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十二月はクリスマスで大変
66話 誰もスッチーに聞いてない
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「彼氏へのクリスマス・プレゼントってなにあげたらいいんだろう?」
お昼休み、いつものごとくお昼を食べ終えた私は、早速今日の議題を話題にあげた。
並べた机にはアッコちゃん、エッちゃん、私の三人と、スッチーが一緒に座ってる。
あのあと、スッチーの猛攻の前に、エッちゃんもとうとうお付き合いを正式に始めたのだ。
最初は遠慮して別々にお昼食べてたけど、休み時間中ずっとこっちを見てるスッチーが不憫でアッコちゃんが声をかけた。
最近は週に数回、スッチーも一緒に食べてる。たまにスッチーの友人も数人いっしょに混じってる。
「塔子さん、それここで聞くのは勘弁……」
私の問いかけに、スッチーが泣きそうな顔になって口をはさんだ。ああ、そっか、スッチーはエッちゃんとプレゼント交換するんだもんね。
だけどエッちゃんはそんなスッチーの背中をバンバン叩いて言い返す。
「誰もスッチーに聞いてないんだから気にすることないじゃん」
「そ、そうだけど……」
小声で言い返したスッチーを遮って、アッコちゃんがスッチーに手を振る。
「スッチー、嫌なら今日はここにいなくてもいいわよ」
アッコちゃんの感情の籠もらない声の指摘に、スッチーがコーヒー牛乳を片手に大人しく黙り込んだ。
アッコちゃんは時にスッチーに手厳しい。
因みに、私たちの会話に加わるうちに、スッチーは私たちのことも名前呼びが定着してた。
「先輩が好きなものとか分かるの?」
スッチーを放置したまま尋ねたエッちゃんが私に聞いてくれる。
「……参考書?」
私の返答にエッちゃんとスッチーが信じられないって顔でこっち見た。
でもそれをチラ見して、アッコちゃんが私たちに顔を寄せてくる。
「そこはやっぱり王道でしょう。ほら、リボンを一本買ってきて首に巻けばいいのよ」
「ブファッ!」
アッコちゃんのわざとらしい内緒話に、横で聞いてたスッチーが牛乳を吹き出した。
エッちゃんと私は意味がわからずお互いに顔を見合わせて首をひねる。
「悪い、俺トイレ」
吹き出したコーヒー牛乳を手で押さえながら、スッチーが自己申告して席を立つ。それを見たアッコちゃんが、コロコロと笑いながらスッチーを見送った。
「暁子それってどういう意味?」
スッチーのことなどお構いなしに尋ねたエッちゃんと私を笑顔で見比べて、アッコちゃんが再度顔を寄せ、小声で付け足す。
「プレゼントは、わ・た・し、ってこと」
アッコちゃんのいたずらっぽい囁きを聞いた途端、一気に頭に血がのぼってボンっと音がするかと思った。
お昼休み、いつものごとくお昼を食べ終えた私は、早速今日の議題を話題にあげた。
並べた机にはアッコちゃん、エッちゃん、私の三人と、スッチーが一緒に座ってる。
あのあと、スッチーの猛攻の前に、エッちゃんもとうとうお付き合いを正式に始めたのだ。
最初は遠慮して別々にお昼食べてたけど、休み時間中ずっとこっちを見てるスッチーが不憫でアッコちゃんが声をかけた。
最近は週に数回、スッチーも一緒に食べてる。たまにスッチーの友人も数人いっしょに混じってる。
「塔子さん、それここで聞くのは勘弁……」
私の問いかけに、スッチーが泣きそうな顔になって口をはさんだ。ああ、そっか、スッチーはエッちゃんとプレゼント交換するんだもんね。
だけどエッちゃんはそんなスッチーの背中をバンバン叩いて言い返す。
「誰もスッチーに聞いてないんだから気にすることないじゃん」
「そ、そうだけど……」
小声で言い返したスッチーを遮って、アッコちゃんがスッチーに手を振る。
「スッチー、嫌なら今日はここにいなくてもいいわよ」
アッコちゃんの感情の籠もらない声の指摘に、スッチーがコーヒー牛乳を片手に大人しく黙り込んだ。
アッコちゃんは時にスッチーに手厳しい。
因みに、私たちの会話に加わるうちに、スッチーは私たちのことも名前呼びが定着してた。
「先輩が好きなものとか分かるの?」
スッチーを放置したまま尋ねたエッちゃんが私に聞いてくれる。
「……参考書?」
私の返答にエッちゃんとスッチーが信じられないって顔でこっち見た。
でもそれをチラ見して、アッコちゃんが私たちに顔を寄せてくる。
「そこはやっぱり王道でしょう。ほら、リボンを一本買ってきて首に巻けばいいのよ」
「ブファッ!」
アッコちゃんのわざとらしい内緒話に、横で聞いてたスッチーが牛乳を吹き出した。
エッちゃんと私は意味がわからずお互いに顔を見合わせて首をひねる。
「悪い、俺トイレ」
吹き出したコーヒー牛乳を手で押さえながら、スッチーが自己申告して席を立つ。それを見たアッコちゃんが、コロコロと笑いながらスッチーを見送った。
「暁子それってどういう意味?」
スッチーのことなどお構いなしに尋ねたエッちゃんと私を笑顔で見比べて、アッコちゃんが再度顔を寄せ、小声で付け足す。
「プレゼントは、わ・た・し、ってこと」
アッコちゃんのいたずらっぽい囁きを聞いた途端、一気に頭に血がのぼってボンっと音がするかと思った。
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