指先で光が弾けたかと思うと、その弾けた光の細かい粒子が私の両手首とそれぞれの足首に纏わりからみ付く。
驚いて見つめている私の目の前で、集まった光の粒子がアッと言う間に実体を持った金色の輪っかに変化した。
続けてアーロンがゴニョゴニョとつぶやくと私の両手首にはまった金色の輪っかがまるで磁石が惹かれ合うようにスッと引っ付き、そのままクイッと上に引き上げられる。
無論、その輪っかがハマっている私の両手首と共に。
同時に足首の輪っかが引きづるように私の左右の足を肩幅ほどまで引き離したかと思うと、ズッシリと重くなって私の両足をその場所に縫い付けた。
結果、私は地面と空中の間で吊るし上げられたかの様な格好になっている。
「な、何するんですか!?」
「ん?」
私が突然の事に驚いて声を上げるとアーロンはニヤニヤと笑いながら答えた。
「何って、絶望的な弟子のために、今から特別特訓をしてやろうってだけじゃないか」
そう言いながらアーロンは一歩下がって私の全身を見た。
「まずは恐怖心に慣れるところから始めるとしよう」
こんな格好にされて文句の一つも言ってやりたいのだが、その間もアーロンが今も手にしているはずのヤツの事ばかりが気になって気が気じゃない。
「さて、こんなモノは慣れだ。怖い怖いと近づかなければいつまでたっても触れない。まずはクモの動きに慣れろ」
そう言うとア-ロンの影が低くなりしゃがみこんだのだろうと思ったとたん、革靴からすぐ上の靴下ひとつ履いていない私の足首に「ヤツ」をぴとっとくっつけた!
「ギャアアアアアアアア!!!! イヤだぁあああ、とってええええええ!!」
足首に確かに感じるヤツの複数の脚の触感に全身にブワッと鳥肌が立つ。
あまりの恐怖に足首がわななき、私は気が狂ったように全身を揺すろうと頑張るが手足を縫い付けられた状態からは一番振り払いたい場所が振り払えない。
それでも少しでも逃げ出そうとして自然私は勢い良く腰を振っていた。
「コラ、あんまり俺を挑発するな」
私の必死の反応がアーロンからはとんでもない痴態にみえるのが分かって羞恥に顔が真っ赤になるがこっちは今それどころじゃない。
悲鳴はただ漏れ、体は震え、髪を振り乱して逃げ出そうと頑張るが動けない。
それどころか事態は刻一刻とより最悪の方に向かっている。
これだけ腰を振って居るのにも関わらずヤツは足首からふくらはぎを上に向かってスルスルと登り上がってくる。
そのままヤツはスカートの裾が揺れる膝まで登ってきたところで一旦動きを止め、恐怖に私が動きを止めた途端方向を変え、私の膝丈のスカートの中を更に這い上がろうとしてる!
「うわわわわ、もうダメ! もうダメ! 取ってください、取ってください、おおおお願い、取ってぇぇぇ!!!」
「そこまで言うなら仕方ない」
そう言ってアーロンは私のスカートの中に入り込む直前でヤツを掴み取った。
私は一気に全身の力が抜けてガックリとうなだれた。
背中に当たるキッチンカウンターに体重を預けて息を整える。
燃え尽きてもう何も考えられない私の上から更にひどい言葉がかけられる。
「さて次はどこにするかな」
「!!!」
抗議の声を上げるより先にアーロンの手が私の手首に近づいてくる。
それを視線の端に捉えて慌てて声を返す。
「まままって、もうやめて、もういや、もういや!」
必死で訴えるが、アーロンは全く聞く耳を持たない。
見上げると、アーロンは私の袖を肘辺りまで捲し上げて、素肌をさらけ出し、左手の手首、輪っかのすぐ下あたりにヤツをピタッと貼り付けた。
「や、や、や、とって、とって」
見上げながら私は情けないほど震える小声で訴えた。
今度はヤツが私の頭上に上げた腕につけられた為、下手に動いたらヤツが頭の上に落ちてきそうで怖くて身動きできない。
ヤツが張り付いている手首から二の腕にかけては茹でた鳥の皮の様に鳥肌がくっきりと立ち上がっている。
新しく移された場所で暫く動かなかったヤツは、暫くして様子を見るようにチョロチョロと右、左と動き回る。それが鳥肌の立った私の体毛に触って余計恐怖をあおる。
「ふぇ、ふぇ、も、もうやだ、お願い、しぬ、しぬ、師匠、死んじゃう」
「死ぬわけなかろう、この種類のクモには毒もない。人畜無害で、かみつきも刺しもしない。安心しろ」
「そ、そんな、こと、いま、聞いてない、そんなこと、どうでもいいから、助けて!」
また慎重になって動きを止めたクモをじっと睨みながら何とかしてほしくて叫ぶ。
するとアーロンは動かなくなったクモが気に入らないらしく、顔が私の肩にかかる程近づいてきて何とクモを指で突っついた!
「ぎいゃぁぁあ! 何すんですか!」
「ああ、少し刺激して動かそうと思ってな」
「いらんことしないでください! や、やめ、やめ!」
刺激で逆に縮こまっってしまったクモを続けてつんつんつ突いて追い詰める。
数回やったところで、クモ、糸を垂らして降りてきた!
「ひぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
上を仰ぎ見ていた私の顔に、顔に、顔に!
ヤツが落ちる、っと思った瞬間、アーロンの手がヤツを掬い取った。
「ひぇぇぇぇぇええええーん、ひやーーん、」
私は既に声を出して泣いていた。
「今のはやばかったな」
そんな私の顔を横からのぞき込んだアーロンの顔は「悪戯が行き過ぎたテヘ」って程度に笑っている。
私が顔をくちゃくちゃにして泣いているのに、何笑ってんだ!
「師匠のばかぁぁぁぁぁ! ひえーーーーーん!」
そんな私をしり目にアーロンは私の横に移って、私が見えるようにクモをカウンターに乗せ、どこから取り出したのかグラスをかぶせて憎きクモを閉じ込めた。
「あー、コホン。さて、慣れる練習はこれくらいにして、今度は対処方法を説明する」
そういって何かをごまかす様にアーロンはパチンっと指を鳴らす。
すると、私を縫いとめていた金色の輪っかがパっと破裂するように輝いて消え去った。
途端、突然自由になった両腕が重力のままにダランっと落ちた。
慌てて力を入れてそのままカウンターに打ち付ける前に引っ込ませる。
しかし、吊るされっぱなしだった両腕はだるく、自由になったばかりの両足も長い仕打ちのあとで筋肉が痙攣している。
「師匠、もう立っていられないです」
泣き言をもらす私を見下ろしてアーロンは仕方なさそうに作業用の椅子を私の後ろに置いてくれた。崩れるようにその椅子に座り込み、ハーァっと一息つく。
「そのままでいい、続けるぞ」
アーロンは一歩前に出て続けた。
「まず、対象のクモに一番集中しやすい指、まあ、普通、利き腕の人差し指だな、を向けて、空間魔法で物体を固定し、最小規模の火魔法と風魔法を発火させずに暫く放射。
これで対象は完全に風化する。
続けて固定は続けたまま、最小規模の電撃魔法を物体の中心に10回程連続発射、すると振動で対象は粉末と化す」
アーロンは歌うように滑らかに説明をしながら、私の目の前でグラスに閉じ込められたクモを相手に実践して見せてくれる。
さっきまで私をあんなに苦しめたヤツが一瞬で干からびたかと思うと次の瞬間、パッと細かい小さじ一杯ほどの粉末になった。
「さあ、次はお前の番だ」
そういって、アーロンはスッと伸びあがると、いつの間に見つけたのかキャビネットのドアに張り付いていたクモをつかみ取り、素早くグラスの中に閉じ込めた。
さっきまでの恐怖の体験が一瞬脳裏をかすめたが、それよりも、いやそれだからこそ、今教えられた作業がまるで「魔法」のように私を勇気づけ、私はスッと右の人差し指をクモに向けてそれぞれの詠唱を始めた。
私の詠唱が始まると、グラスの中でうろうろしていたクモは、さっきアーロンが実証して見せてくれた時と同様に、ピタッとその動きを止め、スーッと干からび、ズサっと一塊の粉末にその姿を変えた。
「師匠、できました!」
「……そうだな」
私は嬉しくて飛び上がるようにアーロンを見やったが、教えた当の本人は驚いたような、納得のいかないような顔でクモの粉末を見ていた。
「これでもう怖いものはありません。頑張って掃除終わらせますね」
思っていた以上に実は『師匠』は『師匠』なのだな、とおかしなことを考えながら私は作業に戻ろうとアーロンに部屋から出て行ってくれるように頼んだ。
しぶしぶ部屋を去る間際、アーロンが口の中でつぶやいた。
「お前、やればできるんだな」
私はそれをほめ言葉だと思ったのだが、アーロンの顔はあまり褒めているようなものには見えなかった。
もうヤツの対処法は分かったとはいえ、アーロンが居なくなってからもさっきまでの痴態が思い出されるので、私は身支度だけ整えてとっととキッチンを後にする。
今日はもうキッチンに入りたくなかったのでキッチンの掃除は諦め、アーロンの寝室でも整えようと二階に上がった。
アーロンはどうやら執務室に戻ったらしい。
泣く子は起こすまいと、忍び足でその前を通り過ぎ、少し奥にある主寝室に向かった。
主寝室には天蓋付きのベッドが入っていたが、残念ながらこれも何年も使われていなかったようでカーテンは全体に埃がかかりカバーの掛けられたベッドも埃っぽい。
ベッドに少し体重を乗せて押してみるとそのまま沈み込んで戻ってこない。
やっぱり駄目だね。
これではベッドを整えてもアーロンは寝られないだろう。
仕方ないので取りあえず窓を一旦開けて空気を入れ替え、天蓋の上や天井から埃を落としにかかる。
どうせベッドはカバーがかかっているし、入れ替えの必要があるだろうから最後でいいや。
後は室内に据え付けられた本棚、キャビネット、ワードローブ、鏡台、そして小さいソファーセットなどから順次埃をたたき出していく。
一通り埃を落とし終わったので次はワードローブ等家具の中を片付けるべきなのだが、さっきまでのヤツとの攻防が頭に浮き上がってしり込みしてしまう。
うん、いっぱい働いたよ、今日はここまでかな。
自分に逃げ道を与えて、部屋を出る。
廊下に出ると、やはり執務室を出てきたアーロンと鉢合わせになった。
「っち」
小さく口の中で立てた音に耳ざとく気付いたアーロンがこちらを睨む。
「何だ今のっちってのは?」
「……なんでもありません」
暫く私を睨んでいたが、ぷいっと顔を逸らせて言い放つ。
「まあいい。それより下に来い」
そう言って私を先導するように先に立って歩き、おなじみの応接室に入った。
部屋に入ったとたん、プーンっとお腹の空く美味しい匂いが私の鼻に飛び込んできた。
よだれが垂れそうになりながらテーブルを見ると、一人分の食事がセットされている。
あれ?っとアーロンの顔を見やると、
「俺はちょっと向こうに戻る。悪いが勝手に食べて先に寝ていろ。戻るのは明日になるかもしれん」
そう言い置いてそのまま応接室を出ていこうとしたが、振り返って付け足した。
「くれぐれも注意しておくが、どんなに頑張っても門からも敷地からも出られない。大人しく寝ていろ」
そう言捨てて今度こそ扉を出た途端、溶けるようにアーロンの姿が消えた。
姿が消えて、戻ってくる様子が無いことを確かめた後、私は扉を後ろ手に閉めてにソファーに向かった。
「やった! 鬼の居ぬ間にこの短い一人の時間を満喫するぞ!」
そうだ。
ここまで来たら、少しでもポジティブに行ける所は頑張ってポジティブにしていかないと。
どうやら当分ここにいることになりそうだし。
ソファーに座り、ナプキンを広げて喜んで夕食を口にする。
一口、二口。何を食べてもすこぶるおいしい。
美味しいのだが。
ちょっと物足りない。
何のかんのでこの数日、アーロンは食事だけは一緒に楽しませてくれた。
ただ食べさせてくれるだけではなく、本当に私を楽しませようと気を使ってくれていた。
なんで時々あんなに優しいのに、なんであんなにヒドイ事を出来るんだろう。
フォークで次々とつつきまわし、口に運びながら考える。
この数日のうちにアーロンから受けた色々な仕打ちを思い出しながら考えるのだが、確かにヒドイ事をされているのに、思い返しても思ったほど怒りがわいてこない。
怖い本人はいないのだから、いっそ文句でも叫んで気を晴らしたいくらいなのに、なぜかうまく文句さえ出てこない。
おっかしいな。
ぶちぶちと考えながら、一人で今一つ味気ない食事を終えた。
無論アーロンの様に魔法で食器を送り返すわけにもいかず、取りあえずキッチンにもっていって洗う。
再び応接室に戻るが、その間中屋敷はシーンと静まり返り廊下には自分の立てる足音だけが響いた。
今日アーロン帰ってこないのか。
何か割り切れないものを感じながら、なんとなく昨日アーロンが寝ていたソファーに一旦座り、なんでそんなことしたんだろうっと自分で自分を叱りつけて昨日と同じソファーに戻ってまた昨日と同じ臭い毛布にくるまって横になった。
ふつふつとした考えは、しかし、10分もしないうちに微睡に消えていった。
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